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ロックは、憧れを越えてつながる
『THE 京月観』vol.3ライブレポート

京都を拠点に活動するアイドル・グループ、きのホ。が、京都・磔磔を舞台にライブバンドとの真剣勝負を繰り広げるマンスリー企画『THE 京月観』。4月のOLEDICKFOGGY、5月のZAZEN BOYSに続く第3弾は、19年ぶりに磔磔へ帰ってきたストレイテナーを迎えて開催された。ドラマー・ナカヤマシンペイがきのホ。のファンであり、メンバー・桜寝あしたもまたストレイテナーを敬愛してきたことから実現した今回の競演。5月にリリースした最新アルバム『脳内エレクトリック』を携えたきのホ。と、ライブハウスツアー真っ只中のストレイテナーが、互いへのリスペクトを胸に本気のライブを繰り広げた一夜をレポートする。

ソールドアウトとなった本公演。隙間なしで待機する会場に、後方2階の控室からホリエアツシ(Vo&G)、ナカヤマシンペイ(Dr)、日向秀和(B)、大山純(G)が姿を現すと、大きな歓声が響き渡る。磔磔ならではの細い通路を通ってステージへ向かう4人。その距離の近さも、このライブハウスならでは。手を伸ばし、ハイタッチを交わしながら迎えるファンと、それに笑顔で応えるメンバー。19年ぶりの帰還を待ちわびていた空気がその光景だけで伝わってきた。

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1曲目は「KILLER TUNE」。日向の骨太なベースラインを軸に、ダンサブルなビートがフロアをぐっと引き込む。久々の磔磔の鳴りを確かめるように、4人は互いの音を受け止めながらアンサンブルを磨き上げていく。間髪入れずに「Little Miss Weekend」へ。この曲が磔磔のキャパで聴けるなんて!さらに現在開催中の<STRAIGHT SONGS TOUR>でも披露されているだけに、仕上がりきった演奏に会場のボルテージも一気に跳ね上がる。たくさんの拳が上がり、この距離だからこそ味わえる音圧に誰もが身を委ねていた。

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「Super Magical Illusion」までノンストップで駆け抜けると、ホールクラスでは味わえない磔磔の密度が、バンドのグルーヴをさらに濃くしていく。赤い照明の中、ナカヤマが観客を手招きし、リズム隊が推進力を生み出せば、その上をホリエの伸びやかなボーカルが軽やかに駆け抜ける。ライブハウスツアー終盤ならではの充実ぶりと、結成から積み重ねてきたキャリア。その両方を感じさせる幕開けだった。

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大歓声に迎えられたMCでは、この日もっとも楽しそうだった人物が口を開く。きのホ。ファンとして知られるナカヤマシンペイだ。「俺のお友達の"きのピ"がいっぱいいると思う! グッときたら"ピカピカ光る棒"振ってもらってもいい?」ライブハウスに笑いが広がる。さらにホリエからは、「19年前、あの細い通路を通る時に壁から出ていた釘で流血した」という磔磔ならではの思い出話も飛び出し、長い年月を経ても変わらないライブハウスへの愛着が垣間見えた。

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中盤は「DONKEY BOOGIE DODO」から「COME and GO」へ。ファンキーなカッティングに、日向とナカヤマの鉄壁のリズム隊が重なり、オーディエンスは自然と身体を揺らす。先ほどナカヤマが冗談交じりに話していた"ピカピカ光る棒"も揺れ、ロックバンドのライブにペンライトが溶け込む。この夜だけの景色に思わず頬が緩む。

「泳ぐ鳥」「Melodic Storm」では、美しいメロディラインが磔磔いっぱいに広がる。ホリエが天井を見上げながら歌えば、フロアからは大合唱が湧き起こる。ステージと客席の境界が消え、一つの歌を全員で鳴らしているような高揚感。ライブハウスだからこそ生まれる、この濃密な一体感に改めて心を動かされた。

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MCではホリエが「ツアー中なんですが、ちょうど2週空いているところに誘ってもらって。ありがたいです」と出演への感謝を語り、ナカヤマも「前の3人がOKしてくれてよかった」と笑わせる。そしてホリエは、この日の対バンを象徴するようにこう続けた。「昔は『アイドルのどこがロックだ』なんて言う人もいた。でもアイドルもバンドも、音楽が好きで表現が好きなのは同じ。きのホ。はかっこいいライブをすると思うんで、負けません!」その言葉は宣戦布告であると同時に、最大級のリスペクトでもあった。

