ホーム > インタビュー&レポート > 「まだ誰もやってない弾き方を思いつく」 国内外で反響を呼ぶ次世代ギタリスト その独自の演奏法と新たな可能性
アコギはまだ開拓しきれてない楽器
めちゃくちゃポテンシャルがある
――ケントさんは、フィンガースタイル・ギタリストとして活動されていて、グルーヴ感やリズム感を重視して弾いている印象です。
「そうですね。僕はグルーヴがある方が弾きたいなと思うんですよね。アコギよりも、エレキとかの方がそういう音楽に向いていると思う人が多いかもしれませんが、アコギでもできるぞと。アコギはめちゃくちゃポテンシャルのある楽器だと思ってるんで。まだ開拓しきってないというか、まだ可能性があるなと思っていて、これはまだ誰もやってないんじゃないかな...みたいな弾き方とか、色々思いつくんですよね」
――日本ではギターをやる人はバンドの方に行くのでしょうか?
「ああ、そうだと思います。それか、弾き語りのほうに行くのかもしれないですね。僕がやってるようなソロギターはアジアでの人気がすごいです。押尾コータローさんがデビューした時はすごい衝撃があって、今でも韓国とか中国では押尾さんのコピーをやってる人はたくさんいるんですよね。最近は僕のコピーをする人もけっこう出てきてるようです」
――今後はどういう人にもっと聴いてほしいと思っていますか。
「今までソロギターを全く聴いてない人で、バンドとかR&Bやジャズに馴染みがある人にも聴いてもらいたいですね。音楽好きの方で、ソロギターの音楽を聴いてこなかった人にもっとリーチしたいです。最近、Instagramで動画をよく上げてるんですけど、"こういうフィンガースタイルギターで、グルーヴがありメロディーもコードも複数のことを同時にできるとは思ってなかった"っていう反応をしてくれる人が本当に多くて」
――バンドでギターやベース、ドラムなど複数のプレイヤーが演奏するようなことをケントさんはギター1本で演奏されてるんですよね。
「そうですね。僕はそれぞれの楽器の音が聞こえるという感じで、"分離感がある"と評価してくれる方が多いですね。ソロギターになると譜面通りに演奏しがちなんですよ。機械的というか、そういう演奏にならないようにしています。
例えば、マイケル・ジャクソンなんかは歌ってる時に、ちょっとパーカッシブな、ほんとに聞こえるか聞こえないかぐらいの、ちっちゃい音が歌ってる中に、いっぱい入ってるんですよ。(*ここでマイケルの『スリラー』を例に出して、ギターであってもマイケルが歌うような節回しを演奏で表現しているとのことで、実際にギターを弾きながら...)なるべくその歌の節回しみたいなところを、僕は入れたいんですよね。そういう方がこれまで全然いなかったので」
――より人間的というか、ボーカルのフェイクっぽい感じをギターで表現しているということですか?
「ああ、そうです。フェイクみたいな感じを入れて弾いてます」
――演奏機材に関しては、ルーパーを使用したりはしてないんですね?
「はい、僕はけっこう足元に機材を置いたりするので、その中にルーパーがあるとか、バックトラック的なものを使ってると勘違いしてる方がいるんですが、ぜんぜん使わないんです」
――そうなんですね。ケントさんの演奏を聴いてると、どうやってるんだろうって不思議に思ってました。
「僕の演奏法を、分離感があると言ってくれる方がいるのも本当に複数人で演奏してる感が出てるからそういう風に思われてしまうのかなと思います」
クリスマスのライブはお客さんの近くまで行って
歩きながら演奏するみたいなこともやってみたい
――12月25日には、東京建物 Brillia HALL 箕面 小ホールでクリスマスコンサートが開催されます。ケントさんは初めてギターを弾かれたのが5歳のクリスマスの時だったそうで。
「はい、物心つく前なんで、あんまり覚えてないですけど(笑)。5歳のクリスマスの時に、"何がほしい?"って聞かれて、"アコギがいい"って言ったらしくて。元々、家にギターがあって、両親も日頃から音楽を流したり、ライブに行ったりするような環境で育ったので、自然と自分もやってみたいっていう興味が湧いてきたのかなと思います」
――なるほど、そこから今に至ると。今回は単独では初めてのホール公演がクリスマスに開催されます。
「過去にもクリスマスコンサートをやったことはあるんですけど、25日のクリスマス当日に単独でホールでやるのは初めてなんです」
――メリークリスマスですね。どんな選曲になりそうですか?
