インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 「いろんな感情が芽生えたらいいな」 心に花を咲かせる最新作『Garden』を携えた全国ツアー ウクレレ奏者 鈴木智貴 インタビュー


「いろんな感情が芽生えたらいいな」
心に花を咲かせる最新作『Garden』を携えた全国ツアー
ウクレレ奏者 鈴木智貴 インタビュー

奈良県生駒市出身のウクレレ奏者・鈴木智貴。2016年には国際大会で世界一に輝き、YouTubeチャンネル登録者数は13万人を突破した。ライブ活動に加え、レッスン動画の配信や260名規模のウクレレオーケストラの指揮など、ウクレレの魅力を幅広く発信している。現在、6枚目のフルアルバム『Garden』を携えたツアー『SPRING TOUR 2026 UKULELE POP』で全国を巡る中、7月4日(土)には、セミファイナルとなる東大阪公演を東大阪市文化創造館 ジャトーハーモニー小ホールで開催する。ぴあ関西版WEBでは、『Garden』に込めた願い、音楽づくりへのこだわり、そして"もっと身近な楽器"としてウクレレを広め続ける思いについて話を聞いた。

ウクレレのイメージを覆す、最新作『Garden』に込めた想い



――『Garden』を聴いて、ウクレレのイメージが変わりました。ファンキーでアグレッシブな曲もあって、ウクレレ一本でいろいろな表現ができるんだなと。

ウクレレって、ハワイアンなイメージがあると思うんですけど、僕は「ウクレレ×ポップ」をテーマに演奏活動をしています。ウクレレでも、みなさんが普段よく聴いているような身近な音楽を表現できる。そのことをもっと広めていきたいと思っています。そういう思いから、『Garden』では、ポップス調の楽曲など、ウクレレのイメージを少し覆すような楽曲も数多く制作しました。

――初めてLow-Gチューニングで制作したという2曲目の「gravity」はリズミカルでベース音も聴こえてきそうな奏法が印象的です。

ウクレレは、ほのぼのした癒しの音楽というイメージが強い楽器なんですが、それだけではないんです。ウクレレという楽器自体が持っている魅力と可能性を表現できたらと思っています。ウクレレは弦が4本しかなくて、2オクターブしか出ない楽器。楽器としては制限が多い中で、チューニングや奏法を工夫することによって、今までと違った表現やパフォーマンスができるんです。

――インストなので歌詞はないですが、それぞれにつけられたタイトル通りの情景が思い浮かびます。タイトルの付け方など、曲作りの方法についても教えてください。

音楽って、自分がこれまでに過ごしてきた時間が蘇ったり、何年後かに聴いた時に、その時代に戻ることができたり、といろんな力を持っていると思うんです。このアルバムを聴いてくれた人の中に、新しい思い出や懐かしい気持ちなどいろんな感情が芽生えたらいいな、と思ってアルバムタイトルは『Garden』にしました。歌詞はないんですが、1曲1曲にイメージしている花があって、それがCDの中の歌詞カードに描かれています。

――曲の雰囲気を表す花の絵が描かれているんですね。こうやって紙の歌詞カードを見ながら聴くのはやっぱりいいですね。歌詞が聴こえてくるようです。

ありがとうございます。うれしい!CDで音楽を聴くことは、時代とは逆行しているかもしれないですが、CDだからこそ伝わる温かみがあると思っています。

――特に10曲目の「Bloom」は、歌詞が存在するかのようなメロディーが印象的です。曲を作るときにご自身の中で言葉を思い浮かべることもあるのですか。

曲を作るときは、まず歌詞のような言葉を書いて、それを見ながら音を鳴らして制作をしています。インストの場合、先にメロディーを作ってからそれを広げることが多いと思いますが、僕はどちらかというと、歌詞を思い浮かべてから、その言葉に合うメロディーを作っています。

――そうなんですね。だから曲のイメージが想像しやすいのかもしれません。鈴木さんは所有しているウクレレに我が子のように名前をつけられていて、楽曲ごとに使用しているモデルの名前も書かれています。音色の違いも楽しめますね。

ウクレレの音の違いが分かる人は楽しんでいただけると思います。メインで使っている"MUUさん"という名前のウクレレは、テナーサイズで少し大きいウクレレです。もう10年以上使っているんですが、昨年ボディに穴が開いてしまいました...。

――写真も載っていますが、年季が入っていますね!MUUさんで弾く楽曲は、どんな曲が多いですか。

穴が開いてしまって、板が削れているところもあるので、激しい楽曲よりは、しっとりと優しい音色の曲を弾くと楽器の良さが生きてくると感じています。SUN、Sugarという名前がついているウクレレは、ロックやファンクなど激しめの楽曲で使うことが多いです。

