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AI、アジカン、KREVA、ビッケブランカを
大阪からもっと世界へ届けたい!
『MASSIVE BEATS OSAKA 2026』ライブレポート

大阪・関西万博の開催で大阪に注目が集まった2025年、「日本が誇るライブアクトを世界に向けて届けたい」という想いのもと初開催された『FM802 MASSIVE BEATS OSAKA』。同イベントが、2026年4月28日に大阪城ホールで2回目の開催を迎えた。

“世界に向けて届ける”というコンセプトは、イベントの細部にまで光る。出演にAI、 ASIAN KUNG-FU GENERATION、KREVA、ビッケブランカら、日本で新たな音楽シーンを切り開いてきた面々が顔を揃えたことに加え、座席の一部では“日本土産(注染という日本の伝統技法を用いたてぬぐい)付き”チケットも発売された。さらに当日は多言語に対応した場内アナウンス&映像が用いられ、英語も堪能なFM802のDJ・大抜卓人と落合健太郎がお迎え〜転換〜お見送りDJを担当。新旧問わず洋楽に特化した選曲&巧みなトークで会場の空気を作り出してゆくのはさすが! そんな2026年のGWスタート前夜の大阪城ホールで、華やかにライブの幕が開ける。

●ビッケブランカ

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日本と世界をつなぐという点において、このステージにとてもふさわしい人だ。ここ数年で北米・中南米ツアーやアジアツアー、そして海外フェスへの出演経験も含め、グローバルな活動を加速させているビッケブランカがトップを飾る。真っ暗な会場に響いたのは『ライオン・キング』の楽曲「サークル・オブ・ライフ」の冒頭。そのSEからシームレスにバンドが奏で出したビートに合わせ、太鼓を叩きながらステージに登場したビッケブランカは「×L×C×A×」でパフォーマンスを始めていく。大地と生命の息吹を感じる力強い歌声とリズムが空間に満ちて、客席に座っていても体の芯にビリビリとビートが響くのも心地いい。「こんにちは、今日は楽しい日になるでしょう。間違いなく!」と笑顔を見せ「夢醒め Sunset」へとつなげると、ピアノやアコースティックギターの音が際立つ柔らかな楽曲で場内の空気を一転させた。

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「久しぶりの城ホール、とても気持ちがいいです。今日は海外からのメディアの方も来ているそうです。みんなでウェルカムしたいなと思います!」と英語での挨拶を挟み込み、イベント直前にFM802で解禁されたラッパー・Novel Coreとのコラボ曲「Beast≠Knight(feat. Novel Core)」を披露。なんとこの曲のライブでの単独パフォーマンスはこの日が初めてで、最新のビッケブランカのモードを体感できる機会とあって会場中から熱い視線が送られる。続いたのはダークで疾走感のあるサウンドに魅了された「Black Catcher」、ダンサブルなビートに会場から手拍子が起こった「Snake」など、彼の音楽の多面性が次々と繰り出されてゆく。ライブ中盤〜後半あたりから緑や青のレーザーを使った光の演出も見応えがあり、感覚にフルでアプローチしてくることがとても刺激的だ。

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そして会場を熱狂の渦へと導いた「Ca Va?」、ラストを飾った春にピッタリの軽やかなポップソング「ウララ」へ。イベントのトップを任されたアーティストとして序盤から盛り上げ、踊らせ、観客に隙を与えぬ完璧なパフォーマンス。「ウララ」の最後、彼の持ち味である突き抜けるようなハイトーンボイスがいつまでも心を掴んで離さなかった。



転換中、突如行われたサプライズがあった。この日、出演に名を連ねていたものの体調不良により出演キャンセルとなっていたamazarashi。彼らの未発表楽曲「クラウン新車で買ってあげる」の特別映像が、ここで公開されたのだ。全編アニメーションのその映像には白と黒で色味のない街並み、街並みに描かれた工場からの煙や高速を走り抜ける車に言葉がどんどん現れていく表現の強さに圧倒される。必死で言葉を追うと主人公と父の関係が浮かび上がって、見たものの心に爪痕を残す。まるで短編映画を見たような感覚だ。その楽曲の素晴らしさに、会場からはため息と拍手。たった1曲で、大きな存在感を見せつけたamazarashiだった。


●KREVA

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amazarashiによる未発表曲の特別映像放映というサプライズ後のステージを任されたのは、日本のヒップホップシーンを牽引し続けるトップラッパー・KREVA。「No Limit」でパフォーマンスを始めると、リズムを刻むように言葉を紡ぐそのテンポの良さと大きなアクションで耳も目も虜にしていく。バンドサウンドが胸を打つ「基準」では、イントロで天を仰いで両手を広げた後勢いよくサングラスを外した姿に歓声が起こる。たった2曲で、KREVAという人のアーティスト性を見せつけられた気がした。

