ホーム > インタビュー&レポート > いろんな魔女たちが出てくる新作物語、 その内容とは石原正一いわく「魔法大喜利」!?
--こんにちは、ぴあ関西版WEBです。どうぞよろしくお願いいたします。この『石原正一ショー』の『ハリー・ポタ子』ですが、まず起用された女優さんは1回目、2回目と同じ顔ぶれなんですか?
石原正一(以下、石原)「以前にも出てもらった若手の女優さんは、ミジンコターボのメンバーとか、悪い芝居に在籍していた吉川莉早さんとか。吉川さんは、そのときが初めての客演で、うちの舞台を見てくれたほかの団体さんがその後、吉川さんに声をかけてっていうことがあって、今はかなり活動の幅が広がっていますね。昔から『正一ショー』は、そういう繋がりがすごく多くて。まあ言うたら、ちょっと気になる人を先物買いして…」
--その先物買いは、やはり買って正解でしょうか?
石原「そうですね。僕のプロデュース作品で出会って、そのまま常連になって出てもらう人たちも多いですね」
--女優さんはどんな方が多いですか?
石原「ほんとど一人でやっている子ばっかりなんですよ。吉川ちゃんも悪い芝居をやめた後は、フリーでやっています。劇団ではミジンコターボとか。まあ、あとは、団体名を名乗っていても一人だったり、二人だったり。昔は大所帯だったけど今は2、3人とか。バンドみたいな感じで、だいぶ縮小してますね。もう、いっそのこと銀行みたいに合併したらいいのにって思いますよ。もういいやんと(笑)。その方が団結力があるし、大所帯の方がお客さんも賑やかやな~と思うじゃないですか。今、劇団の名前でブランドがあるところって、関西出身でいうと劇団新感線とか、ヨーロッパ企画ぐらいですよね。あと、劇団赤鬼も頑張ってますね」
--劇団赤鬼からも出演されますね。
石原「田川徳子さん。2年前に『筋肉マン』と『スケバン刑事』を足して2で割ったような『筋肉少女』という作品をして、それにも出てもらって。『筋肉少女』は10年前に楠見薫さんたちが出てくれたお芝居なんです」
--その頃から女優さんメインでされていたんですか?
石原「僕のコンセプトに女優さんで面白い人とか、すごい人たちを集めるっていうのがあって。当時は女性メインがあんまりなかったんです。でも、僕の周りにはおもろい先輩がたくさんいて、その人らを一堂に会して舞台をすれば面白いものを見れるなと思って。で、やってみて、やっぱり面白かったんで、またいろいろやっていたんです」
--そういう流れがあって、今に至るんですね。
石原「はい。それから10年たってまた、面白いと思う役者さんが回りに出てきて。10年前の女優さんたちは東京に行ったりとか、小劇場にあんまり出なくなったりとかして、いろいろ変わってきたので、じゃあ、今の若い人たちでもう一回やろうという感じで、女優を起用した『石原正一ショー』を始めました。まあ、おニャン子クラブの後にAKB48をされた秋元康さんみたいな感じですかね、気分的には(笑)。やってることは同じだけど、今風にやってみようと。そういう感覚です。だから、コンセプトも同じで『今、ものすごくいい女優がいますよ』っていう。ここはハズレはないはずなんで」
ここで、『ハリー・ポタ子』のあらすじを説明しよう。魔法学校に通うハリー・ポタ子は、一人前の魔法使いを目指す女の子。ライバルに負けず、日夜努力の毎日。恋にもお菓子の誘惑にも負けず、ど根性と勇気で魔女狩りをたくらむ悪の女王に立ち向かう!という物語だ。
--では、今回出演される女優さんの役柄や魅力を教えてください。
石原「まず、ミジンコターボの竜崎だいちさん。ミジンコターボで脚本も書いてます。いつもは大体、脇役をやってもらっていたんですけど、今回は主役のハリー・ポタ子をやってもらおうと。彼女が一番下の魔法見習いで、先輩方である魔法使いや魔女とか、伝説の魔法を目の当たりにして何かを成し遂げていくという、キーになる人物です。で、僕の役どころが丹下段平みたいな感じで、竜崎さんとは言うたらジョーのような関係です。彼女は小柄だけど実は男前な芝居ができる子で、気風がよくて元気玉。本が書けるのでちょっと賢いイメージもありますね」
(制作「割と裏で支えるリーダー的な存在ですね」)
石原「そうですね、構成作家さんみたいな感じで。地を固めるには必要な子だと思います。奇怪なことをやるよりは、それをまとめて回してくれる側です」
--では、吉川莉早さん。
石原「吉川ちゃんは、見た目とは裏腹にアホなことができる子なので、そのギャップが楽しいですね。前々回はヒロインの『スケバン刑事』をやってくれて、今回は『サリーちゃん』。彼女は人気ありますね。『こういう子、おるんや』って、この2、3年でお客さんも業界も知ったと思います。ルックスがいいし、元気玉だし、AKB48で言ったら大島優子的なポジションでしょうね。みんなを引っ張れる子です。そういうラインで行くと、彼女と田川さんと丹下(真寿美)さんはどこに行っても主役を張れる人です。田川さんは、ネタをやりたがっている子で、お客さんに楽しく満足してもらいたいという気持ちがあるので、僕の芝居も好きみたいです。丹下さんもそうですね」
