ホーム > インタビュー&レポート > 新作はラップミュージカル!? 男肉 du Soleilの熱いパフォーマンスは必見!
――今回は全編ラップで展開するそうですが、詳しく教えてください。
「わかりやすく言うと、ラップミュージカルですかね。クラブにいるみたいにずっと音がかかっていて、その音楽にラップをのせながら、いつものごとくくだらないストーリーを展開したり、ダンスしたり。レゲエも数曲、ところどころに入れていますが、“バーサス”といっても、今流行りのレゲエにHIPHOPはいかに立ち向かうか、というところを考えています」
――ではそのくだらない物語について教えていただけますか(笑)。
「必ず最後は全員が死んで、僕が歌って生き返るっていうのがいつものお決まりのパターンっていうことが前提にありまして。今回の設定は幕末時代劇で、剣の代わりにマイクを握っている侍たちが、激動の時代を駆け巡る話です。最終的にヤマタノオロチに日本が滅ぼされ、全員でヤマタノオロチを倒しにかかるけど、みんな死んで、僕が歌って生き返ります(笑)。」
――大団円ですね(笑)。
「何があっても全員生き返ります。あと、今回セクシーダンサー役でポールダンサーに出て頂くんですよ。江戸の夜のセクシーダンサーに主人公が恋をして、恋と幕末の戦いが入り乱れる。最終的には幕末とか関係なくなりますけど。死んで歌って生き返るっていうお決まりのパターンは、かれこれ10回くらいやっているんですが、まだ「待ってました!」の声は聞こえないですね(笑)。ふんどしで僕が出てきたらざわめくようにはなりましたけど。そろそろ、神輿が出てきたら「待ってました!」っていう声がほしいですね。もっと前のめりで参加してもらえたら嬉しいです(笑)」
――でもダンスのときは手拍子が出たりしていますよね。
「最近からですね。みんな手拍子してくださるようになったのは。小劇場ではあおらないと舞台でダンスがあっても手を叩かないですからね。男肉も結成5~6年経ってようやく、こいつらは手拍子していいんやっていう空気になりましたね」
――ラッパーの方もゲスト出演するようで。気合い入っていますね。
「クラブとかでよくある雰囲気を少し取り入れたくて。ほんまもんのラッパーを入れた方が面白くなるんじゃないかということで、団員の知り合いにお願いしました。演劇の公演の体裁よりは、表面上はクラブイベントみたいな雰囲気です。ままごとの柴幸男くんのおかげでラップが注目されてるんで(笑)。『わが星』は岸田戯曲賞とりましたからね。ただ、彼と違うのは、僕らはただ単純にラップをしているという(笑)。彼らはラップのテイストを演劇と融合させていますから。まぁ、全然違いますよね」
――ラップだとダンスもHIPHOP系になるんですか?
「ダンスはいつものショーダンスのようなもので、今回初めてラップに合わせて踊ります。だから、ラップの音楽にダンスを合わせるのが難しいんですよ。自分たちの中での初めての試みなので、楽しくはやっていますけどね」
――意外と真面目に取り組まれているという(笑)。
「いやいやいや(笑)。やっぱりやるからには。団員のほとんどがHIPHOPを聴かないので、HIPHOPを聴くだけの稽古もやったり。ラップって一度間違えたら取り返しがつかないんですよ。ストーリーを進めるためのラップを、間違えたり忘れてしまったら、もう追いつかないし、お客さんにも全く伝わらない。ムニャムニャ言ってサビに進んで次の話に進まれたりしたら、「え!今の何!?」ってなりますよね。いつもは言いなおしたり、別の人がフォロー入れればなんとかなるんですが、今回ばかりはみんな緊張感がすごいですよ。間違えられない恐怖があるんで。でも間違えちゃダメなことは普通なんですけどね(笑)」
――HIPHOPはクールなイメージですが、いつもの熱い感じは…?
「もちろん、彼らは熱く叫ぶことしかできないんで。叫びつつラップしつつ。そもそも全員分のマイクがないので、裸声でラップしますからね。喉が心配です(笑)」
――今回の劇場は全員でダンスを踊るには少し狭いのでは?
「僕ら昔同じin→dependent theatre 1stで、毎月最初の火曜日に公演をしていたんです。もう劇場のことは十分把握できているので問題ないですね」
――では、大阪公演に向けての気合いのほどはいかがでしょうか。
「月に1度公演していたときに、毎回17人くらいしかお客さんがいなくて。続けていけば増えるかなと思っていたんですが、全く通用せず……。BLACK CHAMBERっていうところでやっても集客がとても悪かったので、大阪では負けるイメージしかないんです。ただ、前回大阪で追加公演をしたときに、初めて大阪である程度客席が埋まっているのを見て、来てくれるんや!って思って。だから、今回大阪でやっていけるのかどうか、僕らの中では非常に勝負だと思っています!」
(取材・文/黒石悦子)
(2011年12月14日更新)
●12月16日(金)19:00
●12月17日(土)13:00/17:00
●12月18日(日)13:00/17:00
※17日(土)17:00の回は終演後、
アフターパーティあり。(別途要500円)
In→dependent theatre 1st
一般/前売2000円 当日2500円
学生/前売1500円 当日2000円(要学生証)
男肉飛び散る席/前売・当日2500円(最前列・最も間近で出演者と触れ合える)
絶対安全席/前売・当日3000円(最後列・出演者は立ち入りません)
[問]サウンドクリエーター[TEL]06-6357-4400
Mail:029ticket@gmail.com
男肉 du Soleil
http://oniku-du-soleil.boy.jp/
おにくどそれいゆ●団長・池浦さだ夢の呼びかけに集まった、近畿大学舞台芸術専攻生の有志を中心に作られたダンスカンパニー。一度は解散したが、すぐに活動再開。ダンスだけでなく、舞台に関する知識をあえて無駄に悪用し、あらゆるカルチャーの文脈をミックスすることによってエンターテインメントに昇華している。11年春には『Jのとなりのオニク』で京都・東京・札幌での上演を行った。