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石野卓球、THE BAWDIES、フレンズ、TENDOUJI、
ハダカエフダ、the奥歯’sが解放した深夜3時までのダンスタイム
『SHINBON 2026 ~深夜の盆踊り~』レポート

2月20日(金)、大阪・なんばHatchで『SHINBON 2026 ~深夜の盆踊り~』が行われた。2024年5月以来2年ぶりに開催される“深夜の盆踊り”に出演したのは、石野卓球、THE BAWDIES、フレンズ、the奥歯’s、TENDOUJI、ハダカエフダの6組。そしてMCにはFM802 DJの樋口大喜、オープン&クローズDJにはTOMMY(BOY)が登場した。深夜ならではのテンションで深くカオスに盛り上がり、夜21時から深夜3時までの6時間を一気に駆け抜けた特別な夜の模様をレポートしよう。

20:00オープン、21:00開演、深夜3:00すぎ終演という"ザ・深夜イベント"な『SHINBON 2026 ~深夜の盆踊り~』。1月に心斎橋Music Club JANUSで行われたプレイベント『SHINBON 深夜の盆踊り 〜前祭〜』ではthe engy、aint lindy、FUJIBASEがナイスグルーヴを作り出し、フロアを踊りの渦に巻き込んでいたが、本公演ではがっつりロックに踊らせるラインナップで会場全体が熱狂した。



【TOMMY(BOY)】

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Photo by 美海

なんばHatchのフロアのど真ん中には、提灯がぶら下がった"ヤグラステージ"がそびえ立つ。20:20になると、"盆踊りDJ"のTOMMY(BOY)が登場。和太鼓の音を響かせたり、藤井風の「まつり」や美空ひばりの「お祭りマンボ」など、イベントの趣旨に沿わせながら、洋邦新旧の楽曲を織り交ぜて会場の熱を高めていく。本人もピンク色のサテンの羽織に、サンバのカーニバルでお馴染みの、羽がついた"カベッサ"を頭に装着したパーリーナイトな格好で、長い髪を振り回したりDJブースから飛び出て寝転んだりと、思い切りエネルギーを放出しながら自由に曲を繋いでいく。終盤、シャキーラの「Zoo」からザ・ドリフターズの「ヒゲのテーマ」をかけると、ヤグラ下のオーディエンスは一緒にヒゲダンス! お酒片手に大喜びで身体を揺らし、グッドなお祭り感が生まれ始めた。

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Photo by 美海

『SHINBON』のスイッチが入ったところで、FM802 DJの樋口大喜が「『SHINBON』へようこそお越しくださいましたー!」と着物姿でステージに現れる。概要や注意事項を説明し、「最後まで歌って踊って、深夜の盆踊りを楽しんでいただきたいと思います」と述べて「SHINBON!」「BOーN!」のコール&レスポンスから開会宣言した。

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Photo by 美海




【the奥歯's】

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Photo by 美海

トップバッターを担うのは、広島発のパンクバンド・the奥歯's。アサベシュント(gt.vo)は「とんでもなくカオスな、とってもバカな、頭のイカれてるイベントに呼んでもらいました! 今日は日本の伝統文化の盆ということで、一緒に踊ってくれるかい! 拳作れ!」と叫び、のっけから<ラララ>とシンガロング。アサベハルマ(ba.vo)とのツインボーカルで「鈴鳴メモリーズ」をエモーショナルに歌い届けると、「初期衝動継続時間」でギアをアップ! ジン(ds.cho)の爆裂ビートが降り注いだ「トラッシュシャワー」、「羊が好きな君」を泥臭く披露する。さらにシュントは「全員で恥かこう」とフロアにマイクスタンドを置いてロックに「夏休み」を飛ばす。その距離の近さと気迫に心を掴まれたオーディエンスはシュントを囲み、夢中で拳を掲げる。

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Photo by 美海

そのままフロアでとびきり激しくパンクチューン「男子中学三年生」をプレイ。シュントが観客のひとりの若者に自分のギターを渡し、「好きに弾けよ! 鳴らせ! 鳴らせ!」と煽ると、最初は戸惑い気味だった若者も楽しそうにギターをかき鳴らす。そんな姿を見たオーディエンスも一緒に笑顔で拳を突き上げた。開始から20分、予測不可能の濃厚なライブ。最高だ。

