ホーム > インタビュー&レポート > 舞台版『ショーシャンクの空に』が間もなく大阪に 主演の成河(ソンハ)が舞台ならではの魅力を語る!
――名作と呼ばれる作品の舞台化であり、大きな舞台で主演を務めることになりますが、この作品のお話を受けた時はどう思われましたか?
成河「お話をいただいた時には、僕じゃない方がいいんじゃないかと思いました(笑)。“本当に僕ですか!?”って聞き直したかったくらい驚きましたね。周りからも驚かれましたし。ただそれと同時に、とてもお世話になっている方たちが期待を込めてキャスティングしてくださったということをすごく感じたので、その心意気にちゃんと応えていきたいなと思いましたね」
――作品にはどんな印象をお持ちでしたか?
成河「まず、この舞台は映画のリメイクをするのではなくて、原作の小説から新しい作品を生み出そうという趣旨があったんですね。それを聞いて、初めて小説を読んだんです。そうすると、すごく面白くて、演劇にピッタリだなと思ったんです。小説はレッドの日記として話が進んでいくようになっていて、全部一人称なんですよ。極端に言えば、レッド以外の登場人物は出てこないともとれるような、特殊な書き方になっている。それが小説の面白いところで、レッドの記憶にまつわる話にもなっていくんですね。“あいつはあの時、ああ言ったような気がするけど、本当のところは何を考えていたのかはわからない”というような。そういう時にすごく想像力をかき立てられるんです。レッドに同調しながらいろんな想像をし続けられるのが小説の面白さだなと。それって、観ている人の想像力を使って成立する演劇に合っているんじゃないかなと思ったんです」
――アンディーという人物を演じるにあたって苦労されていることなどありますか?
成河「一筋縄ではいかない役なんですよ。囚人たちにとってある種、ファンタジックな理想像でなければいけないし、かつ、ちゃんと人間として血の通った人物でなきゃいけない。そこのさじ加減がすごく難しくて。あと、僕が今までやってきた経験では太刀打ちできないような人物なんです。今までだと、自分から人の懐の中にどんどん入っていくようなタイプの役が多くて、自分もそういうふうに作ることでイキイキするんです(笑)。でもアンディーは、何もしないでじっと淡々と自分のことをやっているところにどんどん人が寄ってくるような人物。自分を抑えて演じないといけないので、大変です(笑)。でも、演出の河原さんは失敗を許してくれるし、どんどんいろんなアプローチの仕方を許してくれるので、それに甘えつつ、本番までには自分のものにしたいですね。この難題にはワクワクしています」
――今までにチャレンジしたことがない役柄なので余計に。
成河「そう、どこかで楽しんでいる自分もいて。でも、これだけ大きな舞台でこれだけ重要な役回りになってくると、迷惑をかける範囲が広くなっていくんですよ。普段は“ダメならいいや!”くらいの気持ちでいろんなことを試すんですけど、こんな大役をいただいた時にも、気負わずにその精神の自由さを保てるかどうかが大切ですよね。本当に周りの人に助けていただいて、しっかり考える時間を持てたので本当にありがたいと思っています」
――共演の方々にも頼りつつ…。
成河「本当に。粟根さんがね、いつの間にか照明機材の置き場を考えているんですよ(笑)。図面とか見ながら、“そこに立つならきっとここに置けるかな”って(笑)。ある意味、俳優を超えたところで演劇を作ることに夢中な方たちですよね。しかも自分のシーンじゃないんですよ。人のシーンの照明の置きどころを考えてるって、感動しますよね。口ではいくらでも、“俳優だけじゃない、作品が大事”って言えますけど、それをこれだけ具体的にされているなんて。多分、粟根さんの中では当たり前のことなんでしょうけど、ハッとさせられました。河原さんもみんなが提案することを全部受け止めて、風通しを良くしてくれる。逆にちょっと遠慮したりすると“何で言わなかったの!?”って。その分、頭から煙が出るくらい悩まれていましたけどね(笑)。ある意味、僕たちを無責任でいさせてくれる。そうして、いくつもある選択肢の中から河原さんが宝を選んでくれるんですよね。そこに労力を使おうとされることがすごいなと思いましたね」
――みなさんのいい相乗効果が生まれている感じですね。『ショーシャンクの空に』は、映画ファンも多い作品ですが、舞台ならではのポイントは?
成河「小説をもとに、映画のエピソードを借りながら作っているので、題材は全く同じですし、起承転結も人物もほとんど同じ。ただ、印象はビックリするくらい違うものになると思いますし、映画とはまた違った見方を提案できるんじゃないかなと思います。例えば、ピンナップガールである女性3人の表し方。これは演劇の見どころとして豊かになるポイントだなと思います。“これぞ演劇!”という仕掛けが待っているので、楽しみにしてほしいですね。それと、脚本の喜安さんが、人間のこっけいな部分も描いていて、クスッとできる部分もあるんです。あとね、益岡さんが本当に素敵なんです! 一緒にやっている僕たちみんながめちゃくちゃ感動していますから。そのすごさはお客さんもきっと感じられると思います。迫力と生々しい存在感、それでいて嘘がない。僕も間近にいてすごく勉強になります。」
――作品には“希望”というキーワードもありますね。
成河「そうですね。目指しているところはふたつあって。ひとつは、河原さんがいつも言っている“面白い演劇を作りたい”ということ。ただ“『ショーシャンクの空に』って、こんなにいい話なんだよ”っていうことを伝えるのではなくて、面白い演劇でなければ意味がない。それは舞台の魅力がたっぷりつまったものでなければいけないし、第一の見どころだと思うんですね。次に、『ショーシャンクの空に』という作品には“自由と希望”というキーワードがある。今では使い古された言葉ですが、今改めて、本当の意味を深く考えさせてくれる作品だなって思うんですよ。自由とは何か、希望とは何かなんて、結局、誰も答えられないけど、小説なら小説、映画なら映画ならではの表現で深く考えさせてくれる。それは舞台でも間違いなくそうなると思います。あと、僕がすごく魅力を感じるのは、何かを信じ続けることでしか生まれない人とのつながりや心の豊かさが、男ふたりの友情を軸に描かれていること。素敵なふたりにしたいなと思います」
(取材・文:黒石悦子)
(2013年11月15日更新)
発売中
Pコード:430-857
▼11月16日(土)~18日(月)
(土)19:00 (日)13:00/18:00 (月)13:00
サンケイホールブリーゼ
全席指定-7500円(当日引換券)
映画DVD付全席指定-8000円
当日引換券-7500円
[原作]スティーヴン・キング
[演出]河原雅彦
[劇作・脚本]喜安浩平
[出演]成河 益岡徹/粟根まこと 畑中智行 筒井俊作/大家仁志 今奈良孝行 山崎彬/山崎和如 日栄洋祐 鈴木秀明/高橋由美子 宇野まり絵 新良エツ子
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
●ハーフプライス販売
Pコード:433-269
▼11月16日(土)~18日(月)
(土)19:00 (日)13:00/18:00 (月)13:00
※一部舞台が見えづらい場合もございます。お席は後方となります。チケットは、インターネット、一部チケットぴあ店舗(HEP FIVE店、阪神プレイガイド、ぴあステーション ちけっとぽーと なんば店、ぴあステーション ちけっとぽーと 三宮店)にて販売。電話での受付はなし。ぴあ店舗での発売開始日時は各公演当日11:00~。
ナッポスユナイテッド
[TEL]03-5342-0909
『ショーシャンクの空に』公式サイト
http://shawshank-stage.jp/