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鮮烈な5曲に歓喜する新EP『FIVE FLESH』!
「追求したのは自分たちらしさを備えたストレート球」
Northern19・笠原健太郎(Vo&Gt)インタビュー

2006年10月にアルバム『EVERLASTING』でデビューを果たしてから、今年の秋で20年。節目を前にしてなお、メロディックパンクシーンでその名を刻み続けている3ピースバンド・Northern19。2019年にオリジナルメンバーの井村知治(Ba&Vo)の脱退後、敦賀壮大が加入し新体制となり、笠原健太郎(Vo&Gt)、馬場豊心(Dr)、そして敦賀の3人で楽曲リリースや夥しい数のライブを行ってきた。そして迎えた2026年――ここまでのキャリアで生み出した136曲にも及ぶ楽曲を全て披露する『5会場曲被りなし!持ち曲全部やるワンマンツアー!』を開催したかと思えば、即座にニューEP『FIVE FLESH』をリリース、そして全国ツアー『Northern19 “FIVE FLESH tour”』の開催へと“怒涛”としか言いようのない日々を迎えているのだ。その合間、大阪へやってきた笠原健太郎にインタビューを敢行。ドキドキするような鮮烈な空気を放つ『FIVE FLESH』について、いろいろと質問をぶつけてみた。

Northern19のセットリストの選手層が厚くなった



――Northern19は今年早々に『5会場曲被りなし!持ち曲全部やるワンマンツアー!』を敢行したことが話題になりましたね。

「去年くらいからやりたいと思っていたんです。お客さんからあの曲を聴きたいとかリクエストをもらうことが多いのに、ライブの限られた持ち時間ではなかなかやれないことも多くて。いよいよやってみたらどうだろう? と。持ち曲は136曲ありましたね」

――136曲! それをどのように5カ所に振り分けたんですか。

「リストアップしてバランスを見ながら振り分けていきました。例えばこの曲は初めて大阪で披露したな...じゃあ大阪でとか、この曲のアイデアはこの街で湧いてきたなとかそういうものをまず優先させていきました。組んでみたらバランスのいいものになったかなと思う反面、曲調の偏りはありました。まあそれも味、みたいな感じで最初の振り分けを採用しました」

――曲の割り振り〜リハ〜本番と継続して136曲、その1曲1曲と対峙するような時間になったのでは? と思うんです。それによって自分たちの曲の傾向やいいところ、改善点など見えてきたことはありましたか。

「ほぼ僕が作っていることもあって、やっぱり僕の色が強いなと。それはコード進行や展開など、自分のツボはここなんだというのを再確認する作業でした。何も考えずにいい曲を作ろうと思うと、どうしても似通ってくるところもあるんです。逆に、そのポイントを外せば新しいものができることにも気づけました」

――そのポイントを外せば新しいものができる、ってそう簡単に外すことってできるものですか...?

「そこなんですよ、だからあえて縛りを加えてみる...今まで使ってこなかったコード進行で作ってみるとかが必要かなと思いますよね。でもそれがわかったことで、チャレンジしたい気持ちも芽生えました」

――5カ所、136曲をやり切って、今どんなお気持ちでしょう?

「もうその次のツアーがスタートしているんですけど、すごく自信になったなと思っているんです。全曲やったツアーでは、2月にリリースした『FIVE FLESH』の5曲も全て入れ込んだんですが、それもライブで演奏を仕上げていくことができましたしね。そういうことも含めてNorthern19のセトリの選手層が厚くなった感覚がありますね。だから今やっているツアーも楽しいし、自信があるし、ビビってない。その分、これもやりたい、あれもやりたいって前以上にセトリを決めるのが大変になりました。そりゃそうですよ、5曲増えて136曲もありますから」

――でも全ての曲を把握できたことで、ライブの趣向によって組み分けができるようにもなったということでもありますよね。

「そうそうそう。なので、本当にどんなやり方もできるなと思えるようになりました」



"らしさ"を受け取ってもらいたいからストレートを投げたくなった



――全曲ツアーを経て、2月に新EP『FIVE FLESH』がリリースされました。とにかく勢いがあって、タイトル通りフレッシュで、20年近く活動を続けてきたバンドのみなぎるパワーにワクワクしました。今いろいろなリリースの方法がある中で、EPを採用しようと思った理由を伺えますか。

「そうですね...今アルバムを作ろうとすると、腰が重い感じになるなというのがあって。それは制作に時間をかけるからだし、またライブでなかなかやれない曲ができてしまう懸念もあって。実は僕らは結構シングルは何かしらの形で多めに出してきたんです。自分たちで"新曲渋滞"って呼んできたんですけど」

――新曲渋滞(笑)。

「新曲もちゃんとライブでやっていかないとなかなか浸透していかないのもわかっているけど、次々新曲を! となっている感じでした。全曲ライブをやったことで、その気持ちも一度フラットになった気もして。それと、ひとつ前の作品の『CELLS』は会場限定盤で出したので、次の作品は久々の流通盤を出したいという気持ちになっていました。だからシングルよりはボリュームがあって、アルバムよりはコンパクトで...じゃあEPか! と」

――EPというサイズ感がフィットしていたんですね。

「そうですね。近年、昔に比べると1曲1曲にすごく時間をかけて作るようになってきて」

――そうなってきたのはどうしてですか?

