ホーム > インタビュー&レポート > エネルギッシュで情熱的なパフォーマンス、 上質な色彩美に釘付け! Kバレエ カンパニーの最高傑作 『ドン・キホーテ』が5年ぶりに上演! 主役・バジルを演じる宮尾俊太郎にインタビュー!
――5年ぶりにバジルを演じることになり、いかがですか?
「嬉しいですね~!すごく好きな作品で思い入れもありますし、回転とかジャンプとか、派手なテクニックがたくさん盛り込まれているので、男性ダンサーがすごく憧れる役どころでもありますから。僕も周りのダンサーもみんなずっと踊りたいって言っていましたね。新しく入団した人たちはまだ踊ったことがない人も多くて、DVDを見て踊りたい踊りたいって言っていた中でついにできることになりました。ましてや僕は大阪で主役をさせて頂きます。地方で主役というのは、熊川さん以外ではなかなか踊れなかったんですが、今回新たに進化したオリックス劇場で踊らせて頂けると聞いて、プレッシャーとともに喜びを感じましたね」
――5年前に初めてバジルに挑まれたときのことは覚えられていますか?
「初めての主役だったのでしばらくは現実味がありませんでしたね。リハーサルが始まって、毎日必死になってやりながら「あぁ、俺が踊るんだ……」って(笑)。でもとにかく精神的には強かったですね。初めての主役だから何があってもやりきってやるぞという意気込みがすごくあったので、とにかく与えられた課題をがむしゃらにこなしていく感じでした」
――初めて主役をやられた作品ということもあって、思い入れが強いんですか?
「そうですね。あと、海外に留学したときの卒業公演もこの作品で主役を踊ったんです。そしてKバレエ カンパニーに入団して初めて参加した作品も『ドン・キホーテ』だったんですよ。その3年後には主役を踊り、と結構、節目でこの作品に関わってきているんです」
――縁が深い作品なんですね。では、Kバレエ カンパニーならではの『ドン・キホーテ』の魅力を教えてください。
「まずは、お客さんを飽きさせないストーリー運びですね。物語自体は決まっていることなので大体同じなんですが、踊りや演出面で絶対に観る人を飽きさせないように作られています。衣装やセットもものすごくこだわっていますし、色彩美も非常に美しい。音楽は他の『ドン・キホーテ』と変わらないかもしれませんが、非常に情熱的でカッコイイですね」
――踊っていていかがですか?
「曲を聴いただけで気持ちが沸々と燃えあがってくるんです。とにかく派手なんですよね。派手で、見せ場がたくさんあって、華やかでエネルギッシュ。アップテンポな曲でステップも速いですし、決めるところはバシッと決める。踊っていてすごく気持ちがいいです。他の作品にはない快感が味わえる。その分、ハードで失敗のリスクも大きいし、大技もあるので緊張感もありますが、音が鳴っている間は全て忘れさせてくれます」
――そんな中、バジルを演じる上で大事にされていることはありますか?
「バジルはスタイルですね。スパニッシュなラテンの踊りのスタイルを大事にしています。形もそうですし、キレも。ちょっと粋な部分もあるので、いいスパイスとして出せるように頑張っています」
――この5年の間に映画やドラマにも挑戦されましたが、その経験はどんなところで活かせそうですか?
「お芝居の面で表現の幅も引き出しもすごく増えたと思うので、そういった面でうまい掛け合いができるようになったと思います」
――映像で知られた方が足を運ぶことも多いのでは?
「そういう形で来て頂けるのはすごく嬉しいですね。僕自身も熊川さんをテレビで見てバレエを始めているので、そんなふうにバレエという芸術の入口を開ける役割になれたらいいなと思っています」
――熊川さんをテレビでご覧になるまで、バレエへのご興味は?
「接点が全然ありませんでしたね。『白鳥の湖』で女性が白いタイツはいて踊っているイメージでした。そこから一瞬にしてガラリと印象が変わりました」
――バレエを始めるきっかけとなった熊川さんのカンパニーに入られて、今の環境はいかがですか?
