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まもなく京橋花月で単独ライブを開催するCOWCOW
今年の見どころや楽しみ方などをインタビュー!

5月14日(土)・15日(日)と京橋花月で恒例の単独ライブを開催するCOWCOW。毎年ネタのみというシンプルな構成ながら、その年ならではの濃厚な漫才、コントを披露するこの単独ライブ。ここ数年は、子ども料金の設定や、休憩を挟むなど子どもたちも気軽に楽しめる配慮もなされ、家族連れで劇場に訪れるお客さんの姿もちらほら。劇場がほのぼのとした雰囲気に包まれているのも、ふたりの“色”のひとつだ。そして今年は、どんな具合に楽しませてくれるのか? その傾向などをインタビュー。ライブの前にぜひご一読を!

―― @ぴあ関西です。よろしくお願いします。間もなく単独ライブが行われますが、今年は新作コント10本、漫才2本をご用意されていると伺いました。そこで、“今年はここが新しい”“ここが違う”という部分があれば教えてください。

多田健二(以下、多田)「この年に1回の単独ライブは今年で4回目なんですけど、過去3回ともオープニングに『こういう人知りません?』という、小道具を使うネタをやってたんですけども、……今回1発目は何になるのか!?という感じですね(笑)。今回はオープニングがちょっと違います! 『こういう人知りません?』は、とりあえず置いておこうということになって、“じゃあ、1発目は何だ?”ってなって、あと、新作コントが10本できたときに、“オープニングは何やろうな”と。そしたら相方が“これちゃうか”と。“これ!?”みたいな(笑)」

―― これ!?という反応は、お~いいね!という感じではなかったんですか?

多田「僕は、もうちょっとライブの最後の方でやると思ってたんですよ。なので“これ行く~!?”みたいな。でも確かに、新作コントを10本見たときに、これしかないかって感じでしたね。なのでそのネタをまずオープニングでやりまして、それでどうなるかで単独の雰囲気が決まるというか…。『こういう人知りません?』って割と皆さんに知っていただいているので、堅いネタということもあって滑り出し好調でいけたんですけども、今回、あのネタでどうなるかという感じですね」

―― ドキドキしますね。

多田「しますね~。僕に関しては割と台詞とかも多いんでね~。ドキドキですね~(笑)」

―― 台詞を言うにしても、リズムとかありそうですもんね。

多田「そうなんですよ~。そこで乱れて“コイツ、緊張してるやん”って思われたらねぇ~」

―― イヤですね。

多田「イヤなんで、めちゃ余裕のふりしますけどね(笑)」

11050921.jpg―― では今年は、オープニングからもう新しい感じですね。では次に、今回のビジュアルイメージなんですが、聞くところによると過去最高にいい仕上がりということで…。

山田與志(以下、山田)「いい感じですね」

―― 今年のテーマはパンクですか?

山田「そうですね。1回撮ってみてもいいかなと」

―― このチラシのシリーズも、だんだんオシャレになってきてますね。

多田「へへへへ(笑)」

山田「こういうのも自分でやっていきたいんですよね。チラシを作ってくれる人も、もちろんいてるんですけどね。写真はカワムラさんに撮ってもらって。カワムラさんも大概、僕らのいい顔の角度とか、どの辺でポーズが出てくるかとか熟知されてるんですよ。だから写真撮影も非常にうまいこと行くんですよね。年々、いいものができているんじゃないかと」

多田「このポーズは僕の案ですね」

―― 多田さんっぽい女の子、いそうですね。

多田「これはあれですよ、アヴリル・ラヴィーンをちょっと意識してます。ヘヘヘヘ(笑)」

―― この単独ライブも年に1回、東京ではゴールデンウィークに開催して、それから大阪でっていうことが定着してきたなと思うんですが、年間を通してどのくらいの時期から単独ライブのことを意識されるんですか?

多田「最初の最初で言えば、もう夏ぐらいですね。その年の単独が終わって、夏ぐらいに“来年もゴールデンウィークに劇場を押さえて~”っていう感じですね」

―― その年の単独ライブが終わった直後から、とりあえずやるということを決めて。

多田「東京の下北沢タウンホールが半年前からじゃないとスケジュールを押さえられないみたいで、改めて年末手前ぐらいに会場を押さえてもらう。それが半年くらい前ですね」

―― '08年に「やっぱり(単独を)やっていこうや」ということから始まって。それから4年が経って、おふたりにとってこの単独ライブの位置づけはどのようなものになりましたか?

多田「もう、冗談抜きで、1年を通して一番大事なイベント事ですね。逆にこれじゃなくて何があんねんっていうぐらい、僕らにとって一番大事です。東京、大阪を合わせたら1週間ぐらい日にちを割いて、それだけスタッフさんも協力してくれるわけですし。位置づけはやっぱりこう、“ちょっとやってみようか”から“1年で一番大事なイベント”に変わっていきましたね」

―― それは何回目からですか?