――ウクレレは全部で何本ぐらい持っているのですか。

自宅に50本以上あります。

――すごいですね!その中から厳選した相棒とともに全国ツアー『SPRING TOUR 2026 UKULELE POP』を巡っているとのこと。ウクレレ演奏だけのライブを見たことない人も多いと思いますが、鈴木さんのライブの見どころを教えてください。

ウクレレのライブというと、「静かに座って弾くのかな?」と思うかもしれませんが、僕は立って、会場を歩き回りながら、ステージを走りながら演奏したり、みなさんと一緒に盛り上がったり、ワイワイ賑やかにライブをすることが多いです。ウクレレという楽器を知っている人、知らない人どちらも楽しめるコンサートになっています。オリジナル曲はもちろん、カバー曲もたくさん演奏します。

――ツアーも残すところ、名古屋、大阪、東京の3会場のみとなりました。初日と比べて変化を感じる部分はありますか。

3月からはじまって時間を経て、演奏している中で、自分の中で曲の解像度が上がってきたと感じています。曲そのものの深みも増してきました。初期とは全然違う、完成されたコンサートになっていると感じます。

――お客さんのリクエストに応える場面もあるのですか。

今回は、リクエストコーナーは設けていないのですが、ステージ上からお客さんに話しかけることはありますね。

――今回のツアーは鈴木さんの地元である奈良からはじまりました。奈良公演では、「Nara」という楽曲も演奏されたのですね。

そうなんです。僕は奈良県出身で地元が大好きで。地元を愛する気持ちを忘れないように演奏しました。かなり昔に作った曲なんですけど、奈良では必ず演奏しています。やはり地元だからこその特別感がありますね。今回はスケジュールの都合で、地元でファイナル公演をすることはできなかったのですが、地元では、いつも以上にリラックスしてステージに立てるので、奈良からスタートできて良かったと思います。

――大阪公演はセミファイナル。鈴木さんは、大阪芸術大学出身ということで、大阪でライブすることへの特別な思いはありますか?大阪のお客さんの印象を聞かせてください。

大阪はずっと応援してくれている人が多いので、ステージに立つと緊張がほどけます。すごくホームだなと感じることが多いです。




「もっと身近な楽器に」広がり続けるウクレレの輪



――大阪芸術大学でギターを学んで、そこからなぜウクレレをはじめることに?

ギターは元々趣味で始めたのですが、趣味だったギターが、スタジオミュージシャンやバックバンドの仕事になっていったんです。ギターを弾くのは楽しいんですけど、仕事に向けた練習になってしまって。新たに趣味で何か楽器をやりたいと思った時に、ギターと形が似ているウクレレをはじめました。苦労せずできそうだなと思って...。

――趣味で始めたウクレレが今お仕事になっているんですね!ウクレレは苦労せずにマスターできたのですか。

ウクレレは、指1本から弾ける楽器なので、弦楽器の中では1番簡単とも言われている楽器です。ですが、突き詰めるとなると、非常に奥行きがあって難しさもありました。今は、本当に楽しい楽器だと感じています。

――今回の取材をきっかけに、わたしもコロナ禍に練習しようと思って放置していたウクレレを久しぶりに手に取ってみたんです!鈴木さんのYouTubeを見て練習しています。ウクレレは、やろうと思ったらパっと手軽にはじめられるのが魅力ですよね。

そうなんですか!うれしいです。楽器や音楽って、ちょっとだけ遠い存在ですよね。ウクレレは楽器の値段も安く、今はいいものもネットですぐに手に入ります。小さいので部屋に置いておいてもあまり邪魔じゃない。それがいいところだなと思います。ピアノやドラムは値段も高いし場所を取ってしまう。一歩踏み出しにくいこともあるかもしれませんが、ウクレレはそこのハードルが低いところがいい楽器だなと思います。

――ウクレレの魅力を広める活動もされていて、YouTubeでレッスン動画も発信していますね。

レッスン動画をやっている理由は、僕自身がYouTubeでウクレレを学んだからです。自分がYouTubeでレッスンを探した時に、全然本数がなかったんです。手探りでいろんな人の演奏を見て、コピーしながら練習していました。もっとわかりやすいレッスンがあったら僕も助かったな、という経験から自分でレッスン動画を作ることにしたんです。僕と同じような人がたくさんいることが分かりました。「近くにウクレレ教室がないので助かっています」といった感謝の言葉をよくいただきます。

――無料で見てもいいのかなっていうくらい、かなり丁寧に、すごく分かりやすく教えられていますよね。初心者でもすぐ始められると思います。鈴木さんは、YouTubeでウクレレを学んだとおっしゃいましたが、今の奏法はどこから影響を受けたのですか。

僕はギターをやっていたので、ファンクなどいろんなジャンルに自然に挑戦していきました。ギターを通らずにウクレレからはじめていたら、そんな風に表現をしようと思わなかったかもしれません。

――現在、鈴木さんが主宰している260人を超えるウクレレオーケストラ『Sugar Muu Ukulele Orchestra』の活動についても聞かせてください。年に1度コンサートを開催しているのですね。