「まぁ、昔はよくわかっていなかったというか。ここ最近はGarageBand(音楽制作ソフト)を使って作るようにもなって、作ってはメンバーで共有してじっくり進めていく形になりました。僕が監修はするんですが、全員で細かいところに至るまで、これでOKと思えるまできっちり詰めるんです。そのやり方で進めていくとやっぱり時間はかかるけど、完璧だと思うものを出せるのでそうなっちゃいます」

――ただGarageBandを使うと、どこまでもやれるからどこで完成って言ったらいいかわからないという声もインタビューではよく聴きます。

「はいはいはい。それもわかります。ただ元々作り込むのは好きなので、僕の場合はそこに面白みを感じていますね。昔は昔で精一杯やっていたつもりだったけど、今見たらもっとこだわれたなとも思うので、それでいくとフルアルバムはちょっと時間がいるなあと思うんです」

――なるほど。そういうふうにしっかり時間もかけて作られた今回の作品は、サウンドから感じられるフレッシュ感がまさにそのままEPタイトルになっているので、すごくコンセプトが見えるなと思いました。

「でも正直言うとコンセプトを立てて曲を作っていったというよりは、曲ができたらそういう曲が集まっていたという感じでした。なんていうのかな...ちょっと垢抜けた感じが出たEPだと思っていて、意図していなかったけどそういうものを作りたい気持ちがあったんだなと思いました」

――それは『CELLS』を作り終えた後、何か思うところがあったりしたんですか?

「あのアルバムは、すごくストレートな作風だと言ってもらえるだろうと思っていたんですよ。でも実際は"いろんなアプローチをしているね"という思いもよらない受け止められ方をしました。いろいろやってんなぁ、って。そう言われて改めて聴いてみたら、いろいろやってるかも...と思って(笑)。だからこそ今回はストレートを投げたくなったんです。久々の流通音源だし、Northern19らしさを受け取ってもらいたいからこそ、真っ直ぐ投げたい。それは念頭にありましたね」

――そこから曲はどのようにできていったのでしょう?

「マインドセットはそういう感じでしたけど...、僕はいつも作るというより降ってくる系なんですよ」

――降ってくる系! 降ってくる時は、その時によく聴いていた音楽や見ていた映画など、インプットしていたものに影響されたりしますか。

「んー、それは分析してもわからないですね。だからこそ、そこに自分らしさがある気がするんです。自分がいいと思っているものには、道が見えるというか。僕の場合そうやって降ってきた音は、めちゃくちゃパワーがあるんです。さっき話していたみたいに、ここにはこのコードを使わないようにとか頭で考えて作ったものよりも降ってきたものにこそ力があるから、なるべくそういうものを使いたくて。今回の収録曲は全部そんな感じでした」

――そういうNorthern19らしさへの気づきも、少し前に全曲を振り返る時間があったからこそかもしれないですね。

「それもありますね、ストレートを投げようと思える環境があったというか。でも毎回毎回ストレートばかりは投げられない...量産はできないんです。でも今回はそれがちょうどいい塩梅で投げられたと思います」

――ちなみに完成したことで、EPはこの方向で行けると指針になった1曲はあったのでしょうか。

「それでいうと「NO GRAVITY」の最初のアルペジオ...この曲は前作の制作時からあったものなんですけど、これが軸になった気がしますね」

――私、なんとなく予想で卒業式がモチーフになったという「EVERGREEN」が軸になったのでは? と予想していたのですが、全然ハズレでしたね。

「あ、その曲は最後でしたねぇ。卒業式の音楽ってすごくグッとくるじゃないですか。それを元に曲を作ってみたいと思っていたんですけど、これも曲が降ってくるのを待ちました。卒業の曲がグッとくるのは、あれ、なんなんでしょうねえ?」

