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「僕ら今、めっちゃ“音楽やってます”」
等身大の自分と向き合い、信頼できる仲間と
音を鳴らす中で見つけたBLUE ENCOUNTが進む道

今年の3月に続き、ぴあ関西版WEBに登場となるBLUE ENCOUNT。前回のインタビュー時にリリースした「ボートレース2026」の上半期TVCMソング「幻日」に続き、7月にリリースしたTVアニメ「片田舎のおっさん、剣聖になるII」のエンディング主題歌「未完成」について田邊駿一(Vo&Gt)と辻村勇太(Ba)にインタビューを行った。前作に続きTHE CHARM PARKがバンドとタッグを組んでアレンジを担当。それによってバンドにもたらされた大きな変化や「等身大」という楽曲のテーマについて語るうちに、田邊からは「音楽やってんすよ!」と力強い言葉が飛び出すなど、熱のこもった時間となった。

心の根底にある熱量や僕らの等身大の目線を、
いかに具現化するかがこの曲では大事なことだった



――今年3月にインタビューさせていただいた際、あの時すでに「幻日」以降の制作も着々と進んでいるということ、そしてTHE CHARM PARKさんとのタッグがかなりしっくり来ていると伺いました。

田邊「はいはい! そうでしたね」

――それが今回のシングル「未完成」だったんですか?

田邊「それも含め、曲をたくさん作っていました。本当に今のブルエンはチャームくんと共にあります」

辻村「フレーズの話はもちろん、コード進行や曲が生まれた後のアレンジや編集の話も含めてやり取りをしているのですが、彼には音楽理論が備わっているので感覚的な話だけではなくロジカルな話もできる。僕らのよさを伸ばしつつ、+αの部分を作ってもらっていると感じます。激しい楽曲からバラードまで何曲か一緒に制作したことで、"こういう曲もやってみたい"と思うものが増えました」

――CHARM PARKさんとの作業によってブルエンの幅が広がった、と。

辻村「広がる一方ですね」

田邊「曲の全てに絶妙なスパイスを足してくれて、最終的にいい効果になるんです。元々あった素材がよりよくなるんだから...シェフですよね。一流のシェフに素材を差し出して料理してもらっている感じ。僕らは素材を素材のまま出したいバンドだったからライブ然とする作品にこだわりを持ってやってきたけど、時と共にシーンのトレンドが移り変わってきたので、それに抗うのではなく挑戦するのは必要だと思っているんです。音作りに工夫をするというか。その点でチャームくんは僕らのやってきたことと今やりたいことを踏まえて膨らますサポートをしてくれる稀有な存在です」

――なるほど。

田邊「ただ「幻日」みたいなミドルバラードはチャームくんの得意分野だと思うんですけど、今回の「未完成」に関してはむしろ僕らの界隈的な楽曲なので...」

辻村「界隈! そーだね!」

田邊「だからこそチャームくんにお願いするの、少し迷ったんですよ。曲自体は去年の時点でデモができていたんですよね」

辻村「曲ができていたからこそ、チャームくんとやることでどんな化学変化が起きるかを見えない部分もありました。デモ時点で想定していたブルエンらしい泥臭さがなくなるような気がして」

田邊「でも彼もロックバンド経験者だから、チャームくんとやることでブルエンとして新たなものが見えるかもしれない方に賭けてみようと今回もお願いすることにしました。そしたら曲を渡して1ターン目から、曲が"うわ、何コレ!"みたいな驚く変化をして。考えてみれば、ラウド系プロデューサーと一緒にやることはもちろん容易にできたことなんです」

辻村「まぁそっちの方が僕らも完成形を想像できるよね」

田邊「でも逆にチャームくんがピタリとハマったのは、「未完成」の内容がカギだった気がするんです」

――どういうことですか?

田邊「「未完成」のテーマ性がそもそもラウドにする必要のないものだったから、というか。心の根底にある熱量や僕らの等身大の目線をいかに具現化するかがこの曲では大事なことだったんです」

――「幻日」に続いて「未完成」も等身大がキーワードになっているんですね。

田邊「「幻日」も「未完成」もタイアップ曲なのですが、テーマは同じ"等身大"です。偶然にも2作に同じテーマが手元に届いたことで、神様がお前たちは今を見つめろと言っている気がして。「幻日」では10年前の自分と向き合ったうえで今の自分だから言えることを歌詞にしましたけど、その言葉を言えた後に"じゃあ今、俺はどこにいるの?"と思うようになって。現在地を見つめたことで「未完成」が生まれました。「幻日」と「未完成」のテーマ性が同じで、そしてチャームくんが僕らの中の何かを引き出してくれると思えたからこそ、彼にプロデュースをお願いしようとなりました」

