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観客が役者に変身!? 松竹新喜劇が
南座でユニークな企画公演を上演中!

今年、創立65周年を迎えた松竹新喜劇が、京都・南座の舞台に16年ぶりに登場。喜劇生誕110年を記念しての南座プロデュース公演『松竹新喜劇 南座プロデュース公演』~今日からあなたも喜劇人~を、3月10日まで上演中だ。

本作は、タイトルに“あなたも”とあるように、観客とともに作り上げる体験型の企画公演だ。第1部『喜劇の歴史と喜劇のイロハ体験』では、劇団代表の渋谷天外が、喜劇の歴史と楽しみ方を分かりやすく解説。客席からは「へ~!」「あ~」と、驚きや納得の声があがるほど、興味深い内容が盛りだくさん。セリや廻り盆などの舞台機構も、実際に動かして説明してくれる。

さらにその中で、開演前に参加者を募り、抽選で選ばれた観客4人が衣装を着て発声や演技指導を受けるなど、ユニークな試みも行う。舞台上に上がった4人は、渋谷の「なぜ参加したいと思ったのか?」という問いに、少し緊張感を漂わせながら「演技に興味があった」「南座の舞台に立ってみたいと思った」などと、照れ笑い。着物に着替えての演技指導では、慣れない演技や仕草に、客席からもドッと笑いが起きる。渋谷からの直接の指導により、目線や姿勢、手の組む位置や足の運びなど、少しのことで印象が変わる様子を見て、客席からは嘆声がもれていた。

演技指導に参加の4人には、幕間に南座の裏側が見られるお楽しみも用意。奈落、花道、楽屋、屋上などを巡る、滅多に体験できない舞台裏ツアーに4人は興味津々。一通りの案内が終われば、第2部『お種と仙太郎』の冒頭出演のため、セリフと段取り合わせ。開演が近付くにつれて再び緊張が高まっていたが、渋谷の「段取り通りやれば笑いが起きる」との言葉にホッとした様子も見せる。

藤山寛美二十快笑にも選ばれている『お種と仙太郎』は、嫁姑の関係と親子の情愛を描いた人情喜劇の名作。たっぷり笑って、最後はホロリとさせる、松竹新喜劇の真骨頂ともいえる作品だ。今回は若手劇団員を中心に、松竹新喜劇のワークショップ参加者が出演。新鮮な顔ぶれで、4パターンの日替わり配役が楽しめるのも見どころ。

この日、舞台に上がり、15歳前後の娘を演じた30代女性は「舞台裏も見学させて頂き、貴重な体験ができました。演技は、発声がとても難しかったです。慣れてきた頃には終わってしまったので、もうちょっと楽しみたかったですね(笑)」と語り、年配の女性を演じた20代女性は「最初は緊張しましたが、客席の方々に笑って頂けてよかったです。これからお芝居の見方が少し変わるかもしれませんね(笑)」と、満足げ。

公演は京都・南座にて3月10日(日)まで。南座の舞台に立てる滅多にないチャンスに、喜劇を存分に堪能して!

 

取材・文:黒石悦子

 



(2013年3月 7日更新)


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●公演情報

『喜劇生誕110年 松竹新喜劇 南座プロデュース公演 ~今日からあなたも喜劇人~』

第1部「喜劇を110倍楽しむワザをお教えします!?~喜劇の歴史と喜劇のイロハ体験~」
第2部「藤山寛美二十快笑『お種と仙太郎』」

▼開催中~10日(日)
(金)(土)11:00/14:30 (日)11:00
南座
1等席-5000円
2等席-2000円
[出演]渋谷天外/曽我廼家玉太呂/川奈美弥生/里美羽衣子/室龍規/他
※未就学児童は入場不可。

[問]南座[TEL]075-561-1155
※チケットぴあでの取扱終了。チケットに関しては南座まで。

南座公式サイト
http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/