ホーム > インタビュー&レポート > バンド休止後初のソロアルバム『A』を携え 全国ツアー中の山内総一郎。 迷いの先に開けた未来を彩る楽曲について エネルギッシュなツアーについて語る
描きたい夢があるなら
自分以外の人のせいとか、時代のせいにして
やり切らないのはもったいない
――ソロとしては初の全国ツアーが8月2日大阪から始まりました。初日を振り返っていかがでしたか?
「ありがたかったですね。初日が地元大阪で、とても幸せな時間でした。これまでバンドでたくさんツアーを回らせてもらったけどソロとしては初めてだったので、気負うというかちょっと怖さもあったんですが、皆さんの声、表情、すべてに支えてもらった感じですね。みんなが一曲一曲、噛み締めて聴いてくれているのがこちらにも伝わってきてそれが幸せで。それによって僕はすごく背中を押された感じがあって、また新曲を作りたいなという気持ちになりました。普段曲を作っていて、届けたい人の顔が見えているか、見えていないかの違いはすごく大きくて。ライブをやることによって、"この人たちに聴いてもらいたい"と思うものをまた作りたいと思えたのも良かったですね」
――客席の熱気もすごかったです。
「皆さんの顔を見ながら演奏するような余裕はなかったけど、アルバムっていうものを作らせてもらって、リリースできて良かったなとあらためて思いました。安心ももらえたし、自分がまったく変わりましたね。安心っていうのは、"これが山内総一郎の再スタートの一歩目だ"っていう今回のアルバムをみんなが受け取ってライブに来てくれていること。これまでの"今日やる曲は全部新曲です"みたいなライブとは全然安心感が違いました」

――そのアルバム『A』について、特に印象深い曲を中心にお聞きします。昨年のソロ開始以降、活発にリリースされてきた楽曲も含む全11曲には、バンドを経てソロになり、このアルバムが完成するまでの日々が生々しく刻まれているように受け取れました。『Beautiful Notes』(M-2)は、4月の大阪公演で初披露された際は終盤に演奏されましたが、アルバムではインストゥルメンタルに続く2曲目で力強い幕開けのように聴こえました。
「『Beautiful Notes』はアルバムの中で一番最後に作った曲なんです。アルバムが仕上がりつつある中で、あとどのピースが足りないだろうと考えた時に、このアルバム自体がソロになった自分のドキュメンタリーのようなものになっているから、ある意味作品を総括するような、"こういうアルバムだよ"というものを最初に持ってくるのがいいなと思って。人生はまだまだここからが序章です、僕はそう思いますという意思表明を幕開けの歌としようという思いで作っていきましたね」
――<何万通りの選択を繰り返し>とか<迷えないよりずっと良いんだよ>など歌詞のあちこちにグッとくるフレーズが溢れていますが、<声にもなれない叫びとか 飲み込んでしまう涙とか あたまを抱える虚しさを あなたはきっと嘲笑わないだろう?>という一節は、これまで聴いてきたファンやこれから出会うリスナーも含め自分の音楽を聴く人への深い信頼が込められているように聴こえました。
「そうですね。そういう関係性もあるし、押し付けがましいものではなく寄り添える言葉として、あなたに対して何かメッセージを言いたい。そういう曲が最初に来てほしいなと思って。人生は序章だよってこととか、迷えないよりずっといいんだってこととか、会いたかった自分に会うためにとか、そういうことを歌った歌を一番最初に置くことによって、僕がこの1年半ソロになって戦ってきたことを全部込められるんじゃないかなって。最後に作ったということは、この曲を作る1年半前くらいは僕はこの歌で歌っているようなことをまったく思えていなかったんですね。ここまで来れてよかったなって感じですね」
――ソロ以降のドキュメンタリーというのはそういうことなんですね
「そう。誰かに対して寄り添えるような言葉みたいなのを、紡げるようになれてよかったなあと自分でも思っていて。どうして作品を作って残すかっていうと、やっぱり届けたい相手がいるからなんですよね。一番しんどい時って、誰かに傷つけられている時とかじゃなくて自分で自分を責めている時が一番苦しくって。たとえば"今日はこれをやろう"と設定した仕事をこなせないと、"やっぱ自分はダメだ..."ってなるのって、たぶん僕だけじゃなくて。いろんなものを抱えている方がいらっしゃるんじゃないかなって。でもね、それをやめようぜっていう曲なんですよ(笑)」
