ホーム > インタビュー&レポート > 「一生反省して、いつも調子に乗らないように生きてます」 守乃まも インタビュー
――本日『PSychic☆blue』がリリースに。おめでとうございます。
「ありがとうございます。なんか今日がリリース日だって実感がないです。あと、リリース日の前にゲットできるじゃないですか。あれもあるから、すでに私が生み出した"あの生命体たち"がみんなに届いてると思うと信じられません」
――今作は制作に時間がかかりましたか?
「あっという間です。いや、結構制作期間は長かった......いや、短いか(笑)!? なんか気づいたらできてたって感じです」
――時には1曲に3、4年かかるとか......。
「かかります、全然。そんなやつばっかりです。それで(自分が)作ってる途中に飽きちゃって、(完成させるのは)今度にしようってなって。だって、無理やり生み出すと高確率でいいものが出ないので。だから(全体のスケジュールを)考えて作れない。そうなった時は、もうほかのことをしてすごく放置しちゃいます」
――一枚のテーマがあって、そこに向かって作るという感じではない?
「EP自体にテーマはあります。自分の作ってきた曲のなかで似てるやつをまとめたって感じです。1作目のEPは(守乃まもの)説明書みたいなもんで、自分にあるいろんな色の曲をやったんですけど、今回は暗めな曲をギュッとしました」
――暗い気分だったんですか?
「いや、私、暗い気分とかでは作んないし、あまり事実をもとに作らないから。なんていうか......納得して完成する曲は勢いとノリで作っていることが多くて。映画とかマンガとかアニメとか音楽とかを見たり聴いたりしてできる曲もあるし。なので作った時、私自身が暗くはなかったんですけど、できてみたら色的に暗めな曲たちが多いですね。たぶん、暗めの曲をまとめて出したいっていう脳みそ(考え)がずっとあったんです。で、(何かを選んでつまみ上げる仕草をしながら)ちょうどいいじゃん! ちょうどいいじゃん‼って(曲を選んだ)。バラードとかも入ってるんで、余計に......しっとりしっとり、しっとりEPです(笑)」
――では、そのしっとりEP(笑)に収録した5曲について話を。まず1曲目は「緑」。EPのタイトルは『PSychic☆blue』ですが、ジャケットも緑色で1曲目も「緑」です。
「『PSychic☆blue』のブルーは、憂鬱の意味を込めてつけたんですけど、ジャケットが緑な理由は、憂鬱もいろんな色があるから。青にはこだわんなくて緑にしました。『緑』って曲は私の中で、イメージの色が青緑なので」
――歌詞には"秋の空"という緑と離れたイメージの言葉もあって不思議でした。
「完全に私の脳内を歌詞にしただけで、そんなに深くは考えてなくて。その時々で気持ちが違うから......ちょっと私もよくわかんないです。私の脳内過ぎてたぶん伝わらないと思うんですけど、本当にただこういう色だなっていうイメージと、使いたい言葉を並べてったっていう。あと『緑』はサウンドがめっちゃ好き。演奏っていうか、作った音が全部が好きです。天才だなって思いながら作りました(笑)。うわ、ヤバ!って思いながらどんどん作れた曲だからすごく好きな曲です」
――曲作りはどんな風に?
「編曲まで全部(自分で)してから(バンドメンバー)に渡して、やって(演奏して)もらってます。だからこのフレーズを変えてほしいとか、めっちゃわがままを聞いてもらってます。でも、デモの音をそのまま使ってる曲もいくつかあります。このギターソロは私にしか弾けないみたいなこと言ってくれて、デモの私のギターソロを使ったり......なんか私めっちゃわがままだ」
――いや、人徳があると思います。普通、いやな人とは一緒にやらないですから。ところで守乃さんの歌詞は、言葉も句読点やスペースの使い方も独特。自分のルールはありますか?
