ホーム > インタビュー&レポート > 負の感情への向き合い方を見出した先に生まれた「未練」 シンガーソングライター・Lavtが メジャーデビューを前にして向き合った自らの心とは
人間らしさを曲に落とし込むため
まず向き合うことにしたのは"自分自身"
――まず取材日の今、開催真っ只中の3rdワンマンツアーの手応えからうかがえますか。
「めちゃくちゃ楽しいライブができています。1stと2ndのワンマンはコツコツ家の中で作った曲をどうライブ感を出して表現するか、それに加えてみなさんと一体になれるライブをするにはどうしたらいいかを模索しながらやっていたんですけど、この3rdワンマンでそれがちょっと形になったかなと思っているんです。僕が跳ねたらみんなも跳ねてくれるし、歌って! と言ったら歌ってくれて、お客さんと対話している感じもあって。そういうことがいいライブを作っているなと思います」
――お客さんといいコミュニケーションが成立するライブができるようになった理由は見えていますか?
「ライブの中でこの曲はみんなと一緒に跳ねたい、この曲は歌ってほしいというのはもちろん、これは自分がちゃんと歌うことで曲をみんなに届けたいとか、伝え方にメリハリをつけたことでお客さんにも想いが伝わったんじゃないのかなと思います」
――ということは、自分の曲を俯瞰で捉えてライブでの見せ方を具体的に想像しながらセットリストが組めたことへの手応えもあったのではないですか。
「そうですね。この曲とこの曲はテーマが似ている曲だから、つなげてみたらどうだろうと考えながら組んでみたりもしました。自分の想像した反応をもらえてすごくいい状態でライブができていると思うし、それがお客さんにも伝わっていいライブになっていると思います」
――この取材の時点では最終の東京公演を残すのみです。実はこの公演でメジャーデビューを発表される予定なんですよね。
「はい。ライブの中で"今後はこういうことをやりますよ"という意思表示をしつつ...ライブの終盤で発表になるかなと思っていますけど...。僕、Ki/oon Musicからメジャーデビューするので、やっぱり僕が音楽を始めたきっかけであるASIAN KUNG-FU GENERATIONが所属しているというのは自分の中で大きい部分なんです。そのことはぜひステージ上でも伝えたいなと。メジャーデビューは、新しいスタートであることをちゃんと表現できたらなと思っているんです。どんどんいろんな人に音楽を届けていきたいという意識はずっとあるので、それはメジャーデビューのタイミングでも改めて大切にしたいことでもあります。とにかくメジャーデビューが楽しみでしかないですね」
――楽しみ、っていいですね。
「メジャーデビューしたら、本当にいろんなことが変わると思うんです。ただそれも込みでちゃんと地に足をつけてやっていきたいと思うし、自分の中でも好きな音楽を明確にしながら新しい場所でやっていきたいなと思うので...うん、楽しみですね」
――そして8月19日に配信シングル「未練」でメジャーデビューを飾ります。ちなみに前作EP『solitude』のリリースからわずか2ヶ月なので、その作品についても少し振り返っておきたいなと思います。この作品はタイトルにもあるように「自らが選んだ孤独」や「孤独と共に生きること」がテーマになっていましたが、まずこういったことをテーマにした理由とは?
「今まで自分のネガティブな部分を言語化するタイミングがなくて、僕としてはそういう感情は人にバレたくないし気付かれたくないから自分の中に留めることが多かったんですよ。ただそうしていくうちにどんどんその感情が心の底に沈んでいって、触れられない状況になることもあって。でもこれからも音楽活動をしていく中で、自分がどういう人間なのだろうとか、自分のネガティブな感情はどういうところからきているんだろうというのを、このタイミングで一度ちゃんと向き合った方がいい方向に進んでいくんじゃないかなと思ったんです。ちゃんと前を向いて歩いていくきっかけになるんじゃないかと」
――なるほど。思考の道筋がすごくよくわかります。
「ああいうことが辛かったよな、苦しかったなとかそういうマイナスな感情に向き合うことで、逆に楽しかったことや幸せだったことにも目が向いたんです。それによってめちゃくちゃ自分を知ることができたというか。もちろん今までも自分のことを曲に書くことはありましたけど、深い部分までは触れずに書いていたというか。なので、ちゃんと自分に向き合って作ろうと思ったのが『solitude』でした」
――でも自分のネガティブ面には、目を背けたいと私は思っちゃいます...。
「わかります。ホント、しんどかったです。あの...最近AIがどんどん発達しているじゃないですか。その技術で音楽も作れるようになって。だからこそ人間らしさをいかに曲に落とし込むかは、今後とても大事になっていくと思ったんです。そのためには自分に向き合わないと表現できないのでは? と。人間辛いこともしんどいことも絶対にあるし、そこに向き合って音楽を作ることで、すごく意味のある作品になるんじゃないかなと思いました」
――見えてきた自分のネガティブな感情を、自ら書いて自ら歌う心境はどうですか? そこに難しさはありませんか。
