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音羽-otoha-はなぜ終末観と希望を表現するのか
自分の居場所がなくても「最後はきっと光を見出せる」

テレビアニメ『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』(TOKYO MX系)第 2 クール エンディングテーマ「no man’s world」などで脚光を浴びる音羽-otoha-による、1stフルアルバム『LAST PLANET』を引っ提げたアルバムツアー『音羽-otoha- 1st full album「LAST PLANET」release one-man tour 2026 “OUR PLANET”』がスタートする。その開幕公演となるのが、5月24日の大阪・BIGCAT。そこでどんな音が鳴らされ、どんなメッセージが届けられるのか。音羽-otoha-(以下 音羽)に、公演に向けての意気込みなどについて話を訊いた。

――フルアルバム『LAST PLANET』を引っ提げたツアー『音羽-otoha- 1st full album「LAST PLANET」release one-man tour 2026 "OUR PLANET"』が5月24日、BIGCATからスタートしますね。

「BIGCATは初ワンマン(2023年6月16日)の場所で、自分のホームグラウンドという感覚があります。リスナーのみなさんは、自分自身の鏡写しのような存在。たまに「どんどん遠い存在になっていく」とおっしゃっていただくこともあるのですが、「全然そんなことはないよ」って。みなさんと同じように「今日はなにもしたくないな」という日もあれば、眠れないまま朝を迎えることもあって。そんな人間臭い私とリスナーのみなさんが一緒に作り上げるライブという意味で、『OUR PLANET』という公演タイトルにしました。向かい合ってくれるあなたがいるからこそ、そこが居場所になり、次の目的地にもなるんです。」

――『LAST PLANET』はご自身にとってどんな作品になりましたか。

「やればやるほど「この曲を表現するには、もっと別の形も必要だな」と感じたり、どんどん分岐して広がったりして、完成が遠のいていくような気がする制作でしたが、今できるすべてをぶつけた、人間臭い今の私が詰まったアルバムになりました。」

――1曲目「地球最後の一日」や、完全生産限定盤(タイムカプセルBOX仕様)に付属されているブックレットにある全編直筆の漫画にもあらわれていますが、終末観が漂う内容になっていますね。

「学校、職場、もしかすると家庭の中にも居場所がないかもしれない。自分の理解者はこの世界のどこにもいないんじゃないか、と思う人はきっと少なくないはず。私も悩んだ時期があって、世界がまるで終末世界のように見えたんです。だから、心象風景のどこかに常に終末観がある。だけど、そんな中でも最後はきっと光は見出せるはずだと思っていて、楽曲を書くときも必ず、最後に光が感じられるようにすると決めています。たとえばアルバムの最後の収録曲「大生解」で「生きてさえ」とずっと連呼していますが、作品全体として、そのメッセージにたどり着くようにしています。」

――だからなのか、多くの楽曲で「次が必ず存在する進行性と構造性を持つ歌詞・内容」が見られるんですよね。「engine」の「ワンツースリー」という数字のカウント、「電光石火」の「ちくたく」という時間の進行、「Do Re Mi」の「Do Re Mi Do Re Mi Re」という音階。いずれも順序性と段階の概念があって、「人生階段」はそれがタイトルにもあらわれています。

「意識していたわけではないのですが、「終わりがないもの」を表現したいという気持ちがあるので、それが出ているのかもしれません。何事も「終わりがなくてもいいじゃないか」というのがあって、誰かとずっと一緒に汗をかけるか、笑い合えるかが大事。あと、「人生階段」に強くあらわれているのですが、たしかに時間の流れや人生の流れの捉え方が階段なんです。ずっと汗をかきながら登っていて、「これがどこまで続くんだろう」と思いながらも、それが楽しくもある。人によっては人生をループで捉えたりする人もいますが、私の場合はまさに階段。ずっと登り続けていて、その先が霧や雲で見えない。」

――だから先ほど、『LAST PLANET』について「やればやるほど完成が遠のいていく」とおっしゃったんだなって。

「あ、そうかもしれません。自分でも上のことが分かっていないから。60パーセントの地点まで階段を登ってきたつもりでも、実際はまだ20パーセントだった...って。」

――だからこそ音羽さんは、未来への希望や光を大事にしていらっしゃるのかなって。

「すごく大事です。常に、過去の自分を安心させられる未来の自分でありたい。「未来の自分ってどんな調子なのかな」と自らに問いかけることもあります。それってちょっとタイムトラベル要素もありますけど、未来というワードを大切にしています。」

――つまりそれは、手の届かない範囲のことを知ること、そしてその範囲がいかに重要であるかということでもある。「あのミュージシャンのせいで」や「大生解」には特にそれが感じられます。人はつい、自分の手の届く範囲が世界のすべてだと思いがち。だから、ネットニュースのコメントにも「この人のことは知りませんが」みたいなことを書いちゃうんだろうなって。