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Photo by 美海

ステージに戻ったシュントは「これが俺たちの真面目です。最大の誠意と愛情込めて歌ってます! 最年少、歴もまだ若い。そういうバンドのやることは、頑張ることひとつ。それをやってます! 頑張りが認められなかった人へ。もしもお前が劣等感の塊だったとして、俺の音楽が友達だと思ってほしい」と真っ直ぐに想いをぶつける。彼らの本気を浴びた観客はさらに熱狂。ラストの「ハニーハニー」まで、前のめりに身体と心を躍らせ、拳と熱を交換し合ったのだった。ヒリヒリした若さ、衝動的でピュアな直球アプローチですっかり観客の心を掴んだthe奥歯's。そして『SHINBON』の宴の始まりだ。

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Photo by 美海



【ハダカエフダ】

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Photo by 美海

続いては2年前の『SHINBON』にも出演したハダカエフダが、夜をドープにノイジーに彩った。2026年よりバンド表記を裸繪札からハダカエフダに改名した彼ら。マチコ(ラップ)とコンポーザー兼トラックメイカーのTAKUMI(gt)がじわじわと音を吐き出すと、イントロから脳天をやられんばかりの感覚に襲われる。やがて目が覚めるような轟音が鼓膜を貫いた。TAKUMIはギターをかき鳴らし、マチコはサンプラーを激しく叩く。バチバチの照明の中、すさまじい音圧で攻める2人はフルスロットルでノイズをぶちまけ、一気にカオスな空間に。

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Photo by 美海

雪崩れ込んだ「fish fish fish」を享受したフロアはもちろん踊りまくり! マチコは「うおー!」とシャウトして、「Son of a bitch」を歌いながら勢いよくフロアに飛び降り、ヤグラステージによじ登る。どんどん激しくなるサウンドに呼応したオーディエンスは、一心不乱に身体を動かしうねりを増す。さらにパンキッシュな「OfficeLady」で、最高潮のダンス空間が醸成された。

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Photo by 美海

MCでマチコは持ち時間を5分短く勘違いしてセトリを組んだため時間が余ると話し「これを機会にたっくん(TAKUMI)、発表しとく?」という前フリから「俺、夜寝る時に電気消して暗い状態で目開けたら、右目の方がちょっと暗いんすよね。だから目医者行こうかなと思ってます」という話で笑わせる。そこから「しゃー!」と気合いを入れて、後半もアクセル全開。アカペラで「発情期雌猫尻百叩」を届けると、再び轟音で「public passy」「big tits waltz」を投下。オーディエンスはより躍動して全身を音の洪水に浸す。最後は「sadistic dick head police」。思い切りリバーヴをきかせ、耳をつんざくほどの攻撃的なサウンドでラウドに染め上げた。

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Photo by 美海



【THE BAWDIES】

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Photo by 桃子

"ロックンロール界のお祭り番長"ことTHE BAWDIESは、心なしかいつもよりテンション高めでロックンロールをぶちかました。法被姿でステージに現れたROY(Vo,B)、TAXMAN(G,Vo)、JIM(G,Cho)、MARCY(Dr,Cho)。ジャーン! と鳴らして「IT'S TOO LATE」で早速フロアを揺らす。いい感じにお酒の入ったオーディエンスは気持ち良さそうにダンス。アウトロのROYのロングトーンもバッチリキマり、フロアは大歓声に包まれた。さらに「YOU GOTTA DANCE」で熱量を増して花火を打ち上げる。

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Photo by 桃子

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Photo by 桃子

ROYは「こんな時間に楽しいです!」と笑顔で述べて、2025年4月にレーベルを作って独立したことを報告。独立後一発目のシングル曲「SUNNY SIDE UP」を明るく飛ばし、「GIMME GIMME」で一層ギアをアップ。MARCYがビートを走らせ、JIM&TAXMANは前に出てプレイ、ROYはシャウト! ダイナミックなロックサウンドで飲み込んでいった。

