ホーム > インタビュー&レポート > 「タカラヅカ時代に戻った気分」 ガーシュインの名曲に満ちた ブロードウェイミュージカルで、 女性整備士に扮する大和悠河にインタビュー
大和「これぞブロードウェイミュージカル!というほどに、楽しい作品です。1920年代のお話で、皆さんもきっと聴いたことがあるような曲のオンパレード。その中で繰り広げられるラブコメディで、何も考えずに楽しんでいただける作品になっています。私は、坂本さん演じる飛行士・ビリーをサポートする整備士のミッキー役で、実は……という役どころを演じさせていただきます」
――整備士ということは、男っぽい恰好をされているんですか?
大和「ミッキーはデニムのつなぎを着ていたりして、とてもボーイッシュな雰囲気です。この時代はとても華やかで、周りではチャールストンを踊ったり、フラッパーと呼ばれるようなファッションをしているのですが、そんな時代に男性と一緒に働いている、珍しい役どころなんです。ちょっと、タカラヅカ時代に戻ったような感じですね(笑)」
――役者の方々の雰囲気は?
大和「踊りもかなりありますし、坂本さんをはじめ、エネルギッシュで華やかですね」
――坂本さんとの共演は初めてですか?
大和「舞台でご一緒させていただくのは初めてです。いつかご一緒させていただけたら嬉しいなと思っていました。とっても真面目な方で、休憩に入ってもタップのお稽古をされていますね」
――演出・振付のビル・バーンズさんとは2度目ですね。
大和「タカラヅカを卒業して女優デビューしたのが、ビル・バーンズさん演出の『カーテンズ』というブロードウェイミュージカルでした。2回目ということもあって、私の舞台姿をご存知で、安心感があります。演出も振付も、とても丁寧にしてくださるので、わかりやすいですね。日本語はわからないのですが、ちょっとしたニュアンスも丁寧に伝えてくださります」
――演じる中で難しいところはありますか?
大和「いちばん難しいのが、アメリカンジョークですね。コメディ要素がふんだんに入っていまして、アメリカでやると大爆笑なのですが、日本語になるとうまく伝わらないことがあるんです。ビルが説明してくださるニュアンスを、いかに日本のみなさんに伝えていけるかがポイントですね」
――セリフの言い回しを変えてみたり?
大和「そうですね。難しいんですよね、それが。タカラヅカ時代からずっと思っていたことなのですが、アメリカンジョークを日本語に変換するのって本当に難しくて、どんなミュージカルでも日本語に直すとどこかが違うように感じるんです」
――台本を初めて読んだとき、大和さんが面白いと思ったところはどこですか?
大和「タカラヅカ時代は、下級生の頃からよくやんちゃな役を演じていたのですけれども、女優になってからはやったことがなくて。今回は、まさしくやんちゃな役柄で、女優になってからやるとどうなるのだろうと、楽しみになりました。物語自体は、とにかく難しいことを言わないで楽しめるので、今の時代にぴったりなんじゃないかなと思いましたね」
――曲の中には今までに歌ったことがある曲も?
大和「たくさん出てきます!タカラヅカ時代に、ガーシュインの曲だと知らずに歌っていた曲がこの作品でも使われていて、お稽古で初めてガーシュインの曲だということに気付いたものもあります。いい具合に名曲が散りばめられていると思いますよ。ガーシュインの曲は身体が自然とノッてくるような曲ばかりなので、演じている私たちも楽しんでいます」
――楽しみにしていることは?
大和「ビリーが飛行機に乗ってくるので、それがどんな飛行機なんだろうってワクワクしています(笑)。私は飛行機を人一倍触っている整備士なので、実際どんな飛行機が出てくるのか、すごく楽しみですね」
――映像処理ではないのですか?
大和「ええ。機体全体が出てくるかはわからないですけど(笑)。プロペラを取り換えたりするシーンがあるので、個人的にはそこが楽しみにしているところです。あとは、映画館のシーンで、当時のサイレント映像をうまく使っている場面があったり、水を使った場面もあったり、楽しめる場面がたくさん出てきますね」
――大和さんは基本的に作業着ですか?
大和「ずっとデニムの作業着ですね(笑)。ほかの方たちは華やかで、フラッパーとか、男性も燕尾服を着ているんですよ。衣裳だけでも時代感が出て楽しめるんじゃないかなと思います。最後のフィナーレでは、みんな白燕尾を着て踊るので、私も着れるんだ!って思っていたら、私だけ役柄に合わせた感じの白いデニムの作業着で(笑)。蝶ネクタイをつけたり、スパンコールがついていたりと、素敵なフィナーレの衣裳になっています。フィナーレも華やかで、とても楽しんでいただけると思います」
――ブロードウェイミュージカルの魅力はどこにあると思いますか?