――<さあ、鳴らし切っていけ!>とか、<さあ、描き切っていけ!>という強い言い回しにも確かな意志が感じられます。
「そうなんです。日々浮き沈みはありますし、いつも全力でフルパワーでというのは難しいかもしれないけど、この人生を使い果たす時が来た時に"自分は鳴らし切ったんちゃうか"と思えたら最高ですよね。描きたい夢みたいなものがあった時に、自分以外の人のせいとか、時代のせいにしてやり切らないのはもったいないよと思いますよね。それは自分への戒めでもあるんですけど、今の自分には"鳴らしていけ"より、鳴らし切るとか、描き切るといった方が合っているかな。歌詞に"最終章"という言葉も使っているけど、この曲はスタートの曲だけど終わりから見た始まりの曲なんですよ」
スタジオに入って、音を合わせて、
音楽を作るプリミティブな喜びを
あらためて経験することができた
そこからエンジンがかかった
――アコギから始まる静かな曲『海に来てしまった』(M-7)は、歌詞の最初の<水を買いに 出ただけなのに 何故か海に 来てしまった>だけで掴まれますね。
「何言ってんの?って思わないですか(笑)。この曲はバンドが活動休止になってこれからどうしようって時に、ドラムの伊藤大地君が"時間あったらスタジオに入ろうよ"と言ってくれて、ベースの砂山(淳一)と3人で何も決めずにセッションでもしようぜって。曲作りは趣味なのでちょこちょこボイスメモに録ってはいたんで、3人でスタジオ入った時に、そういえば何か作ってたわと思って『海に来てしまった』の原型を弾き出したら、みんなが合わせ出して。イントロからの感じとか展開もすごい好きだから、形にしたいとは思ってたんですけど、3人で合わせた時に"いいじゃん、いいじゃん"って言ってくれたことが本当に嬉しかったんですね。音楽を作るプリミティブな喜びの経験をしたというか、また立ち返れた経験でもありましたね。自分は音楽が好きだし、ライブもやりたいし、これまでのファンの方も新たに聴いてもらいたいリスナーの方もいるし、これをやるべきだなって」
――ソロの起点になった曲なんですね。
「この曲を作ったことによって、自分の中でグルンとエンジンがかかったというか、全部が動き出した感じです。全然そんなふうに聞こえない静かな曲なんですけどね。僕は静かな曲が大好きなので(笑)」
――さっきの話にも通じますが、やろうと決めたことができなくて自分を責める気持ちではち切れそうになっている時とか、世界中の人にそっぽを向かれていると感じるような時でも、この曲はただ隣にいてくれる曲なんじゃないかなと感じます。手を差し伸べるとかじゃなく、ただそばにいるというか。
「そうですね。今振り返ってみると、たぶん自分が一番傷ついている時に書いてますよね、この曲。じゃないとこの歌詞にならないかなって。その時は気づいていなくて、今歌ってみると、そっか僕はあの時ちょっと傷ついとったんか...というのを思い出すんですけど。それでも"自分は自分や"っていうところに帰結していく物語を描いているんですよね。『人間だし』(M-5)という曲でもそう歌ってますね。そういうことばっかり歌ってます(笑)」

――<強がることも 弱ぶることもないさ 続く日々を行こう>や、<迷いながら 傷つきながら>という歌詞は、同じような思いや経験を抱えている聴き手にとってはとても響くでしょうし、その人の歌になるんじゃないかなと思います。
「聴いてみてもらいたいですね。...<弱ぶることもないさ>っていいフレーズだな(笑)。ただこういう曲ですけど、できた時はめちゃめちゃ万能感が湧き出ましたよ。"うわー、自分の好きな曲ができた!俺はもう大丈夫だ!"みたいな(笑)」
――あははは!大丈夫って良い言葉ですね。今作の曲はどれも"頑張れ"って直接呼びかけることはないけど、聴き手が励ましを受け取れる曲になっていますね。
「言いたいんですけどね。"頑張れ"って。好きな言葉なんですよ」
――ではいずれそういう曲も作りますか?
