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戦国時代にマジシャンが!?
舞台『飛び加藤』で“手妻”を披露する
佐津川愛美にインタビュー

上杉謙信や武田信玄に仕えるも、優れた技術を持つ忍者ゆえに狙われた伝説の幻術使い、加藤段蔵。彼をモデルに、人魚姫をモチーフにした切ないラブストーリー『飛び加藤』がシアターBRAVA!にて上演される。筧利夫演じる過去の因縁から逃げ出した元忍者・加藤は、素性を隠して手妻(=日本古来の手品)で日銭を稼ぐ、いわば戦国時代のストリートマジシャン。そんな彼が、佐津川愛美演じる旅芸人の少女・楓と出会い、自分の人生に向き合っていく物語だ。ドラマ『TRICK』の蒔田光治書き下ろしで、ラブストーリーを軸としながら、劇中で実際に手妻を披露するという、ショーとしての面白さも楽しめる本作。ヒロインを演じる佐津川に、その意気込みを訊いた。

――舞台は’09年の『来来来来来』以来2度目の出演となりますが、心境はいかがですか?

「初舞台と同じような感覚ですね。手妻はすごく面白いんですけど、プレッシャーも感じます(笑)。ミスしたらごまかせない!って」

――すごく器用で、手妻師の先生にスカウトされたとお聞きしましたが(笑)。

「全然器用じゃないんですよ。新体操をやっていたので、その影響かもしれませんね(笑)。動きが滑らかだとうまく見えるみたいで。基本的には不器用で、折り紙もちゃんと折れないんです。合わせているつもりでも、最後は絶対ズレていたり。でも楽しみたいと思っています」

――映像でもご活躍されていますが、舞台の印象はいかがですか?

「初舞台のときに感じたことは、稽古でちゃんと作り上げて挑んでも、初日が開けてからまだまだ変わっていくものなんだなって。長い期間で毎日同じ芝居をして繰り返し演じているのに、完成型にならない。いろんなことを試したり、いろんな気持ちの変化があったり、共演者の方々から感じることも日によって違うと思うんです。それに関しては本当に映像とは別物で、面白いと思いますね」

――緊張感もまた違いますか?

「その初舞台のゲネで、すごく緊張したんです。全然何もできていないのに本番が始まってしまうことに不安を感じて……。そしたら共演者の皆さんが、ひとりで舞台に立つわけじゃないから大丈夫だよって言ってくださって。それで肩の力が抜けて、初日は全然緊張しなかったんですよ。そういう意味では、舞台って本当にファミリー感があるなって思いますね。稽古して飲みに行って、みんなとの関係を作っていって。その人間関係がお芝居にも表れるから面白いですよね。お芝居のことだけじゃなくて、人としてもまた色々と感じることが多いので、それが楽しみでもあります」

――では、今回出演する決め手となったのは?

「決め手だなんて恐れ多いですが、演出の河原(雅彦)さんですね。いろんなジャンルの舞台を観させて頂いている中で、エンタテインメント要素があるものが好きなんです。その時間、その空間を楽しめるってすごく貴重なことで、舞台ってきっとそういうことだと思うんですよ。そういう意味でも、河原さんの作られる舞台は面白いと思って観ていたので、どういうテンポで演出してもらえるのかなって、すごく楽しみに思いました。あの舞台に立てたら楽しいだろうなって思う舞台に立たせてもらえる嬉しさがありましたね」

――人魚姫がモチーフで、好きな人に暴言を吐いてしまう、呪いをかけられた少女という設定もユニークですね。

「すごい発想ですよね(笑)。明るい性格で、言葉使いもすごくキレイなんだけど、好きな人の前では口が悪くなっちゃう。そのメリハリをどこまで出せるのかも大切ですよね。暴言といっても、小学生が言うようなことなんですけど。「こんなこと言うんだ!」って、最初は思いましたね(笑)。でも好きな人に思いとは違うことを感じられちゃうのは、切ないですよね」

――どういうところを楽しんで頂きたいですか?

「最初に台本を読んだだけで、楽しい舞台になりそうだなって思ったんです。ダンスもありますし、手妻とか殺陣とか、楽しんで頂ける要素がたくさんありますので、難しく考えずに純粋に楽しんで頂きたいです!」

(取材・文/黒石悦子)

 




【あらすじ】

「飛び加藤」-卓越した能力からその名で呼ばれ、恐れられた伊賀忍・加藤段蔵。戦国の世を厭い、忍びの世界から足を洗って京の都で手妻を披露しながら日銭を稼いでいた。

同じ頃、美しい声と優しい心を持つ、楓という旅芸人の少女がいた。ある日、楓は目を負傷し、一時的に目が見えなくなっていた眉目秀麗な若武者・河田長親と出会い、一目で心を奪われる。追手が迫る中、なんとか長親を逃がそうとする楓。そこへ妖術使いが現れ、長親を見逃すかわりに楓の美しい言葉を奪ってゆく。それは、「好きな人の前で汚い言葉しか話せなくなる」というまじないだった。

-数年後。長親を忘れられない楓は、彼を探し続けていた。京で偶然加藤の手妻を目にした楓は、加藤の手妻の才能を使って武将に仕官し、長親を探し出そうとする。戦から離れ、地味に生きていくことを望む加藤だったが、楓の勢いに押され、しぶしぶ行動を共にすることに…。

ある時、楓から妖術使いにかけられたまじないの話を聞いた加藤は、彼女が言葉を取り戻すのを手伝おうとする。動き始めた加藤に影のように忍び寄る幼馴染・服部与三郎、そして謎の妖術使い-過去を一切語らない加藤を待ち受ける因縁とは…?!

(公式サイトより) 

(2012年6月29日更新)


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●公演情報

「飛び加藤~幻惑使いの不惑の忍者~」

発売中

Pコード:419-216(6月30日(土)まで販売)

▼6月30日(土)・7月1日(日)

(土)13:00/18:00 (日)13:00

シアターBRAVA!

当日引換券-8800円

[劇作・脚本]蒔田光治

[演出]河原雅彦

[出演]筧利夫/佐津川愛美/細田よしひこ/三上市朗/涼風真世/俵木藤汰/森戸宏明/六角慎司/西ノ園達大/山田悠介/窪寺昭/宇野まり絵/寺元健一郎/赤松真吾/井上京之助/藤山新太郎(特別出演)

[問シアターBRAVA![TEL]06-6946-2260

※未就学児童は入場不可。チケットは、インターネット・店頭にて販売。電話での受付はなし。公演当日会場にて開演1時間前より座席指定券と引換え。1公演につき4枚まで。

当日引換券を6/30(土)まで販売!
チケット情報はこちら

●プロフィール

佐津川愛美

さつかわ・あいみ●'88年、静岡県生まれ。'05年の『蝉しぐれ』で映画初出演。以降、映像を中心に活動を広げ、'09年には本谷有希子作・演出の『来来来来来』で舞台初出演。今年10月には同じく本谷有希子作・演出の舞台『遭難、』に出演予定。