インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > コロナ禍に高校時代を過ごした『ユイカ』が 21歳になった今振り返る“戻りたいほど眩しいあの頃”―― 配信シングル「青春は見えない」に綴った心のうち


コロナ禍に高校時代を過ごした『ユイカ』が
21歳になった今振り返る“戻りたいほど眩しいあの頃”――
配信シングル「青春は見えない」に綴った心のうち

奈良出身のシンガーソングライター・『ユイカ』、21歳。2021年にTikTokに投稿したオリジナルソング「好きだから。」が同世代の心を掴み、国内のみならず台湾や香港、ロシアやタイのSpotifyのバイラルチャートで1位を獲得するなど「女子高生シンガーソングライター」として注目を集めるきっかけとなった。以降も「恋泥棒。」など主に10代からの支持を広げながら、活動を続けてきた。2025年に自身が20歳を迎えたことを機に素顔を明かしての活動を始め、以降ライブ活動にも積極的に取り組んでいる。そんな彼女がこの6月、シングル「青春は見えない」の配信をスタート。コロナ禍だった高校時代を振り返り、大人になった今だからこそ心に浮かぶ青春時代について素直な言葉で綴ったポップチューンに仕上がっている。そんな楽曲制作の舞台裏を中心に、じっくりと話を聞いた。

SNSで大反響を得た「好きだから。」は
ワンフレーズがズバッと刺さってくれた



――『ユイカ』さん、お名前の表記が独特ですよね。

「そうですね、カタカナのユイカに二重のカギカッコがつきます。ユイカは本名なのですが、本名でやるにしても唯一無二のものにしたいと思っていました。ただその一方で、本名でやるからこそプライベートの自分とアーティスト活動の自分をどこか区別したい気持ちもあって。それで名前にカッコをつけることで、自分自身を作品として作り上げていこうという意味も込めました」

――本名にこだわった理由は...?

「私は自分が考えていることを歌詞にしているので、曲の中では嘘をつきたくないんです。だからこそ本名にこだわりたいと思いました。私自身の経験や活動自体がひとつの作品になっていけばいいなという願いもあります」

――『ユイカ』さんは10代の頃からSNSを通して音楽を発信してこられましたが、まずは音楽活動を始めたきっかけから伺えますか?

「最初のきっかけはシンガーソングライターのサカグチアミちゃんを大好きになったことです。シンガーソングライターという言葉を知ったのもアミちゃんがきっかけだったし、本当にアミちゃんみたいになりたい! と思ったことが始まりです。彼女みたいになりたくて音楽がやりたいと思ったしここまで頑張ってこられました」

――サカグチさんのどういったところに心を強く掴まれたのでしょうか。

「私、歌詞を読むのがすごく好きなんです。文字で見るのが楽しいし、それが曲になって聴けることで感情も伝わってくる。そんなふうに音楽のよさは歌詞にあると思っているので、アミちゃんの嘘がない歌詞がすごく好きなんです。取り繕っていない信頼感が刺さりまくったんですよね」

――サカグチさんに憧れて、曲を書けちゃったっていうのがスゴいですよ。

「私、好きになるアーティストの作品はとことん聴き込むタイプなんです。聴いて聴いて聴きまくることによって、アーティストさんの曲の作り方にいくつも気づきが生まれるようになって。この曲のどこをこんなにいいと思うんだろう? とか考えながら聴いてきたことが糧になっています。私の場合は歌詞を大事にしているので、書きたいことを一旦歌詞にして絶対に譲れない歌詞にハマるメロを決めていくんです。そこが決まったら他の歌詞はメロにちゃんとハマるか検証して、ハマらない時には歌詞を修正しつつ音にはめていきます。歌詞というものは文学的なものだと思うんですけど、私は意外とロジカルに考えて書きます」

――そもそも音楽は何かされていたんですか?