――なんなんでしょうねえ? というちょっと正体不明なグッとくるモチーフを、どのように落とし込もうと考えたのでしょうか。

「どこかの卒業式でピアノの弾き語りだけの演奏で生徒たちが歌っているような、テンポを落とした感じの曲をイメージして作りました。Northern19らしさのある早くてうるさい演奏でという頭は全然なくて、最初からピアノの伴奏と生徒たちが歌っている感じが頭の中に鳴っていて、それをNorthern19用にバンドアレンジを加えたという流れでした。ガッチリ卒業ソングにしたい訳ではなかったので歌詞は全然卒業に関係なくて、僕らと同年代の人たちに宛てたメッセージみたいになった流れも自分の中ではすごく自然でした」

――5曲を通して、メロディックパンクを聴きまくっていた2000年代に引き戻してくれるような鮮やかな曲揃いで、すごくうれしいなと思いました。

「書いているうちに海外のメロディックパンクみたいな感じというよりは、日本の青春パンクみたいになりそうになった瞬間もありましたけど、結局英語で詞を書いて自分たちで演奏をすることを前提に組み立てていったらストレートなNorthern19の曲になったのかな。ギターソロもないけど、意外とアリだったのかなって思います」

――それは自分たちが年齢を重ねた分、そういう表現もできるようになった?

「うん、そうっすね。今回の曲でいうと「FIND MY WAY」は真逆で本当に洋楽ナイズな曲だと思っていて。「EVERGREEN」は日本人感が色濃く出た、今までで一番ジャパニーズメロっていう感じのする楽曲になったかな。最初はすごく照れ臭い感じもありましたけど、いや、これはこれでいい曲だと」

――そして「DRAMATIC」にはニルヴァーナへのオマージュが隠れているというのも、伺いました。

「Aメロで弾いているギターのフレーズがニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のAメロ部分と同じなんです。」

――そういう仕掛けは、教わると面白いし気づくとニヤリとしますよね。

「そうですね。でもこれ、自分で言わなかったら誰も気づいてくれないからすごく自分で言ってます(笑)。ミックスの時にエンジニアさんと音のバランスはすごく考えましたね。音が大きすぎるとあまりにも「Smells〜」っぽ過ぎたりしたので音量大事! ってことで。でも意外と気づかれないから、もうちょっと主張させてもよかったのかなあって思ったりしています」

――そういった音作りの工夫もいろいろされていると思います。

「そうだな...うまく言語化できない気もするけど、エンジニアのアンドリューさんと16年くらい一緒にやっているんですけど、今回は結構マスタリングで音圧を突っ込んでいるんです」

――マスタリングで音圧を突っ込んでいる。

「音量が大きいというか。やりすぎると迫力はあるしデカい音なんだけど、音が潰れちゃって奥行きがなくなるんです。要はミックス次第だけど、奥行きがないものになるけど音圧は欲しい。そのせめぎ合いが結構ありました。せめぎ合った中でも結構音圧ありの迫力寄りになった感じで、それでも迫力はあるけど音は潰れていない、全部聞こえてくるすごくいい音にできたと思っています。あと、僕的には「NO GRAVITY」のイントロのアルペジオのコーラスの音が少し揺れているんです。最近のオルタナ系のバンドでよく聴く音像ではあるんですけど、それを取り入れているのも音の工夫点のひとつですね」

――ちなみに迫力のある音に寄せた意図は?

「久々のEPでこれだけ真っ直ぐな曲が揃ったので、それを伝えるためにより気持ちを載せたかったんですよね」

――や、その効果めちゃめちゃ感じる仕上がりだと思います。そしてジャケットのアートワークにもすごく意外性がありました。これまでのNorthern19の歴代ジャケからするとシンプルで!

「僕らの作品のジャケは長いこと同じタップさんというデザイナーが作ってくれているんですが、その人の得意としているのは情報量の多いデザインなんです。でも僕の頭にあったのは白で、とにかくシンプルなもの。とにかく何度も何度もやりとりを重ねて、僕のイメージを形にしてもらいました。メロディックパンクっぽいジャケっていっぱいあると思うんですけど、その中でも新しさを出したいと思った結果が白でした。正直いうと『CELLS』をリリースして、ぐるりと一周する輪の終着点についた感覚があったんです」

――一区切り、ですか。

「多分何周目かの一区切りですね。『FIVE FLESH』を新しいスタートのような位置付けにしたいと思った結果、そういう作品ができたし、ジャケにもその感じを出したいなと思って」

――そして『FIVE FLESH』のリリースツアーはすでにスタートしていますね。

「全曲ツアーから間髪入れずに始まっているので、その流れを組んでセトリにもレア曲を入れ込みながら。あの全曲を披露したライブがあったおかげで、より自由にライブがやれているんです。どこか解き放たれたような。自分たちのパーソナリティが前に出ているなとも思えるし、自分自身がライブを楽しんでいる感じが出ているので、それを一緒に面白がってもらえたらと思います」