多田「2回目からそうなったんじゃないですかね」

―― 2回目に大事だと思ったという、その辺の気持ちの変化とか覚えてますか?

多田「僕はやっぱり、DVDが出たとことが大きかったですね。DVDが出るということは、レンタルビデオ屋さんにも置かれて、全国の人に見てもらえる機会が増えるということで、劇場に足を運べない人も見てもらえる。しかも、自分の近所のレンタルビデオ屋さんにも置いてもらえて励みになるというか、下手なものは作られへんっていう感じになってきましたね」

山田「そうやってDVDになって残っていく中で、まだまだ本数的には足らないと思うんですよね。こうなったらもう、売上枚数とかじゃなくて、本数でいこうかなと。まあ……“こち亀”くらいいったらいいんですけどね(笑)」

―― 膨大ですね。

山田「まあ、なんしか、1年に1回、こういうことがあると何か土台がしっかりするというか、常にどこかでお笑いのことを考えているという状態がいいんですね。あと、漫才はちょこちょこ作っていけるものなんですけど、コントとなると1本作るにしてもなかなか、作り込めないんです。日ごろの舞台も漫才がメインなんで。そうなってくると、こういうライブでコントを皆さんに見てもらうのが一番いいんだろうなって思いますね」

―― コントってどこでもできるものじゃないですよね。極端に言うと、単独でしか見られないものもありますよね。

多田「そうなんですよ、だから観に来てほしいんですよ。だから毎日観に来てとブログで宣伝してるんですよ(笑)。熟知した作家陣とか、スタッフさんとかが揃わないとできないものですしね」

―― 単独ライブですが、ライブごとに同じネタをされますよね。それでも1回1回、ライブは違いますか?

多田「初日はいろいろ試したいのでちょっと長くなるというか。それでだんだん、研ぎ澄まされていきますね。引いたり足したりしながら。なのでそういう“さら”のコントを見てみたいというお客さんも多いですね。で、今年は東京のみなんですが、『こどもライブ』もありまして。去年もこどもの日に単独をしたんですけど、そのときも子供が多くて、ちょっとやってみようかなと。会場に子供が多いと全くの別空間というか、本当に“何これ?、何このゆるい空気”みたいになるんですよ(笑)」

―― 『こどもライブ』も気になっていたんですが、これは内容が違うんですか?

多田「基本は一緒なんですけども、でも、ところどころ、“ちょっとこのネタ省いて、このネタ入れようか”みたいなことが散りばめられているという感じですね」

―― それはお子さん向けのネタなんですか?

山田「まあ、子供にウケにくいものを外すみたいな(笑)」

―― 『こどもライブ』は京橋花月ではありませんが、京橋花月のみでやるというようなことは何かありますか?

山田「今回は京橋でDVD収録があります。なので、一番いい形をお見せできるのではないかと」

―― 東京でされた内容を、まあ、いろいろ足したり引いたりしながら…。

多田「足して引いて……ネタ数がものすごい少なくなってるかもしれないですね!」


山田「足すことができなくて(笑)」

多田「引くばっかりで。そうなったら申し訳ございません(笑)! でも毎年、京橋花月もいい形でできていて。東京は、言うたら荒削り。ですけども、全部試してるんで、すべてのネタが見れるという利点があって。京橋花月は、削ぎ落とされた、完成したネタが見られるという利点がありますね」

―― では次に、今年の単独ライブを漢字一文字で表してください。

山田「これはまた、清水寺パターンですね(笑)。…そうですね、前回、前々回は、ちょっと手の込んだというか、映像を使ったネタが多かったんですよね。今回は、そういう意味でちょっと少ないというか、割とコントというコントが多いんです。キャラが立ってるものが多いのかなと。キャラ…キャラって漢字ありますかね? …キャラが立ってるっていうことは、いわばコントの原点ですけど、そういうことなので“人”です」

多田「僕はもう、不安が多くて…。もちろん楽しみもあるんですけど。なので、いろんな意味で「祈」ですね。ライブがうまくいきますように、お客さんに楽しんでもらえますように…。毎回、言えることなんですけど、何事もなく、無事終わってほしいと今回は特に思いますね」

―― ありがとうございます。「人」と「祈」。ふたつともいい漢字ですね。では、単独ライブとはちょっと外れたことをお伺いしますが、おふたりは今、30代で、ご結婚もされまして。これまで、芸人というお仕事をされてきた中で、10代、20代、30代で、いいなと思うもので変わってきたことはありますか?

