ホーム > インタビュー&レポート > 和央ようかがドラキュラ伯爵として宝塚歌劇団退団後初の男役に 1897年にブラム・ストーカーが発表した古典作に挑む!
和央ようか(以下、和央)「私は『NEVER SAY GOODBYE―ある愛の軌跡―』という作品を最後に、宝塚を退団させていただいたんですけども、それは、フランク・ワイルドホーンさんに全曲を書いていただいた作品で。今回の『ドラキュラ』もフランクの全編作曲の作品です。元々ブロードウェイで上演された作品ですが、私が今回させていただくのはヨーロッパで上演されたもので、'07年の夏に私も現地で観劇させていただきました。今年、宝塚を退団して5年目になります。この節目のときに退団して初めて、いわゆる男役に挑戦させていただけるので、うれしい気持ちと、不安な気持ち、いろんな思いでいっぱいです」
―― と、語るように、退団後初の男役となる本作。このドラキュラを、どのように描こうとしているのか。
和央「宝塚時代の私の目標というか、求めていた男役像は、ちょっと肩の力が抜けた男役なんですが、退団後も私がガラッと女らしく変わったというわけでもなく、宝塚時代もものすごく男っぽかったわけでもないので、(男役に)久しぶりに取り組むことに対してはあまり気負いはないんですけども、ただ、ひとつドキドキしているのは、今回、私はドラキュラ伯爵として存在しますけども、共演者が本当の男性なので、本当の男性の方と共演させていただくことがどんな感じなのか…。これは私も未知の世界なので、男性の共演者の方にとっても、私にとってもお互いにいいような、『女性がやっているから出せたのね』という雰囲気が出せたらと思います。また、宝塚の男役とはひと味違うけれども、私が演じる意義があったらいいなと思って頭の中では膨らむんですけど、何せグラーツで見たドラキュラ伯爵はものすごい迫力で。それは男性の持つ力強さから出せる技で、そこは私にはないんですね。でも男性にはない、自分にあるものがあると思うので、そこを探って、私らしいものができたらいいなと思っています」
―― それは、宝塚歌劇団を経たからこそ、できるものだと言う。
和央「普通の女優さんが男役でこのドラキュラ伯爵を演じるときに、ほかの男優さんと一緒に演じるにはなかなか難しいものがあると思うんですよね。私がやるにしても未知の世界なので難しいと思いますけども、十何年、宝塚でやってきたという土台があるので、新しいカテゴリーを築いてみたいなと思っています」
―― では、和央から見た作品の魅力は?
和央「ドラキュラ伯爵という人物はなぜか永遠に人気のある存在で、神秘的で。決して善人ではないんですけど、どこか心が惹かれる存在だと思うんですよね。そしてミュージカルでは、この『ドラキュラ』という神秘的で壮大、迫力のある作品に、それとは真逆の、フランクの繊細なメロディが重なってます。壮大だけど繊細、ちょっと不気味、そういう音楽とともにドラキュラ伯爵の悲しさとか寂しさを表現できたらいいなと思っています」
―― '07年、オーストリアのグラーツでミュージカル『ドラキュラ』を観た和央。そこから受けたインスピレーションとは?
