ホーム > インタビュー&レポート > 王道J-Fusionから新境地まで 精密なアレンジと強固なアンサンブル 4thアルバム『SO-DAYONE!』が完成! 10月から全国ツアー開催
年月は重ねても刺激し合い
毎回新しいことをやりたい気持ちになる
――YouTubeで公開されているニューアルバムの全曲試聴&解説を拝見しまして、今回のアルバムは新境地となる曲が多いような印象を受けました。『Twilight Run』(M-1)から、『SO-DAYONE!』(M-2)、『Cobalt Express』(M-3)はまさにJ-Fusionという流れで、アルバム後半には、メンバー以外の作曲者で、村井邦彦さんから提供されたという『Paris-Nice』(M-5)があり、幻想的な音響の『Journey To Aurora』(M-6)、ドラムンベースでクールな『Black Ice』(M-8)と新しいタイプの曲が並んでいます。
神保「今回は王道な感じから入って、途中からシフトが変わり、けっこう実験色がある曲が出てくる構成になったかなと思います」
向谷「最初から"これぞJ-Fusion"っていう感じの自信作が3つできたんで、その後の変化がすごく楽しくできたなっていう気はします。旅っぽく仕上がったんじゃないかと感じてくれてる人もいます。"ジャーニー"とか、"エクスプレス"とか、曲のタイトルも旅を彷彿させるものがあるし、『Paris-Nice』もなんとなく旅だよね」
――1970年代から現代まで半世紀近いキャリアに裏打ちされた緻密でテクニカルな演奏力に引き込まれ、各楽曲には音楽的な芳醇さやスケールの大きさも感じます。
向谷「もちろん年月は重ねてきたんですけど、鮮度っていう点では全く衰えることなく、毎回新しいことやりたいなって気持ちになってるんで。長くやって、悪い意味で慣れきった関係よりも、刺激をし合いながら新しいもの作りたいと思ってます。今回のアルバムの刺激の要素としては、前のコンサートツアーをやってる最中から、ドラムの神保さんの作曲意欲が止まらなくなり(笑)。もう40曲から60曲くらい出てきてて」
――制作において、ベースになるところは神保さんから出てくるのですか?
神保「いやいや、(メンバーの)誰かが最初にアイデアを出して、それをみんなで膨らませていきます」
向谷「かつしかトリオの楽曲は共作です。けっこう神保さんがいろいろ多くのものを出してくるんですけど、それを元に違った展開のメロディーを出したり、アレンジを進化させたり、色々なものを切り崩したり、場合によっては合体させたりして、新しい曲が生まれる瞬間が随時あって。これ面白いなって(誰かが)出してきたものを形にしていくんです」
日本のシティポップが浸透した後に、
J-Fusionの人気が世界的に広がっている
――最近は世界的にも、J-Fusionの人気が高まっていますね。
向谷「6月にソウルでコンサートした時はお客さんはほぼ全員20代で、ものすごく盛り上がりました。(若いお客さんは)リアルにカシオペアを聴いてた人はまずいないんですけど。その頃からの音楽的な系譜を全部追って聴いているので。(ライブをやるときに)カシオペアの曲を入れておかないとまずいかなと思ってたけど、逆にかつしかトリオのほうがウケてました。SNSや、ネット上でかつしかトリオの曲をたくさん聴いてくれてるんで、みなさん曲を知ってらっしゃるんですよね。ステージに出た瞬間にものすごい声援で。今のかつしかトリオを海外に持って行っても、すごく良い形で盛り上がって聴いてくれるのを体験しました。それくらいJ-Fusionの国際的な人気っていうのは韓国ソウルにとどまらず、北米やヨーロッパ、南米まで全世界的に広がっていると思います」
――その要因はどういうところにあると思いますか。
櫻井「やっぱりシティポップじゃないですかね。ここ数年、海外で日本のシティポップがものすごい注目されてヒットして。それが浸透した後に、J-Fusionの方にみんな興味が湧いてきたっていうような流れにも感じます。日本のJ-Fusionはアレンジが緻密で、メロディーもちゃんとしてますし、ポップスな感じで聞きやすい。海外ではもっとソロで聞かすフュージョン多いと思うんで、外国の人は日本のチームプレーの良さに着目してる気がしますね」