山田「根本はそんなに変わってないんですけど…」

多田「変わらないですけど、でも多少変わっていかないと成長もできないという部分もあると思うんで。そうですね。絶対変わった部分もありますし、変わらない部分もあるでしょうね」

山田「10代、20代は、何でも笑いにしてしまう。言うたらモラルがないですよね。でも、嫁ができたり、子供ができたりして、そういうところで方向性は変わってきますね。『こどもライブ』とかもそうですしね。18歳がするトゲトゲしいお笑いは、子供はそんなに見ないと思いますし。そうやってターゲットも若干、広がっていってるんでしょうね。20代のときは若い子をターゲットにして、baseよしもとなんかでやってきて、今、なんばグランド花月とかに出してもらえるようになって、さらに上の世代にも見てもらえて。幅が広がっていきますよね。そのままどんどん行くとこの先、世界に向かっていく感じですかね……チャップリンみたいに動きだけで笑わせるという(笑)」

多田「デビュー当時は夢にも思わなかった“チャップリンになりたい”(笑)」

―― 変わりましたね(笑)

山田「若いころはやっぱり、若い子にキャーキャー言われたいっていうのがありましたからね」

多田「“とりあえず若い子がわかったらいいねん”ってみんな思うんですよね。でも、一昨年から子供料金を設定して、それで観に来てくれて、親子ともども満足して帰って行かれる姿を見ると、幅広い世代に受けるっていうことは何てすばらしいことなんやって思ったり。すごい気持ちいいというか。幅広く受けるっていうことをもっと確立したいなって思いますね」

―― なるほど。ありがとうございます。話はまた変わるんですが、3月には大規模な震災があって、今、多くの方が『自分には何ができるんやろう』と思わらているのではないかと思うんです。そこで、もし、改めておふたりが舞台人という立場でこの時期に考えたことがあれば教えてもらっていいですか。

山田「この単独ライブの本格的な打ち合わせをし始めた頃に、そういうことになったんですけど、自分たちの中で中止という選択肢はなかったですね。こういうお笑いとかって、時と場合によっては自粛はせなあかんこともありますけど、そればっかりやっちゃうと僕ら、ただのオッサンになってまうんで…」

多田「ちょっと派手な服着た普通のオッサンになる(笑)。まあ、単独ライブは去年からやることが決まっていて、だからこのイベントで“被災地の方に元気を!”とか、そういうのは正直…。逆にそういうことを言うたら失礼というか、震災がある前から決めてたことやんけってなりますからね。地震が起こってから決めたのならわかりますけど。だから、僕らのライブを毎年楽しみにしてくれている人のために、僕らはただ、このライブをやるというだけです。その中に被災地の方がいれば、なかなか来ていただくことは難しいですけど、来ていただけるのなら楽しんでもらいたいし、この単独ライブもDVDになるので、今回、来られなかったとしてもDVDを見られる環境になったときにまた、見てもらって、楽しんでもらえたら嬉しいですね」

―― ありがとうございます。では、最後に京橋花月での単独ライブのPRをお願いします。

多田「まあ、チケット代は3000円と、決して安くないお値段なんですが、その3000円というお金と貴重な時間を割いて来ていただくということで、僕らもそのことはかみ締めています。なので、やっぱり来てよかったと思っていただけるように…。チケット代も“あ、安かったわ”と思っていただけるネタに仕上がっていると思うので、ぜひ来てください(祈)」

山田「観に来ていただくことが一番。もう、それしかないですね。単独ライブも4年目で、割といい感じにできるようになってきてます。1年目は、内容はよかったんですけど、割とそれまでの過程が大変でバタバタしたところもあったんですけど、回を重ねるごとにいい感じで観にいただけるようになっていると思うんで、ぜひ観にほしいですね」

多田「こう言うと聞こえは悪いかもしれませんが、回数を重ねることで要領も覚えるというか、合理的にやるというか。単独ライブを開くには、そういうことも絶対に必要と思うんですよね。今年は、そういうこともわかっているので、ちゃんと観ていただけるようにできていると思います」

―― あの、単独ライブそのものの捉え方が、20代のときと30代の今とでは違いますか?

山田「そうですね。全然違いますね。20代のときは本当に、何でもできると思ってたんですよね。要はライブの収支とか関係なく頭で想像したものは何でもできると。そういうふうに考えていたんですが、ご時世も変わり、僕らも年をとり、単独ライブにそんなにお金をかけられないんだという現実にもぶち当たりましたね(笑)。という意味でも、準備するにもライブ全体を見据えて進めるようになりましたね。小道具ひとつにしても、これは要らないんじゃないかと精査するといいますか」

多田「結婚式の披露宴を考える感覚ですね。これは要る、あれは要らんと。でもそうやって単独ライブでシェイプした分、テレビでコントをさせてもらうときはいろんな物を用意してもらえるんで、そのありがたみがわかるというか。だから、まあ、河川敷でがんばって野球やってて、その後、甲子園のキレイな土を踏むという感じですかね!」

―― 甲子園がテレビですか?

多田「……そうですね」

―― 河川敷は距離感が近くて、何をやっているかダイレクトに伝わってくるというメリットがありますもんね。

多田「そうなんです! だから、河川敷の僕らを観に来てください(笑)」 




(2011年5月 9日更新)


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公演情報

京橋ナイト・ステージ〈COWCOW LIVE2011〉

▼5月14日(土)・15日(日) 19:00
京橋花月
[一般発売]全席指定3000円 小学生以下800円(指定)
[出演]COWCOW

※この公演は終了しました。

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