辻村「やっぱりチャームくんと一緒にやるとワクワクするし僕らの想像力も膨らむし、レコーディングも楽しくて。同世代だからこそ気負いなくできますしね」

――しかもシェフとして超一流だから、いい素材を差し出すぞ! という意識も高まりそうです。

田邊「そう! 生産農家としては、"私が作りました!"っていい野菜を作りたくなります(笑)。それにこのシェフに任せたら大丈夫という安心感があるから、考えすぎずに野菜を作れる。これまでは作った曲ののびしろまで自分たちで考えないといけなかったんです。こういう完成を目指したいからアレンジはこうしたい、じゃあメロディーがちょっとむずいなとか。いろいろ同時に考えながら制作を進めるから、イメージに合わないものができるとイラッとしてメンバーとぶつかったりして」

辻村「田邊が言いたいことはこういうことかな? と予測ばかりしている時期もありました」

――CHARM PARKさんはプレイヤーでもありプロデューサーでもあるから、いろいろな作業も気持ちも理解してもらえそうです。

辻村「そう。言語化も上手なので、今の僕らには本当に必要な人だと思います」




等身大というテーマを
自分自身が渇望していた



――田邊さんがデモを作られた際、どういう思考で「未完成」が生まれたのでしょうか。

田邊「それこそテーマをいただいて作り始めた途端、第一声でこの曲のサビが出てきたんです」

――「幻日」も呼ばれるように作ったとお話されていました。

田邊「2作続けてそういう状況で作れたのは、等身大というテーマを僕自身が渇望していたからなのかなと思うんです。少し前のタームにこのテーマを受け取っていたら...自分とは? と考えて詰まっていたのかなと思うけど、この2曲を作ったタイミングでは心の乾きを埋めるかのように湧き出てきた感じでした。書ける高揚感で筆がどんどん進んだのは幸せな制作でしたね」

――力みなぎる制作の様子が伝わります。

田邊「それと、ブルエンの新たな背中の押し方のモデルができた気もして。今までは直線的な応援歌を書いていたけれど、この2作から本質をぶらさずに自分のやってきたことを楽曲に昇華できるようになってきたと感じているんです」

――歌詞をストレートに受け取るならば、若者世代とかつて若者だった世代の両極にいる人に刺さる曲だなと感じました。現在まさに未完成であることを憂う人と、かつて未完成だった時代を振り返る人に。

田邊「未完成という言葉の価値観の違いですよね。未完成と言われることが嫌で、大人になりたくてもがいた10代20代があって...まさにインディーズの頃がそうで、あんなふうになりたいということを目的地に据えてやってきたけど、いざそこに立ってみたら山の中腹でもなかった。なんならそこに立ってもスタート地点でしかなくて、山の頂上はまだまだ上で傾斜はまだ続くんだという感覚で生きているんです。今自分が何合目にいるのかはわからないけど、現時点での"未完成"はそこに対する悔しさではなくて、未完成であることの喜びというか。僕らの未完成はチャームくんと出会えたことで完成へと続くんじゃないかなとも思えました。それくらい未完成であることもポジティブで。先を追えば追うほど未完成であることを突きつけられるんです。まだやれんじゃん、なんでやんねぇんだろって。それを今言えたのは、自分がまだまだ登り続けたいと思っているということなんだろうなと」

――最初、タイトルを見た時に22年活動しているバンドが「未完成」と掲げるのがすごいなぁと思いました。

田邊「あはは! そうですねぇ」

辻村「インディーズ時代こそ、僕らはそれを掲げたくなかったんです。舐められたくなかったし、ちょっと強がってもいましたしね。そういう過去があるからこそ今は未完成であるとポジティブに言えるのかなと思います」

――辻村さんは田邊さんからのデモが上がった時、どんな感想を持ったのでしょうか。

辻村「デモの時にはすでに未完成という言葉があったんですよね。最近は田邊の扱う言葉にもすごく信頼を寄せていて、僕もこの言葉の意味がすごくよくわかるんです。僕ら4人共が同じ場所に立てているからこそ、一緒に背負えるなという。実は昔...迷いがあった時期は歌詞に共感できないこともあったんです。そういう意味ではより、同じ場所に一緒に立てている実感があります」

――同じ場所に一緒に立てている実感があるのは、田邊さんがある意味の迷いの中から抜けた印象があるからですか?

