ホーム > インタビュー&レポート > 年始にピッタリ!? 笑いたっぷりのエンタメステージ WAHAHA本舗・梅ちゃんの“青いシリーズ”新作は 選りすぐりのネタ満載、ベスト盤を上演!
――今回は『梅ちゃんの青いヒストリー』というタイトルですが、どのような構成にされているんですか?
「24年やってきた“青いシリーズ”の中から選んだ、ベスト盤のようなステージです。歌は自分でセレクションして、10年以上やっていないネタもやります。それに、自分で見て捨てようと思ったくらい恥ずかしい初期の映像を、着替えのときに流したりもします。もちろん過去のネタは、さらに面白くなるようにアレンジしていますけどね」
――各地での反応はいかがですか?
「結構喜んでもらえているので、ホッとしています。ミュージシャンは同じ歌を歌うほどに味が出るけど、僕らお笑いは同じことをやるのに抵抗があるんですよ、新鮮じゃないから。アンコールでやるような『ろくでなし』なんかはいつもお決まりでやっていますけど、やっぱり同じことをやるのは不安でしたね」
――では元々、“青いシリーズ”を始めたきっかけを教えてください。
「うちは“劇団”というよりも“グループ”というのが演出家の考えで。ワハハとして集まったときにより一層面白くなるように、一人ひとり自分がやりたいこと、面白いと思うことをやろうという話になったんです。で、僕は美輪さんが好きだったこともあり、この顔で女装してシャンソン歌ったら面白いだろうって思ったのがきっかけでしたね。第1回の『青い部屋』は、シャンソンも歌っていますが、シェイクスピアのセリフを語りながら『人生いろいろ』を歌うみたいな、今考えても面白いことをやってるんですよ。当初はそんなふうに何か物を使ってどうこうするよりも、当時流行ったスザンヌ・ヴェガの『Tom’s Diner』という曲を日本語で歌ったり、今とは違って音楽的なことを中心にやっていましたね。その映像も使っていますが、僕は嫌だったんです。演出家が、“ただ面白い懐かしい映像だけじゃダメだと。梅垣が自分で見て恥ずかしいと思うくらいの映像を使わないと、お客さんは満足しない”と。だから本当に面白いと思いますよ、僕はあんまり見てほしくないけど(笑)。楽しんでもらえればそれでいいんです」
――24年やっていく中でどんどんエンタテインメントな方へと向かっていったんですか?
「それは第1回のライブから2年後ですね。そのときに初めて鼻から豆を飛ばしているんです。それも映像で使われていますよ」
――鼻から豆を飛ばすのは第2回からずっとやられているんですね!
「こんなに長く続けるとは思いませんでした(笑)。それも演出家に言われてやり始めたけど、最初は面白いと思わなかったからやりたくなかったんですよ。でもやったらウケちゃって(笑)」
――最初からお客さんにはストライクで(笑)。
「お客さん逃げ回っていましたよ(笑)。そのときの映像が残っているんですが、第1回のライブがあまりウケなくて、次のライブで豆を飛ばしてお客さんに笑ってもらえたから、嬉しい顔してるんですよね。お客さんに笑ってもらえる喜びを初めて知ったような」
――お客さんを巻き込んでいくのは最初の頃からやられていたんですね。
「ライブをやっていくうちに、こうやったら喜んでもらえるなっていうのがわかってきて。お客さんに教えてもらった感じですね」
――まず何よりも、どうしたらお客さんに喜んでもらえるかを考えて…。
「サービス業だと思っていますから。劇場に入ったときから出るまで、気持ちよく過ごしてもらいたいと思ってやっています。ワハハの公演で、“受付の対応が非常に良かった”ってアンケートで書かれていたことがあって、すごく嬉しかったですね。お客さんの気持ちはそこから始まってるから。意外と忘れがちなんですけど、大事にしなきゃいけないことですよね」
――ネタの中で特に好きなものはありますか?