「それはもう完全に見た目。行の空白(改行)も。どこで文章を詰めるか詰めないか、どこで点を打って、どの言葉まで入れるかを考えて......ほかの人もそうかもしれないんですけど、なんかそんな感じです」
――『緑』では"心の綾"といった最近あまり聞かない言葉も。
「なんとかのあやって言葉をどっかで聞いて、じゃ心の綾とかいいんじゃね?ってiPhoneにメモってあったんです。いいなってなったら、自分で造語を作り出す時もあります」
――そして2曲目の「ねえ!もう実験は終わりにしよう!」はレトロゲームのような音像。
「イエス、イエス! これは『moon』っていうゲーム(1997年発売)をプレイして、それがなんかいいんですよ。ラブを集めるゲームなんですけど、世界観がすごい。そのゲームの画面とかを見て作った曲です」
――"大事にしたものは結局失くすだろう"などの絶望とも真理とも受け取れる歌詞も印象的。達観していますね。
「いや、私なんか。周りに恵まれてるだけで、ダメですよ。もっとがんばんないと。人の心をダメに......人の心を踏みにじるような十代を過ごしてきたので、それは良くないなって思って反省したんです。もう、ひどいひどい女だったんで。こう、イライラしちゃうみたいな。申し訳ない。でも、もうそんなことはしない! 周りの人がいてくれたから、私は(音楽が)できてたのに、それを忘れちゃった時期があったんです。ライブもなんかトイレに行くみたいな感覚で、なんも考えないでただただやるみたいな。そんなこと絶対にダメなのに。それでいろいろ無駄にしちゃったんで、私はもうそんなことをしたくない!と思って、一生反省して、いつも調子に乗らないように生きてます」
――考え方が変わったきっかけは?
「やっぱ、家族の年齢が上がって体調の変化とかもあるじゃないですか。で、家族のありがたみを感じることが多くなって、もうこんなことしてる場合じゃない。ちゃんとしなきゃ!みたいな感じです。家族パワー。今まで良くしてもらったんだから、これからは地道にがんばらないと。みんなを悲しませないようにしないと。両親に長生きしてほしいって思ってがんばってます」
――そういえば「ねえ!もう実験は終わりにしよう!」の最後は"ひとりぼっちにならないように"と締められています。そんな焦りや恐怖はつねに?
「たぶんそうです。自分が一番好きで、自分が大好きっていうのは、全曲に通じて入ってるんですけど、(自分は)どんな死に方をするのか? どのくらいの人がどんな風に泣いてくれるのかな?って思う。気にしちゃいます。自分が大好きで、自分を一番かまってほしいみたいな(感覚がある)」
――それをちゃんと言えるのもすごい。ラストの曲「惰性は日々にロックちゃんマン。」も"悲劇を浴びたいのだ ヒロインになりたいのだ"と始まりますね。
「これはもう私ですね。(歌詞の)"僕は死ぬのだあたしは死ぬのだ"で、僕もあたしも出てくるから、いろんな自分を含めてると思います。僕とあたしは同一人物の場合もあるし」
――では次に3曲目の「純闕Dinner」について。
「(歌詞にある)涙は血なんですよ。あと、"デザート"や"ジェラート"とかのカタカナ(の歌詞)は完全に響きで決めて......。この作詞は楽しかったです。おいしそうにしたくて。だからMVに出てるんですけど、MVでもずっと食べてて。前から何かを食べてるってやつを撮りたかったんです」
――この曲も句読点やスペースの使い方が独特で、どこか若年層のLINEの文章に近い。中高年には少しハードルが高いです(笑)。
「LINEってなんかニュアンスが違う感じになっちゃいますもんね。だから私、ちょっと明るい感じにしてる。めちゃくちゃびっくりマークみたいなの(を使う)。で、まじめな時はマル(句点)つけます。私が勘違いしちゃうことが多かったので、人に送る時にはテンションをわかりやすくしようと思って」
――賢いですね。ちなみに脳内を隠さず歌詞にしている感じがしましたが、さらけ出すことへの恐怖は?