和央「グラーツでは、古城で野外というロケーションで上演されたので、それだけで本当のドラキュラが出てきそうな雰囲気だったんです。ちょっと湿気ている場所でやっていたことも特に印象的でした。そういう中で、ドラキュラ伯爵が永遠の命と永遠の美しさとを持っていることがちょっと寂しいなと思いまして。愛する者も、出会う者も、みんな年をとって別れが来る。自分だけが残っていき、それを食い止めるには自分と同じ仲間にするしかない。そういう悲しさがすごく心に残りました。その部分を出せたらいいなと思ったときに、今の私だからできることがあるんじゃないかなと思って、そこを追求しようと思っています」
―― そして、本作での相手役が、宝塚歌劇団時代の相手役だった花總まり。こちらもまた退団後初の共演となる。かつての相手役に求めるものとは。
和央「彼女自身も考え方や方法、いろんなものが昔のままではないと思うんです。この舞台では、かつての相手役だったからという感覚ではなく一人の共演者として、(花總扮する)ミーナの前でドラキュラ伯爵として存在したいなと思っています」
―― 宝塚歌劇団を退団して4年あまり。これまでの日々はいかなるものだったのか。
和央「いろんな映像作品や舞台に出していただいて、宝塚の温かさとか、宝塚の良さもすごく痛感しました。宝塚では同じ人間と一緒にずっと舞台を作ってきたんですけど、その反対に、作品ごとに出会うものの良さや、宝塚とは違うものを勉強して、その中で新しい発見を楽しんだり、躓いたり。そういう人生経験をまた、生かせるんじゃないかなと思っています」
ミュージカル『ドラキュラ』との出会いは、作曲を手がけたフランク・ワイルドホーンに「あなただったらドラキュラをできるんじゃないかな」を薦められたことがきっかけだったという。それはまだ、グラーツでの『ドラキュラ』を観に行く前のこと。それだけに、「フランクによかったねと思っていただけるように頑張りたい」とも。作曲家自らが見込んだ“適役”である和央ようか版『ドラキュラ』。ドラキュラ伯爵をモチーフにした数ある作品の中においても異彩を放つであろう本作に、どうぞご期待を!
ミュージカル「ドラキュラ」
発売中 Pコード:410-566
▼9月16日(金)~18日(日)
(金)13:30 (土)12:30/17:30 (日)12:30
〈追加公演〉
発売中 Pコード:412-587
▼9月15日(木) 13:30
梅田芸術劇場 メインホール
[一般発売]S席12000円 A席9000円
B席6000円 SS席19000円
[劇作・脚本][作詞]ドン・ブラック
[劇作・脚本][作詞]クリストファー・ハンプトン
[翻訳]常田景子/吉川徹(訳詞)
[演出]吉川徹(訳詞)
[作曲]フランク・ワイルドホーン
[出演]和央ようか/花總まり/安倍なつみ/小西遼生/上山竜司/矢崎広/小野田龍之介/松原剛志/鈴木綜馬/他
[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888
(2011年6月 1日更新)
わお ようか●大阪府出身。'88年、宝塚歌劇団初舞台。'00年、宙組のトップスターに就任、'04年には菊田一夫演劇賞を受賞。'06年、宝塚歌劇団を退団。その後、'08年には映画『茶々―天涯の貴妃(おんな)』で主演し、2008年第3回おおさかシネマフェスティバル主演女優賞を受賞。また、同年、ブロードウェイミュージカル『CHICAGO』で退団後初のミュージカルに出演。'10年には舞台『Dietrich』にてマレーネ・ディートリッヒ役で主演を果たす。その他、映画やテレビドラマなどで活躍。また、宝塚歌劇団時代よりその圧倒的な歌唱力に定評があり、退団後初のコンサートでは3日間で2万人を動員。以降も、コンサート活動を多く行っている。
発売中 Pコード:410-566
▼9月16日(金)~18日(日)
(金)13:30 (土)12:30/17:30 (日)12:30
〈追加公演〉
発売中 Pコード:412-587
▼9月15日(木) 13:30
梅田芸術劇場 メインホール
[一般発売]S席12000円 A席9000円
B席6000円 SS席19000円
[劇作・脚本][作詞]ドン・ブラック
[劇作・脚本][作詞]クリストファー・ハンプトン
[翻訳]常田景子/吉川徹(訳詞)
[演出]吉川徹(訳詞)
[作曲]フランク・ワイルドホーン
[出演]和央ようか/花總まり/安倍なつみ/小西遼生/上山竜司/矢崎広/小野田龍之介/松原剛志/鈴木綜馬/他
[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888