インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > AKASAKIがメジャーデビュー 驚異的再生数を記録した20歳の“現在地” 「知らないってすごくいいこと」


AKASAKIがメジャーデビュー
驚異的再生数を記録した20歳の“現在地”
「知らないってすごくいいこと」

2024年12月に発表された「Bunny Girl」がストリーミング世界総再生回数3億回以上、MV再生回数9千万回以上という驚異的な数字を叩き出したAKASAKI。2025年12月には日本人ソロアーティスト史上最年少(当時)となる10代でのアジアツアーを実現させるなど、一躍、新世代を担うアーティストとして名前が挙げられるようになった。そんなAKASAKIが7月23日、シングル曲「トンチンカン」のリリースをもってメジャーデビューすることを発表した。7月27日に20歳の誕生日を迎え、勢いに乗る20歳の“現在地”について、話を訊いた。

――「Bunny Girl」はリリース以降、SNSを中心に大ヒットを記録しました。TikTokを開けば、毎日のように同曲を使用した動画も見ました。一方、10代ですでに確固たる代表曲ができたことで、今後の活動ではそれを超えていく大変さも生まれたように思えます。

「多くの方に「Bunny Girl」を聴いていただいたありがたさはもちろんあります。でも、早い段階で"大いなる屍"ができた感覚でもあるんです。もちろん「Bunny Girl」含めすべての楽曲を大切にしていきたい。「Bunny Girl」の広がりが自分の自信につながった面もありますが、だからといってとらわれたくもない。僕は曲を作ることに夢中になるタイプなので、もし超える必要があるなら、自然とそういうことができるかなと思っています」

――「Bunny Girl」は内容のすばらしさはもちろんですが、あの曲を撮影した動画に重ねると、どんなものでも雰囲気良く見える"魔法"のような効果があります。何気ない動画もMV化させてしまうというか。

「僕は普段からインスピレーションで曲を作っています。言葉にできないイメージや、言葉にできないけど見えているものを表現するために、どういう音楽を作るか。それが自然と、みなさんの日常のシチュエーションに合った曲になるのかもしれません」

――メジャーデビュー曲「トンチンカン」はどういうイメージから制作が始まったのですか。

「まず「自分のことを素直に書こう」というところから始まりました。いろいろな葛藤、良いことや悪いこと、考えなきゃいけないこと、決断しなきゃいけないこと、手放さなきゃいけないこと、逆につかみ取らないといけないこと。僕は様々なネガティブ、ポジティブについて考えたことをポップスへ落とし込んでいきたい。傍から見れば、そういう僕の姿が「トンチンカン」に見えることもあるのかなって。だけど「トンチンカン」であれば、いろんなイメージで見られても気にならないし、周りには流されない。だから憧れがあります。僕はシンプルにビビリな性格だし(笑)、だからこそ"自分のアート"にもっと自信を持ちたい。いや、作るものに対しては自信があるけど、その自信を提示する場所はステージ以外ではまだありません。自分自身はまだ「トンチンカン」になり切れていないかな」

――AKASAKIさんの若さですでに手放すものがある、という話は興味深いです。

「何かに挑戦するとき、どうしても選択しなければいけない機会が出てきます。選択肢が二つあったら、本当はどちらも手にしたい。でも、どうしても一方を選ばなきゃいけない。つまり選択するということは、もう一方を手放すという感覚なんです。「トンチンカン」でメジャーデビューをすることができましたが、何かをそぎ落としたり、時には足し算や引き算をしたりするなど、いろんな入れ替えをしながらここまで来ました。それもまた一つの選択で、手放すものもあったと思います」

――「トンチンカン」はそうしたAKASAKIさんの内面性だけではなく、サウンド面も非常に聞き応えがありました。じっくり聴くといろんな音が鳴っていて、繊細なアレンジやアイデアを感じ取ることができます。「音を足して膨らませる喜び」に満ちていますよね。

「しっかりと意図が伝わって、すごく嬉しいです。実はもっともっとやりたかったくらいなんです。やりたいことをやった上で、タイトにもしたいと思ったし、凝縮もしました。「聴き手に伝わるかどうか分からないな」というくらい細かく詰め込んだので、「いろいろな音が聴こえる」と言ってくださって本当にありがたいです。あと、僕が曲を作るときはメロディーと言葉のリズム、楽器のリズム、メロディーラインとリズム、それらを妥協しないという意識を持っています。これも感覚的ではあるのですが、リズム全体を長方形のように見立てて、どれだけ美しい波形になるかを考えています。シンメトリーが大好きで、そういうバランスを意識しています」

――そうそう、シンメトリー。歌詞も「韻を踏んでいる」とかではない。言葉や語感もシンメトリーが意識されていますよね。

「リズムも歌詞も鏡になっているのが僕の理想なんです」

――一方で「トンチンカン」は多国籍な雰囲気の中でも特に中華圏の要素を思わせる曲調が目立ちますが、でもそれに染まりきっていない。AKASAKIさんの曲はシティポップの文脈で語られることも多いはずですが、その点も同様。既存のジャンルから「少し外す」をやっていて、比較されすぎないようになっていますよね。

「それはある意味、自分の無知さゆえかもしれません。たとえばシティポップをやろうとしても、僕はその基礎は分からないし、なんならJ-POPの王道展開なども学ばないままここまでやってきたんです。でも知らないってすごくいいことだと感じています。人間は、何かを知っちゃうと自分でストップをかけてしまうことがあると思っています。知って損することはないですけど、知らなくて損することも、クリエイティブや芸術においてはない気がしています。子どもの頃の方がいろんなものを自由に伸ばしたり、こねたりすることができましたし」

――確かに子どもの頃の方が純粋にクリエイティブに向き合えますよね。あと疲れも知らなかったから、何かをやることに恐れがないんですよね。

「逆に小さい頃は知らないから、いろんなことを知ろうとしていく。またいつか、結局は知ることにもなる。僕は固定されたもの、変わらないものをずっと手の中に持っていられるから、シンメトリーのようなものが好きなんです。一方で人や環境は変化するし、それにいちいち対応しなきゃいけないことへの苦手意識はこれまで強くありました。それでも人生ベースで幸福度を見たとき、やっぱり変わり続けることも必要。だからどこかのタイミングで、それまでの自分とは大きく外れたルートに行く可能性もあるかもしれません。特にこれからワールドツアーで様々な場所を訪れるので、そこで見る景色や聴く音楽によって、自分が変化していく可能性があります」

――20代に突入したことで、気持ちの面でも変化しそうですね。

「僕は10代という年齢を結構、前に押し出してこれまで活動してきました。10代じゃなくなったことで、どんな風に思われるかなって。でも周りのみなさんのおかげでワクワクできることがたくさんあります。そういうワクワクを与えてくださるみなさんへの感謝とリスペクトを忘れず、がんばっていきたいです」

Text by 田辺ユウキ




(2026年9月 1日更新)


Release

1st Major Single「トンチンカン」

配信中

配信リンクはこちら

Link