強烈なキャラクターのオンパレード!
見習い坊主の奮闘を描くコメディ漫画『ぶっせん』が舞台化
主演・吉沢亮にインタビュー!
漫画家・三宅乱丈のデビュー作で、今年7月にドラマ化された『ぶっせん』が、次は舞台で上演される。本作は、貧乏なお寺が再建資金を得るために設立した仏教専門学園“ぶっせん”を舞台にした学園コメディ。「欲にまみれた僧侶」「俗物を捨てられない修行僧」など、漫画そのものの強烈な個性を放つ登場人物たちが、奇想天外なドラマを展開していく。その中で、主人公・田村正助役として出演しているのが、『仮面ライダーフォーゼ』の朔田流星/仮面ライダーメテオ(声)役でも知られる若手俳優の吉沢亮だ。ライバル寺からスパイとして潜入するも、秒殺でバレるという、天然で憎めないキャラクターを演じている。今回、ドラマ初主演を経て舞台に挑むにあたり、吉沢に心境を訊いた。
――本作でドラマ初主演に挑まれましたね。
「最初は単純に嬉しかったんですが、一方で、自分が主演で大丈夫なのかという不安もありました。でも出演者の中で僕がいちばん年下ですし、みんなを引っ張っていこうという気負いはなかったですね。主演だということを考え過ぎず、置いていかれないように頑張ろうと思ってやっていました」
――作品もコメディですし、雰囲気としては楽だったのかもしれませんね。
「スケジュール的には大変な部分もありましたが、現場の雰囲気が面白かったですし、本当に楽しかったです。泊まり込みの撮影だったので、メンバーとも一緒にいる時間が長くて。僕、結構人見知りするタイプなんですが、それもすぐになくなって仲良くなれたので、いい雰囲気で撮影が出来たと思います」
――その一方で、結構振り切った役柄なので、役作りという面では難しい部分があったのでは?
「正助はすごく悩みました。すごく純粋な男の子で、原作は見た目が小学生みたいなんです。あの見た目だからこそ原作は成立しているんじゃないかなという部分があるような気がして。それを、見た目の全然違う僕が、原作のまま演じたら変な方向にいきそうだなと思ったので、監督とも相談して、原作の雰囲気を残しつつ、どう自然に演じるかすごく悩みながら演じました」
――原作自体はいつの段階で読まれていたんですか?
「オーディションの話をいただいた時です。内容はいい意味でくだらない(笑)。一つひとつの話の冒頭から少しずつ伏線が引かれてあって、最後にしっかり落とす。話の作りがすごくうまいなと思いました。ここ最近で一番笑ったマンガです(笑)」
――その世界観はドラマにもふんだんに生かされていましたよね。
「それぞれのキャラクターが濃すぎるくらいですけど(笑)。全員がすごく楽しみながらやっていたと思います」
――ドラマを拝見して、ロケも楽しいんだろうなっていうのがすごく伝わってくるようでした。表情も面白く作られていましたが、舞台ではそういった見せ方の難しさがありそうですね。
「ドラマはかなり表情を気にしてやっていましたが、舞台では寄りで見せられない分、身体の動きや、声質でも補っていきたいと思っています。よりオーバーに正助を演じるというのは、難しくもあり、楽しみな部分でもありますね」
――今回のドラマを経験して自分の中で変わったことはありますか?
「正助ほど振り切った役というのは今までまったくなかったですし、仮面ライダーのイメージを持たれている方からするとびっくりするくらい、真逆の役(笑)。僕のやっていたライダーは結構キザな役でしたし、“ザ・カッコイイ”仮面ライダーから、“何だこいつは?”っていう天然な坊主をやってて(笑)。僕自身も今まで感じたことがない自分に出会えた気がします」
――最初演じるとき、照れはなかったんですか?
「照れはなかったんですが、どこまでやっていいのかって悩みましたね。でもみんながすごくはっちゃけて演じてるから、途中からはもういいや!と思って、自分もかなりはっちゃけながら演じましたね(笑)」
――袴田さんやほかの共演者の方々から盗めるものも多かったのでは?
「袴田さんは本当に面白くて(笑)。原作の顔とマッチしてるんですよ。モニターチェックしながら雲信だ!って思うことがすごくありましたね。あと、いつも僕たち若手の輪に入って、コミュニケーションをとってくださるんです。袴田さん発信で話が盛り上がることもいっぱいありましたし。さりげなくいい雰囲気を作って頂いて、すごく助けて頂きました」
――舞台の内容はどんな展開になるんでしょう。
「ぶっせんの入学から卒業までがギュッと凝縮して描かれています。ドラマとリンクしている部分と、ちょっとテイストを変えている部分がありますね。舞台でまた一から作り上げるという感じです。僕のキャラクターは、割とドラマの雰囲気を強めに残しながら演じていますけど、それぞれで舞台用に少しキャラを変えている部分があったりして。みんな自分でしっかりアイデアを持ってきて演じていて、舞台ならではの面白さがあると思います。ドラマの放送がなかった関西の方にもきっと楽しんで頂けるはずです!」
――ドラマ同様、何も考えずに楽しめそうですね。
「はい。難しいことは一切ないですし、最初から最後までくだらないことをやっていて、その中で教訓のような、大事なことが少しずつ散らばっています。最後には泣ける場面もあるので、気軽に観に来て頂き、たくさん笑って、ちょっと泣いて、終わった後には大事なことも感じて頂けたらいいですね。そうなるように、笑いだけでなく、メッセージとして届けるべき部分はしっかり届けられるように頑張ります!」
取材・文:黒石悦子
(2013年11月15日更新)
Check