「世界ではいろいろなことがある。でも今僕らには音楽があって、大阪にはFM802があって、それが俺らの人生だろう?」という投げかけで「人生」から、この日バンドでバックコーラスを担当していたSONOMIとコラボレーションして歌われた「ひとりじゃない」へ。曲に込められた"今"届けるべき思いを、ステージからひとりひとりへと手渡していく。

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イベントでは来てくれた人に感謝すべきであるとは承知の上で「でもやっぱり、俺のことを応援しに来てくれたファンに感謝を捧げずにはいられないな、ありがとう」と言葉を捧げる。「いろいろある世の中、そんな中音楽を聴きにここに集まってくれた全てのみなさんに感謝します。話せるタイプなんだけどそれよりも曲を聴いてもらいたいので、ここからは少しゆっくりメッセージが届くような曲をやって帰りたいと思います」と「Expert」と「音色」、共にゆったりと聴けるヒップホップで、放たれる言葉を追いながら会場中が横にユラユラ揺れる。当のKREVAのパフォーマンスを眺めていると本当に身振り手振りが雄弁で、ラップと同じくらい体でも言葉を伝えようとしていることが興味深く、一瞬たりとも目が離せない。

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2曲続けてパフォーマンスを終えたKREVAは「やっぱ、全力って伝わるんすね。全力でぶつかるとみんなに気持ちが届くんだなと実感しました!」と今日のパフォーマンスの手応えを述べる。そしてラストは人気曲「イッサイガッサイ」へ。この日、会場には海外の音楽メディアも取材に来ていたが、KREVAというアーティストをどう受け止めただろうか。彼の"全力"はきっと海外メディアの記者たちの心も動かしたはずだ。



mbo260520-7.jpg転換に移り変わると、FM802『802 RADIO MASTERS』DJの中島ヒロトが、2人の外国人ゲストと共にDJブースに姿を表す。彼の番組で昨年の万博開催を機にスタートしたのが、世界各国/地域のMUSIC STATIONと連携し自国のカルチャーや音楽を共有してもらうコーナー「MUSIC MATE」だ。そのコーナーとも縁の深いインドネシアのラジオ局Mustang 88.0 FMからDJのカムイ&台湾のラジオ局Hit FmからDJのブライアンが登場。日本語も大丈夫というブライアンは「まいど! おおきに! どうも!」と和ませつつ、ビッケブランカを初めて見てエネルギーを受け取ったよと上機嫌。スマホで観客席を撮影したり、DJ陣みんなで自撮りをしたり、楽しげな姿を見せてくれた。


⚫️ASIAN KUNG-FU GENERATION

mbo260520-8.jpg昨年に続き、2年連続出演となったASIAN KUNG-FU GENERATION。4月に結成30周年イヤーへと突入し、国内外を問わず活動を広げ続けている彼らは『MASSIVE BEATS』のテーマを"現在進行形で"体現しているバンドだ。

メンバーの名前が叫ばれる中、彼らのステージが「Re:Re:」で幕をあける。ここまでの2組とはガラリと雰囲気を変えるバンドが作り出す分厚い音のアンサンブル、そして待ち望んでいた曲が奏でられることに大歓声が湧く。そして曲は山田貴洋(Ba)が刻むベースの音から始まる、「遥か彼方」へ。日本のアニメ主題歌に抜擢され彼らを海外へ解き放った2曲はこの場で演奏されるにふさわしく、曲が持つ力強さが光る。

mbo260520-9.jpgmbo260520-10.jpgイベント趣旨を踏まえ「自己紹介くらいは英語で...」と後藤正文(Vo&Gt)が「We are ASIAN KUNG-FU GENERATION,Thank you」と挨拶し、メンバー紹介も英語で続けていく。そして「この場に初めてアジカンを見るという人がいるならば出会った時が始まりの時、初めてアジカンを聴いた人の肩がほんのちょっとでも動いたらうれしいです」と、どの曲においても自由に自分らしく楽しんで欲しいと促す。いいものはいい、自分を貫くことはこの時代において難しいけれど、正しいことだと。そして後藤曰くFM802の『OSAKAN HOT 100』で「俺が聴いた時は16位ぐらいだった曲」と30周年目前にリリースされたミドルテンポナンバー「おかえりジョニー」を挟み、一瞬の静寂を切り裂いて始まったのは世代を問わず全ての人に"あの頃"を回想させる力を持つ「ソラニン」、会場中から「消してぇええええ!」の大合唱が起こったアジカン随一のビッグアンセム「リライト」へ。会場が、ひとつになる。

