ホーム > インタビュー&レポート > シンガーソングライター・asmi 目の前に“もう一人の自分”が現れたら? 「それでも生身の私の曲を聴いてもらう自信がある」
――「あわ」は、「ラヴィウス」(2024年)を作詞・作曲された⌘ハイノミさんの提供曲になりますね。
「まず歌詞に共感できる部分がたくさんありました。『レプリカだって、恋をする』の世界観に沿って曲を書いてくださったのですが、この社会のなかで自分の個性をどのようになじませるのかが描かれていて、私自身もそのことについて考える機会が多いので、楽曲に引き込まれました。あと⌘ハイノミさんは魔術師みたい。私のファンのみなさんは"「ラヴィウス」の⌘ハイノミさん"というイメージが強いはずですが、今回の「あわ」はまた違うものを生み出してくださいました。私は魔術師にはなれないタイプなので、⌘ハイノミさんの多面性に驚きました。」
――自分の存在意義について自問自答する曲内容も共感性が高いですよね。
「私も音楽を始めたばかりの19、20歳くらいのときは「みんなにとって私って必要なのかな」ということについて、今よりもっと苦しみながら自問自答していました。そうやって悩むということは、自分が誰かに必要とされたいから。「じゃあ、必要とされるためにはどうしようかな」って。今はそういう悩みもポジティブな方向に考えられるようになりました。」
――当時は苦しむことが多かったんですね。
「ポジティブに捉えるやり方が分からなかったんだと思います。学生時代も、同級生が私のためを思って足りないところを教えてくれたのですが、「そこが私の欠点なんや」「そんな自分なんて必要ないんちゃう?」って。周りは私を傷つけようとしていなくても、自分が勝手に傷ついちゃうみたいな。きっとプライドが高かったんだと思います。でも今はもうちょっと楽になんでも受け止めることができるようになりました。」
――『レプリカだって、恋をする。』はレプリカという最新の技術が自分の代わりにいろんなことをやってくれます。それは多くの人にとってAIが私生活でも仕事でもパートナーになりつつある現在と重なりますよね。ミュージシャンとAIの関わり合いも発展や変化が生まれそうですよね。
「私自身がまだAIに詳しくないので楽観的に考えている部分があるのですが、もしかすると音楽を作る上でもさまざまな影響が現れるかもしれませんよね。それこそ私の考えを全部習得して、私が普段書くような曲が作れて、同じ声で歌う未来がくるかもしれない。それでも私は、生身の自分が歌う曲を選んで聴いてもらう自信があります。あとAIは、便利で役に立つことが多いですが、音楽をやっている人はみんな自分のことを表現したいはず。たとえば作詞をして、AIから「それじゃ意味が伝わらないよ」と正しいことを指摘されたとしても、その正しさってその人らしさとは別物だと思います。音楽や芸術は、必ずしも正しくなくていいじゃないですか? AIが提示する正しさをそこに求めちゃうと話が変わってくる気がします。」
――特にasmiさんが作るラブソングは、asmiさんの心情がたっぷり詰まっていますよね。AIがそれを読んだら「それはおかしいですよ」と指摘してくるかもしれない。たとえば「東京タワー」には「最低でも 一日一回は思い出して」「私について悩みなさい」という気持ちが出てきます。これはある意味、恋愛関係における"圧"のようなものを感じます。AIが読んだら「それはパートナーにプレッシャーを与えますよ」とアドバイスが飛んできそう。
「"圧"という視点はめっちゃおもしろいですね(笑)。私は「週2で会いたい」とか思っちゃうタイプだし、たとえば会えないときでも、自分が相手を思っている回数よりちょっと少ないくらい、相手に自分のことを思い出してほしい。でも、私が思い出す回数が1日3回だったとして、相手が5回だったらそれはちょっと嫌。あと、思い出すタイミングも仕事の合間とか、お手洗いに行く瞬間とかがいいです。ふっと思い出すくらいがちょうどいいかな。私のことを思い出して、なにも手がつけられないとかはちょっと困る!」
――シチュエーションがいろいろあるんですね。
「私の友だちに多いんですけど、相手にグッと来られると冷めちゃったり、しんどくなったりするらしくて。相手のことを追いたい、追われたいみたいなことなのかもしれません。でもそうやって思い出すだけじゃ、自分のなかで納得できなくなるじゃないですか。そこで「東京中を探しても 私以上はいないと思うよ」という確信や自信が出てくるんです。「そんな私なのに、どうしてこの人はそばにいないんだ。納得いかない!」って。」
――そこまで言えることがすごいです。同時に「東京タワー」を聴いて、あらためて恋愛って覚悟と体力が必要なんだなって。asmiさんの曲は、恋愛をテーマにしていても情景的ではなく心情を描写されるので、よりリアルに感じられる。それが"圧"につながるように思うんです。
