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歯に衣着せぬ自由奔放な発言で大人たちをまくし立てる
現代的なおてんば娘カトリーヌ役に挑む南沢奈央
「大先輩たちに遠慮せず、ぶつかっていきたいです!」

 フランスのヒッチ・コックと称されるロベール・トマによって1961年に執筆された戯曲『8人の女たち』。2002年にはカトリーヌ・ドヌーブ、ファニー・アルダン、イザベル・ユペール、エマニュエル・ベアール、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエ、ダニエル・ダリュー、フィルミーヌ・リシャールというフランスを代表する女優たちによる豪華競演で映画化。同年のベルリン国際映画祭では8人全員に銀熊賞が授与されるなど、多くの話題を呼んだ。
 そんな名作がついに日本で舞台化されることに。大阪公演は1月6日(金)~9(月・祝)、森ノ宮ピロティホールで開催。翻訳テキストを上演台本に書き換え、演出するのは近年、良質な舞台作品を多く手がけているG2。そして作品世界を華やかに彩るのが、日本を代表する豪華女優陣だ。浅野温子、荻野目慶子、加賀まりこ、大地真央、戸田恵子、マイコ、牧瀬里穂、南沢奈央と、これ以上望みようのない女優たちが一堂に会し、ある殺人事件を巡ってバチバチと火花を散らしてゆく。
 物語の舞台は1950年代のフランス。雪に閉ざされた大邸宅にクリスマスを祝うため家族が集まってくるのだが、その日の朝、メイドのルイーズが一家の主マルセルが寝室で刺殺されているのを発見する。外部から何者かが侵入した気配はない。電話線は切られ、雪で外部との接触は完全に遮断。そんな中で、疑心暗鬼を募らせた8人の女たちが詮索を始めてゆく。
 8人の女のひとり、殺されたマルセルとその妻ギャビーの末娘カトリーヌは推理小説好きな女の子。この事件では探偵気取りで家族に質問攻め。その上、無邪気なのか、確信的になのか、大人たちに向かって辛らつな言葉も平気で浴びせる彼女。そんなカトリーヌを演じる南沢奈央に、役柄について、そして作品の魅力や舞台にかける意気込みを聞いた。

南沢奈央(以下、南沢)「大地真央さんが扮するギャビーの娘役、カトリーヌを演じさせていただきます。マイコさんが長女で私が末娘という姉妹になるんですが、カトリーヌははとても破天荒で、年下だからこそという感じで年上の人たちに毒のあることを言ってしまったり、場をかき回すような性格です。そんな性格なので、本番では遠慮や恐縮せず大先輩方にぶつかっていけるよう取り掛かっていきたいと思います」

--では、そんなカトリーヌとの距離感をどう感じているのだろう?

南沢「感情がころころ変わって、さっきまで笑っていたと思ったら、いきなり怒り出したりとか、テンションの上下が激しい女の子です。“なぜこんなことを言うのだろう”とか、“よくお母さんにそんなきついことを言えるな”と思うような台詞もあり、もっと読み込んで彼女の性格を理解できればと考えています。ただ、推理小説好きという部分が一緒で、この作品は、推理小説好きとしてもすごく面白いです。犯人も全然わからなくて。最後にすごく大きなどんでん返しが待っています。その過程で、女性たちの本性がどんどん現れてくるのもすごく面白いですね。そこに人間らしい、リアルな感じがしました」

--人を傷つけるようなことを平気で口にするというカトリーヌ。実際、どんなことを口走るのだろう。

南沢「お母さんに限らず、年上の人に向かって結構バカにする台詞が多くて。上から目線ですね。たとえば、戸田恵子さんが演じるオーギュスティーヌはカトリーヌにとって叔母にあたるんですが、独身のオーギュスティーヌに対して『叔母さんのようにはなりたくないね!』と言ったりとか、反抗心も平気で露わにしちゃう子で、そういう台詞がたくさんあります」

--カトリーヌはなぜ、そうなのか。彼女を分析してもらった。

南沢「8人の中で一番年下で、周りに子供扱いされているのがすごく嫌なんだと思います。それで強気になって意地を張ったり、上から目線でものを言ったり、自分を強く見せたいところのある女の子だと思いますね」

