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桃園会第44回公演は『blue film』『よぶには、とおい』
2作品について亀岡寿行と小野亮子にインタビュー

劇団創立20周年の桃園会が間もなく、伊丹・AI・HALLで最新公演を開催する。44回目となる本公演は、『blue film』『よぶには、とおい』の2作品同時上演。『blue film』は2012年にも再演し、今回が再々演となる。「被災」をキーワードに描いたファンタジー作で、主人公は生と死や大人と子どもなど、対の世界を行き交いながら、生きることと向き合ってゆく。そして『よぶには、とおい』は、ある病院の屋上を舞台に、失踪したはずの父親と対峙する家族の物語。再演希望のアンケートでも、上位にノミネートされた作品だ。
そこで、1996年上演の『深海魚』以降、桃園会全作品に出演している亀岡寿行と、第44回公演が所属初の舞台となる小野亮子に話を聞いた。

--まず、小野さんはどういった経緯で桃園会に入団されたんですか?
小野亮子(以下、小野):私は30歳を超えてからお芝居を始めたのですが、2012年の第42回公演で、「blue film」のオーディションを受けて初めて参加させていただいて、それを経て桃園会に入りました。

--なぜ30歳からお芝居を始められたんですか?
小野:堺市の広報誌に市民参加型の演劇の募集記事ありまして、そこに応募したのがきっかけです。それ以前は全くお芝居をしたことはありませんでした。

--挑戦してみようとも思わず?
小野:憧れはありましたが、しようとは思いませんでしたね。人前に出て何かをするタイプではないと思っていたので。

--そして、やってみてどうでしたか?
小野:その堺市のお芝居の演出家が太陽族の岩崎さんだったのですが、とても面白かったんです。それから役者の勉強を始めました。そして、去年桃園会の「blue film」に出させていただいて、深津さんの台本と演出に感銘を受けて、桃園会でやりたいなと思いました。

--どういうところに感銘を受けたのでしょう?
小野:第42回公演は当初、新作を上演する予定でしたが、深津さんの体調もあって「blue film」に変更になりました。そして、読み合わせの段階で泣きそうになったんですが、泣くのが恥ずかしいからすごくこらえていました。その時、すごくいい作品だなぁと思いましたね。

--劇団に所属するのは、桃園会が初めてですか?
小野:はい。それまでは放浪していました。

--桃園会という劇団は、小野さんから見てどういう劇団に見えますか?
小野:私が思った感じですが、皆さんが深津さんの台本をものすごく愛されているというか、すごく劇団愛があるなぁと思います。

――なるほど。では今回、20周年ということで、『blue film』『よぶには、とおい』を上演されますが、再演、再々演するにあたって人気作という以外にも何かお選びになった理由があったんですか?
亀岡寿行(以下、亀岡):いつくか候補が上がったようですが、今の劇団のメンバーで出来る作品ということでこの2作品になりました。また、『よぶには、とおい』は、深津さんに「今、演出してみたい」という思いがあったのではないでしょうか。
小野:『よぶには、とおい』は、ご本人も「今だったら書けない台本だ」とおっしゃっていましたね。
亀岡:あと、演出するにあたって、なんだか面白いことを言ってましたね。「風が全く感じられない」とか。「その病院がどういう構造になっているのか全く見えてこない」と。「こういう階段があって、こういう病室があって、あそこにトイレがあって、受付はこんなでと、そういうことが全く見えてこない」という話はしました。

――この第44回公演では、小野さんをはじめ新しい劇団員さんも出られます。
小野:そうですね。ただ、新人が阪田愛子と私なんですが、どちらも年をとっていまして(笑)、世代のギャップはそんなにない感じですね。
亀岡:でも、見ているお芝居が全く違うので、そういうところでは話をすると次元が違いますね。僕たちは最後の小劇場ブームの頃をよく観ているんです。その頃に観たものってやっぱりどこかに染み付いていて。もう20年くらい前の話ですけど、その時に観ていた芝居をやっているんです

――それがベースになっていますか?
亀岡:やっぱりなっていると思いますね。僕が観ていたものとかは、赤テントや第三舞台で。それから大分遅れて青年団とか、また違う方向性のものが出てきて。なので自然と、当時の赤テントや第三舞台のようになっていっていますね。第44回公演の2作品なんかも、『blue film』は80年代あたりのアングラ色がちょっと強い。『よぶには、とおい』は青年団風ですね。屋上に人が入れ替わりやってきて、特に何があるわけではなく、淡々と話が進んでいって。病院でよくある話が淡々と過ぎていく。『blue film』の舞台美術も、去年の再々演では舞台が絵本の形に見えるようにして。絵本の中に出てくるような人と、現実的な人間とがない交ぜになって物語が進んでいって。今回はもっと、飛び出す絵本のように見えると思います。一方で『よぶには、とおい』は青年団風で、そういうところが全くありません。ただ、この作品には、書いた当時のお父さんに対する深津さんの思いが色濃く出ている本ではないかなと思います。だからすごく私的なことが書かれていますね。

――第44回公演は、関西では伊丹のAI・HALLで上演され、その後、3月の終わりには東京のザ・スズナリでも上演されます。最後に、幕開けを楽しみにされている方や、読者の方に一言、お願いします。
小野:お芝居を観終わって、帰る時に「ああ、なんかよかったな」って、「明日も頑張ろうかな」と思ってもらえたらいいなと思います。
亀岡:よかったら、ぜひ来てください。

 




(2013年1月22日更新)


Check
桃園会第42回公演)
『blue film』(再演)
撮影/白澤英司
桃園会第25回公演)
『よぶには、とおい』(初演)
撮影/白澤英司

●公演情報

桃園会『blue film』/『よぶには、とおい』

『blue film』
[作][演出]深津篤史
[出演]亀岡寿行/はたもとようこ/森川万里/橋本健司/長谷川一馬/寺本多得子/原綾華/福良千尋/阪田愛子/小野亮子/大江雅子/神藤恭平/速水佳苗
『よぶには、とおい』
[作][演出]深津篤史
[出演]亀岡寿行/はたもとようこ/橋本健司/長谷川一馬/寺本多得子/原綾華/福良千尋/阪田愛子/小野亮子/木全晶子/辻京太/神藤恭平

【関西公演】
Pコード:424-784
『blue film』
▼1月24日(木)・26日(土)
(木)19:00 (土)15:00
『よぶには、とおい』
▼1月25日(金)~27日(日)
(金) (土) 19:00 (日)13:00/17:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
(各日)一般-3000円 学生-2000円
※1/26(土)19:00公演終了後、アフタートークあり([出]小堀純)。

【関東公演】
Pコード:424-784
『よぶには、とおい』
▼3月27日(水)~31日(日)
(水)(木)(土)19:00 (金)(日)15:00
『blue film』
▼3月28日(木)~30日(土)
(木)(土)15:00 (金)19:00
ザ・スズナリ
(各日)一般-3000円 学生-2000円

※いずれも二作通し券は取り扱いなし。2回目以降観劇の場合、当日会場にて1500円で入場可(チケット半券要)。未就学児童は入場不可。
[問]桃園会
[TEL]06-6955-7866

桃園会
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5931/

前売り券は公演日3日前まで販売。
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