ホーム > インタビュー&レポート > 大阪・南堀江のFLAKE RECORDS 20TH アニバーサリーイベントで2日間にわたって共演! 台湾/Elephant Gym・KT Chang× 日本/MASS OF THE FERMENTING DREGS・宮本菜津子 対談
北米ツアーを経験して、腹が据わった(宮本)
――お二人は以前から親しくされていると思いますが、出会いについてうかがえますか。
宮本菜津子(以下、宮本)「2018年にカナダで開催された『Next Music from Tokyo』というイベントに一緒に出たのがきっかけです。日本のインディーズシーンが大好きなSteven Tanakaという男性が、とにかく好きなバンドをカナダに呼んで開催しているイベントで、私たちは『Vol.13』に出ました」
――日本のバンドと台湾のバンドがカナダで出会うって、世界は広いですねぇ。
宮本「広いですよね。 Elephant Gymの出演はそのイベントの歴史の中でも例外だったはずです。台湾のバンドが出演したのはElephant Gymだけやと思うよ」
KT Chang(以下、KT)「ホント? そうなんだ〜」
――お互いのライブを見た時のことは覚えています?
宮本「はじめてライブを見た時は、とにかくびっくりしました。KTに初めて会ったのは確かバンの中だったんですけど、すごく小さくて可愛くて物静かな印象で。でも、ライブが始まったら、ステージにはさっきと180度違う女の子がいて!めちゃめちゃびっくりしました」
KT「なっちゃんは、ステージの外ではすごくチルな人だと思いました。私も日本語はそんなに話せないし、なっちゃんも英語はそこまで話せないけど、コミュニケーションが取れるのは不思議です。ステージでの彼女は本当にクイーンみたいで、ライブ中もずっと喋っていたカナダのお客さんがマスドレのライブを黙って見ていたのは驚きでしたよ」
――言葉がスムーズでなくても、コミュニケーションが取れちゃうのはなぜでしょうか。
KT「ビールビール!」
宮本「それはあるかもね」
KT「いつも飲んだ時は何を話したか覚えていないけど、たくさんハグしてコミュニケーションを取ります」
――何を話したかは覚えてないんだ(笑)。ちなみに、お互いのバンドを見ていて真似できないなぁと思うことはありますか?
宮本「私はElephant Gymの曲を聴いていて、こりゃ自分にはできないな!と思いますね。テクニカルやし、自分の中にないものっていうか。あと、すごく不思議なバンドだなぁっていう印象があって。カチッとした音楽やバンドはあまりにも整いすぎていて無機質に感じることがあったりするんですけど、Elephant Gymは3人の体温をすごく感じるのが魅力です。」
KT「技術的に難しいことをしているように聞こえるのは、私たちは3ピースだからこそ要素が少なくなることを恐れて、音を詰めようとしているところがあるんです。そうすると音楽も複雑になってくるので、いいことばかりではなくて難解な音楽になったり難しい音楽になることもあるなぁと思っています。マスドレの素晴らしいところは、本当にパワーがあってストレートな音楽をメンバー3人が同じ方向を向いてやっているところだと思います。マスドレにしかない独特のトーンもあって、それが海外でよくお客さんが言っている"どこか日本っぽい"っていうところなんだと思うんですけど、そこも魅力的ですね」
宮本「えー、ありがとう!」
KT「私もマスドレは真似できないです。だからこそ私たちは別々の有名バンドだっていうことなんですよね!」
――(笑)! 別々の有名バンドでありながら、2組とも海外で自由に活動をしているというのは大きな共通点です。自国ではない場所で活動することで、得られたことも大きかったのではないですか。
宮本「私は、2023年に自分たちのツアーで初めて北米に行ったことで人生が大きく変わったと感じています。音楽って本当にすごいっていうか...もちろん今までも信じてきたけど、よく言う"音楽に国境はない"っていうことを体と心で感じさせてもらえたんです。人類みな兄弟みたいな? その言葉の本質を海外で活動したことで本当に理解できた気がしていて。その体験から生きる上での視野がパーンと広がったのは、本当に大きな変化だったなと思います」
――視野が広がったことでライブのやり方も変わりました?
宮本「やっていることは変わってないと思うんですけど、 変わったと言われることは増えた気がします。自分としては何か変わったかなぁという感じもあるけど、物の見え方は確実に変わっていて、ちょっとどう話すのが正しいかわからんねんけど...自分の人生がイージーモードになったというか。ここまで信じてやってきたことが間違ってなかったって思わせてもらえて、、腹が据わったっていうのかなあ?」
――腹が据わった、って強いですね。KTさんはどうですか?