「私自身、世界の広さに気づく大切さについて言葉を投げかけてくれるミュージシャンと出会って、元気づけられた経験があります。逆に、その大切さを言葉にできずに後悔した過去もあります。だからこそ、それは一貫して伝えたい。伝えることで、誰かに寄り添うことができるかもしれない。学生時代はのらりくらりと生きていて、ちやほやされたいから音楽をやっていた部分もありました。でもいろんな出来事を経験する中で、自分が今できることについてあらためて考えました。そうしたら目の前にギターがあったんです。もし、悩みや苦しみを抱えざるを得ない場所にいたとして、、それがあなたにとっての地球なんだったら、別の住める星を一緒に探しに行こうよって。宇宙の広さを見せてあげられる音楽を作りたいです。」

――ちなみに「終末」というワードにちなんでお尋ねしますが、音羽さんが「こういうことはもう終わりにした」という出来事はありますか。

「「新しいことに躊躇すること」ですかね。すでに意識して終わらせようとはしています。いつも行くスーパーの掲示板に「英会話教室をやっています」という張り紙があって、それまで興味があったけど、見るだけ見て立ち去っていたんです。ただ「迷ったらやってみる」をテーマとして、電話をかけて通うようにしました。あと、イスラエル格闘技みたいな護身術に憧れていて動画もよく見ていたんです。近くにそういう教室があることも知っていたけど、ずっと行かなかったんです。でも「行く」と決めて、「頼もう!」みたいに扉を開けて入門しました。「忙しい」「一人で行くのは怖い」と思いがちですけど、そういう気持ちを終わらせるようにしています。」

――気になっていることって、そのまま放置するより、一度チャレンジしてみると気持ちがスッとしてメンタルにいいですよね。

「そういえば私は最近、気持ちの浮き沈みについて考えることもやめました。どんな状態になっても、「これが自分のデフォルトなんだよね。オッケー」と思うようにしています。自分の気持ちをグラフ化することもやめました。そうしたら自分を客観視できて、階段を登っていくことができます。」

――BIGCATでのワンマンライブも、すごくポジティブな空間が広がりそうですね。

「リスナーさんの目を見て歌う機会がどんどん増えてきて、「こういう瞬間のために曲を作りたい」とどんどん思えるようになっています。『LAST PLANET』はそういう中で生まれたアルバムだからこそ、ライブで届けたいし、一緒に歌って楽しめるような楽曲が詰まった一枚になっています。未来のことは予測できないけど、『OUR PLANET』のツアーを終えたあと、自分の中に大きな変化が生まれる気がします。その頃にどんな曲が書けるのか、楽しみです。」

Text by 田辺ユウキ




(2026年3月16日更新)


Release

1stフルアルバム『LAST PLANET』

発売中

01. 地球最後の一日
02. 狂信者のパレード -The Parade of Battlers
03. あのミュージシャンのせいで
04. engine
05. 電光石火
06. pineapple tart
07. Do Re Mi
08. 人生階段
09. さよなら僕の初恋
10. 闇夜のダンサー -Dancer in the Dark Night
11. no man’s world
12. 大生解

Profile

音羽-otoha-・・・詞・作曲は勿論、ギタリストとしてのスキルも併せ持つシンガーソングライター。自らディレクション/エディットまでを手掛ける映像を発信し、TikTokフォロワーは140万人を突破。アニメ・ドラマなどに数多く楽曲を提供し、ストーリーに寄り添う制作スタイルで、各原作ファンからも高く支持されている。昨年は中国最大規模の楽器エキシビジョン「MUSIC CHINA」に招聘され、「Fender」のニューモデルをプレイ。Fender Next 2025にも選出され、ギタリストとしての側面にも脚光を浴びている。また主催するライブでは、自身が敬愛するバンドとして、a flood of circle、ヒトリエを招聘。8月11日(月・祝)には、Zepp DiverCityにてワンマンライブ「HELL0w0RLD!」を開催。2026年2月21日(土)にはKT Zepp Yokohamaにてワンマンライブの開催、2026年5月より全国6箇所にてツアーの開催も予定している。

Live

音羽-otoha- 1st full album「LAST PLANET」release one-man tour 2026 “OUR PLANET”

PICK UP!!

【大阪公演】

▼5月24日(日) 18:00
BIGCAT
スタンディング 一般-6500円(ドリンク代別途必要)
※3歳未満入場不可。整理番号順の入場。転売チケットでの入場不可。ご購入いただいたチケットは公演中止を除いて払い戻し不可。

【愛知公演】
▼6月7日(日) ell.FITS ALL
【宮城公演】
▼7月19日(日) 仙台 darwin
【福岡公演】
▼8月8日(土) LIVE HOUSE CB
【香川公演】
▼8月9日(日) DIME
【東京公演】
▼8月30日(日) Zepp Shinjuku(TOKYO)

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