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「これからも常にフレッシュな存在で、
 新しい取り組みを見てもらいたい」
メジャーデビュー30周年を迎えて軽やかに前進
馬場俊英インタビュー

1996年のメジャーデビューから今年で30周年を迎えたシンガーソングライターの馬場俊英。その活動の大きな節目に、『BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2025 風の中のアイラブユー』と『UP ON THE ROOF EARLY DAYS RECORDINGS 2001-2004』という2枚のベストアルバムを同時リリース。前者はこれまでに在籍した全レーベルからの28曲を、後者はインディーズ三部作からの13曲(※CDのみにボーナストラックとして1995年のデモ音源から未発表曲『28』収録)がそれぞれ収録されている。今回ぴあ関西版WEBでは4年ぶりにインタビューを実施。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』や『スタートライン』といった自身の代表曲を、今どんな気持ちで振り返っているのか? ここに至る活動と現在の境地を穏やかな表情でフランクに語る。その言葉の端々から、今なお冷めることのない音楽への情熱が伝わってきた。

結局こういう答えを出してきたんだなって
ベストアルバムを作りながらわかった


――今年はメジャーデビュー30周年で、2001年に自主レーベルのUP ON THE ROOFを立ち上げてから25周年になりますね。

「そうですね。やっぱ思い入れがある自分のレーベルで、この25年間に34作品ぐらい出してるんですよ。インディーズレーベルを作って、その後にまたメジャーからも出しているので、並行してやってきました。初めて自分でレーベルを作ってみて理解したこともあるんで、そういう意味では、そこからスタートして25年経ったというのは嬉しいですね」

――さらに、馬場さんは来年で還暦を迎えられます。

「そうなんですよね。僕は早生まれなんで、同級生の友達は4月から続々と還暦になっていくんですよね。気持ち的にはすごく大きな転換期だなっていう感じはあります」

――馬場さんがメジャーデビューされたのが1996年ということで、90年代後半以降って、音楽業界も大きな変動期で、日本の経済も低迷がずっと続いてきて"失われた30年"といわれたりもしています。そういう厳しい時代の中で活動してきてどのような思いがありますか。

「デビューした頃は、レコード会社もすごくリリースが多かったですし、そういう風に乗ってデビューできて幸運だったと思うんですけども、2000年代になってくると僕もそんなに力を発揮できなかった。2000年代前半はインディーズで活動してたんで、ちょっと手探りっていうか、試行錯誤をしてましたね」

――たぶん同時代を生きてきたリスナーの方も自分の力になってくれる音楽を欲していたと思いますし、馬場さんの歌に背中を押してもらったんじゃないかと思います。

「僕が2回目の(メジャー)デビューをしたのが2005年だったんです。当時、38歳で。デビュー10年目ぐらいだったんですけど、自分の心境としては、もうすぐ40歳になるなっていう感覚があって。にも関わらず、何も成し遂げてないみたいな気持ちがすごいあったんです。音楽はやってるけど、確固たる足跡が無く、胸を張れるものもないしっていう...。そういう焦りみたいなものとか、まだ10代、20代の青春の続きっていうか、その燃えかすみたいなものが燻っていて、まだ夢が叶えられるかもしれないっていう、青春の最後の続きみたいなことを歌にしてたんですよ。"まだ間に合うかもしれないし、まだできるよ"っていう、そういうメッセージは当時、ファンの方にもすごく響いて、共感していただけたんですよね。

『人生という名の列車』というアルバムを2006年に出して、それが僕のセールス的には一番売れたCDなんですけども、ライブにもお客さんがたくさん来てくれたんです。あの頃、(会社で)リストラみたいなことが増えてきた時代背景があって。(仕事で)歩みを断たれても、まだ頑張れるよっていう自分の等身大のメッセージとファンの方の心境が重なって、コンサートもすごく熱い盛り上がりでしたね」

――曲作りに向かう気持ちはその時々で変化してきますか?