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終盤の「彩雲」「シーグラス」では包容力のあるアンサンブルで魅了し、ラストの「TRAIN」ではフロアが大きく前へ動き出す。19年ぶりに帰ってきた磔磔で鳴らされた音は、今なお更新を続けるストレイテナーの現在地を示すものだった。MCでホリエが語ったこんな言葉が印象に残っている。「時には自分を偽らないといけない時もある。でも、そんな自分すら肯定してくれる人たちに支えられている。だから今度は、自分が誰かを支えたい」それを体現するかのような真っすぐな音のバトンが、このあと登場するきのホ。へ受け渡されていった。

20分間の転換では、スタッフが総出でストレイテナーの機材を搬出する。磔磔には専用の搬入口はなく、機材も観客も同じ出入口を行き交う。外へ出る人も、その場で待つ人も自然と道を譲り合い、誰一人急かすことはない。出演者だけでなく、スタッフも観客も、この特別な夜を一緒につくり上げている。そんなライブハウスならではの空気が流れていた。

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SEに流れたのは、ストレイテナーへの敬意を込めた「YES, SIR」。イントロが鳴った瞬間、フロアから歓声が上がる。機材がすべて片付いたステージへ、小花衣こはる、御堂莉くるみ、桜寝あした、小清水美里が飛び出す。怪我で休演中の御守ミコもステージ後方から4人を見守るなか、「シンドローム」がスタート。ストロボが激しく明滅し、重厚なバンドサウンドとともに4人が一気にフロアを飲み込んでいく。

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推しカラーのペンライトが揺れる光景は確かにアイドルのライブだ。しかし、身体ごとぶつかるようなパフォーマンスと音圧は、ロックバンドのライブそのもの。妖艶さと愛らしさを自在に行き来する表情、切れ味鋭いユニゾンダンス、観客の頭上へ身を乗り出して感情をぶつける姿。そのすべてに、"ロックの魂を持つアイドル"という言葉の意味を実感する。

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「TEA」「ジェネレーション」「オクトーバー」と息つく間もなく駆け抜け、「君は非情じゃない」では張り詰めた緊張感をまとったダンスで惹きつける。静寂さえ演出へと変えてしまうステージングも見事だ。続く「反面教師」では、小清水のリードで"ストレイテポー!"コールが巻き起こり、ストレイテナーへの愛と遊び心が入り交じる、この日ならではの景色が広がった。

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息を整える間もなく、桜寝が興奮を隠せない表情で口を開く。「ありえないことが起こってしまいました!」ストレイテナーを敬愛し、自ら"ガチファン"を公言する桜寝は、「19年ぶりの磔磔はワンマンでもいいのに、きのホ。のイベントに出てくれた」と感謝を伝える。

「ツアーの流れをそのまま持ってきてくれてる。同じ熱量でライブをしてくれてる。さっき"きのホ。に負けません"って言ってくれた。その優しさがうれしい」憧れのバンドへのまっすぐな想いに、客席からも温かな拍手が送られた。

そして桜寝は笑顔でこう続ける。「ロックではまだまだ勝てないけど、私たちでもストレイテナーに一つだけ勝てるところがあります!」一呼吸置いて、「アイドル力では負けません!」大きな歓声と笑いが起こる。「今日はアイドルにできること全部やります!」

その宣言通り、「傾いてる」ではキュートな振付でフロアを巻き込み、下手最前列で見守るナカヤマも楽しそうに踊る。憧れのドラマーがファンの一人として笑顔で身体を揺らす光景は、この夜だからこそ生まれた何より幸せなワンシーンだった。

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「秋刀魚」の疾走感、「大問題」のドラマティックな展開では、アルバム『脳内エレクトリック』でさらに深化した表現力を存分に発揮。繊細な感情表現と躍動感あふれるダンスが交錯し、4人だけとは思えないスケール感で空間を支配していく。

そして「DANGER!」。ヘッドバンギングを交えながら全身でぶつかるようなパフォーマンスは、この日のピークと言える凄まじさだった。50分近く踊り続けているとは思えない運動量。それでも最後まで表情は崩れず、気迫だけがさらに増していく。

