ホーム > インタビュー&レポート > なとり、キタニタツヤ、フレデリック、WANIMA、PEOPLE 1、10-FEETが出演 『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2026』ライブレポート
会場となる大阪城ホールには大勢の観客が詰めかけ、開場時から熱気が立ち込めている。開演が近づいてくると盛大な手拍子が広がってゆき、10秒前のカウントダウンからさらに期待感を押し上げて『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2026』が幕開けた。冒頭にはステージMCを務めるFM802のDJの大抜卓人と落合健太郎が、「みんな元気~?」と声を上げて颯爽と登場。大抜は「ラジオを通して好きになった音楽、その音楽を奏でているアーティストをライブを通してさらに好きになってほしいという思いから立ち上がったイベント」と主旨を述べ、落合は「ひとりで参加している人もいるかもしれませんが安心してください。今日登場する6組のアーティストがきっとあなたを包み込んでくれます」と伝える。さらに、「ジャンルレスな音を届けるアーティストが集まっている他にはないオムニバスなイベント。今日だけの特別な瞬間と熱狂をみなさんと共に楽しみたい!」と熱く呼びかけてトッパーにつなげた。
【なとり】

この日の一番手は昨年10月からFM802の番組『MUSIC FREAKS』を担当し、前振りで「我々のDJ仲間」(落合)と紹介されていたなとりだ。大阪城ホールのステージに立つのは今回が初となる彼をオーディエンスは盛大なクラップで迎え、アニメ『推しの子』の主題歌となった一曲目の『セレナーデ』から異常なほどの熱気が湧き上がる。続く『ヘルプミーテイクミー』では自身もギターをかき鳴らして歌い、観客も拳を突き上げ体を揺らして呼応する。そこから一転、クールに切ないメロに乗せてセクシーな歌声を響かせた『プロポーズ』も印象的だった。
なとりは顔を明かさず活動しているため、背後からのライティングでシルエットを浮き上がらせて進行。後方のスクリーンにはアブストラクトな映像が流れ、ギター/ベース/ドラム/キーボード/サックスからなる5人編成の強靭なバウンドサウンドと共に序盤3曲で早くも会場全体を虜にした。

MCでは、REQUESTAGE(以下、リクステ)に参加できたことに感謝し、先述の『MUSIC FREAKS』について「歴代で一番おもんないであろうアーティストとしてトークをがんばっている」と自虐的にコメント。さらに「すごいメンツの中に、なとりっていうひよっこが混じらせてもらってすごい緊張して挑んでたけど、意外とみんなが楽しんでくれている感じあってすごい嬉しい」と謙虚さを覗かせる。しかし、それだけでは終わらず「新参者として、(先輩出演者)全員に噛み付くくらいの勢いで、全員ぶっ倒して帰ろうと思ってるんで、ついてきてくれますか? みんな!」と闘争心を露わにして大歓声に後押しされた。
後半戦もダンサブルなナンバーを連投して場内の温度は上昇の一途を辿ってゆく。広いステージをとにかくよく動き、「まだまだ踊っていくぞ、大阪ー」「もっともっとぶっとべ」「こんなもんですか? 大阪」と攻めの姿勢を終始緩めることなく会場は大揺れに。

ラスト2曲の『IN_MY_HEAD』『絶対零度』でさらにロックにブーストして、「もっとこいよ」と挑発するなとりの声は叫びから絶叫になるほど。まるで死闘のごとく熱いパフォーマンスを叩きつけて大喝采が湧き上がった。この日、初めて生なとりを目の当たりにしたリスナーはきっと予想以上に衝撃を受けたのではないだろうか。実は筆者もそのひとり。このライブ後、「ライブハウスの熱狂にしてくれた」との大貫のコメントにも大いに賛同した。
【キタニタツヤ】

先にバンドがスタンバイしたステージに華麗なオーラを纏って現れたのは、大抜曰く「新世代の表現者」キタニタツヤだ。自身もギターを手にすると空気が一変! 『スカー』からアグレッシヴに攻め込んでゆく。「踊れるかい? オーサカー」と煽ると、さらにBPMを上昇させて『ずうっといっしょ!』に突入。壮絶に叩き込まれる超高速ドラミングで加速してまくしたてるように歌い大喝采を浴びる。
『かすかなはな』からの2曲はギターを置いて、艶っぽくも熱い歌声で惹きつける。TVアニメ『日本三國』のオープニング曲『火種』の和を感じさせる旋律も印象的で、リズムに乗って体を大きく揺さぶるように動き、"燃やせ、燃やせ~"と焚き付けていった。