(制作「丹下さんはキャラクターを割りと忠実にやりますね」)
石原「そうですね。丹下さんは切れがいいです。元々、ピースピットの末満くんのところにいて。末満くんのところでデビューしたのが6、7年前かな」
--なるほど。では加順遥さん。
石原「加順さんは雰囲気はおっとりしてますね。彼女は今、いろいろ演劇を学んでて…。まあ、みんなそうですけど、そういう意味ではがんばり屋さんですね。ソラ豆の片山誠子さんもそうですね。なんか、その辺を買ってた感じですね。普通にかわいい子で、よくいる高校演劇上がりの女子って感じですね」
--ここまでの皆さんは何の役をされるんですか?
石原「加順さんが『キキ』。田川さんが『魔女っ子メグ』。丹下ちゃんが『ミンキーモモ』ですね。それから、Sundayの吉陸アキコさんはこの中の女優さんで言うと上から数えた方が早いんですけど、年齢不詳でやっていて。なんか白鵬みたいなポジションですね。ベテランみたいな。『私、ベテランって言いたくないんです』って感じなんですけどキャリアはあるんです(笑)」
--白鵬ですか(笑)。
石原「吉本でいうと、ポジション的にリットン調査団さん(笑)。で、役は『奥さまは魔女』です。本人は嫌がるベテランの魔女。片山さんは『オズの魔法使い』の『ドロシー』。魔法使いじゃない方をやってもらうっていう。で、森口直美さん、この人も美人さんだし、芝居もうまいんですけどアホなことも好きで。役は、魔法使いとはちょっと外れるんですけど、東映の女性ヒロインあたりに繋いで『キューティーハニー』を。そういうコスプレが似合いそうな。ミジンコターボのSun!!ちゃんは、この人も小柄だけどダンスもうまいし、どこでも人気者です。パワーがすごいある方で。役は『ハクション大魔王』の『あくびちゃん』ですね」
--信平エステベスさんはどんな方ですか?
石原「信平エステベスは、元々は遊気舎にいたんです。今はちょこちょこ仲間うちのところに出てますね。今回は5年ぶりに僕の舞台に出てもらいます。こういうアホな先輩がいることを若手の子らに知ってもらえたらってところで声をかけましたね。何でもできる人で、器用で…。舞台道具も簡単に作ってくれますし…。稽古の段階で『明日、板の上に立ってもいいよ』っていうぐらいのことをやってくれるから、それをみんな、見習ったらって感じですね。役柄は『ハクション大魔王』です」
--頼もしいですね。では、日詰千栄さん。
石原「この人は僕の芝居では絶対、歌手で出てきます。いつも頼んでもないのに自分でドレスを買ってきて、頼んでもないのに自分で何かいろいろ考えて歌ってますね。台本にはないことを。もうフリータイムです。セルフプロデュース」
--日詰さんは異質な存在なんですね。
石原「ただ、『石原正一ショー』は、そういう変なことをやる人を集めて、『紅白歌合戦』みたいに出てもらうのがコンセプトにあって、それをお話でまとめるっていうところがあるので、定番といえば定番なんです。まあ、彼女の場合は、代打みたいな存在なので、変に話のキーとかは持たさないです(笑)」
--なるほど。ほかにも大阪公演にしか出られない方もいますね。
石原「はい。大阪だけしか出ない人では、まず、ミジンコターボの川端優紀さん。役は僕の大好きな藤子先生の『エスパー魔美』を。彼女はテンポが早くて歯切れがいい芝居ができるんですけど、そういう芝居ができる子っていそうであんまりいないので、彼女の場合はその辺を買ったところはありますね。あと、生田朗子さん。生田さんはめちゃくちゃ大ベテランで、僕の大先輩です。役は魔女の先生みたいな感じでいてもらおうかなと。特にこれっていうのはないんですけど」
--あと、山浦徹さんもですね。
石原「山浦さんには『ハウルの動く城』の『ハウル』をやってもらおうと思っています。この人はピスタチオ系って言ったらわかりやすいと思うんですけど、男前の芝居もできるし、アングラな感じもできて。ファンも多いですしね。東京公演にも来てほしかったんですけど、山浦さんの公演と重なっていたので大阪公演だけになりました」
--東京公演では、小椋あずきさんが出られますね。
石原「小椋さんは僕の先輩で、この人は本当、コメディエンヌ。どの人も『この人には勝てへん』って言いますね。生田さんでも『小椋ちゃんに負けへんようにがんばるわ』って言うような。達者な方です。僕と同じ40代なのに、こないだ沢田研二さんの舞台で沢田研二さんのお母さん役をやってましたから。そのくらい説得力がある。みやこ蝶々みたいな人ですね。なので、小椋さんには『千と千尋の神隠し』の『湯婆婆』をやってもらいます」
--石原さんももちろん出られますが、先ほどおっしゃったように丹下段平ですか。
石原「そうですね。丹下段平的なところで。昔、魔法使いで、いうても魔法使いの弟子の弟子ぐらいですね。で、さらに弟子を作るっていう、ちょっと残念な感じ。でも、丹下段平自体がそうやから」
--大阪、東京だけに出られる役者さんはWキャストみたいになるんですか?