「確かにそれは言われることがあります、「asmiの曲は自分の気持ちが並んでいるよね」って。今おっしゃってくださって気づいたんですが、確かに私はなんらかの覚悟が決まったときに曲を書くことが多いんです。たとえば「この人のことが気になるな」とか、そういうふわっとした気持ちのときはギターを持ってもなにも浮かばなくて。恋愛に限らずどんなことでも、自分のなかでなにか覚悟が決まったときに曲が生まれます。」
――でも恋愛においては、よほどの相手じゃなければ覚悟が決まらないというか。
「今はアプリを使って自分に合ったパートナーを探すこともできますし、MBTIとかも流行っていて、相手に求める条件が先にきちゃうのかも。条件に合わない部分があるから、一歩が踏み出せない人も多いのかなって。でも私は、恋って思いがけないものがないと始まらない気がするんです。予想していないことが起きるからこそおもしろくて、のめり込んじゃうのかなって。」
――「東京タワー」を聴いて改めて恋愛の価値観や考え方って人それぞれだなって感じました。
「歌詞の面では、最近では一番素直な気持ちでかけた曲です。今まではちょっと遠回りをした言い方を試していたようなところも、「東京タワー」に関しては難しいことを考えずにまっすぐに表現しました。それが「会いたくなったらどうすればいい?」「好きって伝えてもいいの?」というような言葉に出ています。」
――そういう意味でもまた新しい恋愛曲がラインナップに加わりましたね。
「ただ最近は「東京タワー」など明るい恋愛ソングが続いているので、9月に東京のSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催するワンマンライブ『CINEMA -blue luck-』では、私の原点である失恋ソングを中心に歌おうと思っています。ちょっと切ない雰囲気の曲でまとめてみようかなって。今、回っているライブツアー『Lovers Weekend』(大阪公演はBanana Hall にて7月5日開催)が終わったら、それに向けて準備を進めます。没入感があるライブになると思うので、楽しみにしていてください。」
Text by 田辺ユウキ
(2026年7月 7日更新)
asmi(アスミ)…気づけばそばにいる、あなたの毎日に寄り添う歌。25歳シンガーソングライター“asmi”唯一無二の愛らしい歌声で、恋愛の悩みや日常で誰しもが抱える想いを歌う新世代のポップアイコン。自身の楽曲「memory」や、TikTok流行語大賞2021「ミュージック部門賞」を受賞した、MAISONdes「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」で大きなバズを起こし、2022年3月にリリースした「PAKU」ではTikTok2022上半期トレンドチャレンジ部門賞も受賞し、"SNSで最も使われる歌声"と呼ばれた。2023年1月、再びMAISONdesに参加し「アイワナムチュー feat. asmi, すりぃ」でテレビアニメ「うる星やつら」オープニング・テーマを担当、4月にはasmi feat. Chinozoとしてテレビアニメ「ポケットモンスター」オープニングテーマを担当するなど、数々のアニメでもテーマソングを担当している。2024年には5月にメジャー1stアルバム「リボン」をリリースし、10月にはテレビ朝日系ドラマ「⺠王R」の主題歌を「こっち向いてほい」で担当し、ドラマ本編にも出演。2025年2月に公開の映画「大きな玉ねぎの下で」主題歌・挿入歌を担当し、同作では楽曲だけではなく映画初出演も果たす。4月からTVアニメ「日々は過ぎれど飯うまし」オープニングテーマを担当し、5月からは韓国を含む全6会場でのツアー「asmi special live tour 2025“ラブレター”」を開催。7月からはTVアニメ「カッコウの許嫁Season2」オープニングテーマを担当した。2026年4月よりスタートのTVアニメ「レプリカだって、恋をする。」エンディングテーマを担当し、6月からは韓国を含む全5会場にて「asmi special live tour 2026“Lovers Weekend”」を開催した。
Web Site
https://www.sonymusic.co.jp/artist/asmi/
X
https://x.com/asmi__official
Instagram
https://www.instagram.com/asmi__official/
YouTube
https://www.youtube.com/c/asmiOfficialChannel