中盤のMC前には場内から「カッコイイ!」という声があちこちから飛び交う。キタニはFM802と観客に感謝を述べると、「自分の行動原理が音楽から始まっている」との信念から、「基本的に自分の好きな音楽を大切にしいている人がカッコイイ人間だと思う」と話し、「この楽しいイベントが終わってひとりになった瞬間に心の中から取り出せるような言葉とかメロディーが自分の音楽にあったら嬉しいと思って演奏している」と伝えた。また、その思いは自分だけではなく、「たぶんみんなそう思って演奏していると思う。最後までよろしく!」とこの日の全アーティストと共有する音楽への真摯な思いを届けて満場の拍手喝采に包まれた。

そして、「自分にとってすごく誠実な出会いの歌」と打ち明けて歌ったのは『まなざしは光』。一筋縄ではいかない高度な捻りが効いたキタニの曲の中では比較的ストレートな曲調だ。それゆえに、"きみのまなざしは光だ"と希望を見出すフレーズにズキュンと射抜かれる。
あのアニメ『呪術廻戦』の主題歌となった代表曲で、青春の切なさや危うさを孕んだ『青のすみか』からの後半戦は再びギアを上げて熱量高く圧倒してゆく。起伏の激しいメロディラインを華麗に表現するボーカルワークが圧巻。観客のクラップもますます高まり、シンガロングも発生して場内の一体感は最高潮に。ラスト『次回予告』ではハンドマイクでステージ最前まで行ってエモーショナルに惹きつけて、存分に魅了していった。
【フレデリック】


「次は音楽で非日常に連れていってくれるバンド。音楽で別次元にいざなってくれる」と落合に紹介されたのはフレデリック。エレクトロなSEと"1,2,3,4"とループする音声に導かれて場内から湧き上がる盛大なクラップがメンバーを迎え入れる。「俺たちのことを知っていようが知るまいが関係ありません。フレデリックですよろしく!」という三原健司(vo&g)(以下同)の言葉を合図に『オンリーワンダー』から勢いよく滑り出す。『銀河の果てに連れ去って!』ではレーザービームが照射され、デジタルアートのような"F R D E"の文字がバックスクリーン映り、目にも耳にも刺激的な展開だ。歌世界に没入して、"あっちゅうま"に別銀河へトリップしたような気分に。


MCでは"リスナーあってこその音楽"と言わんばかりに、「あなたの聴きたいその気持ちが音楽になってこのステージから溢れ出ております」とリクステの真髄を伝え、「あなたのリクエストにしっかりお応えします。本日トップバッターで出演していたなとりくんが、"この曲好きなんですよ"って言ってた曲やります」と『シンセンス』を投入。高橋武(ds)と三原康司(b)が生み出すバウンシーなグルーヴに赤頭隆児(g)のカッティングギターが小気味良い。三原健司は軽くジャンピングしたりする軽やかな動きでのびやかなボーカルを響かせ、『スパークルダンサー』へとシームレスに繋げていった。
ライブ序盤に三原健司が「30分一本勝負」と宣言するフレデリックのパフォーマンスはライブ自体がひとつながりのダンスグルーヴとなってみんなを呑み込んでゆく。MVが2億回再生を突破した代表曲『オドループ』ではあの中毒性が高いギターリフが鳴り出すと、観客も大きく手を振って揺れる光景が広がる。途中、テンポチェンジしてクラップを誘い出す場面もあり、緩急自在に繰り出される最高のグルーヴで会場全体がひとつになった。

そして、「最後の曲は、誰もがリクエストできない曲です。その理由は先週くらいにできた、まだリリースもされてない曲をここでやるからです」とのサプライズに歓喜の声が上がり、新曲『まなざしはプリズム』を披露。ここまでのダンスチューンとは明らかに異なる新種の曲調で、三原健司の鋭い眼差しがビジョンに映り、渾身のボーカルを届けた。ライブ後に続く未来に思いを馳せて、「今日のイベントが終わってからの帰り道、この曲を思い出すようなことがあれば、このリクエステージの続きが始まるんちゃうかなと...」(三原)という同曲の前振りも含めて、フレデリックの新たなフェーズを示唆するような余韻を残して4人はステージを後にした。
【WANIMA】

