ホーム > インタビュー&レポート > 50歳で迎える26周年、続けることで見えた景色 ――花*花が語る、“無理をしない音楽人生”と『50/50』のその先
『50/50』は、ふたり合わせて100歳の記念ライブ
――まず、今回のライブタイトルに込めた思いを教えてください。
「今年、私と相方のまきちゃんは50歳になるんです。ふたり合わせて100歳なんですよ(笑)26周年ってそんなにキリがいい数字じゃないんですが、50歳はやっぱり節目やなと思って。だから今回は『50/50』というタイトルでライブをすることになりました。」
――50歳の今、若い頃に思い描いていた50歳と比べてどうですか?
「全然違いますね。もっと落ち着いてると思ってましたし、もっとちゃんとしてると思ってました(笑)子どもの頃に見ていた50歳って、もっとちゃんとした大人やった気がするんですよね。」
――花*花として未来は若い頃から思い描いていたのでしょうか?
「こんなふうに業界にいて、ちゃんと仕事として続けているかどうかはわからなかったですけど、まきちゃんとふたりで歌うことは続けていたいと思ってましたね。昔から、メジャーでガーンと売れたいというよりは、ふたりで長く楽しく歌っていたいという気持ちの方が強かったんですよ。それができるように努力しようと思っていました。」
――長く活動を続ける中で、"花*花らしさ"みたいなものに対する考え方も変わってきましたか?
「花*花の音楽ってこうだよね、っていうものを、皆さんなんとなく思い浮かべてくださると思うんです。でも10年くらい前は、いい意味でそれを裏切りたい気持ちもあったんですよ。"そうじゃない花*花"も見てもらいたいとか、"花*花らしくない花*花"も出していこうとか。でも最近は、それも含めて花*花なんやなって思ってもらえている気がするんです。だから今は、変に天邪鬼にならずに曲が作りやすくなった気がしますね。」
――その変化は、歌詞との向き合い方にもつながっていますか?
「歌詞を書くときの言葉選びという意味では、若い頃から全く変わってないんですよ。思い浮かんだ気持ちに対して、かっこいい言葉と、ちょっとかっこ悪いけど生々しい言葉があったら、後者の方、自分の感情により近い方を選びたい。それは最初からずっとそうでした。」
――たしかに花*花の歌詞って言葉選びがすごくシンプルで、だからこそスッと入ってくるのかなと。
「そうですね。例えば『さよなら大好きな人』って、日本語を覚えたらすぐ知るような言葉ばかりじゃないですか。難しい言葉はほとんど使っていないんです。若い頃は、もっと言葉数を増やして、かっこいいことを言った方がいいのかなと思った時期もありました。でもそうしなくてよかったなと、あらためて思うんですよ。今は、そのシンプルな言葉の向こう側に、私とまきちゃんが歩いてきた時間を見てもらえるようになった気がするんです。それに、歌を聴いた人が自分自身の人生を重ねながら受け取ってくれているんやな、と感じることも増えました。私たちの年輪の後ろに、お客さん自身の人生が見えてくる。自分自身を重ねて見てもらえるようになったことが、本当に嬉しいんですよね。」
――その感覚は、50歳になった今だからこそ感じるものなんでしょうか?
「そうかもしれないですね。若い頃は、自分たちのことで精いっぱいでしたから。もちろん当時も聴いてくださる方のことは考えていたんですけど、今みたいにその人の人生まで想像する余裕はなかった気がします。でも長く続けていると、学生服でライブに来てくれてたカップルが数年後に「私たち結婚したんです〜」って言うてくれたり、お母さんになって親子で来てくれたりするんですよ。そういう姿を見ると、私たちの歌もその人の時間のどこかに一緒におったんやなって思うんです。だから今は、自分たちの歌というよりも、聴いてくれた人の人生の中で育っていった歌なんやなって感じることがありますね。」
一度立ち止まったからこそ、続けることができた
――26年間活動を続けてこられた理由はどこにあると思いますか?