「恥ずかしいという気持ちは...正直ありました。でも感情はすごく乗るんです。曲を作っていく中でも表現の仕方に迷いがない。自分のことですから。僕的にこれはこれでいいし、これからも続けていきたいなという気持ちではあります」
――先ほどお話しいただいた3rd「ワンマンにいい手応えを感じている」というのは、自分と向き合った経験をしたこともプラスに働いていそうですね。
「それはあると思います。あとはLavtとして活動してきた中で、Lavtというキャラクターだけが一人歩きしていく感覚があったんです。ライブになると、Lavtとしてのスイッチを入れる瞬間があるというか。それがポジティブに働く部分もあるけど、自分とLavtのキャラクターがどんどん離れていって、いつかわかんなくなっちゃう時が来たらすごく怖いと思いました。Lavtとしての自分と本名の自分がちゃんと手をつなぐことでライブの表現も自然なものになると思ったし、ちゃんと自分のことを歌うことで気持ちも乗せられる。それがいいライブになっているんだと思います」
――自己との対話を経ての楽曲制作を、新スタートと位置付けているメジャーデビューの前に行えたというのはグッドタイミングでしたね。
「メジャーデビューを前に不安がないのは、そのおかげかもしれないです!そのまま歩いていけたらなと思うし、ネガティブな気持ちになっても自分がどう行動すればいいかわかったので、深みにハマる不安もないと思っています」
未練や後悔があることによって
新たに紡いでいく日々は絶対にある
――自己との対話を行ってのEPを制作しワンマンツアーを経て、今最高の状態でメジャーシーンへ進む準備ができていると思います。メジャーデビューシングルにはめちゃくちゃ気合いが入ったと思うのですが、どんな曲を作ろうというところから始めたのでしょうか。
「メジャーデビュー前の自分と向き合ってそこから新たな一歩を踏み出せたらなという話につながるんですけど、自分と向き合う中で未練や後悔という感情にもぶつかったんです。でもその感情の果てにはポジティブに生きていこうと考え始める自分も見つけました。つまり負の感情があることで、また前を向いて歩き始めることができるんだと気づきました。何よりも負の感情との向き合い方が大事で、未練や後悔があることによって新たに紡いでいく日々は絶対にあることを歌いたいと思ったんです。それで未練をテーマに制作を進めました」
――前作のEPは"選んだ孤独"をテーマにされていましたが、歌詞の中では悩みはしても解決するところまでは描かれていないことが特徴的でした。でも今回の「未練」では、ネクストステージが見えるところまで描かれているのは一歩進んだ感じがしました。
「『solitude』を作ったことがめちゃくちゃ大きかったからだと思います。自分が見えたことで、じゃあ今後どうやって生きていけばいいかという方向性も見えましたし。今回の歌詞でいうと未練がなくなるよというアプローチではなくて、未練も自然な感情だしそれが支えになることもあるという想いのもと、こういう曲に仕上がりました」
――ただこのメジャーデビューシングルのタイトルに「未練」という文字がバーンと来たことに、ものすごくインパクトを感じました。サウンドには物悲しさや憂いがないのでジットリ感はありませんが、「未練」という字面に圧倒されたといいますか。
「メジャーデビューは本当にうれしいけど、本当に"それでしかない"という側面もあるんです。僕としては「未練」という曲を出すことによって、未練というものは暗いものでもないと表現したかった。未練があってもそれを理由にまた前を向けるということもあるし、最終的には抱えているものを受け入れながらまた歩いていくよと歌うことが、僕のメジャーデビューのタイミングにはすごく必要かなと思いました」
――そんな想いを詰め込んだ歌詞に対して、曲はどのように生まれたのですか?
「最終的には前を向くという歌詞になるので、あまり暗い感情で曲は作ることはなかったですね。『solitude』はそもそも何も解決していない歌詞だからどうしても内向きになっていましたけど、この曲を作る時のマインドは明るいものでした。歌詞を書き上げた時に出口は見えていたので、そこに向かえばいいだけだったというか。ただ悲しい感情がないわけではなかったので、そこにきっちりと向き合いつつ曲を作っていきました」
――意外だったのが、テンポのゆったり感でした。ここ最近デビューシングルを取材させていただいたアーティストの曲は、スタートダッシュ的な疾走感が感じられる曲が多かったのもあって、すごく新鮮なテンポのポップソングに聞こえたというか。
「多分これは僕の性格が出ているなと思うんですよ。めちゃくちゃ心配性で、今から行くぞ! っていう時や出かける直前に"忘れ物してないかな?"とかすごく確認しちゃうタイプなんです。だからこそメジャーデビューはするんだけど、自分のことに向き合ってきたことも表現したいという慎重な感じが出た結果かなと思います」
――だとしたら...めちゃくちゃ地に足がついていますよね。
「いや、なんか気ぃ張っちゃうんですよ。うれしいことでも1回落ち着いて今の状況を判断しないといけないなというか」
――大人ですねぇ。
「いやいやいや! 心配性なだけです!」
――そういう心配性なところも含めて、自分のどんな部分が「未練」から伝わっていったらいいなとか、考えるところはありますか?