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ライブを締めくくる前に、桜寝は改めてストレイテナーへ感謝を伝える。「つかんだ縁は離しません。また絶対にどこかでこぎつけます!」その言葉には、一夜限りでは終わらせないという強い決意が込められていた。そして最後の曲「トワイライト」を紹介しようとした、その瞬間だった。

時計は20時59分。磔磔は21時完全音止め。急遽、スタッフからアンプラグドで届けることが告げられると、客席からは驚きと期待が入り混じった拍手が起こる。

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「ストレイテナーさん、来てくれた皆さん、最高の夜をありがとうございました」桜寝の言葉に導かれるように、前列の観客が自然とその場に座る。アコースティックギターを座って弾く小花衣の姿が後ろまで見えるように----ただその思いだけで生まれた景色だった。マイクを通さない生歌とアコースティックギターだけで紡がれる「トワイライト」。50分間踊り続けた直後とは思えない伸びやかな歌声。青春の痛みも希望も包み込むような歌詞が、静まり返った磔磔にゆっくりと染み渡っていく。途中からは自然と拳が掲げられ、誰もがその一瞬を噛み締めていた。

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今回の『THE 京月観』で起きた奇跡は、ストレイテナーが出演したことだけではない。憧れ続けたバンドと同じステージで本気の音を鳴らし、その想いにストレイテナーもまた本気のライブで応えたことだ。憧れは、遠くから見つめるものではなく、同じステージで音を交わした瞬間、新しい関係へと変わる。『THE 京月観』は、ライブハウス文化を受け継ぐ企画であると同時に、音楽を愛する者同士がジャンルや世代を越えてつながる場所。その意義を、この夜の磔磔は何より雄弁に物語っていた。

Text by 岡田あさみ
Photo by 小林まり




(2026年7月31日更新)


Set List

●ストレイテナー

01. KILLER TUNE
02. Little Miss Weekend
03. Super Magical Illusion
04. DONKEY BOOGIE DODO
05. COME and GO
06. 泳ぐ鳥
07. Melodic Storm
08. 彩雲
09. シーグラス
10. TRAIN

●きのホ。

01. シンドローム
02. TEA
03. ジェネレーション
04. オクトーバー
05. 君は非情じゃない
06. 反面教師
07. 傾いてる
08. 秋刀魚
09. 大問題
10. DANGER!
11. トワイライト

今後の関西公演をピックアップ! その他の公演は「チケット情報はこちら」から!!

ストレイテナー

「ロックロックこんにちは!ver.28 ~にゃーロック!ホームズ~」
【大阪公演】
▼9月17日(木)・18日(金) 17:45
Zepp Namba(OSAKA)
1Fスタンディング-9300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
2F指定席-9300円(ドリンク代別途要)

[17日(木)出演]Gateballers/ストレイテナー/スピッツ/Bray me
[18日(金) 出演]indigo la End/さとう。/ズーカラデル/スピッツ
[両日司会]中島ヒロト/加藤真樹子

※ご来場者様の安全面を考慮し、未就学児童の入場はお断りさせて頂きます。何卒、ご了承ください。小学生以上の方はお座席のチケットが必要となります。
※出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻しは致しません。
※チケットの営利目的の購入申し込み、及び転売行為は一切禁止です。転売されたチケットは無効となりご入場出来ません。
※モッシュやダイブなど周囲のお客様に危害を及ぼす可能性のある危険行為は禁止です。
※その他詳細は、プラムチャウダー ホームページをご確認ください。
※ストレイテナーは17日(木)に出演。

「the band apart SMOOTH LIKE GREENSPIA 2026 -10th Special-」
【大阪公演】
▼10月11日(日) 15:00
服部緑地野外音楽堂
一般-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割-2000円(高校生・大学生・専門学校生対象、整理番号付、ドリンク代別途要)
前売(ロングTシャツ付)-9500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※S~XLでお選びいただけます。

[出演]the band apart/ストレイテナー/the bercedes menz

※学割チケットの方は在籍が証明出来るものを受付に提示下さい。中学生以下は入場無料です(ドリンク代のみ必要です)。ただし、保護者の管理の元お願い致します。
※雨天決行/荒天中止。
※会場内での傘/日傘の使用は禁止です。
※パラソル/テント類も持ち込み禁止です。
※イベント専用駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されますので予めご了承ください。

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きのホ。

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オフィシャルサイト

ストレイテナー
https://www.straightener.net/

きのホ。
https://kinopo.jp/