取材・文/桃井麻依子




(2026年4月17日更新)


Release

New EP『FIVE FLESH』

配信中&発売中
WRIN-029
1650円
WIRED ReCORDS

《収録曲》
01. NO GRAVITY
02. FIND MY WAY
03. DRAMATIC
04. WITH BROKEN HEART
05. EVERGREEN

Profile

ノーザンナインティーン=笠原健太郎(Vo&Gt)、敦賀壮大(Ba&Vo)、馬場豊心(Dr)からなるスリーピースバンド。哀愁をおびたメロディアスな楽曲と、ツインボーカルが織り成すスピード感あるキャッチーなサウンドが特徴。複数のコンピレーション盤への参加を経て、2006年10月に初のフルアルバム『EVERLASTING』でデビューを飾り、過去、国内主要FESに数多く出演し結成22年目を迎える今もなお、バンドの強みであるグッドメロディーと見る者を熱くするエネルギッシュなライブパフォーマンスで、シーンの最前線を走り続ける。2016年には「毎月19日はノーザンの日!」と題し、毎月19日に対バンを行った。結成15周年を迎えた2017年にはフルアルバム『LIFE』をリリース。2018年6月には再録ベスト『FUTURES』を発売した。2019年3月12日、13日、25日の東名阪CLUB QUATTROワンマンライブをもって、オリジナルメンバー井村知治(Ba&Vo)が脱退。2019年5月から新メンバーに敦賀を迎えて現体制で活動中。2014年からは地元・新潟で自主企画イベント『TOKI ROCK NIIGATA』を開催している。

Live

Northern19 『FIVE FLESH tour』

【北海道公演】
▼4月19日(日) KLUB COUNTER ACTION
[共演]GOOD4NOTHING

PICK UP!!

【京都公演】

▼5月8日(金) 18:30
KYOTO MUSE
オールスタンディング-4200円
19 TICKET-1900円
[出演]KUZIRA
※ドリンク代別途必要。危険行為・迷惑行為禁止。開催レギュレーション変更による払い戻し不可。開催延期・中止の際は払い戻しを行います。営利目的の転売禁止/転売されたものに関しては入場をお断りさせていただきます。ライブ中の撮影・録音禁止。行為を見つけた際は機器の没収・データ消去を行います。中学生以上はチケット必要。19 TICKETは各公演当日に19歳以下の方が対象です。入場時、年齢のわかる顔写真付き身分証をご提示いただきます。身分証の確認ができない場合は、一般チケットとの差額2,300円(税込)をお支払いいただきご入場になります。なお、身分証の確認ができない場合、払い戻しは行いません。忘れずに身分証をご持参ください。
[問]GREENS ■06-6882-1224

【愛媛公演】
▼5月10日(日) Double-u studio
[共演]PRAY FOR ME
【茨城公演】
▼5月16日(土) 水戸ライトハウス
[共演]OVER ARM THROW
【静岡公演】
▼5月22日(金) 静岡UMBER
[共演]SHADOWS
【福岡公演】
▼5月24日(日) LIVE HOUSE OP’s
[ゲスト]MARIO2BLOCK/POT
【石川公演】
▼5月29日(金) 金沢vanvanV4
[共演]EGG BRAIN

PICK UP!!

【大阪公演】

▼5月31日(日) 17:30
Live House Anima
オールスタンディング-4200円
19 TICKET-1900円
[共演]HERO COMPLEX
※ドリンク代別途必要。危険行為・迷惑行為禁止。開催レギュレーション変更による払い戻し不可。開催延期・中止の際は払い戻しを行います。営利目的の転売禁止/転売されたものに関しては入場をお断りさせていただきます。ライブ中の撮影・録音禁止。行為を見つけた際は機器の没収・データ消去を行います。中学生以上はチケット必要。19 TICKETは各公演当日に19歳以下の方が対象です。入場時、年齢のわかる顔写真付き身分証をご提示いただきます。身分証の確認ができない場合は、一般チケットとの差額2,300円(税込)をお支払いいただきご入場になります。なお、身分証の確認ができない場合、払い戻しは行いません。忘れずに身分証をご持参ください。
[問]GREENS ■06-6882-1224

【愛知公演】
▼6月17日(水) 新栄シャングリラ
[共演]locofrank
【新潟公演】
▼6月19日(金) GOLDEN PIGS RED STAGE
[共演]HAWAIIAN6
【東京公演】
▼6月26日(金) WWW X
[共演]dustbox

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Link

Northern19 オフィシャルホームページ
https://www.northern19.com/

オフィシャルX
https://x.com/N19_OFFICIAL

オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/northern19_official/

オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@Northern19OfficialYouTube