「実は、ずっと走り続けてきたという感じではないんです。活動休止もしましたし、一度メジャーから離れた時期もありました。だから、やめずに続けてきたというより、途中で立ち止まったこともあったんですよね。でも、今振り返ると無理しなくてよかったなと思うんです。」
――立ち止まることも必要だったんですね。
「そうですね。歌詞って、ちゃんと生きていないと生まれてこないんですよ。でも当時は本当に忙しくて、創作の脳みそがストップしてしまうくらいでした。生活を疎かにしてしまうと、曲もできなくなってしまう。だから、あの時に立ち止まったのは必要なことだったと思います。」
――そこから再び活動を再開したきっかけは何だったのでしょうか。
「10周年の時に、昔のスタッフさんが「今年10周年やけど何かせえへんの?」って声をかけてくれたんです。活動休止という形にしていたので、「じゃあ感謝も込めて一回やろうか」くらいの気持ちでした。正直、その時は「ここからもう一回本格的に始めよう」なんて全然思ってなかったんですよ。でもライブをやったら、お客さんが「おかえり」って待っていてくれて。次もやりたいと言ってくれる人がいて。そうやって一つひとつ積み重ねていたら、今に至っていました。
『あ~よかった』が教えてくれたこと
――代表曲『あ~よかった』が大ヒットした2000年当時のことは、今でも鮮明に覚えていますか。
「最初はインディーズで出した曲だったんですよ。その頃は普通にアルバイトもしていましたし、「CD出せた、嬉しい!」くらいの感覚でした。それがたまたまFM802でリクエストされて、すごく流れるようになったんです。それでDJの中島ヒロトさんがオンエアで「花*花って誰やねん」って言ってくださって(笑)。それを友達が聞いていて、「なんか言われてるで」って教えてくれたんですよ。嬉しくて番組宛に「花*花です!ありがとうございます!」ってFAXを出したら、「スタジオ遊びに来たらいいのに」って言われて。それで本当にスタジオに行ったんですよ(笑)。今考えてもめちゃくちゃな話なんですけどね。」
――じゃあそこからどんどん広がっていって、メジャーデビューへとつながっていったんですね。
「そうなんです。ワーナーミュージックの方の目に留まって、「メジャーで出さへんか」って言っていただいて。その時にもう一度録り直して、メジャーリリースされたんです。」
――紅白出場まで経験されましたが、当時の実感はいかがでしたか。
「実はその頃って、ライブをほとんどしてなかったんですよ。テレビ出演や取材が多くて、「メジャーデビューってこういうことなんかな」と思っていました。でも年が明けて全国ツアーを回った時、各地で大きなホールにお客さんがたくさん待っていてくれて。その時に初めて、「あ、デビューするってこういうことやったんやな」って思ったんです。こんなにたくさんの人に届けられるんやって。その時が一番嬉しかったかもしれません。」
――『あ~よかった』は今もライブの定番曲ですよね。長く歌い続けている中で、曲との関係性は変わったりするものですか?
「曲と私との関係性が変わったということはそんなになくて。私はずっと、目の前にいる"あなた"に向けて歌っているだけなんです。でもその"あなた"、つまりお客さんの人生は変わっていくんですよね。さっきも言いましたが、学生服でライブに来ていた子たちが結婚していたり、家族が増えていたり、親子で来てくれたり。だから『あ~よかった』が変わったというより、その人たちにとっての『あ~よかった』の意味が変わっていってるんやと思うんです。」
――そうやって時間を超えて届いているからこそ、当時を知らない若い世代のお客さんも増えているそうですね。
「はい、「母が好きでした」って言って来てくれる子もいます。やっぱりすごく嬉しいですよ。私は昔から、50年後に聴いた時に誰も共感できないようなことは歌わないでおこうと思ってたんです。10代、20代、30代、40代を超えて、その時々の大切な人を思い出せる歌になったらいいなと思っています。」
50歳から見える、新しい景色
――今年3月にはサンミュージックへの移籍も発表されました。どのような経緯があったのでしょうか?
2020年に前の事務所から独立して、個人事務所オフィスハナタバを立ち上げた時から業務提携していただいていたんです。今回正式に移籍という形になりましたけど、実は中身は変わってないんですよ(笑)それでも、正式に移籍したことで、いろいろ挑戦したいことや可能性は増えたんじゃないかなと感じています。」
――なるほど。では、これからどんなことに挑戦してみたいですか?
「サンミュージックさんって本当にアットホームなんです。芸人さんもたくさんいらっしゃるので、舞台だったり、お笑いとのコラボだったり、そういう垣根を越えたこともやってみたいですね。」
――お話を聞いていると、50歳になった今も新しいことへの興味が尽きないように感じますね。
「私は割と、やりたいと思ったことはやっちゃうタイプなんですよ。40代の頃は子育てをしていて、「お母さんなのにこれはどうなんやろう」と自分でブレーキをかけていたこともありました。でも子育てが一段落して、「私、もう一回好きなことしてもええんちゃう?」って思えるようになったんです。若い頃みたいに何でもできると思っているわけじゃないんですよ。むしろ今は、自分にできることとできないことがわかっている。だから「できへんかもしれへんけど、やりたいな」って言えるようになった気がします。」
――若い頃とは違う自由さなのかもしれませんね。
「そうなんです。若い頃は何でもできると思っていたから、できなかった時が恥ずかしかった。でも今は失敗してもいいやと思えるんですよ。だってすでにいっぱい失敗してきましたから(笑)振り返ったら笑い話になっていることばかりですし、それなら「やりたい」って言った方がいいなと思うんです。」
――年齢を重ねて価値観が変わったと感じる出来事もありますか?