--ちなみに映画作品は観ていないそうだ。

南沢「できる限り自分でイメージを作りたいと思っていて。最初から演じられているものを観ると、それを意識してしまう気がするので…」

-- では、演技にあたっては演出家のG2とどんな話をしているのだろう。

南沢「上演台本に書き換えられたとき、カトリーヌのモデルとなったのがG2さんの娘さんだったそうです。娘さんとは実際にお会いしていませんが、ちょうど反抗期が来ているらしいので、娘さんの話を聞いたりしています。あと、“もし(舞台中に台詞が)飛んでも、意味を理解していたり、イメージを描いていたら、ほかの言葉として出てくるから。一つ一つの台詞の意味や、そこから描かれるイメージを大切にして覚えたらいい”と仰っていただきました」

--これまでは、ひたすら声に出して台詞を読み、覚えていたとのことで、G2からのこのアドバイスには目から鱗が落ちたそうだ。

南沢「私は結構、考えながら話すことが多くて。言葉が先にあるんじゃなくて、言いたいことのイメージが何となくあって、そこから言葉が出てくる感じなんです。お芝居をやっていく上でその基本的なことを忘れていたことに気づかせていただきました」

--続いて、この舞台で楽しみにしていることを聞いた。

南沢「皆さんとご一緒させていただくのが初めてで、それだけで楽しみなんですけど、稽古期間も公演中も至近距離で拝見させていただけて。そういう機会はなかなかないので、先輩方がどうやって芝居を作られていくのか、得られるものをすべて吸収したいなと思っています。そして、カトリーヌは自分と全く違う性格の女の子ですが、役柄だと割り切って先輩方にぶつかっていきたいなと思います」

--本公演の女優陣とはみな、初共演となるが、加賀まりことは一つのエピソードがある。

南沢「私が初めて舞台(『赤い城 黒い砂』2009年)に出演したとき、楽屋に来てくださって、すごく褒めてくださったんです。それから3年弱が経つのですが、あのときより成長している姿をお見せできるかなと思って、加賀さんとの共演も楽しみにしています」

--テレビドラマや映画など映像作品に数多く出演している南沢。舞台は本作で3回目となるが、舞台の魅力を聞いた。

南沢「初めて舞台を観たとき、人のエネルギーをすごく感じて圧倒されたんです。目の前で観ている方に直接じゃないと伝わらないものがあると思うので、舞台ではエネルギーを出し切っていきたいなと思います。今回は会話劇で、8人で会話をして物語を進めて行って。そのテンポもいつどうなるかわらないというスリルもあるので、そこも楽しめるようになっていったらいいなと思います」

--では、最後にお正月明け、大阪で待つファンの方へメッセージを。

南沢「年明け最初の舞台で気合が入っていると思いますので、そのパワーを伝えられたら。東京公演でも全力を尽くしますが、大阪ではさらにいいものを見せられるように、そこが舞台のいいところだとも思いますので、がんばります!」

日本を代表する女優たちが壮絶な“舌戦”を繰り広げ、女の本性をあらわにしてゆくサスペンスの名作『8人の女たち』は1月6日(金)から9日(月・祝)まで、森ノ宮ピロティホールで上演。女たちが散りばめる美しき火花を、ぜひその目で目撃して! 




(2011年12月12日更新)


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南沢奈央

●公演情報

『8人の女たち』

●1月7日(土)17:00

●1月8日(日)12:00/17:00

●1月9日(月・祝)13:00

発売中(公演日3日前まで販売)

Pコード:414-357

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〈追加公演〉
●1月6日(金) 18:30

発売中(1/3(火)まで販売)

Pコード:417-141

森ノ宮ピロティホール

全席指定-9800円
ステージ席-9800円
立見-6000円

[原作]ロベール・トマ

[演出・上演台本]G2

[出演]浅野温子/荻野目慶子/加賀まりこ/大地真央/戸田恵子/マイコ/牧瀬里穂/南沢奈央

[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888

※本公演では、舞台上に座席を設置し、ステージ席と全席指定の間に仮設ステージを設置して公演を行います。(本来のステージは舞台として使用いたしません) 。全席指定は通常のお席からご覧頂く座席、ステージ席はステージ上に設置したお席からご覧いただく座席です。未就学児童は入場できません。

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