「あ、はい、作ります(笑)」
――山内さんはご自身のことを歌っているようでいて、いつの間にかそれが聴き手の歌にもなっている。『あなたのうた』(M-10)は特にそう感じました。
「そういうものになったらいいなという願いはありますね。この曲もね、"この曲があれば僕はもう大丈夫だ"って思えるぐらい好きな曲ができたなと思ったし、この曲を通して、いろんな人の顔が浮かぶんです。1人1人の顔がすごい浮かんでいくっていうか、友達でも家族でも、ファンの人でも、知り合いの人でも、誰を思い浮かべても当てはまるんです。今までこんなことなかったんで、できた時は"よっしゃー"ってなりましたね(笑)」
――以前山内さんは、20年後も30年後も歌える曲を作り続けたいと言われていましたね。
「僕はこの曲はもうずっと、めちゃめちゃ歌っていきたいですね。いい曲って、老若男女問わず伝わりやすい音楽だなと思うんですね。『あなたのうた』は奥行き的な話じゃなく、本当に直接的な言葉でできていて、それは自分の中で、包んだような言い方をするんじゃなくて直接言おうぜっていう感じがあって。さっきの"頑張れ"がなんで好きかということにもつながるんですが、"頑張れ"って言葉って突き放してるように見えて、"あなたはあなたのものだから、頑張ってね"と言える大人の距離感であったり、その人の優しい距離感を保ててる、すごくいい言葉だなと思っていて。だからいつか書いてみたいんですね」
――いつか聴けるのを楽しみにしています。アルバムを聴き終わった後にちょっと不思議な感覚があって。いつもはもう一度最初から聴こうと思ったりするんですが、このアルバムを聴き終えた時は、CDのケースを閉じて、次は自分のやるべきことに向かおうという気持ちになっていて。
「ありがとうございます。これは言っておこうと思ったんですが、いつもだったらアルバムができた時は"繰り返し聴いてください"って言うんですけど、今回はアルバムを聴き終わったら一回止めて欲しいです。一回止めて浸るというか、自分のことをいたわったり自分のことを考えたり、自分自身のことを励まして欲しいというか。そうしてもらえるようなものになったらいいなと思っていたんですね。もちろんサブスクリプションもあるし何回も聴く良さもあるんですけどね、一回止めてください(笑)」

――(笑)読者の皆さんにそう伝えます。このアルバムを携えたツアーは9月27日のZepp Shinjukuまで続きますが、ライブではどんなものを届けたいですか。
「ライブの日が、皆さんにとっても僕にとっても人生の序章の第一歩目にできるのはすごく幸せなことなんですね。この先回を重ねるごとにライブもどんどん変化していくと思うし、山内総一郎を知らなくても、今"良いライブを見たいな"と思っている人にはぜひ聴きに来てもらいたいです。なんかね、初めて僕の曲を聴く人にも"良い曲だ"とか"おもろいことやってるやん"って思ってもらえるんちゃうかっていう自信みたいなのが40代半ばにして出てきてるんですよ(笑)。そう言いつつ、皆さんにもっと背中を押してもらいたいという感じもありつつ、すごく良いツアーになっているので、ぜひライブ会場に足を運んでもらえたら嬉しいです」
Text by 梶原有紀子
(2026年8月28日更新)
発売&配信中
【初回生産限定盤】
※mu-mo SHOP、イベント会場限定盤
CTZ1-96154/B~C/33000円(税込)
▼Blu-ray ※初回生産限定盤のみ収録
・Music Video映像
・山内総一郎ファーストライブ「TheHoleInTheWall」
・山内総一郎ワンマンライブ「OCTOBERSONGS」
・山内総一郎ワンマンライブ2026「ぶらんにゅーでい」
【DVD盤】
CTCR-96152/B/3960円(税込)
▼DVD
Music Video映像
【通常盤】
CTCR-96153/3300円(税込)
<収録内容>(全形態共通)
01.[A]Introduction
02. Beautiful Notes
03. ソラネコ
04. ぶらんにゅーでい
05. 人間だし
06. スロウダンス
07. 海に来てしまった