「いっぱいあります。若い頃は本当に大人のことを信用してなかったんですよ。田舎者やったし、業界の人も怖かったし。最近『ストリートキングダム』という映画を観たんですけど、そこで音楽を売る側と作る側の葛藤が描かれているんです。若い頃の私は、「売れる音楽を作れ」と言われることにすごく抵抗があった。でも今ならわかるんですよ。それってただ単に「売りたい」んじゃなくて、「これはいい音楽やから、もっとたくさんの人に聴いてほしい」ってことやったんやなって。映画を観ながら、「これ26年前の私に教えてあげたかったな」と思いました(笑)当時は変化することが怖くて、自分たちの音楽をどう守ればいいんやろうって考えていた。でも今は、頑張って広めようとしてくれていた人たちも味方やったんやなって思えるんです。」
――若い頃には見えなかったものが、今になって見えてくることもあるんですね。
「そうなんですよ。若い頃は、自分が正しいと思っていることを守るのに必死でした。でも年齢を重ねると、自分とは違う立場の人が何を考えていたのかも少しずつ見えてくる。だから今でも、新しく気づくことはたくさんありますね。」
――年齢を重ねてもなお、新しい発見があるというお話でしたが、ファン目線からすると、花*花ってすでに完成された存在、確固たる存在のように感じていました。ご自身では今の花*花についてどう捉えていますか?
「いやいや完成してるわけないですよ(笑)だって還暦の人とか古希の人とか、音楽業界には本当にすごい先輩方がたくさんいらっしゃるじゃないですか。「こんなんで完成とか言うてる場合ちゃうな」って思いますもん。それに26年って言ってもまだ26年なんですよ。まだまだ全然です。」
――では、その"まだ途中"だという感覚の先に、これから見てみたい景色はありますか。
「20周年を超えた頃から、「私とまきちゃんがいたら花*花なんや」と思えるようになったんです。昔は、私たち以外の人が関わると花*花じゃない気がして、楽曲提供もほとんどしてこなかったんです。でも今は違います。花*花という存在を使って、誰かが面白いことをしようとしてくれるなら、それもやってみたい。実際に校歌を作らせてもらったり、お芝居とコラボしたり、自分たちのライブやレコーディング以外の場所で花*花として関われる機会も増えてきました。そういう新しい景色も面白いなと思うんです。これからも、ふたりでいろんなことに挑戦していきたいですね。」
神戸で迎える『50/50』
――今回の記念ライブを開催する神戸朝日ホールには、すごく思い入れがあるそうですね。
「15周年の時にも一度やらせてもらったんですけど、すごくいいホールだったんです。それに、あの"場所"がいいんですよ。私は兵庫県の高砂出身なんですけど、高校生くらいになると、お小遣いを貯めて服を買いに行ったり、デートに行ったりする場所が神戸なんです。専門学校も神戸にありましたし、本当に思い出だらけの街ですね。震災の後、街が復興していく様子も見てきましたし、友達もたくさんいます。だから今回は、ライブだけじゃなくて神戸の街も楽しんでほしいです。夕方公演なので、終わったあとにご飯を食べたり、お店を回ったりもできるじゃないですか。本当におすすめのお店を全部紹介したいくらいなんですよ(笑)花*花の歴史も含めて、この街ごと楽しんでもらえたら嬉しいですね。」
――そんな思い出の街で行うライブだからこそ、内容にも特別な思いが込められていそうですね。
「去年の25周年はデビュー後の25年を振り返るライブでしたけど、今回はもっと前、私たちが出会う前のルーツみたいなものも見てもらいたいなあと考えています。カバーをやるかもしれないですし、「あ、これ好きやった!」って思ってもらえる曲もあると思います。今の花*花につながっている源流みたいなものを感じてもらえたら面白いなと思っています。」
――では最後に、ライブを楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
「25周年が終わった時に、ここからは恩返しやなと思ったんです。こんな好きなことを続けさせてもらって、支えてもらって、来てもらって。だから今度は私たちが音でお返ししたい。50年の人生の中で出会ってくれた人たちへの感謝を伝える日でもあると思っています。その感謝を受け取ってほしいですし、そのために私たちは精いっぱいはしゃごうと思っています。50歳のふたりが本気で遊びますので(笑)、ぜひ皆さんも一緒に、大はしゃぎしに来てください。お待ちしています。」
Text by フジサワメグリ
(2026年6月 3日更新)
花*花(ハナハナ)…2000年7月ワーナーミュージックジャパンより「あ~よかった-setagaya mix-」でメジャーデビュー。同年、テレビドラマ「オヤジぃ。」の主題歌「さよなら大好きな人」がヒットし第15回 日本ゴールドディスク大賞 ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。「第51回NHK紅白歌合戦」にも出場し、全国各地でライブ・レギュラーラジオなどで活躍するも、2003年活動を休止。その後、約6年間の活動休止を経て、2009年に活動再開。全国各地で精力的にライブを行うほか舞台・映画・アーティストへの楽曲提供など幅広い活動を行う。日常を紡いだオリジナル楽曲に、洋邦カバー曲を織り交ぜながら両者がピアノを弾き歌うスタイルはパワフル且つ、温かさを持ち合わせている。
【兵庫公演】
▼7月26日(日) 16:00
神戸朝日ホール
全席指定 一般-6800円
全席指定 こども(4歳~小学生)-3000円
特典(引出物)付チケット-8700円(指定)
※4歳以上はチケット必要。3歳以下は保護者1名につき1名まで膝上無料。お席が必要な場合は有料。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888
Web Site
https://hanahana.bitfan.id/
Instagram
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YouTube
https://www.youtube.com/@hanahana.official