「すごく贅沢なことだと思います。イチロー選手に憧れた野球少年が、同じ球団で頑張っているようなものですから。すごく贅沢な環境にいますし、ましてや直接いろいろと教えて頂ける。こんなに間近で見られることはないので、よりたくさんのものを盗みたいと思ってやっています。不思議なご縁でとてもいい環境に身を置かせていただいていますね」
――宮尾さんが踊る上で大事にされていることは?
「フルアウトすることですね。全力を出す。それは舞台に立っている熊川さんをそばから見てすごく感じて盗んだことだと思います。プロとしては当然ですが、プロだからこそ力の加減を計算してしまったり、慣れている分、舞台上で普通でいてしまうこともあったり。でもそれだとお客さんにそれが伝わってしまうんですよね。やっぱり自分が本気で動いていかないとお客さんの心が動かない。人を感動させるには、自分の全てを出しきらないと伝わらないなと感じたんです。なので、常に舞台上では自分の持てる全てを120%+αくらいの勢いで出すことをモットーとしていますね」
――では、今回改めて本作に挑むことで見えた壁はありますか?
「もちろん。常に僕の前には“熊川哲也”という壁が立ちはだかっています。大阪は2日間あり、熊川さんの次の日が僕ですから。やっぱり、本当にすごいと思うんですよ。当然、僕も本気でリハーサルも本番も挑むわけですが、熊川さんは肉体的にも精神的にも尋常じゃないものがあるんですよね。それが常にいい壁となって、僕のモチベーションを引き出してくれているところはあります」
――Wキャストで名を連ねることはかなりの刺激になりそうですね。
「プレッシャーもすごく感じますが、その舞台に立てる人はなかなかいないので。今の状況はとても刺激的ですし、僕を熱くさせてくれますね」
――今回の再演で新たな演出はありますか?
「すごく細かいことだったりするんですが、毎回再演するたびに徐々に徐々に変化して、常にいちばんいい形に仕上げています。結構、ツアー中でも変わることもあるので、一度観たことがある方もまたすごく楽しめる要素がたくさんあると思います」
――相手役は5年前にもご一緒されたSHOKOさんですね。魅力を教えてください。
「SHOKOさんは本当に素晴らしいバレリーナです。つま先で立つと僕より身長が高くなるくらい、スタイルが美しい。ダンサーとしての技術がすごく高いですし、その中でも彼女は力強さだとか優しさだとか、すごくいろんなものが滲みあふれているダンサーなんです。出産をされたこともあり、エネルギッシュでダイナミックなパワーに加えて、非常に女性の柔らかさみたいなものが出ている気がします。僕が言うのもおこがましいかもしれませんが、より素晴らしいバレリーナに進化されてるんだなと思いました。だから、今回こうしてまた踊らせて頂けることが光栄です。僕もSHOKOさんをしっかり受け止められるように頑張ります」
――では、進化した『ドン・キホーテ』と宮尾さんを、進化した劇場で観られることを期待しています。
「それを観てお客さんの進化に繋がれば嬉しいですね(笑)。地方での主演は初めてで、しかも大阪はお客さんの反応がいいので、とても楽しみです」
(取材・文/黒石悦子)
(2012年10月12日更新)
Pコード:423-396
オリックス劇場(旧 大阪厚生年金会館)
▼10月13日(土)14:00
注釈A席当日引換券-15000円
※10/12(金)18:00まで販売。
[出演]荒井祐子/熊川哲也
▼10月14日(日) 13:00
S席当日引換券-15000円
A席当日引換券-12000円
B席当日引換券-9000円
C席当日引換券-6000円
※10/12(金)10:00~13(土)18:00まで販売。
[出演]宮尾俊太郎/他
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
※10/13(土)は未就学児童入場不可。10/14(日)は5歳以上入場可。出演者は予定のため変更の可能性あり。注釈A席は会場の構造上、手すりで舞台・演出の一部が見づらいお席となります。