KT「まずは海外ツアーをすること自体、簡単なことじゃないなっていうのは感じます。大量の荷物を持っての移動が本当に大変で、特に楽器を持って移動することが私たちをクレイジーにするんです。それくらい大変な思いをするツアーでも、ライブになるとお客さんは私たちに対してめちゃくちゃクールだっていうイメージを持ってくれるので、そういう経験が積み重なってプレッシャーを感じない心を作ってくれたと思います。それはなぜかというと、私たちはステージ上で1時間だけクールでいられればよくて、オフステージでもクールでいる必要はないんです。ただただ荷物を運んでいるだけの私たちが、ライブになればクールに見てもらえる。これがアーティストなんだな! と思いました」
――二人とも、海外での経験を経て気が楽になった感じですか?
宮本「海外の方が気楽なんかな。KTはどう?」
KT「いやー、全然台湾の方が気楽でいいよ!」
(通訳)補足ですけど、KTは本当に家が大好きなんです。
宮本「あ、おうちといえば、私KTのおうちに泊まりました! 台湾でライブした時に」
KT「一緒にお酒飲みました〜」
宮本「みんなでKTの家の屋上みたいなところで飲みました。屋台のご飯買ってきてお酒飲んで風が吹いていて。楽しかったなー」
台湾でFLAKE RECORDSのポップアップショップを!(KT)
――そしてもう1つの共通点といえば大阪のレコードショップ・FLAKE RECORDSです。店主のDAWAさんが主催するイベントに出演したり、アナログ音源を出したりしていますよね。KTさんとDAWAさんの出会いはいつですか?
KT「日本のレーベルのマネージャーが紹介してくれたんです。FLAKE RECORDSに連れて行ってもらいました。2018年のツアーの時、Shangri-La公演で大阪にいた時かな」
――なるほどそんなきっかけだったんですね。例えば日本以外でもFLAKE RECORDSのような付き合いをしているレコードショップはありますか?
KT「レコードショップにはいろいろ行くけど、FLAKE RECORDSみたいな付き合いはないかなぁ」
――宮本さんとFLAKE RECORDSとの出会いは?
宮本「私は、CANCERSっていうアメリカのバンドのジャパンツアーに帯同してくれへん? って連絡が来たところからの付き合いですね」
――え、急に連絡が来たってことですか?
宮本「確かそうだったはず。今やから笑って話せますけど、DAWAさんはあんまりマスドレのこと好きじゃないと思ってたんですよ。挨拶しても仏頂面で"おぉ"とか言うくらいやし、最初"なんか怒ってんの?"みたいな印象やって(笑)。だから当時はライブハウスで会えば挨拶をする程度で、具体的な交流はなかったからオファーが来た時はすごくびっくりしたけど、そこから急に仲良くなったような気がします。DAWAさんが組む海外のバンドのジャパンツアーの対バンに呼んでもらえるようになったりして」
――二人ともミュージシャンとしてFLAKE RECORDSとお付き合いされているわけですが、そのうえであの店のすごいところや信頼できるところについてうかがえますか。
宮本「それはもう、DAWAさんがやっているってところですよね。人です、私は。FLAKEはDAWAさんがいてDAWAさんが動かし続けているものやからこそ信頼できると思ってます」
――そのDAWAさんへの絶対的信頼って、どこから来るんでしょう?
宮本「まず20年同じことをここまで頑なに続けられるのは、自分の中にブレない何かを持っているからだと思うし、あとはあの人、とても風通しがいい人やなぁと思っていて。フィーリングが合うのもあります」
――KTさんにとっても、DAWAさんは信頼できる人ですか?
KT「そう思います。大体打ち上げで飲んだ時にハグして仲良くなっています。でもそれだけじゃなくてElephant Gymのこともたくさんサポートしてくれていて、本当に音楽が好きな人だし、レコードを売るためにいろいろなことをしているというのがすごく伝わります。店に行くたびにラインアップがしっかり変わっていて新しいものもたくさん入っているし、香港や台湾の友人のバンドのレコードも置いてある。そういうところに一生懸命レコードを売ろうとする姿勢が見えるんです。それと私たちのツアーの大阪公演でDJをしてもらったことがあるんですけど、それ自体がすごくびっくりすることだったんです」
――と、いうと?
KT「レコードショップの人がDJをして、会場内の雰囲気作りをしてくれるなんてないことだから。そういうところから音楽を好きなことやレコードをすごく好きでいることが伝わるのが、信頼できると思います」
――そんなMASS OF THE FERMENTING DREGSとElephant Gym が、大阪城野外音楽堂でFLAKE RECORDSの20周年イベント『FLAKE RECORDS 20TH』に出演する直前に、東京でFLAKEの周年を祝うツーマンイベントを行うのは意外な展開でした!