08. 旅にでる
09. GOOD FELLOWS
10. あなたのうた
11. 彗星たちのカンタータ
山内総一郎(ヤマウチ ソウイチロウ)…1981年10月25日、大阪府生まれ。フジファブリックのメンバーとして2004年にメジャーデビュー。数々の名曲を世に送り出し、バンドの活動休止を経て2025年夏よりソロ活動をスタート。シンガーソングライター、ギタリストとして新たな歩みを進めながら、様々なアーティストへの楽曲提供やコラボレーションも活発に行っている。ソロデビューにあたり山内総一郎の持つ多面性を、従来の本質的なもの(=変わらない山内総一郎)と、進化や変化をしてゆく音楽性(=変わる山内総一郎)を多面的に表現&展開してゆくプロジェクトとして、A-UNプロジェクトが始動。昨年7月の初のソロライブで発表した新曲より、ファンのリアクションで選ばれた「旅にでる」「GOOD FELLOWS」を10月22日に配信リリース。10月29日にはテレビ東京系ドラマ25「晩酌の流儀4 ~秋冬編~」オープニングテーマ曲「人間だし」をリリース。以降、12月から2月にかけて3ヶ月連続で「ソラネコ」「彗星たちのカンタータ」「BANBANZAI!!」をリリース。2026年7月22日(水)に1stアルバム『A(読み:あ)』発売。現在は同作を携えたツアー中。
【大阪公演】
▼8月2日(日) Zepp Namba(OSAKA)
【神奈川公演】
▼8月22日(土) KT Zepp Yokohama
【愛知公演】
▼8月22日(土) NAGOYA ReNY limited
【北海道公演】
▼9月5日(土) cube garden
【福岡公演】
▼9月12日(土) DRUM Be-1
【広島公演】
▼9月13日(日) LIVE VANQUISH
【宮城公演】
▼9月22日(火・祝) 仙台Rensa
【東京公演】
▼9月27日(日) Zepp Shinjuku(TOKYO)
【大阪公演】
▼10月3日(土) 14:00
大阪ステーションシティ5F 時空(とき)の広場
全席指定-4000円
[出演]斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/TenTwenty)/井上花月(Laura day romance)/三原健司(フレデリック)/山内総一郎
※未就学児のご入場はお断り致します。
※1ドリンク付。
※イベント当日は記録やメディア取材のための写真・動画撮影が入ります。お客様が映像や写真に映り込む場合がございますので、あらかじめご了承ください。
▼11月7日(土) 13:30
服部緑地野外音楽堂
一般チケット-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
キッズチケット-2500円(中高生対象、整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]あい(ハク。)/Ito(PEOPLE 1)/柄須賀皇司(the paddles)/ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ)/山内総一郎/ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)
[司会]中島ヒロト
※小学生以下は保護者同伴に限り無料で入場可能です(ドリンク代のみ必要です)。
※雨天決行/荒天中止。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。
※パラソル/テント類も持ち込み禁止です。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されますので予めご了承ください。
※出演アーティストの万一のキャンセル・変更になった場合、チケットの払い戻しは一切いたしません。
[問]GREENS■06-6882-1224
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