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3組の個性がひとつに!
「鬼ノ宴」のセッションで締めくくった
『SKID ZERO pre. 窓 -MINAMI WHEEL EDITION- 2026』レポート

未来あるアーティストの音楽活動を幅広くサポートするプロジェクト「SKID ZERO」が手がけるライブイベント『窓』。アーティストが新たな世界へと飛び出していく直前の、みずみずしい瞬間を届けることをコンセプトに、注目のアーティストたちが出演してきた。今回はFM802がおくるライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL 2026』とのコラボレーション企画として大阪で開催。10月14日(水)、Live House Pangeaに友成空、KeNN、お風呂と街灯の3組が集結した。個性の異なる音楽が響き合い、最後には一夜限りのセッションも実現。これから広がっていく音楽の可能性を感じさせた一夜を、終演後のコメントとあわせて振り返る。

【KeNN】

親密な歌声と多彩なサウンドで会場を包む

「ルーツや表現は違えど、ポップスというところで共通している3人の音に身をゆだねてください!」。MCのFM802 DJ・豊田穂乃花の紹介を受けてトップバッターを務めたのは、北海道・遠軽町出身のシンガーソングライター、KeNN。DTMによるトラックメイクから作曲、楽器演奏まで自身で手がけ、HIP HOPやR&Bなど多彩な音楽的ルーツを生かし、独自のポップサウンドを追求している。

秋らしいデニムのセットアップで登場し、「おおきに!」とラフに挨拶。まずはギターを愛でるように奏でると「Forget U」へ。リズミカルなカッティングが軽快なサウンドで、イベントの幕を開ける。続く「フタリノセカイ」では、ピックを口にくわえて指弾きのイントロを奏で、ザクザクとした音色と柔らかくセクシーな歌声、力強いストロークのコントラストで聴かせた。自然と起こるハンドクラップも、会場に心地よいグルーヴを生み出していく。

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「今日はお越しいただき、誠におおきにです」と関西弁を交えながら、「使い方合ってる?」とおどけてみせるのも彼らしい。DTMでさまざまな楽器を使って曲を作っていると紹介し、「このあとの2人は"ピアノマン"なので、ジャッジされてる感じが怖いけど......頑張ります!」と披露したのは「sad dance.」。ピアノに向かい、ソウルフルな歌声に想いを込める。演奏後、「ほぼ人生初のピアノ弾き語りでした」と明かすと、客席からは驚きの声が上がった。

10月21日リリースの新曲「Sweet Home」では、「24時にすぐ聴いて友達にすすめてください!」とアピール。DTMで重ねた音を弾き語りで表現する難しさを率直に伝えながら、「手拍子でヘルプしてください」と観客に呼びかける。息の合った手拍子に「心強いです!」と応え、リラックスしたサウンドで新たな一面を見せた。

大阪での忘れられない思い出を語り、会場との距離をさらに縮めると、「RUST」では「トゥルラッタッタ~♪」のコールを観客と一緒に。待機中の2組にも届けようと声を促し、キャッチーなフレーズとR&Bのグルーヴが会場を満たす。ラストの「One in a million」では、スマートフォンのライトで星空を作るようリクエスト。「今日はいい夢が見られそうです。ありがとう」と、きらめく客席を見渡しながら美しいファルセットを響かせた。ギターだけでなくピアノも交え、歌声と人柄の魅力を届けたステージだった。



【お風呂と街灯】

日々の「考え事」を音楽に託して

大阪在住の現役学生シンガーソングライター、お風呂と街灯。ピアノを軸にした親しみやすいサウンドに、日々の気づきを歌詞に重ね、リアルタイムな感情を共有するライブが注目を集める。MCの豊田は、MINAMI WHEEL本編で初めて彼のステージを観たといい、「音の華やかさに感動した。視界が一気にひらけていく感覚だった」と振り返り、今夜のライブに期待を寄せた。