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ラストソングを前にした後藤は「この後も存分に歌の力に抱きしめられて帰ってください」と話し、GWの始まりにふさわしい曲をと『OSAKAN HOT 100』で首位を獲得した「MAKUAKE」を演奏。誠実で真っ直ぐなアジカンのロックンロールを存分に浴びることができた大満足のセットリスト。ステージを去る直前、後藤がダブルピースしていたのもいい光景だった。


⚫️AI

mbo260520-12.jpg「What's up OSAKA!」トリを任されたAIが満面の笑みで観客の前へと現れる。鐘の音と胸を昂らせるコーラスにAIのソウルフルな歌声が重なり「ハピネス」でステージを始めると、会場が幸福感に満ちてゆく。続く2曲目の「Welcome To My City」では一転、AIの歌声とパフォーマンスにプロダンスリーグ・D.LEAGUEで活躍するKADOKAWA DREAMSの6人のダンスが重なり歌を"魅せる"ターンへと突入する。曲の合間には「SHOW IT OFF」がリミックスされ、SHOW IT OFF=誇示するというその意味通り、パフォーマンスを見せつけていく。

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ステージは雰囲気を変え、ピアノの柴田敏孝が登場して鍵盤から音が放たれる中でAIが語り出す。「世の中いろんなことがあるけれど、音楽で乗り越えていきましょうよ。平和じゃないと集まれないし、今日来たみんなで一緒にハッピーになって帰りましょう!」。世界へと発信することが意義であるイベントで、このメッセージが放たれたことに会場中から賛同の拍手が起こる。その言葉に続いて、今日はカヴァーも交えて...とピアノでさらりとFugeesの「Ready or Not」を披露し、そこから歌われた「Not So Different-Remix」「I wanna Know」の2曲は、平和な世界を求め、世界を変えるためにひとりひとり今何ができるか考えることを提唱している。ぜひ今からでも歌詞をチェックしてみて欲しい。

そして20年以上の付き合いだというDJ HIRAKATSUが「Untitled」と「ワレバ」を巧みにミックスしつつ、AIが歌唱する「ワレバ」本編へとつなぐパフォーマンス。そして「今を楽しんでください、みなさん!」という言葉と共に届けたのは「THE MOMENT」――つくづくメッセージ性のあるステージングだ。どこまでも自由に伸びやかに歌い、歌の世界を身振り手振りやダンスという手段を使ってその世界をより明確に届けようとするAIの姿が眩しく映る。

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「TOSHIがいるから(一緒に)ピアノで。ピアノだと言いたいことを伝えやすいんです」と披露されたのは、名曲「Story」。広く高い大阪城ホールの空間に、愛の歌が満ちる。ピアノと歌のシンプルな構成、時々マイクを通して伝わってくるAIの吐息までも素晴らしく、歌の力を感じる1曲だ。そしてラストには彼女自身が持つオーラがそのまま歌になったような「ラッキーアイラブユー」へ。AI自身が両腕に抱えている以上の愛の力が放射状に放たれていく、壮大なエンディングとなった。


イベントを訪れて感じたのは、昨年開催の第1回よりも格段に外国人の観客が増えていたこと。観光で日本を訪れている人はもちろん、連れ立ってやって来ている日本在住外国人が多そうな印象を持った。日本の音楽は、確実に広がっている。そのひとつのカギをこのイベントが握っていることをしっかりと感じる一夜だった。

なお、この日のライブの模様は5月30日(土)20:00~22:00、 FM802の特別番組『FM802 MASSIVE BEATS OSAKA LIVE SPECIAL』でオンエアが予定されている。

取材・文:桃井麻依子
写真提供:FM802(撮影:渡邉一生)




(2026年5月20日更新)


Set List

『FM802 MASSIVE BEATS OSAKA 2026』
2026.4.28 Tue at 大阪城ホール

⚫️ビッケブランカ
1. ×L×C×A
2. 夢醒めSunset
3. Beast≠Knight(feat.Novel Core)
4. Black Catcher
5. Snake
6. Ca Va?
7. ウララ

⚫️KREVA
1. No Limit
2. 基準
3. 人生
4. ひとりじゃないのよ feat.SONOMI
5. Expert
6. 音色
7. イッサイガッサイ

⚫️ ASIAN KUNG-FU GENERATION
1. Re:Re:
2. 遥か彼方
3. おかえりジョニー
4. ソラニン
5. リライト
6. MAKUAKE

⚫️AI
1. ハピネス
2. Welcome To My City
3. Not So Different-Remix
4. I Wanna Know
5. Untitled〜ワレバ
6. THE MOMENT
7. Story
8. ラッキーアイラブユー

オンエア情報

FM802特別番組
『FM802 MASSIVE BEATS OSAKA LIVE SPECIAL』
日時:5月30日(土) 20:00~22:00