KT「それは(Elephant Gymマネージャーの)ショウさんが考えたんです」
(マネージャー)僕が答えるものアレなんですけどFLAKE RECORDSはすごく大事な存在だし、自分が関わるバンドは全てFLAKE RECORDSと近い関係性なんです。せっかく周年を祝う大阪のイベントにElephant Gymを呼んでもらえたので、東京では僕がやります! と話をしました。
――あぁ、そういう展開だったんですね。大阪での本祭を前に東京での前夜祭的な形になるわけですが、どんなことをするか考えていることはありますか?
宮本「前夜祭はツーマンなので、当然ですけど大阪公演よりは持ち時間がかなり長くなります。セットリストに関しては考え中なんですけど、お祝いの気持ちが見えるセトリにはなるかな」
KT「大阪でのイベントは、本当にいろんなアーティストを見られるのがすごく楽しみなんですけど、東京ではなっちゃんと、マスドレと一緒にやるっていうのが大きなことで本当に楽しみです」
――マスドレとElephant Gymが出演する『FLAKE RECORDS 20TH』2日目の9月12日は男性色強めのラインアップですよね。
宮本「純粋に共演バンドを見るのも楽しみだし、男性色強めの日ではありますけど、いつも通りいい演奏をしたいなと思います」
――KTさんは共演したことがあるバンドとかはいますか?
KT「共演はないけど、LOSTAGEは東京のFEVERで見たことがあります。Age Factoryは最近友達から教えてもらったバンドで、かっこいいですよね。若いですか?」
――30代前半ですかね。
宮本「KTはいくつになったん?」
KT「もう33歳です!」
宮本「もう33かあ!私の中でKTはずっとずっと可愛い赤ちゃんだよ〜」
――そんな話をしている二人がめちゃくちゃ酒を飲んでるっていうおっさんみたいなエピソードも面白いですけどねぇ。最後になりますが、ここまでの20年から次の30年へ向かうFLAKE RECORDSに期待することを聞かせてください。
宮本「まずDAWAさんには元気でいてほしいなあって思います」
KT「DAWAさん、今何歳?」
――先日の取材では53歳って言っていました。その時の対談でも健康の話になっていましたねぇ...。
宮本「まずは何よりDAWAさんには元気でいていただいて、変わらず好きなことを貫いてほしいなっていう気持ちです」
KT「DAWAさんに何を期待するかっていうのはバンドのメンバーともよく話しているんです。ぜひ台湾でFLAKE RECORDSのポップアップショップをやってほしいと思っています」
――おぉ、いいですね!
KT「台湾の人々は日本のカルチャーもすごく好きだし、こっちの友達にFLAKE RECORDSを勧めるんだけど、みんなを店に連れて行くことはできないので台湾でやってくれたらいいなって。DAWAさんは台湾にもいっぱい友達がいるから、来てくれたらみんな絶対にサポートしてくれると思うんです。DAWAさん、ぜひやってくださいね!」
取材・文/桃井麻依子
通訳/吉本 翔(WORDS Recordings)
(2026年8月18日更新)
【東京公演】※SOLD OUT
▼9月10日(木) WWW X
[ゲスト]MASS OF THE FERMENTING DREGS
【大阪公演】
▼9月12日(土)・13日(日) 14:00
大阪城音楽堂
2DAYS 一般-14000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
2DAYS 小中学生-3000円(当日要身分証、整理番号付、ドリンク代別途要)
1DAY 一般-7500円(整理番号付、ドリンク代別途要) 1DAY
小中学生-1500円(当日要身分証、整理番号付、ドリンク代別途要)
[12日(土)出演]
Age Factory/Elephant Gym/LOSTAGE/MASS OF THE FERMENTING DREGS/MONO NO AWARE
[13日(日)出演]
ASIAN KUNG-FU GENERATION/group_inou/Riddim Saunter/Tempalay/んoon
[FOOD]
THE MUSEN IN SHOCK/新世界もつ鍋屋 西心斎橋店
[SHOP]
FLAKE SUPPLY
※小学生以上は有料。小学生未満は入場無料。
※小学生のみでの入場はできません。
※入場口にて年齢確認を実施する可能性がございますので、年齢のわかる身分証明書を必ずご持参ください。
※雨天決行/荒天中止。
※出演者の変更・キャンセルによる払戻しはいたしません。
※会場内での傘/日傘の使用禁止。
※パラソル/テント類の持ち込み禁止。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合があります。予めご了承ください。
[問]GREENS■06-6882-1224
Elephant Gym Web Site
https://www.wordsrecordings.com/elephant-gym
MASS OF THE FERMENTING DREGS Web Site
https://www.motfd.com/
FLAKE RECORDS Web Site
https://flakerecords.com/index.php