石原「Wキャストではなくそれぞれのシーンを作ります。東京のみ、大阪のみを作って。お客さんも役者さんを目当てに観にきてくれはったらええですし。もし、この舞台を映像化したら、東京、大阪のシーンを全部くっつけて、完全版にしようかなって思ってます」
--それにしても、いろんな魔女が出てきますね。
石原「まあ、言うたら『魔法大喜利』ですよね」
--ああ、大喜利。
石原「でも、ネタばっかりでもアレなんで(笑)。ネタを随所に入れてお客さんを笑わせながら、どんどん話の迷宮に入ってもらって、煙に巻かれて終わればいいな~と。今回は久しぶりに東京に行けるんで。関西の団体でこれくらいアホなことをやる人らが東京に行くのも久しぶりだと思うので、ちょっと見せつけたいですね。もう『勝ちに行く』ぐらいの気持ちで」
--大阪で8日間10公演を終えた後、3日後に東京公演ですね。テンションとかもそのままで。
石原「東京で芝居をするのが初めての子も多いんで、すごくワクワクしているのもあるし、いい意味でそれもぶつけれたらいいなと思いますね。そういうことも含め、いろんな人に観てほしいですね。去年、一昨年とやって今回が3回目なんで、彼女らにとっても総決算になったらいいなと思います」
--今回は新作でもありますね。
石原「はい。基本、メインの子が出てきて、その脇を固める子がAパターン、Bパターン、Cパターンといて、最後に全員が出てくるっていうような、昔よくやっていた形で構成していきます。あと、日替わりゲストも出るので、そちらも楽しみにしていただければ。過去に『石原正一ショー』に出ていただいた方とかにお声かけしておりますので。一応、毎回2人に出てもらって、何か対決してもらおうと思ってます。どっちの魔法がすごいっていうような。とにかく元気な芝居になると思いますので賑やかに、皆さんにええとこ見てもらおうと思ってます」
(2011年9月13日更新)
Pコード:414-086(公演日2日前まで販売)
大阪公演
▼9月13日(火)~20日(火)
月14:00
火木20:00
水金19:30
土15:00
日14:00/18:00
※9/20(火)19:00。
in→dependent theatre 1st
東京公演
▼9月23日(金・祝)~26日(月)
金19:30
土14:00/18:00
日14:00
月19:00
シアター711
一般-3000円(整理番号付)
[出演][劇作・脚本][演出]石原正一
[出演]竜崎だいち/吉川莉早/田川徳子/丹下真寿美/森口直美/片山誠子/加順遥/Sun!!/吉陸アキコ/信平エステベス/日詰千栄
(大阪公演のみ)
川端優紀/山浦徹/生田朗子
(東京公演のみ)
小椋あずき
※各回、日替わりゲストが登場
※未就学児童は入場不可。
[問]石原正一所[TEL]06-7173-8467
チケット情報
http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1130154
いしはらしょういち/'89年に演劇活動を開始し、'95年に『石原正一ショー』を旗揚げ。脚本・演出を担当し、漫画を基にしたサブカル風ドタバタ演劇を上演する。漫画の世界を自身で表現する"漫画朗読"の元祖でもある。また、振付もでき“イシハラバヤシ”で歌も唄っている。