ホーム > インタビュー&レポート > ブラックミュージックに由来する現在形 進化の過程で枝分かれした二組が競演 『goethe × Geloomy』レポート

19時過ぎに開場となったフロアには男女共に幅広い客層が集い、開演前からDJ DAWA(FLAKE RECORDS)が繰り出すゆるめのグルーヴに気持ち良さそうに浸っている。
●goethe

先攻で登場したのは、樋口太一(vo/g)、永江碧斗(key)、加藤拓人(b)、相蘇勇作(ds)からなるgoethe(ゲーテ)。ステージの幕が開き、優雅なSEが流れて落ち着いた雰囲気のメンバーが現れる。オープニング曲の『煙管』からミディアムスローのグルーヴ感が心地よい。一転して明るいライトに照らされ、ドライブ感が高まるジャジーなダンスナンバーでフロアの景色を大きく変えた『Make a Move』。序盤からドラマティックな展開で心をつかみ、続く『キリン』も軽快なテンポで場内を揺らす。
ライブ前半でオーディエンスをもっとも上気させたのは、『Warumono』。赤く染まったステージから、ギターのフレーズが滑らかに響くメロウな感触だが、曲の後半になるとギアを上げて絡み合うアンサンブル。アウトロでの圧巻のプレイにフロアからも大きな拍手喝采が湧き上がった。

4曲終えたところで、樋口が「goetheです、こんばんは」と挨拶する。年明けから制作に入っていたことに触れて、「僕ら、3月にして今日が今年初ライブです。ずっと冬眠していて、やっと覚醒した感じ。いっぱい曲をやるので、最後まで楽しんでいきましょう」と和やかに話して笑顔を見せていた。ボーカルの樋口は一見クールに見えるが、その内側には確かな熱を秘めているタイプ。バンドから湧き出るグルーヴの核心を掴んでいる。

切なさが滲むソウルバラード『熱りが冷めやらぬうちに』では誰もがじっと聴き入り、ゆるやかに揺れる光景が目に映る。メンバーの背後からライトが当たり、陰影が効いたムーディな雰囲気となったのは『moon』。フロアを煽るように樋口が高く声をあげ、夜空に放つようなロングトーンで包み込む。余韻を残すアウトロの永江のジャジーなキーボードも印象的だった。

また、ブルーのライトでムードチェンジして、ゾクゾクさせられる展開にオーディエンスも熱気を帯びて反応していたのは『Runaway』だ。ファンキーなギターカッティング、強いタッチの鍵盤、ドラムはタイトなビートを刻む。シャープな音色のシンセが入り、アウトロまでスリリングな様相を呈していた。『Sick!!!』は"脈打つこの心臓のように"と歌われるリリックさながらに心拍数が上がっていくアッパーチューン。グルーヴ強めにフロアを巻き込み、メンバーと共にクラップが高まって一体感がアップ。ここにきて樋口も少し紅潮したような表情で昂るような歌声を気持ち良く放出。フロアからも拍手喝采が送られた。

終盤、「久しぶりのライブは楽しいね」と樋口が口にして、メンバーとライブの感触を確かめ合う。そして、「来月(4月)また大阪にくるので、また遊びにきてくれたら嬉しいです」と観客に声を掛けていた。ちなみに対バン相手のGeloomyとは、この日のライブで久々に再会したようで、「こんなに大きかったっけ? (笑)」とした親しみを込めて軽妙に言及していた。

音源で聴く以上にフィジカルなうねりと巧みなアンサンブルに魅了されたgoete。この日のラストは『Dear』。間を置くように歌い出した絶品バラードに、フロアから自然と温かなクラップが発生。後半部分ではさらに削ぎ落とした音色で鍵盤のみをバックに歌う。儚げなようで、しなやかで、緩急自在にフェイクも加えて魅了するボーカリゼーション。そのソウルフルなロングトーンが際限なく心の奥深くまで染み渡る。そんな芳醇な歌と極上のサウンドにフロアから惜しみない拍手が送られ、しばし余韻に浸っているようだった。
●Geloomy

後攻は小腸(g/vo)、肝臓(key)、肺(ds)、腎臓(b)からなるGeloomy(ジェローミー)。今年になって大阪初ライブということで、メンバーは冒頭からテンション高く挑発的に煽り、フロアも即座に反応。肝臓のキーボードが鮮烈な音色で鳴り響き、小腸はギターをハウリングさせ、低音を強調した肺と腎臓によるリズム隊と共にアグレッシブに進行していく。

