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相思相愛バンドによる最強ツーマン
ジャニスの○○と○○シリーズ
「cinemasaka」ライブレポート

心斎橋Music Club JANUS(ジャニス)」が主催する、恒例のライブ企画『〇〇と〇〇』シリーズに登場したのは、約7年ぶりに心斎橋JANUSへ帰還したcinema staffと、東京・大井町発の5人組kurayamisaka。親和性の高さを予感させるツーマンは、「cinemasaka」と題され、ソールドアウトとなった。開演前からDJ DAWA(FLAKE RECORDS)が紡ぐ楽曲が心地よくフロアを温め、ミラーボールの光が揺れる空間に世代を越えた音楽ラヴァーたちの期待が満ちていく。両者が敬愛するbloodthirsty butchersのカヴァーを披露する場面もあり、対バンならではの化学反応を存分に味わえた一夜となった。

●kurayamisaka

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先攻は、内藤 さち(Vo.Gt)、清水 正太郎(Vo.Gt)、フクダ リュウジ(Gt)、阿左美 倫平(Ba)、堀田 庸輔(Dr)からなるトリプルギターバンド、kurayamisaka。SEなしで現れた5人を迎えたのは、期待を含んだ拍手だった。清水が「今年初ライブです!楽しみにしてきました!」と笑顔で告げると、フロアの空気が一段明るくなる。静寂を切り裂くようにアンプから滲むフィードバック。そのまま「kurayamisaka yori ai wo komete」へ。

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トリプルギターの倍音が絡み合い、堀田のカウントを軸にタイトなグルーヴが立ち上がる。音は決して過剰ではなく、それぞれが呼吸を合わせ、余白を尊重しながら熱を上げていくアンサンブルが素晴らしい。そのストイックさが観客の集中力を高める。そして「metro」で一気に推進力を加速。清水のギターがエモーショナルに鳴き、内藤のボーカルがその旋律を包み込む。各パートに見せ場がありながら、決して自己主張過多にならないバランス感覚に、バンドとしての成熟を感じさせた。

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「大阪まで車で来たけど、すげえ渋滞してて...」と清水。「そんなとき頭に流れてきた曲」と紹介したのは「sunday driver」。疾走するビートとキャッチーなメロディが場内を明るく染める。ギターを頭上に掲げる清水の無邪気さに、客席から柔らかな歓声が起きた。ここまで一気に1stフルアルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』の冒頭3曲を駆け抜ける。

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MCでは清水が「あらためまして大阪のみなさん、ありがとうございます。今日これだけは言おうって決めてて......あけましておめでとうございます!」と遅い新年の挨拶。そして「"cinemasaka"って夢かなって思うイベントで。こんな機会を与えてもらって、メンバー全員感極まっています。リハから楽しくて」と語る姿は心底うれしそうだ。リスペクトするcinema staffとの対バンに喜びを隠せず、その後は言葉に詰まる場面も。続く「ハイウェイ」では、薄明の空に溶けるような内藤のボーカルが、清水の哀愁を帯びたギターとツインボーカルのように絡み合い、このバンドならではのマジックを生み出した。

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中盤、「今日は特別なセットリストを用意してきました。今から演奏するのはcinema staffのカヴァーではなくて、僕たちが敬愛するbloodthirsty butchersのカヴァーです」と清水が告げ、「ocean」と曲名を紹介。音楽ラヴァーたちから拍手と歓喜のリアクションが起こる。リスペクトを込めたストロークがうねりとなり、原曲の持つオルタナティヴな粗さを保ちながらも、彼らなりの解釈で再構築。グルーヴが高まるにつれ、フロアの拳がゆっくりと上がった。後半、「cinema paradiso」では3本のギターが空間を切り裂き、「あなたが生まれた日に」ではパンキッシュな2ビートが炸裂。内藤が小さく「くらやみざかより愛をこめて」と呟くと、観客はその言葉を静かに受け止めた。