「ピアノはやっていましたけど7年やって音符も読めなくて! 音楽理論もわかっていないけど、曲を作っています(笑)」

――音符が読めない『ユイカ』さんが、オリジナル曲をSNSにアップして早々にたくさんの反応をもらえたというのもスゴい話ですねぇ。

「そうなんです! 最初にバズった「好きだから。」はTikTokにアップするなら小さな曲の種をたくさん作ろうというモードの時に、できあがっていた小さなアイデアから生まれました。曲のカケラを大きく膨らませて投稿してみたら反応が伸びて。自分自身すごく驚きましたね」

――今振り返ってみると、「好きだから。」はなぜそこまでたくさんの人の心に留まったのだと思われますか?

「2026年の今、この曲を私が弾き語りで投稿してもバズらなかっただろうなと思うんです。時代の流れというものがあって、当時はコロナ禍だったのでSNSを見ている方がたくさんいる時期だったし、首から下だけを映した弾き語り動画っていうのがすごく流行っていました。そこに当てはまっていたのがバズった理由かなと思うのと...、歌詞がすごくわかりやすかったのかな。《かっこいいから好きなんじゃない 好きだからかっこいいんだよ》っていうワンフレーズがズバッと刺さってくれたというか」

――歌詞というか、キャッチコピー的ですよね。

「キャッチコピー! まさにそうだと思います。キャッチコピー的で、ひねりのない言葉を使ったことが難しくなかったんだと思います。かっこいいかどうかと好きかどうかの2つの単語しか出てこないですし。なんでそんな作詞を書けたのかはわからないんですけど」

――しかもこの曲は日本のみならず、香港や台湾、タイなどアジアに留まらずロシアでも支持されているという!

「直訳してもそのままの意味が伝わるというか、ひねりがないからこそいろんな国の人にも伝わったのかなと思います。《かっこいいから好きなんじゃない 好きだからかっこいいんだよ》って、どう頑張ってもこういう意味にしか翻訳できないストレートさがあるというか。そこがよかったのかなと思っています」



状況はどうあれ、青春のあの頃を
恋しく思う気持ちを書こうと思った



――「好きだから。」を発表して5年ほどが経ちますが、その間どんな日々を積み重ねてきたのでしょう? 当時16歳だった高校生の『ユイカ』さんも21歳になりました。

「音楽的に言うと...あの曲を超えるものは正直書けていないと悩むこともめちゃくちゃ多かったんです。ずっと「好きだから。」と戦い続けてきたというか。敵! くらいの気持ちもあって、超えなきゃって。アーティストとして売れていく人は、1回のバズの先にもうひとつそれを超えるものを書ける人だと思うんです。今『ユイカ』といえば? と聞かれたら、「好きだから。」ですって私でも答えるし、だからこそこの曲は超えないといけない壁であって、これを超えるのがアーティストとして大変なことでもあって。もちろん1曲当てるのも大変だけれど、私はそれをしないといけないんだ、でも億以上の再生回数を出せるのかと思う日々だったなと思います」

――確かに「好きだから。」はモンスター的なヒット曲になりましたしね。

「最初がモンスターすぎました。でもそうだったからこそこの5年間ずっと走り続けてこられたのもあります。そろそろこのモンスターと面と向かって戦わないと!と思っているところです」

――そういう思いも抱えながら進む中で、6月にニューシングル「青春は見えない」をリリースされました。この曲の制作の出発点を伺えますか。

「夏の曲を書きたいというところから始まりました。夏の曲ってどんな感じだろう? と考えるうちに青春のイメージが湧いてきて。そうしたら、ライブでタオルを回してもらえる曲にしたい、そのためにはテンポが早い曲にしたいなとかいろんなアイデアが生まれてきて。歌詞を書く前に青春ってなんだろう? と考えてみたら、私の頭にはコロナ禍しか思い浮かばなくて。そりゃそうだよねぇって」

――高校時代がコロナ禍だったんですもんね。

「そうなんです。コロナにまつわる曲というか、会えないとか触れ合えないことをテーマにした曲もあると思うんですけど、コロナと共に学生時代を過ごしていた私はどんな気持ちだったかというと、散々"かわいそうに"とか言われてきて"でもそれが私の青春だったしな"っていう気持ちが強いんです。コロナだったけどしょうがなくない? って。そういう私がコロナを終えて今思っていることをテーマにしてみるのもいいかなと思って書きました」

――『ユイカ』さんが書く歌詞はまるで小説のようにストーリーが展開していくのが特徴だと思うのですが、そういう特徴があるからこそ閉鎖感のあった青春時代のことやアフターコロナの感情を描くうえで言葉選びや展開の仕方で注意したことはありましたか? 