「クリスマスの曲はけっこう弾ける曲があるんですよ。ただ、今までお客さんの前で演奏する機会がなかったので。今回は思いっきり弾こうかなと思ってます」
――クリスマスの曲以外では?
「もうほんとに色々やりたいですね。ライブで長らく演奏してない曲とか、それまでに新しいオリジナル曲も良いものができたら、初披露をしたいなと思っています」
――それは楽しみですね。ライブの演出面はいかがですか?
「曲によっては、機材を一切通さずに生音だけで演奏するようなこともやってみたいなと。押尾(コータロー)さんのホールコンサートで完全にアンプラグドの時に、"後ろの席まで聞こえますか?"って言ったりするので、あれをやってみたいです(笑)。
そもそも僕はギター音楽というよりも音楽全般が好きなので。これまでの集大成じゃないですけど、こんな一面もあったんやって思ってもらえるように、持って行くギターの本数も増やして、今まで披露する機会がなかった曲とかもやってみたいと思ってます」
――ケントさんの演奏を生で体験すると、音楽の聴き方もちょっと変わるかもしれません。
「変わると思いますね。特にアコギは三角ピックで弾き語りする楽器と思ってる人が多いと思うんですけど。本当にいろんな音が鳴るし、いろんな音に憑依するするじゃないですけど、そういうことができるような楽器なので」
――ギター1本というすごくミニマムな世界に新たな可能性を見出していますね。
「そうですね。ギターって音が鳴る箱です。この中にバンドかオーケストラが入ってるみたいなイメージでやっています」
――将来的にはどういうところを目指していこうと思っていますか?
「これまで自分の興味がある方向に向かって、ひたすらやってきたので。これからもその方向性は変わらず、自分の好きな音楽をひたすら探求していきたいですね。そうやって続けていく中で、変化ってしていくと思うんですよね。それで、10年後、20年後、どういう結果になってるのか、自分自身も気になってるし。この2、3年で、僕のスタイルも何もかも目まぐるしく変化してきたので、まだまだ探求していきたいですね。もう本当にゴールがない世界なので。ひたすら探求を続けていきます」
Text by エイミー野中
(2026年10月 1日更新)
ニシムラ・ケント… 2003年3月、大阪生まれ。5歳でギターに触れ、6歳のときに押尾コータローの演奏に衝撃を受け、ソロ・ギターに傾倒。2015年、12歳でデビュー・アルバム『First Step』をリリースし、世界的ギタリストのトミー・エマニュエルらから絶賛される。2017年、「Fingerpicking Day 2017全国大会」でグランド・チャンピオンを含む3冠を獲得し、同大会の最年少記録を更新。同年8月にはトミー・エマニュエル東京公演でスペシャル・ゲストとして出演。その後も国内外で活躍を広げ、2021年にはアメリカの大手音楽出版社Hal Leonardからギター楽譜集『Kent Nishimura’s Fingerstyle Solo Guitar Songs』を出版。2023年には香港でのソロ公演を成功させ、同年8月にはクリストファー・クロスが自身の公式Facebookでケントの演奏を絶賛するなど、世界的な注目を集める。2024年4月にはカナダ出身のソロギタリスト、ドン・ロスとの共演ツアーを行い、全11公演を成功させた。圧倒的なテクニックと独自のアレンジセンスで、国内外の音楽ファンやアーティストから高い評価を受ける、次世代ギタリスト。
▼12月25日(金) 19:00
東京建物 Brillia HALL 箕面 小ホール
指定席-5500円
※未就学児童は入場不可。
※許可の無い録音・録画・撮影はお断りいたします。
[問]山川徳久事務所■https://nyagency.jp
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