「そうですね。そういう30代に作った歌みたいなことを今本気で作れるかっていうと、今は考え方も変わってるからできないんですけども、そういう人間性がなくなったわけじゃないので、30代後半に作った歌をコンサートで歌うときは、今は表に出てきてないけど、確かに存在する自分のキャラクターみたいなのが舞い降りてきて(笑)、そういう時の自分に戻れるんですよね。きっとお客さんも元気だった自分とか、最近忘れてたなっていうのを、ちょっと感じられる瞬間になってるかもしれませんね」

――今回リリースされた2枚のベストアルバムの中にも、そういう馬場さんの代表曲が収録されています。

「そうですね。『BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2025』の方にメジャーレーベルからの作品を、『UP ON THE ROOF EARLY DAYS RECORDINGS 2001-2004』の方にはインディーズ作品を収録しています。インディーズの方は曲作りも素朴なんですよね。家で録ってたりするので、自分が楽器を全部演奏してるものもありますし、手作りの風合いが良さになってたりするんですけども。自分の家で絵を描いたり、小説を描いたり、プラモデルを作ったりするような感じで、自分の好きな感じになった作品が多いんですよ。

そういう活動を続けていく中で、幸運なことにライブもお客さんがたくさん来てくれるようになって。それから、初めて、(リスナーに)語りかけるっていうか、メッセージするみたいなことが面白くなってきて。ライブの時に一緒に高まっていくみたいなのができるようになったら、すごいシンプルな思いを歌にするようになって、メッセージっぽい曲が増えてきたんです。それで、『スタートライン』ができて、そこからお客さんを意識した作品作りになって、お客さんに喜んでもらいたいみたいな気持ちができた。メジャーから出した新曲はそういう風な曲を作ってるんで、それぞれ曲の成り立ちがすごく違うんですよね。それで、今回のベストは2枚に分けてリリースすることにしました」

――この2枚のベストに馬場さんの30年の活動が集約されているんですね。

「そうですね。ベストアルバムを出すのが今回で3度目なんですよ。2009年と2013年にもベストを出していて、(デビュー以降の)前半15年の曲は割とそちらに入ってるので、今回は2011年から25年までの15年間の曲が多めに入っています」

――ベストアルバムを制作することでこれまでの活動を振り返り、再確認したこともあったりしますか?

「やっぱり1曲1曲振り返ると全部ストーリーがあって、このレコード会社にいた時期に担当していたディレクターさんの提案でこういうのをやったとか、プロモーションのためのタイアップに寄せるためにこの曲を作ったとか、それぞれの理由や事情があって、いろんなストーリーの上で曲を書いてたんですよね。
だから、必ずしも自分が好き勝手にやりたいことをやってきたっていうことでもなかったと思うんです。
でも、音楽活動をするってそういうことなのかなと思うし、いろんな出会いの中で自分がどうあるべきかっていうことを挑戦して、自分も納得できるものを作ってきたと思うんで。自分の思いもありますけど、社会の中で音楽をやって生きてきて、シンガーソングライター馬場俊英というのは、結局こういう答えを出してきたんだなっていうことが、このベストアルバムを作りながらよくわかったっていうか(笑)、整理できたところはありましたね」



コラボレーションの時はちょっと気が楽な感じ
これからは1人でもそういうことをやれたらいいなと


――"嘘のないありのままの歌を聴かせる"と評されることもあると思いますが、馬場さんご自身は、どういうシンガーソングライターと言われるのが1番嬉しいですか?

「でも、嘘かほんとかは自分でもわかんないっていうか、嘘から出たまことみたいのもあるじゃないですか。理路整然とした設計図があって作ってるわけではないから、ぱっとできたものでも、お客さんに、"馬場さんってこういう人なんですね"って受け取られたら、そう人になろうって、そんなふうに期待された自分であろうと思って努力するっていうか、そこに追いつこうみたいな感じで。全然そんなんじゃないと思うんですけど、結果的にそういうアーティスト像ができてるみたいなことがあって。でも、みんなそうなのかなって思うんですよね。

例えば接客業の人が、"あなたは笑顔がすごい素敵で、今日ここに来てよかったです"ってお客さんに言われたら、またそのお客さんが来店した時にそういう自分でいないとがっかりされると思うし、期待に応えたいって思うじゃないですか。そうやって自分の役割を果たしていくうちに、そういう自分像ができていっちゃうことがあると思うんですけども、僕もそういうところがあって、もちろん嫌だなっていうことはやらないですけど、そんな風にもまれてるうちにそうなったみたいなところがあって。

でも、今思ってるのは、もう30年の区切りになって、還暦にもなりますし、物分かりがいいみたいなことばっかりだと、なんだか魂がなくなる気もしますし、もう勝手にやろうかなって、ちょっと思ってます(笑)」

――曲作りも、もっと自由に?