そうなんです。毎月オンラインと対面で練習会をしています。みなさん全国から参加してくれています。北海道から練習に来てくれる人も。ウクレレという趣味はあるけど、一緒に演奏する仲間がいないという人が多いので。ウクレレオーケストラという場所で、共通の趣味を持った知り合いを作ることができたら、より一層ウクレレの楽しみ方が増えるんじゃないかなと思って続けています。毎月集まっていると友達の輪が広がっているのがわかります。自分で言うのもあれですけど、いい場だなと感じています。

――それはYouTubeなどで発信していく中で、視聴者さんの顔を見て直接教えたい、コミュニティーを作りたいという気持ちになったからですか。

そうですね。きっかけとしては、「周りにウクレレを弾く人がいなくてさみしいです」というコメントが多かったというのが大きいです。それなら、そういう場所を作ろうと。

――ただ練習するだけではなく、コンサートという発表の場があることが、みなさんのモチベーションになっているのですね。

そうですね。年に1度の発表に向けて、みんなで頑張って練習しています。ステージに立つ達成感、楽しさがあるみたいで。うれしいですね。

――鈴木さんのコンサートに初めて来た人の中には、ウクレレをはじめたくなる人もいると思います。今からウクレレを始めようと思っている人に、改めてウクレレの魅力を伝えるとしたら?

ウクレレを始める人は、「ギターを弾こうと思って挫折した」という人が多くて、今はウクレレを楽しんでいるという人が多いです。ウクレレは「楽器をやりたい」と思ったときに1番簡単にはじめられる楽器です。音楽や楽器をはじめてみたいという思う気持ちが少しでもあったら、ぜひウクレレを手に取ってみてください。指1本から弾くことができます。歌が好きなら、演奏しながら歌うこともできるし、歌が苦手な人は演奏するだけでも楽しめる。本当に万能な楽器なので、ぜひ気軽にはじめていただきたいです。

――わたしも鈴木さんのレッスン動画を見て、引き続き練習しようと思います!最後に、東大阪公演を楽しみにしている、ぴあ関西版WEBの読者にメッセージをいただけたらと思います。

練習、頑張ってください!僕のコンサートは、ウクレレを弾く人はもちろん、ウクレレを弾かない人も楽しんでいただける公演です。ウクレレの音ってどんな音なんだろう?という興味をお持ちでしたらぜひ来てください。日頃の疲れを癒したいという人もぜひ。僕のライブに足を運んでいただけると嫌なことも忘れられると思います!

Text by 岡田あさみ




(2026年7月 1日更新)


Release

6th Ful Album『Garden』

発売中
3300円(税込)

【収録曲】
01. U-topia 
02. gravity 
03. Precious 
04. 満ちてゆく森 
05. Red Gerbera 
06. Morning Call 
07. film 
08. stardust 
09. So What 
10. Bloom

Profile

鈴木 智貴(スズキ トモキ)…【ウクレレなのにポップ】をテーマに活動中。心の琴線に触れる優しい音色からウクレレのイメージを覆すようなアグレッシブな演奏まで小さな楽器から繰り出される無二の音色が聴く人を魅了する。2013年にウクレレと出会い、わずか2年半で第8回 ジ・ウクレレコンテストにて大賞を受賞。(日本1位)続く2016年10月に行われた国際大会"Ribbee's World Ukulele Championship 2016"では世界1位に選ばれる。サカイ引越センターのTVCMソングにオリジナル曲「Fallen Leaves」が抜擢され、2018.11月~2019.11月まで全国で放送。2025.8月にはNHK Eテレにて放送された「ボクとニセモノとコーヒーゼリー」の音楽制作を担当する。YouTubeのチャンネル登録者数は15万人を到達し、自身のライブ活動に加えワークショップや総勢240名のウクレレオーケストラ “Sugar Muu Ukulele Orchestraの指揮を取るなど、ウクレレの普及にも力を入れており活動は多岐にわたる。

Live

「​鈴木智貴 SPRING TOUR 2026 UKULELE POP」

PICK UP!!

【大阪公演】

▼7月4日(土) 13:00
東大阪市文化創造館 ジャトーハーモニー 小ホール
プレミアム席-11000円(特典付) 一般指定席
大人-5500円 一般指定席
小人-1000円(6歳~12歳以下)
※6歳未満入場無料。但し、お席が必要な場合は小人料金。
※イベント中は、携帯電話、時計等のアラーム音のでる電子機器は電源をOFFにするか音や振動が出ないように設定をお願いいたします。
※【プレミアム席特典】リハーサル見学/2ショット撮影/私物サイン会。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
▼7月11日(土) 大田区民プラザ 大ホール


「Polaris 〜1000人動員への挑戦〜」

【東京公演】
▼12月26日(土) ニッショーホール

チケット情報はこちら


Link