ホーム > インタビュー&レポート > 相思相愛バンドによる最強ツーマン ジャニスの○○と○○シリーズ 「cinemasaka」ライブレポート
●kurayamisaka

先攻は、内藤 さち(Vo.Gt)、清水 正太郎(Vo.Gt)、フクダ リュウジ(Gt)、阿左美 倫平(Ba)、堀田 庸輔(Dr)からなるトリプルギターバンド、kurayamisaka。SEなしで現れた5人を迎えたのは、期待を含んだ拍手だった。清水が「今年初ライブです!楽しみにしてきました!」と笑顔で告げると、フロアの空気が一段明るくなる。静寂を切り裂くようにアンプから滲むフィードバック。そのまま「kurayamisaka yori ai wo komete」へ。

トリプルギターの倍音が絡み合い、堀田のカウントを軸にタイトなグルーヴが立ち上がる。音は決して過剰ではなく、それぞれが呼吸を合わせ、余白を尊重しながら熱を上げていくアンサンブルが素晴らしい。そのストイックさが観客の集中力を高める。そして「metro」で一気に推進力を加速。清水のギターがエモーショナルに鳴き、内藤のボーカルがその旋律を包み込む。各パートに見せ場がありながら、決して自己主張過多にならないバランス感覚に、バンドとしての成熟を感じさせた。

「大阪まで車で来たけど、すげえ渋滞してて...」と清水。「そんなとき頭に流れてきた曲」と紹介したのは「sunday driver」。疾走するビートとキャッチーなメロディが場内を明るく染める。ギターを頭上に掲げる清水の無邪気さに、客席から柔らかな歓声が起きた。ここまで一気に1stフルアルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』の冒頭3曲を駆け抜ける。

MCでは清水が「あらためまして大阪のみなさん、ありがとうございます。今日これだけは言おうって決めてて......あけましておめでとうございます!」と遅い新年の挨拶。そして「"cinemasaka"って夢かなって思うイベントで。こんな機会を与えてもらって、メンバー全員感極まっています。リハから楽しくて」と語る姿は心底うれしそうだ。リスペクトするcinema staffとの対バンに喜びを隠せず、その後は言葉に詰まる場面も。続く「ハイウェイ」では、薄明の空に溶けるような内藤のボーカルが、清水の哀愁を帯びたギターとツインボーカルのように絡み合い、このバンドならではのマジックを生み出した。

中盤、「今日は特別なセットリストを用意してきました。今から演奏するのはcinema staffのカヴァーではなくて、僕たちが敬愛するbloodthirsty butchersのカヴァーです」と清水が告げ、「ocean」と曲名を紹介。音楽ラヴァーたちから拍手と歓喜のリアクションが起こる。リスペクトを込めたストロークがうねりとなり、原曲の持つオルタナティヴな粗さを保ちながらも、彼らなりの解釈で再構築。グルーヴが高まるにつれ、フロアの拳がゆっくりと上がった。後半、「cinema paradiso」では3本のギターが空間を切り裂き、「あなたが生まれた日に」ではパンキッシュな2ビートが炸裂。内藤が小さく「くらやみざかより愛をこめて」と呟くと、観客はその言葉を静かに受け止めた。
●cinema staff

後攻はcinema staff。飯田瑞規(Vo)、三島想平(Ba)、辻友貴(Gt)、久野洋平(Dr)がスタンバイする中、場内に流れていたのは、彼らが長年SEとして使用している岐阜の先輩バンドClimb The Mindの「泥棒」。淡くエモーショナルな旋律がミラーボールの残光と絡み合う。その余韻が消えきる前、シームレスにアンプのフィードバックへ接続。轟音のギターが空気を引き裂いた瞬間、フロアの体温が跳ね上がる。

「白い砂漠のマーチ」から、鋭利で無駄のないアンサンブルが炸裂。辻は衝動を抑えきれず前へせり出し、三島はピックを投げてフロアを煽る。13年ぶりとは思えない親密さが瞬時に構築された。
MCでは「あけましておめでとうございます!」と飯田。kurayamisakaと揃った挨拶に笑いが起きる。「めちゃくちゃ楽しみにしてきました。彼らの噂はかねがね。今日いいライブを見せてくれて、俺たちもやる気出てます。ありがとう!」その言葉を袖で聞き盛り上がるkurayamisakaの面々に、「袖がうるさくて最高だね」と辻。2組の関係性が伝わるこの距離感こそ、ライブハウスの醍醐味だ。

「kurayamisakaもカヴァーしてたけど、bloodthirsty butchersを10年ぶりくらいにやります」と宣言し、「僕たちの疾走」へ。甘さと疾走感を併せ持つ飯田の声がフロアを抱き込み、世代を超えて共有される音楽のDNAが浮かび上がる。「FLOATING SUN」では浮遊感あるメロディが天井へと昇り、「シンメトリズム」でギターが重なり合う瞬間、歓声が爆発した。

飯田は「この企画は1年以上前から話があったんです。スケジュールがのびて今日になって。その間にkurayamisakaがすごいことになって、得した気分。バズるらしいよ今年」と笑いを交えながら最大級の賛辞を送る。そして、「cinemasakaはずっとやっていくイベントになりそうです!」という宣言に、ファンは歓喜。下手袖から即座に「やりまーーす!」とkurayamisakaのメンバーが返答し、「言質とりました!」と辻が畳みかける。フロアは笑顔で満ちた。


終盤、「great escape」でピークへ到達し、「3.28」でドラマティックに締めくくる。アンコールでは久野がビールを"プシュッ"と開ける音がSE代わり。「かっこいいバンドから好きって言われると力になる」と素直に語る姿も印象的だった。「袖でkurayamisakaにむちゃぶりされた曲をやります」と前置きし、コードを必死に思い出すフロント3人に笑いが起きる。満を持して披露された「Poltergeist」では、阿左美が乱入し、ハンドマイクで絶叫しダイブ。世代もキャリアも越境した一体感が生まれた。

これは単なるツーマンではない。cinema staffにとってこの夜は、バンドの現在地を確認し、未来のシーンへ橋を架ける時間だった。そして「cinemasaka」という名は、継続する物語のタイトルとして刻まれた。歴史の始まりを、確かに目撃した夜。直後のDAWA氏の選曲はハイスタの「Maximum Overdrive」。名盤の1曲目を飾るあのイントロが、ライブの余韻をさらに深く沈ませていった。
Text by 岡田あさみ
Photo by 松本いづみ
(2026年3月 4日更新)
01. kurayamisaka yori ai wo komete
02. metro
03. sunday driver
04. ハイウェイ
05. farewell
06. ocean(cover)
07. evergreen
08. curtain call
09. cinema paradiso
10. あなたが生まれた日に
01. 白い砂漠のマーチ
02. 火傷
03. フェノメナルマン
04. 僕たちの疾走
05. FLOATING SUN
06. シンメトリズム
07. 熱源
08. drama
09. great escape
10. 3.28
EN. Poltergeist
kurayamisaka 公式X
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kurayamisaka 公式Instagram
https://www.instagram.com/kurayamisaka_band/
cinema staff Web Site
https://cinemastaff.net/