「コロナというワードを出すのはリアルすぎるというか、やるつもりもなかったですけど...青春時代がコロナ一色だったからこそコロナを押し出したくない気持ちはありました。コロナが当たり前だったけどそれはすごく悲観的だなと思ったので、1番の歌詞ではコロナに触れることなく夏や青春のイメージに寄せて。コロナ禍だったからこそ余計に大人たちからは"後悔しないように青春を謳歌しなさいよ"って言われていたんです。そんな青春時代を過ごしていたにも関わらず、今当時の友達と集まっても"あの頃は楽しかったよね、戻りたい!"っていう話になるんです」

――当時コロナ禍ではあったけれど。

「そうなんです。状況はどうあれ、青春のあの頃を恋しく思う気持ちを書こうと。そして2番では自分が過ごした青春のことを書きたいと思ったからこそ少しコロナに寄った歌詞にはなるので、そこは同世代に共感してもらいたい思いが強いんです。でも曲全体としては、自分よりも年齢が上の方たちに刺さって欲しい気持ちがあります。全体的には"青春を終えた自分が大人になって思うあの頃"を書けたらいいなと思っていたからかな」

――青春を振り返るようになったのはいつ頃からでした?

「20 歳を超えてからです。一桁が1から2に変わるのはすごく大きくて、明確に大人になったと思いました。私、18歳で成人になった最初の世代なんです。初代18歳成人組。18歳の時は大人と思わなかったけど、20歳になった時の気持ちは全然違いました。その時に"いつまでも子どものままでいる大人になりたくない"って思ったんです。20歳になったから大人にならなきゃって。だからこそ青春を振り返るようになったのかもしれないです。あの頃は楽しかったよねって振り返るなんて、大人じゃないとできないことですし」

――あぁ、確かにそうですね。ちなみにそういうふうに組み立てた歌詞に対して、メロディーやサウンドはどのように作っていかれたのでしょうか。

「テンポが速い曲という想定だったので、クリックを流しながらこれくらいならタオルを回しやすいなとか、実際に回してみてこのくらいかなとかやりながら(笑)」

――あくまでもタオルを回すことが芯にあった(笑)。

「ですです。テンポがちょっとでも遅いと、回しているタオルがしなってきちゃうんで。実はこの曲は歌詞を書く前のタイミングでタイトルを決めていたんです。このタイトルに合う曲を書こうというか。その時にサビのど頭のメロも出てきて、そこからはパズルのようにそのメロに合うかどうかを考えながら作ってきました」

――タイトルの「青春は見えない」という言葉はどこから出てきたものなんですか?

「青春について書こうと思っていろいろと写真を見ながら思ったのが"あれ? 青春っていつだよ?"って。確かに青春していたけど、青春って何歳からなんだろう? ぼんやり始まってぼんやり終わった感覚があったからこそ、気づかないものなんだなって思ったんです。青春って可視化できない=見えないのか、と。それで出てきた言葉でした」

――確かに青春って、イメージに対する言葉みたいなところがありますね。

「青春っていうのもモノに対する言葉じゃなくて、状況に対する言葉というか。だからこそ形が見えたらいいのにと思ったり、でも見えないからいいのかって思ったり」

――最初に出てきたワードがすごく強かったんですね。

「そこから夏っぽくしていこうと思ったんですけど、歌詞では夏っぽくならないからメロで夏っぽくしていこうって」

――ちなみに「メロで夏っぽく」ってどう作っていくんですか?