大和「基本的に、楽しいものが多いですよね。例えば、重いことを話していても、いろんなジョークを散りばめながら明るく表現することも多くて、そこがアメリカ的だなって。曲も、お客様をワクワクさせる要素がふんだんに組み込まれていて、エンタテインメントだなって思います」
笑いがたっぷりと散りばめられた王道のミュージカル・コメディ。古き良き時代の空気に満ちた華やかなステージが楽しめるはずだ。
(取材・文/黒石悦子)
【あらすじ】
1927年。ロシアのニコライ皇子(鈴木綜馬)が率いる水中レビュー団がニューヨーク・ペンシルベニア駅に到着した。ドーバー海峡横断泳に成功したイーディス・ハーバート(大和田美帆)を筆頭に、6人のショーガールたちは記者たちのフラッシュに対してにこやかにポーズを決めていた。
ビリー(坂本昌行)は、偶然そこへ荷物をとりに来て、イーディスに一目惚れしてしまう。彼はまだ誰も成し得ていない「大西洋横断・無着陸単独飛行」に挑戦しようと夢見るアメリカ人の無名パイロットだ。
イーディスのインタビュー記事を読んで彼女にぞっこんのビリー。そのかたわらで、ビリーの頼れる相棒、彼の夢を影で支えるキュートな女性整備士のミッキー(大和悠河)。そこへ、ビリーのサーカス飛行に感心したモンゴメリー司教(青山明)が現れ、彼をパーティーに招待する。.
イーディスも来ると聞いて嬉々としたビリーは、即座にパーティーへの参加を約束したものの、インタビューによれば イーディスのタイプは「格好の良い洗練されている男性」。野暮ったい自分の格好を省みたビリーは思案し、男の洗練さと恋の駆け引きをアドバイスするミステリアスな男“マジックス(川平慈英)”の店を訪れる。
パーティー当日、洗練された紳士に変身して会場に現れたビリーに、モンゴメリー司教も始めは気づかない程だった。
4人組のリッツ・カルテットが見事なハーモニーを奏でる中、ニコライ皇子にエスコートされてイーディスが入ってくる。イーディスをダンスに誘うビリー。イーディスはダンディーなビリーにうっとりしている。
ところが、その様子に憤慨したニコライ皇子が ビリーを会場から追い出してしまった。腹を立てたイーディスはニコライに反撃して決別を告げるが、何やら怪しげな写真をネタに引き止められてしまう。
ビリーとイーディスは映画館で再び出逢う。しかし、イーディスは映画に夢中で、食事に誘おうとするビリーをそっちのけ。映画が終わるとさっさと出て行ってしまうイーディスを追いかけたビリーは、衝動的に彼女にキスしてしまう。そんなビリーの強引な姿に、イーディスもだんだん心を奪われていく。
やがてビリーの夢がパリ~ニューヨーク間のノンストップ飛行だと知ったイーディスは、ニコライから逃れる為、飛行機に一緒に乗せてほしいとせがむ。しかし、二人の逃亡計画を嗅ぎ付けたニコライ皇子が、なんとしてもこの二人を阻止しようと目論んでいたところにミッキーが現れて……。
(公式サイトより)
(2012年3月16日更新)
発売中
Pコード:416-610(公演日3日前まで販売)
※販売期間中は1人1公演6枚まで。
▼3月29日(木)18:30
▼3月30日(金)18:30
▼3月31日(土)12:30/17:30
▼4月1日(日)13:30
シアターBRAVA!
SS席12000円
S席11000円
A席9500円
[演出][振付]ビル・バーンズ
[出演]坂本昌行 大和田美帆 大和悠河 鈴木綜馬 川平慈英 他
※未就学児童は入場不可。営利目的の転売禁止。
[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888(10:00~19:00)
やまと・ゆうが/1995年に宝塚歌劇団に入団。天性の華やかさと恵まれた容姿で早くから抜擢。宙組男役トップスターとして活躍、2009年退団。2010年「CURTAINS」で女優デビュー。「戯伝写楽」「まさかのCHANGE?!」「綺譚桜姫」「100年のI love you」「GULF」等、数々の話題作に主演。多方面で活躍中。オペラに捧げる「YUGA OPERA CAHIER」を定期的に開催。今後も5月に能舞台「鉄輪の女」(主演)7月8月に大spectacle舞台「MOON SAGA‐義経秘伝‐」(ヒロイン) 等の出演を予定している。