大抜からの「今、ツアー中なんで、"フルボコ"でくると思います」との言葉通り、この日のWANIMAは最新EP『Excuse Error』から新曲を連投する。「今日はラジオ大好きな人と音楽大好きな人が集まってるときいてま~す。俺ら3人もそのひとりやから、みんな最後まで楽しんで帰ろうぜ~」とKENTA(vo&b)(以下、同)が陽気に声を上げ、『Die on Young fellow』からダイナミズム満点のうねりを巻き起こし、早くもオーディエンスは大合唱。続く『フルボコ』ではFUJI(ds&cho)が叩き出す突進力があるビートとKO-SHIN(g&cho)のディストーションギターが合わさり重厚感漲るサウンドで圧倒する。

ライブ定番パワーチューン『BIG UP』を挟んで、新曲でもみんなが一体感を得られるようにと、「知らんかったら楽しめんと思うけん。(KO-SHINにサビのギターを指示して)これが聞こえたらみんなでタオルとか回さん? フェスの醍醐味はみんなでひとつになることやって先代からずっと教わってきました」と笑顔で声をかける。そんなユーモラスな前振りからの『十分だった』ではオーディエンスが一斉に頭上でタオルを回す壮観な景色が広がり、城ホール内には肌で感じるほどの風の渦が出現した。

オープンマインドなメンバーのキャラと人間味があるパフォーマンスで、初めて聞いても自然と馴染んでくるWANIMAのナンバー。中盤で印象的だったのはミッドテンポのグルーヴが新鮮な『inside』だ。"叫べよ この命よ 生きて 生きて 生きて 生きて "というフレーズが耳に残り、全身の血を激らせるようなKENTAの生命力ある歌声に熱く胸を掴まれた。

『ともに』からは初期からの人気曲でラストスパート。「次の曲は共に歌ってもらっていいですか?」と声をかけ、「飛び跳ねろ~」と煽ると全方位が大きく揺れ出す。2015年11月のFM802ヘビロテ曲『THANX』では「802にありがとうを込めて歌います」と告げて、"ここ大阪城で、ここにおる全員に歌った~~"と歌詞を替えて全身全霊のボーカルを響き渡らせた。そして、「最後みんなジャンプするよ」と言って全員で勢いよくジャンプ! 文字通り会場をひとつにした夏フェス先取りの熱いライブは締められた。
【PEOPLE 1】

「カオスとポップさ、さまざまな感情を縦横無尽に音楽に乗せ、あなたに届けます」と落合に紹介されて大きな歓声が上がったPEOPLE 1。登場シーンのSEはなく、しばし無音の間を置いて始まると、Ito(vo&g)が厳かにアカペラで歌い出したのは代表曲『常夜燈』。孤独の息を吐き出すようなボーカリゼーションに鳥肌が立つ。1コーラス歌って、「親愛なる諸君、はじめまして。よければ僕らと一緒に、この暗闇を照らしてみないか。そのポケットの中の小さな光で」と詩の朗読のように呼びかけると、アリーナからスタンドまでオーディエンスが続々とスマホを点灯。そんな印象的な幕開けから唯一無二の世界に引き込んでいった。



ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』の主題歌となった『メリバ』からテンポアップして、バウンシーに動きだす。変幻自在なItoのボーカルにDeu(vo&g&b)がラップ調で加わる重奏的で中毒性が高いナンバーだ。続いてダンサブルな『ハートブレイク・ダンスミュージック』では「もっと声がききたいんですけど~」「踊ろうぜ」とDeuが揺さぶりをかけてくる。Takeuchi(ds)も「元気か大阪~まだまだやれるか~」と強気に声をあげて挑発するなど、繊細かつ大胆不敵な意外性があるパフォーマンスから眼が離せない。

後半に入っての『DOGLAND』ではItoとDeuが交互に歌うスタイルで、Deuが拡声器でアジテートしてさらに熱量を上げ、アウトロでは激しくドラムが叩き込まれる。そこから『銃の部品』と続き『エッジワース・カイパーベルト』に至っては(WANIMAからのバトンを引き継いで?)Itoがみんなにタオル回しを指示する。Takeuchiは一層強くビートを連打して、城ホール内に熱風が渦巻くシーンを目撃することに。その後、"5月6月に開催されるホールツアー"がアナウンスされて場内から歓喜の声が湧き上がっていた。
コンパクトな構成の中に静と動のシーンを巧みに織り交ぜた驚きの連続で、ライブ後には両MCが、「PEOPLE 1の色に染めて、みんなをひとつにした」(大抜)。「汗なんだか、涙なんだかわからない」(落合)とコメント。予測不能な進化を続けるPEOPLE 1の現在地を強く印象付けた鮮烈なライブだった。
【10-FEET】