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Photo by 桃子

彼らは独立から1年のタイミングで、メジャー10枚目のオリジナルアルバム『THIS IS THE PARTY』をリリースし、全国ツアーを行う。そのファイナルが大阪・ゴリラホールであることからROYは「アルバムは聴いてほしいけど、ライブに参加するのは予習なしで大丈夫です!」とアピールし、「ちょうどお腹が空いてきた頃かと。HOT DOG召し上がれ!」と、代表曲でライブアンセムの「HOT DOG」を力強くかっ飛ばす。「今日はお祭りですよ。まだまだいけるとこ見せてください皆さん!」と投下された「POPCORN」では、まさにフロアがポップコーンのように軽快に弾け飛ぶ。そして最後はバンド名を冠した「HERE ARE THE BAWDIES」を激しくロックにプレイ。転がる石のように全力で駆け抜けて会場をひとつにし、自分たちの現在地を堂々と提示したのだった。

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Photo by 桃子



【石野卓球】

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Photo by 桃子

夜が深まり、ヤグラステージに石野卓球が現れると、フロアはますます"深夜の盆踊り"の様相を呈していった。石野はヤグラステージを360°取り囲んだオーディエンスに向けて、満遍なく手を振ったり目を合わせて乾杯したりとアピールしながら、Easttownの「Get Ready」やMau Pの「neck」、ケミカル・ブラザーズ&クリス・レイクの「Galvanize(Chis Lake Remix)」などのダンス・ミュージックをかけて爆アゲし、心と身体を解放してゆく。

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Photo by 美海

思考を止めてただ音に身を任せ、どんどん肉体を高ぶらせるオーディエンス。時間の感覚と思考力がなくなり、自他との境界が溶け始める。石野は滑らかにビートを繋いで何度もピークを作り、そのたびにフロアの熱を一段階高めていく。「これはたまらん!」とばかりに、イベント主催者がヤグラステージの周りを足取り軽く回り出すと、観客も笑顔でそれに続く。その様子はまさに"盆踊り"。主催者自ら楽しもうとする姿勢からは、『SHINBON』への愛が感じられてとても素敵だ。終盤はさらに高まり、石野自身もジャンプして躍動! 「We Are Youth(CASSIMM Remix)」でフィニッシュするまでの1時間、ノンストップで会場中をトランスさせた。実に見事なDJタイムだった。

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Photo by 美海



【TENDOUJI】

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Photo by 美海

1:00を過ぎ、『SHINBON』も後半戦へ突入した。サウンドチェックからフロアを盛り上げていたのは、モリタナオヒコ(vo.gt)、アサノケンジ(vo.gt)、ヨシダタカマサ(ba)、オオイナオユキ(ds)からなるTENDOUJI。2026年のライブはこの日が初めてだ。すっかりあたたまった状態のフロアにライブアンセム「Killing Heads」を投下して軽快にライブをスタート。「みんな楽しんでますかー!(モリタ)」「あけましておめでとー!(アサノ)」と元気に会場を巻き込んでいく。さらに「HATTRICK」「Kids In the Dark」「Peace Bomb」「Stupid!!」と、ゴキゲンかつ攻めのロックナンバーで会場をあっという間にハッピー空間に誘っていった。お酒も入った状態のフロアはわちゃわちゃ大騒ぎ。TENDOUJIの作り出すキャッチーでダンサブルな空気が伝播して、解放感もMAXに。

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Photo by 美海

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Photo by 美海

さらに熱を上げた「FIREBALL」では各パートの見せ場もありつつ、エネルギーとスピード感で場をひとつにする。本人たちがサッカー好きで、ファンがグッズのビブスを着用していたのもあるが、TENDOUJIのライブ空間はまるでその場にいる全員がワンチームになる感覚を覚える。遊ぶように演奏する4人に牽引されて、「TEENAGE VIBES」ではツーステを踏む人が続出! 「DODA」ではメンバー紹介とソロ回し、セッションに乗せてすさまじいエネルギーを解き放つ。彼らは2027年2月、日本武道館でワンマンライブを行うことが決定した。アサノは「今日は来てくれてありがとうございます! 1年後は武道館アーティストです! ここからそのつもりで観ていってください!」と叫び、ラストは高速ビートから「TOKYO ASH」をロックに投下。<ラララ>のシンガロングでは、オーディエンスが肩を組んでひとつになる場面も。きっと4人はこのパワーを引き連れて、武道館への道をますます逞しく走っていくだろう。