●cinema staff

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後攻はcinema staff。飯田瑞規(Vo)、三島想平(Ba)、辻友貴(Gt)、久野洋平(Dr)がスタンバイする中、場内に流れていたのは、彼らが長年SEとして使用している岐阜の先輩バンドClimb The Mindの「泥棒」。淡くエモーショナルな旋律がミラーボールの残光と絡み合う。その余韻が消えきる前、シームレスにアンプのフィードバックへ接続。轟音のギターが空気を引き裂いた瞬間、フロアの体温が跳ね上がる。

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「白い砂漠のマーチ」から、鋭利で無駄のないアンサンブルが炸裂。辻は衝動を抑えきれず前へせり出し、三島はピックを投げてフロアを煽る。13年ぶりとは思えない親密さが瞬時に構築された。
MCでは「あけましておめでとうございます!」と飯田。kurayamisakaと揃った挨拶に笑いが起きる。「めちゃくちゃ楽しみにしてきました。彼らの噂はかねがね。今日いいライブを見せてくれて、俺たちもやる気出てます。ありがとう!」その言葉を袖で聞き盛り上がるkurayamisakaの面々に、「袖がうるさくて最高だね」と辻。2組の関係性が伝わるこの距離感こそ、ライブハウスの醍醐味だ。

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「kurayamisakaもカヴァーしてたけど、bloodthirsty butchersを10年ぶりくらいにやります」と宣言し、「僕たちの疾走」へ。甘さと疾走感を併せ持つ飯田の声がフロアを抱き込み、世代を超えて共有される音楽のDNAが浮かび上がる。「FLOATING SUN」では浮遊感あるメロディが天井へと昇り、「シンメトリズム」でギターが重なり合う瞬間、歓声が爆発した。

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飯田は「この企画は1年以上前から話があったんです。スケジュールがのびて今日になって。その間にkurayamisakaがすごいことになって、得した気分。バズるらしいよ今年」と笑いを交えながら最大級の賛辞を送る。そして、「cinemasakaはずっとやっていくイベントになりそうです!」という宣言に、ファンは歓喜。下手袖から即座に「やりまーーす!」とkurayamisakaのメンバーが返答し、「言質とりました!」と辻が畳みかける。フロアは笑顔で満ちた。

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終盤、「great escape」でピークへ到達し、「3.28」でドラマティックに締めくくる。アンコールでは久野がビールを"プシュッ"と開ける音がSE代わり。「かっこいいバンドから好きって言われると力になる」と素直に語る姿も印象的だった。「袖でkurayamisakaにむちゃぶりされた曲をやります」と前置きし、コードを必死に思い出すフロント3人に笑いが起きる。満を持して披露された「Poltergeist」では、阿左美が乱入し、ハンドマイクで絶叫しダイブ。世代もキャリアも越境した一体感が生まれた。

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これは単なるツーマンではない。cinema staffにとってこの夜は、バンドの現在地を確認し、未来のシーンへ橋を架ける時間だった。そして「cinemasaka」という名は、継続する物語のタイトルとして刻まれた。歴史の始まりを、確かに目撃した夜。直後のDAWA氏の選曲はハイスタの「Maximum Overdrive」。名盤の1曲目を飾るあのイントロが、ライブの余韻をさらに深く沈ませていった。

Text by 岡田あさみ
Photo by 松本いづみ




(2026年3月 4日更新)


Set List

●kurayamisaka

01. kurayamisaka yori ai wo komete
02. metro
03. sunday driver
04. ハイウェイ
05. farewell
06. ocean(cover)
07. evergreen
08. curtain call
09. cinema paradiso
10. あなたが生まれた日に

●cinema staff

01. 白い砂漠のマーチ
02. 火傷
03. フェノメナルマン
04. 僕たちの疾走
05. FLOATING SUN
06. シンメトリズム
07. 熱源
08. drama
09. great escape
10. 3.28
EN. Poltergeist

Link

kurayamisaka 公式X
https://x.com/kurayami_saka

kurayamisaka 公式Instagram
https://www.instagram.com/kurayamisaka_band/

cinema staff Web Site
https://cinemastaff.net/