4人のバンドメンバーとともに登場したお風呂と街灯は、「コレについて」からライブをスタート。軽快なリズムと強靭なグルーヴで会場を引き込み、クリアな音の重なりが爽快に響く。低く柔らかな独特の歌声には、飾らない言葉をまっすぐ届ける力がある。「ある日の哲学」へとスムーズにつなぎ、時に指揮者のような手ぶりでバンドの音を導く姿も印象的だ。

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2曲終えると「3人での対バンを楽しみにしてきた」と語り、曲作りでは日々の"考え事"を材料にしていると説明。そのときどきの考察が歌詞に反映されていることを話す。「今日、一緒に考え事ができたら」と続け、「革命」へ。サックスの流麗なフレーズが彩りを添え、「夕日放送」ではモータウンを思わせる軽やかなビートに反し、光の中でもがく切実な歌詞がリアルに届く。「逆走」ではバンドのリズムが一段と勢いを増し、怒涛のピアノソロが炸裂。髪を振り乱して鍵盤を弾くアグレッシブなパフォーマンスに、客席から歓声が上がった。

一転して「恥ずかしい日」では、一音一音を大切に紡ぎ、ロングトーンに想いを託す。続くMCでは、ライブでは歌詞がすべて伝わるとは限らないからこそ、曲について話したいと切り出した。「楽しいこともしんどいことも忘れなくていい。全部自分の要素になっている」そんな考えが腑に落ちたときに書いた曲だと、最後の「Tape」に込めた想いを丁寧に語るお風呂と街灯。飾らない言葉からは、自分の音楽を通して伝えたいことが明確に感じられた。

一音目から空気をつくり上げる「Tape」。原曲にはないアウトロでは、シューゲイザーを思わせる轟音の壁が広がり、感情を解き放つような歌唱へと展開する。歌詞だけでなく、ライブならではの音の広がりまで含めて自らの思想を表現した、強い余韻を残すラストだった。



【友成空】

自在なステージングで観客を巻き込む

トリを飾るのは、2002年生まれのシンガーソングライター、友成空。作詞・作曲・編曲からアートワークまで手がけ、中毒性のあるメロディーや、妖しさとユーモアを織り交ぜた言葉選びで注目を集めている。豊田が「曲を聴く度、ライブを観る度、この人はいくつ才能があるの?と思います」と紹介すると、会場の期待も高まった。

友成は、「最後まで楽しんでいってください!」と笑顔で登場し、トラックを起動。キーボードでフレーズを奏でた後、ハンドマイクで前方へと出て「手をあげて!」と呼びかける。「ベルガモット」のビートに合わせ、まさに"僕と踊らない?"という歌詞の通り、冒頭から観客を踊らせる鮮やかなステージングを披露した。ラップを交えながら「みんな最高!」と無邪気に呼びかける姿も魅力的。

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2024年にバイラルヒットを記録した「睨めっ娘」では、「一緒に歌える人は歌って!」と促し、キャッチーなフレーズをたたみかける。「2人と対バンできると聞いたとき、楽しそう!と思った」と語り、友成らしいエピソードを交えて楽曲を紹介。大親友が失恋した際、かける言葉が見つからず代わりに曲を作ったという「コーヒー」では、ピアノを弾きながらしっとりと歌い、表現力の幅を見せる。「普通なことは普通じゃないよね」という想いを歌った「ノーマル」では、ライブに足を運んでくれる人への感謝を真摯に伝え、観客一人ひとりの目を見つめながら歌を届けた。

「初めての人にもいろんな曲があると知ってもらいたくて、こんなセットリストにしました」と明かし、後半はテンポを上げて「月のカーニバル」へ。「お風呂!」「KeNN!」と出演者の名前を呼び、リスペクトを感じさせる場面も。さらにアニメ『キングダム』のエンディングテーマ「咆哮」では、力強いビートと赤い照明の中、客席から拳が上がる。