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Photo by 美海



【フレンズ】

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Photo by 桃子

そしていよいよトリのフレンズが登場。昨年結成10周年を迎えた彼らは、サポートに山本健太(key)と彦坂玄(ds)を迎えた編成でライブに臨む。赤い衣装で揃えたえみそん(vo)、三浦太郎(gt.vo.cho)、長島涼平(ba.cho)。えみそんが「フレンズですよろしく! 皆さん、2:00ですよ。踊るしかなくないですか?一緒に踊りませんか!」と明るく放ち「夜にダンス」を披露。えみそんと三浦のツインボーカルが心地良く、ここまでひとしきり踊ったオーディエンスはクールダウンするように、染み入るアンサンブルでゆらゆらと身体を揺らす。三浦のハイトーンボーカルとクラップ、ステップも全身を喜ばせ、とびきりの一体感を作り上げた。シティポップ・ナンバー「iをyou」では、熱狂のかけらをそっと包み込み、透明感のある歌声と空気でハピネスに導いていく。

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Photo by 桃子

400※使用※ MN260220_3-7.jpgPhoto by 桃子

「皆さんも夜型で、ダンシング型ですよね。ありがとね、2:00まで残ってくれて。フレンズもちょい夜型というか、8割夜の曲です。だから『SHINBON』に適したバンド」とえみそん。長島はTHE BAWDIESのメンバーに誘われて、久しぶりにライブ前にお酒を飲んだそうで「1番楽しいかも」と笑顔を浮かべる。そんな長島のベースソロが炸裂した「NIGHT TOWN」、「"令和の盆踊り"持ってきました」とLの形にした指をキュートに動かす振付で一緒に踊った「Beautiful Lady」に続き、後半は90'sロックを想起する「ゲラナウ!」をグルーヴィーにアーバンに飛ばしていく。男女ツインボーカルの強みが存分に発揮されたナンバーで、あまりの気持ち良さにフロアは手を上げる。

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Photo by 桃子

ミラーボールが煌めく中、この場所の空気を体現するようなミドルナンバー「good time」を経て、えみそんの感情のこもった歌声がいつまでも胸に残る「旅に出ようか」で締め括った。『SHINBON』のラストアクトを担うのにぴったりの包容力と洗練されたグッドミュージックが、大阪の深い夜を鮮やかに色付けた。

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Photo by 桃子



【TOMMY(BOY)】

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Photo by 桃子

ヤグラステージには、再び盆踊りDJ・TOMMY(BOY)が上がる。「うおー!」と叫んだTOMMY(BOY)はBen E. King「Stand by Me」からサカナクション「夜の踊り子」へ繋ぎ、「はちゃめちゃに遊んでください!」とターンテーブルを触ってサウンドメイクしつつ、邦楽メインで楽曲を流していった。もはや主催者も出演者もオーディエンスも一緒くたになって盛り上がるカオスな現場。TOMMY(BOY)も自由にフロアを走り回る。最後はAge Factoryの「WORLD IS MINE」、KANA-BOONの「シルエット」、フレデリックの「オドループ」ときて、大団円を迎えた。深夜の解放的で身体的で魅惑的なダンスタイム。この後どこかで始発を待つであろうオーディエンスたちは、皆満足そうな表情で会場を後にした。

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Photo by 桃子

Text by 久保田瑛理
Photo by 桃子/美海




(2026年4月 6日更新)


Set List

●the奥歯’s
01. 鈴鳴メモリーズ
02. 初期衝動継続時間
03. トラッシュシャワー
04. 羊が好きな君
05. 夏休み
06. 男子中学三年生
07. おやすみせかい
08. ハニーハニー

●ハダカエフダ
01. イントロ
02. fish fish fish
03. Son of a bitch
04. OfficeLady
05. セッション
06. public passy
07. big tits waltz
08. sadistic dick head police

●THE BAWDIES
01. IT’S TOO LATE
02. YOU GOTTA DANCE
03. SUNNY SIDE UP
04. GIMME GIMME
05. HOT DOG
06. POPCORN
07. HERE ARE THE BAWDIES

●TENDOUJI
01. Killing Heads
02. HATTRICK
03. Kids In the Dark
04. Peace Bomb
05. Stupid!!
06. FIREBALL
07. TEENAGE VIBES
08. DODA
09. TOKYO ASH

●フレンズ
01. 夜にダンス
02. iをyou
03. NIGHT TOWN
04. Beautiful Lady
05. ゲラナウ!
06. good time
07. 旅に出ようか