辻村「どうなんでしょう? 僕もニューヨークでの活動を挟んでバンドに合流したことで思うこともたくさんあるし...そういうことも含めて今だからこそ柔らかくお互いに信頼しあってできているのかな。そのうえで音楽を純粋に楽しめているのが大きいと思います。最近特にライブが楽しいし、未来への課題もたくさんあるけどそれさえも楽しく感じられているんです」



同世代が集まって
楽しく音楽をやっている



――「未完成」は、メンバーの歌詞への共感があったうえでどのように音を組み立てていったのでしょうか。

辻村「最終的な目的地は漠然とあったけど、明確にはしていませんでした。メンバー各々がチャームくんと話をしながらできた音がコレですっていう形ですね」

――前回のインタビューで、田邊さんもメンバーを信頼して音作りは委ねているとお話しされていました。

辻村「うん、ですね。お互いの音に口出しもしていませんしね」

田邊「チャームくんも常に僕らと一緒に音の実験をしてくれている感じなんです」

辻村「あの人は柔軟だし僕らのことも信頼してくれているので、ちょっとした提案にもおもしろいねやってみようと言ってくれて」

田邊「いろんな音を試して試して、つどつど一番いい形を選ぶというやり方でした。すごく楽しみながら作業をやっているというか。本当に学生の頃にスタジオでやっていたようなトライの仕方ができているので、"一周したな"とも思うんです。もはやチャームくんが5人目のブルエンメンバーとしてやれているのがいい効果を生んでいるなと思います」

――CHARM PARKさんの提案に対して、ブルエンメンバーはどのように対応していくのでしょうか。

辻村「例えて言うと、僕はベーシストとしてチャームくんが弾いてくれたベースをさらに横に伸ばしているんです」

――横に伸ばす?

辻村「さらにうねらせたり、一部を抜いたり、歌詞や音がないところに音を足したり。ここはドラムをあえて入れようとか、ここはさっきベースが際立ったから2番のAメロはギターを生かそうとか、やっぱり足し算引き算ができるのはおもしろいことでした」

――CHARM PARKさん参加以前はやっていなかったことですか?

辻村「やってきていますが、さらにそれがチャームくんによる言語化と音楽理論で具現化しやすいから、全員が納得できるんですよね」

――辻村さんも前回のインタビューで楽曲内の一音一音の価値を高めていきたいとお話しされていました。

辻村「そうですね。だからこそ一音一音が貴重な、いい感じの石を丁寧に拾い上げるみたいな作業を積み重ねているなと思います」

田邊「最終のミックスは5人でやったんですけど、そもそも僕ら4人だけでもできる作業ではあるんです。これまでも4人で作業することもありましたけど、それだと主観が強くなりすぎるんですよ。ひとりひとりがプレイヤーとして自分の音に耳が向くので、全体像が見えにくいというか。だからこそミックス作業にすごく時間がかかったりするんです」

辻村「それぞれのこだわりのポイントも違うし、聴けば聴くほどいろいろ曖昧になっていっちゃうんです」

田邊「本当にメジャー1stから3rdアルバムくらいまでは、ミックス作業が地獄のように長かった(笑)。だからか、悪い意味で"未完成のままだった"という印象がすごくあって。ところがチャームくんは音の素材集めまでを実験として行って、ミックスという最終段階でそれを全てひとつの鍋に入れてかき混ぜる時には、頭の中ではレシピが見えているというか」

辻村「盛り付けまで見えてる感じもするもんね」

田邊「そうね。とはいえ本当に最終的な味付けは僕らに任せてくれるんですけど、そこまでで彼が提示してくれた完成の答えは、気づけばちゃんと僕たちの答えとして存在しているから不思議なんです」

辻村「エンジニアの佐々木くんもありがたいことに同い年で、もう僕らもやっていて楽しくてしょうがないんですよね」

田邊「いろいろなスキルとたくさんのこだわりをもってここまできて、同世代が集まってめっちゃ楽しく音楽をやっているんです。...あ、今パッと出てきました。僕ら今、"音楽やってます"。いいですよね。パッと言葉で出てきたことに自分でびっくりしてますけど、音楽やってんすよ」