「私の夏のイメージはただただハッピーというわけではなくて、ちょっと儚い部分があるんです。日本人だからこそかもしれないですけど、お盆や終戦などもあるからなのかな。だからこそ曲の合間にはマイナーっぽい雰囲気も漂わせたいと思って、Bメロではマイナーから入ってサビでまたメジャーに戻る構成にしたり。Bメロで落とすみたいなことは結構やりますけど、今回はそれを絶対にやらなきゃと思って。メジャーとマイナーの塩梅みたいなところはすごく気にしながら作りました」

――「青春は見えない」の編曲は、『ユイカ』さん自身もファンだというMrs. GREEN APPLEの「ライラック」を手がけられた久保田真悟(Jazzin'park)さんが担当されていますね。

「そうなんです! すごく大雑把なリクエストですけど「売れたいです!」っていうお話をして。売れたい=バズりたいのではなくて、広めたいという意味で。消化される音楽ではなく、思い出してもらえる音楽にしたいとお伝えしました。そこからキャッチーなモノにしようとかライブで披露しているイメージも湧いてきて。エレキギターも弾きたいなとか」

――『ユイカ』さんは弾き語りのイメージが強いので、エレキギターには意外性もありました。

「ロックもできるんです! ってエレキを持って歌い上げたいなと思いました。なので久保田さんとは"お互いが思ういい夏の曲にしましょう"というお話で、私の曲をアレンジするというイメージではなく、一緒に曲を作るくらいの感覚でやりたいですって言ってもらえたのはうれしかったです」

――これまでの自分のイメージの外側にあるような曲を作りたいという意識が最初からあったんですね。

「そうですね。この曲に関しては自分の中に完成の正解があるにはあるけど、それだけではなくて久保田さんのいろいろな意見を聞きたいなと思いました。制作中はこのアレンジになった理由を教えてください! ってお願いしてプロセスを聞いたり、一緒に作った感覚を得られたのは楽しかったです。そういうふうに周りの意見を聞くことで"聴きたいと思ってもらえる曲"を書きたいモードになっているんです。そういうことも売れるということにつながるのかなと思いました」

――完成した「青春は見えない」は『ユイカ』さんにとってどんな曲になったでしょうか。

「最近もライブで披露したんですけど、本当に盛り上がる曲ができたと思います。今までのセトリで欲しいと思い続けてきた穴にピタッとハマった感覚があって。今年の夏はいろいろなフェスに出演するんですけど、限られた時間の中でしっかり戦える曲ができたと思います。だからこそ今年の夏に出演するフェスでは、必ずこの曲をセトリに入れます。もう今年はこの子に任せた! お前しかいないんだ! くらいの気持ちで歌っていきたいですね」

取材・文/桃井麻依子




(2026年7月22日更新)


Release

Digital Single「青春は見えない」

配信中

配信リンクはこちら

Profile

『ユイカ』=奈良出身のシンガーソングライター、現在21歳。2021年にTikTokに投稿した「好きだから。」がティーンから絶大な共感を生み、10代の2万人が選んだ“恋したくなるラブソング”1位にも選ばれるほど人気が急上昇。その人気は日本にとどまらず、アジア各国のSpotifyバイラルチャート入りを果たしヒットを記録。青春の光景をリアルタイムで伝えるアーティストとして熱い注目を集める。2024年にメジャーデビューを発表し、6月に1st Album『紺色に憧れて』をリリース。以降KT Zepp YokohamaやZepp Osaka Bayside、豊洲PITでのライブをはじめ、2025年9月には初の全国Zeppツアーを開催するなど精力的にライブ活動も行っている。2026年9月21日には自身最大規模となる東京国際フォーラム ホールAでのワンマンライブの開催が決定している。

Live

「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026-THANKS 10TH GIGA-」
【大阪公演】
▼7月25日(土)・26日(日)・8月1日(土)・2日(日)
舞洲スポーツアイランド
※『ユイカ』の出演は8月1日(土)10:10~ SKY ARENA STAGE

「LuckyFes’26」
【茨城公演】
▼8月10日(月) 国営ひたち海浜公園

「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO」
【北海道公演】
▼8月14日(金) 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

「MONSTER baSH 2026」
【香川公演】
▼8月22日(土) 国営讃岐まんのう公園

「WILD BUNCH FEST. 2026」
【山口公演】
▼8月23日(日) 山口きらら博記念公園

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026」
【千葉公演】
▼9月13日(日) 千葉市蘇我スポーツ公園

『ユイカ』LIVE「Sanvitalia」
【東京公演】
▼9月21日(月・祝) 東京国際フォーラム ホールA

チケット情報はこちら


Link