神保「ありそうでなかった音楽として、20代30代の人が聴いてくれてて、若い人に刺さってるという現象が面白いですよね。例えば、サブスクリプションサービスで聴いてる人なんかは、自分の好きな曲と同系統のサウンドがリコメンドされますよね。その流れでシティポップを聴いてると、J-Fusionが出てきて、聴いてみたらなんか面白いなっていうのがじわじわと浸透していったという感じじゃないでしょうか」
向谷「この3人でチームでやってて、自分のパートでは自分で盛り上げる個人プレーもあるんですけど、結果的には個人プレーもチームプレーの一環として奏でているのが如実に現れてる。J-Fusionの中にそれを感じる人がいるんじゃないかな。つまり、素晴らしいソロプレイをやってるアーティストはいっぱいいますけど、私たちはそっちの方法じゃなく、(チームプレイによって)まとまった、聞きやすい音楽で。そういう音楽がいつの間にかJ-Fusionとして海外で人気が高まっているのかなと」
櫻井「かつしかトリオの場合は、やっぱりこの3人だから良いんだと思ってます。(カシオペア時代の)若い頃にものすごい集中して、20枚ぐらいのアルバムを制作して、ワールドツアーもしたし、国内ツアーもすごく数が多かったんですよね。そういう生活を共にした仲間が30年、40年経って、また一緒にやってる。だから、まだ新人バンドなんですけど、4枚目にして、このまとまり方というのは結構早いと思うんですよね」
――かつしかトリオは結成から今年で丸5年ですね。意欲的な活動によって、フレッシュな作品を生み出しているように思います。
向谷「ありがとうございます。やっぱり僕たちがフレッシュでいられるのは、僕たちが好きなように音楽を作れているからです。(カシオペア時代の)昔は何十万枚もアルバムが売れて、トップ10に入る活動をしていて、何枚もアルバムを作ってて、そういう時に色々鍛えられたことは事実です。まだ20代でしたから、右も左もわからない中で周りに後押しされてやってました。でも今、振り返ってみると、当時はどんな曲を作りたかったのか、何をやりたかったのか、それをどこまで明確に持っていたのかなと...。今は制作の現場も自分たちで持ってるし、音楽出版やディストリビューションまで自分たちで管理してて、非常に自由な形でやらせてもらってます。自由っていう言葉はかえってプレッシャーになる可能性がありますが、その程よいプレッシャーを作品作りに繋げて、好きな時に好きなことを責任を持ってやっていくことができています。年1枚のアルバムを出しているのは相当制作ペースが早いと思いますが、だからといって、追い込まれたとか、義務感でやってるっていうことは一切なくて。3人でどうしようかって話し合って、自発的にやっているんです」
――やっぱり自発的に取り組めてるからこそ、自由に新しい曲が生まれてきて、それが作品やライブに反映されてるんですね。
向谷「自由だから何にしてもいいっていうんじゃなくて、自由だからこそ、こういう風にやっていこうっていう意識が芽生えてます。そういう環境を作れたっていうことが非常に重要なので、その中でちゃんといいもの作ろうと思ってやっています」
新曲のみならず、新しいアレンジで
これぞ手弾きバンドという聞き応え
ダンスコーナーも含めて楽しんで
――このニューアルバム『SO-DAYONE!』が10月14日にリリースされて、10月24日から『かつしかトリオCOBALT EXPRESS TOUR 2026』が始まります。昨年のツアーでは演出にもこだわっているというようなお話しをされてましたが、今回はどのようなステージになりそうですか。
神保「前作の曲はストリングスが入っていたので、それをステージでいかに再現しようかと、かなり気をつかったライブだったのですが、今回は割とシンプルですね。曲をしっかり聴いていただけるような作りになると思います」
向谷「ソウルでの演奏の経験が非常に大きくて、それが体に染みついてる感じがするので、純粋に演奏中心で自由なステージができると思います。新曲のみならず、これまで出してきた3枚のアルバムからどの曲を選んで、それに新曲を混ぜてどう作るかっていう打ち合わせを楽しくしていて。アルバムの曲を忠実かつ、新しい切り口でどうやって演奏するのか、アレンジの話しもします。これぞ手弾きバンドっていう感じで、聞き応えがある面白いコンサートツアーになると思います」
神保「その中にはダンスコーナーもありますよ」
向谷「みんなにダンスしてもらおうって、(神保さんが)振り付けも考えてるらしいです(笑)」
――新作には初めてレゲトンに挑戦されたという『Marmalade Island』(M-4)がありますね。そのダンスコーナーの前にはレクチャーがあって?