「自分が好きなら大丈夫。歌詞に関しては自信を持ってるから」
――文章にして行間で意思疎通するのが得意そう。
「だから、小5からネッ友とかは作れた。私、しゃべるのは苦手なんですよ。直接電話とかがきらいで。予約とかもなるべくインターネット受付でやってます(笑)。(電話は)まずルールがあるじゃないですか、敬語とか。正しく使えてないって思われたらいやだから、電話がかかってくるのも苦手。電話はすごく体力使うし、なるべく文章で済ましたい。人としゃべるのも画面越しならできるんですよ。配信とかならしゃべれるけど、ライブとかで(目の前に)いっぱい人がいるともう困ります。すごく仲がいい友だちとかなら冷静に話せますよ。でも、知らない人とか......ちょっと」
――なるほど。でも守乃さんは話も考え方もおもしろいですよ(笑)。
「でも、私なんか心を読み取る機能とかを人間につけられたらもう終わりです。たとえば、道を歩いてる時に心を読まれたら、私なんてゴミクズ人間」
――そんなことないです。ではまだ触れてない曲「キー」についても。これが冒頭の話に出たバラード。ボーカルが肝ですね。
「やさしく、かわいく歌おうと思いましたね。でも私、歌が得意なわけではないから難しいんですけど。でも、この曲もずっと前から持ってた曲で自分の中では完成されてたというか......迷いはなかったです」
――歌詞の一部にだけ「 」が付けられていますが......。
「結構これ、私やっちゃうんですよ。だから歌詞をちゃんと見ないとわかんないっていう感じなんですけど、『 』(の中で)で(別の視点から)しゃべってる時があるから、ぜひ注目してみてください」
――あと"見せて"ではなく"見して"という表記も気になりました。
「でも、"見せて"より"見して"の方がいいですよね? 甘えてる感じがするというか。
"見せて"はちょっとなんか違う。よかった"見して"にして」
――さて、最後に3月28日(土)から始まるツアー「魔物闊歩」のことを。どんなライブになりそうですか?
「もうお腹いっぱいです!ってなると思います。はい、私しかいないし」
――バンド編成ではない?
「いや、バンド編成なんですけど、しゃべる人が私しかいないし、私がずっとしゃべってるから、もういいです!ってなるかもしれないくらい盛りだくさんです。(MCは)発表しなきゃいけないこと以外はあんまり考えてなくて、だから結構長くなっちゃったり、めちゃくちゃになっちゃって、キモッて思われてるかな?って思ったら、急に静かになったりして、すみませんって......」
――ファンはその感じも楽しんでいると思います(笑)。ところでこれまで関西でのライブは?
「前のツアーと、あとミナホ(『FM802 MINAMI WHEEL 2025』)、『RUSH BALL 2025』で(出演キャンセルになった神聖かまってちゃん)代打をやって3回。今回で4回目です。こんなに大阪に来れる人生になると思ってなかったのでうれしいです。ありがとうございます」
――大阪の街はもう楽しみましたか?
「ちょっと人混みが......東京もですけど、見つかったらどうしようとか。私なんかそんな有名人じゃないから、あれなんですけど、もし見つかった時に、ティッシュで鼻をプシュッてやって(かんで)、(鼻水が)ビヨンってなったのを見られたりとか......そういうのを見られたくないなって思って、なるべく楽屋にいます。まもさんたち(サポートメンバー)に囲まれて移動してご飯とか食べてます。隠れられるから(笑)」
――SPみたい(笑)。
「でも、プライベートでもいろんな所に行ってはみたくて。観光地だけじゃなくて、知る人ぞ知る場所を人から聞き出していってみたいんですよ。だって、もっとすてきな所が絶対あるんです」
――ぜひ各地を楽しんでください。
「あ、あと廃墟、好きなんです。人がいた痕跡があって...(良い)。廃墟、あったら教えてください!」
Text by 服田昌子
(2026年3月23日更新)
発売&配信中
[Track List]
01. 緑
02. ねえ!もう実験は終わりにしよう!
03. 純闕 Dinner
04. キー
05. 惰性は日々にロックちゃんマン
配信リンクはこちら
2023年8月、 LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」の後藤ひとり役でデビュー後、独特なキャラクターと音楽性で大注目を浴びる。2024年3月にはシングル「いちごジャムにチーズ」を配信、その後初主催ライブ「魔物大戦 vol.1」を下北沢SHELTERで行い、チケットは即日ソールドアウト。海外のファンもつめかけ、話題の多いプレミアムライブとなった。同年9月にはLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」2024 Part1 STARRY/Part2 秀華祭でも後藤ひとり役を演じる。2025年1月シングル「HappyENDじゃ終わらせない!」を配信、初の本人出演MVは大きな話題となった。作詞作曲だけではなく、ジャケットアートワーク、MVのディレクションまでこなすマルチな才能の持ち主。
【愛知公演】
▼3月28日(土) RAD HALL
▼3月29日(日) 16:30
Yogibo HOLY MOUNTAIN
スタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]GREENS■06-6882-1490