「自分がやってて楽しいというより、お客さんが喜んでる顔を見るのがいちばん楽しいから、すべてですね。例えば、客席を真ん中で分けて、右と左でネギとか乾燥しいたけを投げ合っている中で、僕が『けんかをやめて』を歌う。バカネタのひとつなんですけど、お母さんと子どもが一緒になって僕にぶつけてくる姿とか、ネクタイを緩めたサラリーマンの方が投げてくる姿を見てると、僕が楽しいんですよ(笑)」
――では、その中でも思い出深い出来事はありますか?
「今ってネットでネタばれしちゃうから、お客さんはもう何されるかわかっているんです。で、『雨に唄えば』や『川の流れのように』で股間から水を出しながら歌うネタがあるんですけど、それを大阪でやったときに、1列目から3列目まで全員100円のカッパを着てるんですよ。だからこっちはそれを破りながら歌う(笑)。お客さんも破られることをわかってるから安いカッパを着てくるんですよね。僕との信頼関係みたいなものがあるというか。それでまた次の日もカッパを着てる人のところに破りに行ったら、カッパのフードをガムテープで額に貼って、自分で“シャネル”って書いてるんです(笑)。あとは、工事現場のヘルメットをかぶった3人組がいたり。そんな悪いことしてないだろうって(笑)。本当、センスある人が多いですよね、大阪は」
――大阪はやっぱり反応が違いますか(笑)。
「自分や演出家が予想する以上に違う反応をしますね。それはそれで面白いですし、親しみを持たれ過ぎてる感じがします(笑)。出演者とお客さんというよりは、みんなで一緒に飲んでるところで、“お前面白いから舞台上がって何かやれ!”って言われたからやってる感じ。やっぱり特別な雰囲気がありますね」
――土地によっての違いも面白そうですね。
「いや、大きく分けると大阪だけですよ(笑)。こんなさじ加減の知らない人たちはいない!今までずっとやってきて、大阪の人にうまく乗せられたり、リズム狂わされたり、いろんな経験をして鍛えられたと思います。あんまり調子に乗ったらダメだっていうことを教えられましたね。だから今は大阪のお客さんとのコミュニケーションの取り方には自信があります。よく県民性とかいっても、実際はそんなに細かいことはないだろうと思うんですよ。でも大阪はやっぱり特殊ですね!」
――確かに、“何をやってくれるのか”という期待の目で見ている感じはありますね(笑)。
「大阪ってお笑いのプライドが高いから、僕のネタが面白かったら「さすがプロやな」ってアンケートに書いてるんですよ(笑)。自信がある人が使うフレーズですよね。こんなフレーズ使うのは大阪だけです!」
――ではそんな大阪の方々に向けて、意気込みをお願いします!
「僕の舞台は子どもから年配の方まで幅広い世代の方が来られる。そういった違う世代が一緒になって笑っているのは本当に嬉しいし、見ていて楽しいです。下ネタが多いとか物が飛んできて服が汚れるとか言われますけど、そんなに下品だったら、おばあちゃんとかが家族で来るわけがないですよね。だから実際、そんな方々が来て笑っていただけているのは、それがちゃんとエンタテインメントになっているからだと思うんです。“梅垣のステージを観たお客さんは、花火大会に行った後の顔をしてる”って言われたことがあって、それは本当に嬉しかったですね。だから、終わった後にみんなで食事に行って、“あれが面白かった”とか“あれはつまんなかった”とか話してもらえるようなステージにしたいと思います。楽しんでくださいっていう、ただそれだけです。今まで観てきた方も初めての方も楽しめると思うので、ぜひ来てください!」
(取材・文:黒石悦子)
(2012年12月19日更新)
発売中
Pコード:424-092
(公演日3日前まで販売)
▼1月5日(土)18:00
▼1月6日(日)14:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-5000円
[構成][演出]喰始
[出演]梅垣義明/杉浦哲郎(ピアノ)
※未就学児童は保護者1名につき1名まで膝上無料。但し、お席が必要な場合は有料。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
WAHAHA本舗公式サイト
http://wahahahompo.co.jp/