「これぞ後夜祭って感じじゃない? めっちゃ楽しい!」と笑顔を見せ、最後は代表曲「鬼ノ宴」へ。「好きなことをやっていればいいという曲。好きなように楽しんでください」とピアノのイントロを奏でると、予定していた同期演奏から切り替え、観客にハンドクラップでリズムを刻むようリクエスト。ピアノと歌、そして客席の手拍子が一体となって、その場限りの「鬼ノ宴」を作り上げた。



3組の個性が交わる、一夜限りの「鬼ノ宴」

最後は3組によるスペシャルセッション。KeNNがギター、お風呂と街灯がキーボードを担当し、ベースとドラムにはお風呂と街灯のバンドメンバーが参加。友成空がボーカルを務める特別編成で、再び「鬼ノ宴」を披露した。

お風呂と街灯がアレンジを手がけ、3人がパートを分けて歌うという、この日ならではの展開に客席も歓喜。KeNNのギターソロも飛び出し、それぞれの持ち味が楽曲の中で響き合う。友成は「バンドでやるのは初めてなので、うれしい!」と笑顔を見せ、「この会場で一番うれしいのは僕だと思います!」と感謝を伝えた。

それぞれ異なる音楽性を持ちながら、互いの表現を楽しみ、最後には同じ曲をともに奏でた3組。出演者同士の交流と、観客もその場の音楽を一緒につくり上げる感覚が、『窓』ならではの温かな余韻を残した。終演後、物販コーナーでファンとの交流を終えた3人に今夜の感想を聞くことがきた。

KeNN

「これまで大阪ではサーキットイベントへの出演が中心だったので、今回のように3組を目当てに来てくれるイベントは初めて。関西の人はめっちゃあったかいなと思いました。『sad dance.』は、ほぼ初めてのピアノ弾き語り。ピアノマンであるお風呂くんと空くんの前でピアノを弾くのは、緊張したけど、みんないい顔をして聴いてくれたので、挑戦してよかったです。空くんのことは、大学時代から大好きで、『鬼ノ宴』をカラオケで歌っていたほど。まさか一緒に歌えるとは思わなかったので、ファンとしても本当にうれしかったです!」

お風呂と街灯

「普段は自分の考え事を曲にしていて、それをライブでどこまで表現できるかを大切にしています。今日はここ最近の自分の考え事を音楽にして、しっかり届けられた感覚がありました。KeNNくんも空くんも、それぞれ自分の表現を追求していて、観ていて刺激を受けました。『鬼ノ宴』の編曲をさせてもらったのですが、その場にいる人たちが実際に音を出すからこそ生まれるものを大事にしたかった。決めきった形ではなく、その日のメンバーで作る音楽にしたかったので、2人と一緒に演奏できてよかったです」

友成空

「MINAMI WHEEL本編の緊張感とは違って、今回は後夜祭らしいリラックスした雰囲気がありました。3組の相性がよくて、僕を目当てに来た人以外も楽しんでくれているように感じたし、みんなでライブを作っている感覚がありました。最後のセッションでは、2人が僕の曲を歌ってくれることがうれしくて。『うわ!歌ってくれてる!』って結構見ちゃった(笑)。『この曲を作ってよかった!』とステージの上で噛みしめていました。『僕の曲、煮るなり焼くなり好きにしてください』っていう気持ちでしたよ」

Text by 岡田あさみ




(2026年10月28日更新)


Set List

SKID ZERO pre. 窓 -MINAMI WHEEL EDITION- 2026
2026.10.14. Wed at LIVE HOUSE Pangea
[出演]友成空/KeNN/お風呂と街灯

KeNN
01. Forget U
02. フタリノセカイ
03. sad dance.
04. Sweet Home
05. RUST
06. One in a million
07. Something Wrong (shorts.)

お風呂と街灯
01. コレについて
02. ある日の哲学
03. 革命
04. 夕日放送
05. 逆走
06. 恥ずかしい日
07. Tape

友成空
01. ベルガモット
02. 睨めっ娘
03. コーヒー
04. ノーマル
05. 月のカーニバル
06. 咆哮
07. 鬼ノ宴

セッション 鬼ノ宴