「ライブハウスからアリーナまで出会った人を年齢に関係なく、いつでもライブキッズに戻してくれる」と大抜が高らかに宣言し、堂々たるトリを飾ったのは10-FEET。『交響組曲「ドラゴンクエストⅢ」そして伝説へ...』の壮大なSEが流れ、大歓声と拍手に迎えられてメンバーが登場。「大阪城ホール、最後ぶちかますぞー」とNAOKI(b&vo)が気炎を上げたかと思うと、TAKUMA(vo&g)は「よっしゃ、みんなしゃがめ」と促しておいて、「やっぱやめとくわ(笑)、立って」とユーモラスにかまして名曲『RIVER』から威勢よく走り出す。オーディエンスが前のめりでステージに拳を突き上げる景色のなんと熱いことか。TAKUMAは歌いながら、「今日、絶対笑顔で全員帰ろな~」と親しげな言葉を挟みつつ、誰もが解き放たれるように率先して、「セイ!ウォ~オッオ~!イェ~エッエ~!ワイアイアイ〜」などと野生的に発声してみんなの声出しを誘う。早くもクライマックス級の熱気を帯びて、「もう今日はこれぐらいにしときます。ありがとうございました。10-FEETでした。さよなら~」と戯けた素振りを見せて自由度全開だ。ここからはアンコールとばかりに続けざまに『goes on』へ。この時、802リスナーならわかる振りで曲前に"オチケン"と口にしていたのも流石。同曲では「今度こそやろう!」とみんなでしゃがんでからの一斉ジャンプで大揺れとなった。



「楽しんで帰ろうや~」「まじで絶対楽しんで帰ってなぁ~」「ふだん人見知りなやつが声が裏返るくらいに」「俺らも30年くらいバンドやってるんすけど、今までで一番テンション高いくらいのライブやるからー」と煽って投下されたのは映画『ゴールデンカムイ-網走監獄襲撃編-』の主題歌となった大注目の最新シングル曲『壊れて消えるまで』。哀愁を帯びた中に不屈の意志を感じる新たな大名曲を全身全霊で浴びせかけた。
ライブの後半に入ると、TAKUMAは「たくさんリクエストありがとうございます」と感謝を述べて、リスナーからのリクエストで2曲を披露。「俺はメチャメチャおばあちゃん子やった」と祖母との思い出話を打ち明けて、「友達とか家族とか、いっぱい会いに行ってください。会えるうちに、会いに行っとけ」と無骨に優しく一期一会の大切さを伝えて歌った曲は『アンテナラスト』。祖母に捧げられた心に沁みるフォーキーなナンバーにみんなも聴き入っていた。その後に、あの大ヒット曲『第ゼロ感』を挿入して重厚感が増大! 音圧高く痛快な爆音にぶちあがる。そんな特別感あるハイライトを挟んでのリクエスト2曲目『蜃気楼』ではTAKUMAが「幸せになれや! もしくは誰かを幸せにしてあげなさい」と言葉を添えて歌い、ステージに向けて手を振り続けるオーディエンスと胸熱な時間を共有した。

泣いても笑っても、どこまでぶちあがっても...終わりの時間がやってくるのがライブ。そんなリクステのエンディングとなったのは『ヒトリセカイ』。これまた半端ない音圧でKOUICHI(ds&cho)は推進力あるビートを送り続ける。TAKUMAも音量を上げて最前でギターをかきむしり、声を枯らすほど渾身の歌声をシャウト気味に放ち、「しぶとくな、粘れよ、幸せになれよ、その悲しみが照らす幸せが絶対にいつかあるから。また会いましょう」と温かくも強い激アツな言葉を送り続けた。
開演前のMCで、落合が「ジャンルレスな音を届けるアーティストが集まっている他にはないオムニバスなイベント」と強調していた通り、2021年に活動を開始したなとりから、30年近いキャリアの10-FEETまで、全6組が世代もジャンルも超えた多種多様な表現力とパワーで存分に魅了した今年のREQUESTAGE。この熱狂と感動のライブは、5月31日にFM802でオンエアされ、現在はradikoで聞くことができる。当日体験した人も残念ながら参戦が叶わなかったひとも、この機会にぜひ追体験してほしい。
文:エイミー野中
写真提供:FM802 撮影:渡邉一生・桃子
(2026年6月 2日更新)
『FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2026』
2026.4.29 Wed at 大阪城ホール
5月31日(日) 20:00~22:00
http://radiko.jp/share/?sid=802&t=20260531200000
※放送後1週間以内であればタイムフリー機能で聴取できます。