――今のチームがすごく楽しいし自分に自信はつくし、いい楽曲はできるし道も見えるし。

辻村「最高です」

田邊「チーム、できあがりましたね」

――ゾーン入ってますねぇ。

田邊「入ってますね。ここからもちゃんとしたものを作れると思えるから、僕も安心して曲を作れるなと思います」

――バンドがゾーンに入った状態で、秋にはアルバム完全再現ツアー 2015-2018 「still B.E. coming」が始まります。このツアーは新曲「未完成」に加えて、2015年~2018年にリリースされたメジャー1stアルバム『≒』、2ndアルバム『THE END』、3rdアルバム『VECTOR』それぞれを完全再現するツアーという試みです。

田邊「リリース当時のツアーはホールではなくライブハウスだったんですね。あの頃から一緒にいてくれているみんなも同じように年を重ねて、守るものや大義が増えていっていると思います。当時の衝動を、今度はホールのひとりひとり指定席があるという居場所の上でどう噛み締められるんだろうという思いがありました。もちろん「未完成」もやりますし、現在地を確認できた曲と当時の自分たちの曲との対比もおもしろいと思います。あの頃は本当に音圧で勝負! という感じだったので、今回はそこではないのかな。本当にCDを完全再現するくらいのつもりで」

――あ、完全再現とはCDの音を、という意味で?

田邊「それも含めていろんなことですね。解像度を上げる...曲を作った時の背景や心情、音までもちゃんと表現できるのがホールのよさかな。だから僕らにとっても、ツアーを始めてみてわかると思うんです。完全再現とは、ということが」

辻村「過去の自分と対峙する気持ちもありますね。田邊も昔書いた歌詞は今同じ心情では書けないと思うんですけど、完全再現という言葉を借りて向き合うことができると思います」

田邊「報われる曲があるのかなと」

辻村「あの頃の曲たちがやっと...! みたいな感じとか。長い時間を経たことで昔の曲たちともまた一緒に進んでいけるし、このツアーを終えたうえで新曲ができる可能性もありますしね。また自分たちが成長できる機会を、このツアーでいただけたらと思っています」

取材・文/桃井麻依子




(2026年10月14日更新)


Release

『未完成』

発売中
1320円(税込)
SECL-3364
SME Records

《収録曲》
01. 未完成
02. 幻日
03. 未完成(TV size)

Profile

ブルー エンカウント=熊本発、都内在住4人組ロックバンド。2014年メジャーデビュー。エモーショナルかつ等身大の言葉の数々を、ストレートに伝えるライブパフォーマンスには多くの共感を集める。デビュー以降メッセージ性の高い歌詞と、熱いバンドサウンドが話題となり、ドラマやアニメ、映画、CMなど数々のタイアップ楽曲を担当。アニメ「銀魂」「僕のヒーローアカデミア」「BANANA FISH」などのアニメ主題歌のみならず、ドラマ主題歌なども数多く手がける。中でも「僕のヒーローアカデミア」OPテーマ「ポラリス」は全世界総再生数1億回再生突破、日本テレビ系土曜ドラマ「ボイス110緊急指令室」主題歌「バッドパラドックス」はストリーミング総再生数6000万回を記録。2021年4月には横浜アリーナにて初のワンマンライブ2DAYS開催、2023年2月には約六年半ぶりとなる武道館でのワンマンライブを開催。2025年2月には約5年ぶり5枚目のフルアルバム『Alliance of Quintetto』をリリースし小箱・Zepp含む25本のツアーを完走。2023年3月より活動拠点をアメリカと日本の2拠点にしていたベース・辻村勇太が帰国し、4人体制での活動を再開。2026年1月には「幻日」がボートレース2026 TVCMに起用され、同年7月からはTVアニメ「片田舎のおっさん剣聖になるⅡ」エンディング主題歌に新曲「未完成」が決定。


Live

BLUE ENCOUNT アルバム完全再現ツアー 2015-2018 「still B.E. coming」

【岡山公演】
▼10月24日(土) 倉敷市芸文館ホール
【福岡公演】
▼10月31日(土) 福岡国際会議場 メインホール
【東京公演】
▼11月6日(金) LINE CUBE SHIBUYA
【北海道公演】
▼11月21日(土) 共済ホール
【宮城公演】
▼11月23日(月・祝) 電力ホール

PICK UP!!

【大阪公演】

▼11月29日(日)・30日(月)
NHK大阪ホール
全席指定席-7800円
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要。
※公演自体が延期・中止となる場合を除き、いかなる理由に関わらずチケット購入後の払い戻しや再発行は行いません。
※開場/開演時間/席種は変更となる可能性があります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【愛知公演】
▼12月5日(土)・6日(日) 岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
【東京公演】
▼12月11日(金) LINE CUBE SHIBUYA

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