「調子どう? 大阪、久しぶり、最後まで楽しんで帰りましょう、」小腸が挨拶すると、オーディエンスはすでに熱狂ムードで歓声を上げて拍手を送る。『9,it slowly hovers』では少しテンポダウンするものの、タイトなキックが下腹に叩き込まれ、各パートが激しく絡むセッション風のアウトロまで高揚感は増すばかり。ココ、JANUSは小腸がバイトしていたライブハウスでもあり、「大阪の皆さん最高じゃないですか~」と喜んで、「JANUSでやる時が一番緊張してる。お世話になってる人だらけで授業参観みたい。みんなあったかいから」と照れ臭そうにコメントしつつ、自身のホームともいえる場所での安心感も伝わってくる。

中盤に入って、ミディアムスローの『unknown』では光量低めでムーディに。小腸は「みなさん一緒に歌えますか?」と両手をあげて誘うしぐさを見せる。スキャット風の歌声を浴びて気持ちよさそうにフロアも揺れていた。かと思えば、「まだまだ終わりませんよ! 打ち上げの木曜日にしましょう」と言って『bubblegum』へ。再び激しく奏でるキーボードを筆頭に、テクノ調で加速するヤバいムードに引き込まれていった。終盤になると、小腸はそれまでかけていたサングラスを外し、「いまからみんなと歌える新曲やります。」とミッドテンポの『ibaraki』を投下。小腸はハンドマイクで歌い、フロアにより接近して体を大きく揺らし、手を振り呼応するオーディエンス。

『Black Cinema』では薄暗いフィルム・ノワールな雰囲気に。メンバーの背後からライトが当たり、シルエットで魅せる。ベースミュージックのスリリングな様相を呈しつつ、小腸が前に出てギターソロを熱く弾きまくるシーンも。テンポチェンジして、白熱する演奏、点滅するライト。緊張感と高揚感が交差するようにグルーヴを操り、荒々しいプレイを炸裂させて、フロアからも拳が突き上がっていた。

その後、「万博行きました?」と他愛無い話題も挟んで、「変なMCしかしてない」と自虐を入れつつ、「大阪ワンマンしたいな」と小腸が意欲的な発言をすると、フロアからも歓声が上がり、「我々、最高の熱量で、大阪ワンマンしにきます!」と力強く宣言してラスト2曲に突入。『Vagi@』でギアがグイッと上がり、「最高の夜をありがとうございました!」とお礼を述べる小腸。強めのビートでファンキーなフレーズを押し出す『Shock!!中毒』はフロアもハンズアップして熱気が沸騰する。"ショック!ショック!ショック!ショック!"と一緒に歌い踊り、中毒性があるサウンドで妖しき熱を充満させて本編はフィニッシュ。拍手喝采で盛り上がるオーディエンスに「ありがとう!楽しかったです」とメンバーも満足げな表情で一旦ステージを後にした。

興奮冷めやらずのフロアから、アンコールを求めて鳴り止まない拍手を受け、メンバーがステージに戻ってくる。「パッとやってパッと帰ります。goetheさん、めちゃくちゃよかった」(小腸)と賛辞を送り、「大阪、次はワンマンで会いましょう!」と念を押して、快感度数もハンパないファンキーなグルーヴがうねる『hey!!!!!』でフロアは再び熱い横揺れに。各パートのソロ回しもフィーチャーしてアウトロまで体の芯まで沸騰させ、最後の最後までGeloomy色に染まった会場に熱気が渦巻いていた。

goetheはR&Bやソウルからモダンなポップスの滋養が滲み出し、一方のGeloomyはディスコやファンクからロック的な激しさで挑発。両者は明らかに異質なスタイルだが、だからこそ双方の魅力(特性)が際立っていた。そんな"ジャニスの○○と○○シリーズ"でしか体験できないクールで刺激的なツーマンを目撃できた最高の一夜だった。
Text by エイミー野中
Photo by 松本いづみ
(2026年3月24日更新)
2026.3.5 Thu at 心斎橋JANUS
01. 煙管
02. Make a Move
03. キリン
04. Warumono
05. 熱りが冷めやらぬうちに
06. moon
07. Runaway
08. Sick!
09. Dear
01. (sweet)
02. p.h.p
03. 9,it slowly hovers
04. airam
05. (beullu)
06. unknown
07. bubblegum
08. ibaraki
09. Black Cinema
10. The Mint Robbery
11. Vagi@
12. Shock!!中毒
EN. hey!!!!!
「MORNING RIVER SUMMIT 2026」
【大阪公演】
▼4月5日(日) 11:00
大阪城音楽堂
全自由-1000円(整理番号付)
[出演]カメレオン・ライム・ウーピーパイ/goethe/chef’s/JIJIM/新東京/chilldspot/Billyrrom/First Love is Never Returned/Furui Riho/luv/Lavt
※雨天決行・荒天中止。
※小学生以上有料。
※出演者の急遽のキャンセルに伴うチケットの払い戻しは致しかねますのであらかじめご了承の上、チケットをご購入ください。
※車椅子でご来場のお客様は事前に、キョードーインフォメーションへお問い合わせください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888