神保「ええ、レクチャーします」
向谷「でも結局、センターで踊らされるのは櫻井さんだな(笑)」
櫻井「なんかそういう音楽以外の楽しめる要素っていうのをいつも考えてるから(笑)、やる方も楽しいですよね。お客さんも喜んでますからね」
向谷「僕も最初は、ちょっとビビってたんですよ。だって、普通に演奏してて、そこで、"これから皆さんダンスしましょう"って言って、やってくれるかなと思ったら、(お客さんが)結構やってくれるんです。それがだいぶ定着してきてます」
櫻井「ダンスコーナーで、最初は僕が1人で(ダンスを)回ってたのに、その次から3人とも回れるようになっちゃって(笑)」
――それは楽しみですね。大阪では、11月3日(火・祝)に森ノ宮ピロティホールでの公演となります。最後にあらためて次のツアーに向けてメッセージをお願いします。
櫻井「かつしかトリオも5年目になって、さらに充実してきた感じがありますので、演奏もトークもダンスも含めて、大阪の皆さんに楽しんでいただければと思って、作品作りとコンサート活動をしてまいりますので、ぜひ会場にいらしてください。お待ちしております」
神保「(大阪の開催日の)11月3日は文化の日です。昨今、J-Fusionというのは日本の文化として世界的に認められてますので、昔、フュージョンを聴いてたという方も、フュージョンを聴いたことがないという方も、皆さんお友達を引き連れて観に来ていただきたいなと思ってます」
向谷「昔フュージョンを聴いてた人は、"J-Fusion、昔から知ってるよ!"みたいな(笑)、それくらい気楽に来ていただけるんじゃないかと。それと、ダンスコーナーもありますので、心でも、体でも踊って聴けるステージにしたいと思います。僕自身もこのコンサートをすごく楽しみにしてます。ぜひよろしくお願いいたします」
Text by エイミー野中
(2026年10月 7日更新)
2026年10月14日(水)発売
YCCS-10126/3500円(税込)
[収録曲]
01. Twilight Run
02. SO-DAYONE !
03. Cobalt Express
04. Marmalade Island
05. Paris-Nice
06. Journey To Aurora
07. Last Train To Summer
08. Black Ice
09. TANBI(耽美)
10. TanTan
かつしかとりお…2021年、初期CASIOPEAに在籍した櫻井哲夫(Ba)、神保彰(Dr)、向⾕実(Key)によって結成。2022年に配信された新曲はiTunes Storeジャズチャート1位を獲得し、全国7か所のホールツアーは各地で⼤きな熱狂をもって迎えられた。2023年、オリジナル1stアルバム『M.R.I_ミライ』を発表。先⾏配信したタイトル曲も連続してジャズチャート1位となり、3度⽬の全国ツアーはSOLD OUT続出。2024年、さらに突き抜けたサウンドで構築された2ndアルバム『ウチュウノアバレンボー』をリリース。それに伴うホールツアーは前回を⼤きく上回る動員を記録した。そして2025年秋には巨匠ドン・マレーをエンジニアに迎えたLAレコーディングによる3rdアルバム『“Organic” feat. LA Strings』をリリース。続いて⾏われたツアーも⼤盛況のうちに幕を閉じた。2026年は台北、ソウルで初の海外公演を開催。⼤熱狂の観客はワールドワイドの⼈気を裏付けるものとなった。10月14日に4thアルバム『SO-DAYONE!』をリリース。10月24日から『かつしかトリオ COBALT EXPRESS TOUR 2026』開催。
【東京公演】
▼10月24日(土) かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
【福岡公演】
▼10月31日(土) 福岡市民ホール 中ホール
▼11月3日(火・祝) 17:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-9000円
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
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