インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 「中年の悟りかけた気持ちを舞台に」 男5人のMONO、劇団員だけの新作を上演!

「中年の悟りかけた気持ちを舞台に」
男5人のMONO、劇団員だけの新作を上演!

s001_012.jpg
つちだ・ひでお●’89年B級プラクティス結成。'90年以降、全作品の作・演出を担当する。張り詰めた状態の中に身を置く、普通の人々の佇まいや認識のズレから生じる会話の可笑しさや哀しさを軽快なテンポで見せる。劇作と並行して、テレビドラマ脚本、映画脚本の執筆も多数。

結成から24年、第40回公演を迎えるMONOが、6年ぶりに男5人の劇団員だけで新作を上演。3月8日(金)より、大阪・ABCホールにて幕を開ける。

作・演出を手掛ける土田英生が「今までの作品の中でいちばんバカバカしいかもしれない」と語る『うぶな雲は空で迷う』は、廃墟となった世界で生きる、弱小窃盗団の物語だ。国家の概念が崩壊し、島ごとに人が暮らす世界。人々は飛行船で移動し、窃盗団たちがおおっぴらに活躍する中、先の見えない5人の男たちは空を彷徨い……。

「生きていること自体を作品にしたかった」と、今作に現在の劇団の状態を投影した土田。「中年の悟りかけた気持ちを舞台にしています(笑)。今まで、仕事をするたびに“これが終わったら何かいいことがあるんじゃないか、何かが変わるんじゃないか”と思ってやってきましたが、いつも何も変わりませんでしたね。つまり、目標は目的地で、そこに行くまでが道中。着いたら何かしようと思うけど、着いたところでまだ道中にいるんですよ。結局、道中が楽しめなければ楽しい人生は送れない。『ゴドーを待ちながら』を少し意識しつつ、目的地なんてないよということも含めて見せたいと思います」と語る。

45歳になり、自身も劇団も安定した状態だからこそ生まれた作品だ。土田曰く「成功したことは一度もない」けれど、24年かけて積み上げてきたものは確かに感じている。「“俺たちこのままで大丈夫かな”とか言いながら、知らない間になんとか24年続けてこられました。それは、内輪もめをしながらも、人間関係や信頼関係は作れているからなんだと思います。5人の状態は今、すごくいいんですよ。若い頃は嫉妬したりして、ギスギスしたこともありましたけど、今は“みんなにいいことあるといいね~”っていうくらい(笑)。単に仲がいいことを見せるのではなく、自分たちの関係自体も作品の一部という気持ちで作っています。長い間続けているからできることがあることを若い人たちにも見て頂きたいです」。

ひと癖ある人たちが、小気味いいテンポで可笑しな会話を繰り広げるMONOの舞台。この5人だけにしか出せない、より息の合った展開や、可笑しくもちょっぴり哀しい空気感が楽しめるはずだ。

(取材・文/黒石悦子)




(2013年3月 1日更新)


Check

●公演情報

MONO『うぶな雲は空で迷う』

発売中
Pコード:426-086

▼3月8日(金) 19:30
全席指定(一般)-3300円
全席指定(U-25)-2300円(25歳以下)

▼3月9日(土)~11日(月)
(土)(日)14:00/18:30 (月)19:00
全席指定(一般)-3800円
全席指定(U-25)-2800円(25歳以下)

ABCホール

[作][演出]土田英生

[出演]水沼健/奥村泰彦/尾方宣久/金替康博/土田英生

※小・中・高校生は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。
★3/9(土)18:30口演は終演後に出演者によるトークイベントあり。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888

MONO公式サイト
http://www.c-mono.com/

チケットは公演日2日前まで販売。
チケット情報はこちら