「曲のテーマでもあるんですけど、人には絶対にある未練や後悔の向き合い方がひとつ何かわかるだけでも今後生きていく中で変わっていくことがあると思うんです。そう思うからこそ、今未練や後悔があって辛い想いをしている人の心に寄り添えるような楽曲になればいいなと思いますね。ライブに足を運んでもらうことはもちろんですけど、今はSNSで直接反応を見ることができるので、共感に意味があるなあと思っているんです。例えばこういうことが辛いっていうひとつの状況に対して、共感を得られるだけで1人じゃない感覚になるでしょう? こういう悩みは誰でもあるんだよと知ることができる安心感も絶対にあるから、そこは大切にしたいなと思います」
――なるほど。今回の「未練」の報道用の資料に《Lavtの現在地を刻んだメジャーデビュー作》という一文があって、これがすごく印象に残りました。今、Lavtはどんな場所に立っているイメージでしょうか。
「めちゃめちゃ前を向いています。とにかくメジャーデビューできることがうれしいので、ただただ自分がいいと思える曲をどんどんリリースしたいと思うし、そばに置いておきたいと思ってもらえるような曲をたくさんたくさん作りたいなと思います」
――もう、マジでここからやるしかない! という地点に立っているわけですしね。
「はい。今までは自分が気持ちいい音楽を作っていたところもありましたけど、メジャーデビューできるというのはお客さんが付いてきてくれて、聴いてくれる人がいるからこそなので、その人たちに少しでも心を寄せられる曲を生み出したいですね」
取材・文/桃井麻依子
(2026年8月13日更新)
ラウト=2002年⽣まれ、⼤阪市出⾝のシンガーソングライター。⼩学⽣時代にASIAN KUNG-FU GENERATIONの影響でベースを⼿にし、独学でギターと作曲を習得。ボーカロイドシーンやネット発の創作カルチャーを経て、2023年より現名義で本格始動。J-POPを軸に、エモーショナルなオルタナティヴポップ/ロックを再構築。デジタルネイティブ世代ならではの感性と歪んだギターサウンド、内省的で痛みを帯びた詞世界が交差し、オンラインとライブハウスを横断する存在感を放つ。2024年LINE MUSIC「NEXT SPIKES」に選出。同年リリースの「オレンジ」がSpotifyバイラルチャート⼊り。「L4DY」は台湾SpotifyバイラルTOP50にランクインし、11⽉に1st EP『ZERO』を発表。2025年にはSpotify「RADAR: Early Noise 2025」に選出。初のワンマンツアー「growing pains」は全公演ソールドアウト。SUMMERSONIC 2025、SWEET LOVE SHOWER、WILD BUNCH FEST.など⼤型フェス出演を経て、ミニアルバム『glauben』をリリース。続くセカンドワンマンツアーも即完売を記録。2026年⽇本テレビ「バズリズム」内「コレバズ」で11位にチャートイン。同年8⽉2⽇、3rdワンマン「RE:BORN」ツアーファイナル‧恵⽐寿LIQUIDROOM公演をソールドアウトさせた。ネットカルチャーとロックリスナーを横断する存在として、シーンの現在地を更新し続けている
【福岡公演】
▼2027年2月11日(木・祝) 福岡BEAT STATION
【宮城公演】
▼2027年2月13日(土) 仙台MACANA
【北海道公演】
▼2027年2月27日(土) 札幌SPICE
【大阪公演】
▼2027年3月6日(土) BIGCAT
【広島公演】
▼2027年3月7日(日) 広島CAVE-BE
【愛知公演】
▼2027年3月14日(日) 名古屋CLUB QUATTRO
【石川公演】
▼2027年3月20日(土) ⾦沢AZ
【東京公演】
▼2027年3月28日(日) 渋⾕Spotify O-EAST
「SUMMER SONIC 2026 OSAKA」
【大阪公演】
▼8月14日(金)~16日(日) 万博記念公園
※Lavtの出演は15日(土) [PAVILION STAGE]
「Maxell presents FM802 MINAMI WHEEL 2026」
【大阪公演】
▼10月10日(土)~12日(月・祝)
ANIMA/AtlantiQs/BEYOND/BIGCAT/BRONZE/CLAPPER/club JOULE/club vijon/CONPASS/DROP/FANJ twice/FootRock&BEERS/hills パン工場/JANUS/OSAKA MUSE/OSAKA RUIDO/Pangea/soma/SUNHALL/VARON/なんばHatch(10日のみ)
※Lavtの出演は12日(月・祝)
Lavt オフィシャルサイト
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