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60年代のあふれるエネルギーは
現代にどう立ちあがるのか!?
寺山修司の『血は立ったまま眠っている』が上演!

兵庫・伊丹AI・HALLが、2009年にスタートした「現代演劇レトロスペクティヴ」。1960年代~1990年代半ばまでに作られた戯曲に、関西を中心に活動する演出家が挑むというこの企画。4回目となる今回は、10月に唐十郎の『少女仮面』を深津篤史演出で桃園会が、11月に秋浜悟史の『幼児たちの後の祭り』を三枝希望演出で焚火の事務所が上演した。続いて12月13日(金)からは、寺山修司の『血は立ったまま眠っている』を岩崎正裕演出で太陽族が上演する。

本作は、寺山が23歳の時に、劇団四季に書き下ろした初の長編戯曲。安保闘争を背景に、底辺で生きる若者たちの怒りや葛藤を描いた作品で、岩崎は「いつかやりたいと思っていた」と語る。「寺山作品の中でもこの『血は立ったまま眠っている』が、最も魅力を感じたんです。ひとつの役にひとつの人格があり、ひとつの場所、ひとつの時間で描かれていく。近代劇のスタイルにのっとって書かれていて、その後の寺山修司の実験的な作品とは一線を画している、稀有な戯曲だと思うんです。それに、書かれている時代はまさに60年代で、若者のエネルギーがすごく充満している時代。若者たちの閉塞的な状況、非常に底辺の生活が描かれているところが魅力的でしたね」。

ふたりの若きテロリストを中心に、熱いエネルギーに満ちた物語が展開する本作。2010年には蜷川幸雄による演出、森田剛や窪塚洋介らの出演で上演されているが、岩崎は「関西の小劇場だからこそ、地べたから這い上がるような空気をうまく立ち上げることができるのでは」と、期待を込める。また、寺山へのリスペクトだけでなく、新たな切り口にチャレンジしたいとも語る。「60年代に起きた出来事を、時代考証にとらわれず、現代の衣装、風俗でやってみたらどうかなと考えています。60年代に書かれたセリフを、今の若者たちの身体を通すことで、きな臭い現代の空気を出せたらと思います」。

閉塞感と沸々とわき上がるエネルギーに満ちた世界は、現代の小劇場の舞台にどう立ち現れるのか。その圧倒的な熱を劇場で体感して。

(取材・文:黒石悦子)




(2013年12月12日更新)


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劇団太陽族 撮影:studio STR

劇団太陽族
〈現代演劇レトロスペクティヴ〉
「血は立ったまま眠っている」

発売中 Pコード:431-521
▼12月13日(金)~15日(日)
(金)19:00 (土)14:00/19:00 (日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
一般前売-3000円 学生前売-2000円

[作]寺山修司 [演出]岩崎正裕
[出演]野田晋市/石橋和也/中西由宇佳/鈴村貴彦/隈本晃俊/岸部孝子/篠原裕紀子/韓寿恵/あらいらあ/橋本匡/佐々木淳子/森本研典/くるぶし/橋本浩明/南勝
※ペア割引券は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。

[問]劇団太陽族[TEL]06-4801-4724

AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
http://www.aihall.com/

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