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光る“イルミネーションダンス”で注目を集める
レッキン・クルー・オーケストラが
10周年の集大成となる新作ステージを上演!

光る“ELワイヤー”の付いたコスチュームに身を包み、ダンスとイルミネーションを組み合わせたパフォーマンスで注目を集めるダンスクルー、WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキン・クルー・オーケストラ)。まるでCGで作られたようなそのパフォーマンスは、'12年にNTTドコモのスマートフォン『Xperia』のテレビCMに起用されて一躍有名となり、動画サイトでも2000万ビューを超えるなど、世界中で話題を呼んでいる。’03年の結成以来、年に一度、90分を超えるステージを作り続ける彼らが、10周年を迎えた今年、集大成となる舞台『コズミック・ビート』を上演する。公演を前に、リーダー・YOKOIに本作にかける想いを訊いた。

――昨年の舞台『FAKEST』は、イルミネーションダンスで話題となったこともあり、今までと違う雰囲気だったんじゃないですか?
 
「イルミネーションダンスが世間で知られるようになって、初めての舞台だったので、それを観に来ていただいたお客さんもたくさんいましたね。でも、ご覧いただいた人の話を聞くと、“イルミネーションダンスもすごかったけど、生のダンスに感動した”ということを言っていただけたので、それがすごく嬉しかったです。もちろん、イルミネーションダンスをきっかけに僕らのダンスを知っていただけるのは嬉しいことなんですが、僕らとしては今までやってきた生身のダンスをしっかり観ていただきたかったので、そこに感動していただけて本当に良かったです」
 
――ではダンスを観慣れてない方も結構いらっしゃったんですね。
 
「今までに比べたらたくさんいたんじゃないかなと思います」
 
――この1年でまた新たに、テレビなどで知って楽しみにされている方も多いと思います。今回はどんな構成を考えられているんですか?
 
「ストーリーものですね。前回はイルミネーションダンス自体は、オムニバス作品のひとつとして取り入れたんですが、今回は、ストーリーに組み込む形になるので、また新しい姿をお見せできるんじゃないかなと思います」
 
――そうしたストーリー性のある作品は、今までにもやられたことはあるんですか?
 
「10年間舞台をやってきて、そのほとんどがオムニバスなんですよ。全体的な繋がりやメッセージはもちろんあったんですが、ダンスのいろんな側面を見せるということがほとんどだったんです。ストーリーものは2005年に1度『daft-line』という作品を作ってからなので、8年ぶりですね。なので、今回また違う雰囲気になると思います」
 
――また8年ぶりにストーリー性のある作品をやろうと思われたのはなぜですか?
 
「『daft-line』でストーリー性のあるものを初めてやったとき、すごく悔しい思いをしたことがたくさんあったんです。伝えたかったことが伝わっていなかったり、自分たちの力量不足で思ったところに全然近づけられなかったりして。それで、言葉なしでストーリーを伝えることの難しさを痛感したんです。それからは、自分たちがやってきたダンスのいちばんいい部分を観てもらおうと思って、オムニバスに戻したんですよ。だけど、今回は10周年ということもあり、どうしてもやっておきたかったんです。8年前はうまく出来なかったけど、今の自分たちなら絶対に出来る!と思って、挑戦しています」
 
――8年の間に積み重ねてきたことが自信になったんですね。
 
「まさしくそうですね。今なら出来るんじゃないかなって。それでもドキドキしてますけどね(笑)」
 
――先ほど仰った、“ストーリー性を持たせて見せることの難しさ”はどこにありますか?
 
「言葉を用いず何かを伝えるとなると、マイムになってしまうんですよね。身ぶり手ぶり、ジェスチャーに寄ってくるものを、ダンスでやらなければならない部分が難しい。もちろん、マイムの部分もあるとは思うんですけど、そこのバランスですよね。でも逆に、ダンスは解釈がひとつではないところにすごく魅力があると思うんです。マイムやダンスは言葉がないからこそ、あれはこういうことじゃないかって、いろんな想いを巡らせて考えることに意味がある。身体を音楽に合わせて動かしているだけなのに、すごく感動したり涙がこみ上げてくるような感覚ってあるんですよ。だからすべてを説明し過ぎず、バランスを取ることがすごく難しいし、だからこそ、すごく面白いんじゃないかなって思います」
 
――観た人が心を揺さぶられるような……。
 
「そうです。何かしら揺さぶられるっていう。それは別に何でもいいんです。感動するでもよし、楽しくなるでもよし、シーンによってはすごく怖い気持ちになるかもしれないし、すごく悲しい気持ちになるかもしれないですし。それが、ただ怖いとか、ただ悲しいだけじゃなくて、その奥に何か揺さぶられるものがあってほしいというか。無意味に怖さを演出したり、無意味に悲しさを演出することは僕はあまり好きじゃないので、その奥にある光は持たせておきたいですね。ストリートダンスは、ほかのどの芸術にも引けをとらない素晴らしい芸術だと思っているんですが、かといって高尚なものではなく、どんな人たちでも楽しめる大衆のものだと思うんです。そういう誰でも楽しめる楽しさを伝えたいですね。ただ観て感じるだけで、こんなに楽しめるし、こんなに感動できるんだっていうことを伝えたいと思います」
 
――今年は結成10周年、ここ数年はELワイヤーで注目を集められていますよね。皆さんにとってもターニングポイントになったのでは、と思いますが、この先目指すところは?
 
「もちろん、ELワイヤーのおかげでメディアに出させていただけることが増えましたし、世界中いろんなところに行って踊ることもできて、ターニングポイントにはなっています。ただそれが、僕たちが今までやってきたこと、伝えたかったことを伝えられているかといえばまだそうではない。ELワイヤーは僕たちを知ってもらうきっかけにしかすぎないし、まだ僕たちが目指すところに繋がったという感覚はないですね。ELワイヤーをきっかけに観て頂いた人たちに、本当のストリートダンスの楽しさを知ってもらいたい。それを今からの10年でどれだけできるかというのが大切だと思います。ELワイヤー自体も、“こういうのあったよね”っていう流行りのものじゃなくて、ひとつの芸術に引き上げていきたいとも思います。まだまだ、やらなければいけないことはたくさんありますね!伝統芸能のように、ストリートダンスが国に認められて、300年、400年続くエンタテインメントになるよう、礎になれればと思います」
 
(取材・文/黒石悦子)



(2013年10月 7日更新)


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レッキン・クルー・オーケストラ●大阪を拠点に活動するストリートダンサー、YOKOI、DOMINIQUE、HANAI、TAKE、SHOHEI、BON、SAWADA、U.Uの8人で構成される、ハイスキルなダンサー集団。’03年の結成後は年に1度の公演を行うほか、’05年にはストリートダンスグループ初の『SUMMER SONIC』出演、シンガポール政府からの招致、香港ワールドトレードセンターのカウントダウンイベントへのゲスト出演など、国内外で活躍を見せる。スポーツブランド『FILA』のイメージキャラクターを務め

WRECKING CREW ORCHESTRA

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Pコード:624-368

▼10月12日(土)19:00

▼10月13日(日)13:00/17:00

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全席指定-6800円

※3歳以下は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888

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