「そうそう(笑)。コラボレーションで曲を作る時は、(コラボする)相手の人のせいにして、いつもだったら出さない自分の個性とかを出せたりするんですよね。KANさんと一緒にやった時はKANさんがやってるふりして、実は僕が書いてたりするところもたくさんあって、そこはお互い責任半分ずつっていう感じで、すごい楽しめたんです」

――それは、今回のベストにも収録されている『ありそでなさそ』ですね。

「はい。で、それは(根本)要さんもそうだし、(佐藤)竹善さんもそうなんですけど、一緒にやると、封印してた自分を密かに相手のせいにして出せる時があって、すごく楽だったんですよ。バンドの人はまたちょっと違う感じかもしれませんけど、馬場俊英の曲ですって言って世に出した時って、自分がすべて責任取らないといけないみたいなところがあって。お客さんに対しても自分の人間性と作品がダイレクトに結びつき過ぎて、ちょっと慎重になるんで。コラボレーションの時はちょっと、気が楽な感じでやれたんですけど、これからは1人でもそういうことをやれたらいいなと思って(笑)。お客さんも意外なことをやってほしいっていうか、自由にやってほしいと思ってるような空気も感じないでもないんで。勝手にイメージを作りすぎたところがあったかもしれないなと...」

――今年の夏は、8月8日(土)には大阪市中央公会堂でアコースティックライブが開催されます。これはどういう編成になりますか?

「これは僕とピアノともう1人ギターが入って3人でやります。アコースティックなんで、リラックスして楽しんでもらえると思いますし、3人なので音も迫力があるし、いろいろ楽しめるライブにしたいなと思ってます。ここでやるのは2度目なんですけども。すごく特別な雰囲気があって、前回やった時もお客さんがすごい喜んでくれました。大阪のファンの方にとっても、すごい特別な会館なんだなって感じましたね」

――この公演も30周年に合わせた選曲で?

「そうですね、いろんな時代の曲をピックアップして、アコースティックなスタイルで楽しんでもらいたいと思ってます。それと、ちょっと野望としては、いち早く新曲とかも披露するような機会にはしたいなと思っていて。今、新しい曲を何曲か作ってます」

――個人的に馬場さんが作るラテン系のナンバーも聴いてみたいなと思ってますが、そういう曲調はいかがですか?

「いや、まさにそうなんですよ。ラテンっぽい音楽が元々好きで、コンサートに行ったりとか、CDで聴いたりしてるんですけど。そういうのは音楽的な技術も難しいので、今まで取り入れてこなかったんですけど、これからチャレンジしたいなと思っていて。今はまだできませんけど、数年先にはそういう曲もちょっとアルバムにしたいなと思っています。これからも常にフレッシュな存在で、新しい取り組みがある姿を見てもらいたいなと思ってますので、よろしくお願いします」

Text by エイミー野中




(2026年3月24日更新)


Release

『BABA TOSHIHIDE ALL TIME BEST 1996-2025 風の中のアイラブユー』
発売中 4400円(税込)
UOTR-00027

《収録曲》
【DISC 1】
01. 君が僕の元気(2024年)
02. ステップ・バイ・ステップ Collaboration with 池田綾子・森大輔(2018年)
03. 青春ラジオ(2007年)
04. 君はレースの途中のランナー(2007年)
05. スニーカードリーマー(2011年)
06. この街で(2005年)
07. ダウン・ザ・リバー(1997年)
08. 同じものを見ていた Collaboration with 根本要(スターダスト☆レビュー)(2018年)
09. スーパーオーディナリーCollaboration with 佐藤竹善(SING LIKE TALKING)(2011年)
10. スマホになりたい Collaboration with KAN(2021年)
11. No.1 Collaboration with 杉山清貴(2017年)
12. 働楽~ドウラク(2007年)
13. 一瞬のトワイライト(2006年)
14. 東京ベイ(2022年)

【DISC 2】
01. ボーイズ・オン・ザ・ラン Collaboration with コブクロ(2005年)
02. スタートライン(2005年)
03. ただ君を待つ(2006年)
04. 悲しみよ、明日の星になれ(2011年)
05. Can’t Stop Lovin’ You Collaboration with ミトカツユキ(2025年)
06. ありそでなさそ Collaboration with KAN(2013年)
07. 右と左の補助輪(2011年)
08. 今日も君が好き(2006年)
09. 地平線(2025年)
10. ケムシのうた(2021年)
11. 今夜(2014年)
12. 草野球(2007年)
13. 最後まで(2014年)
14. APOLLO(2022年)

『UP ON THE ROOF EARLY DAYS RECORDINGS 2001-2004』
発売中 3300円(税込)
UOTR-00026

《収録曲》
01. ここさ(2001年)
02. 陽炎(2002年)
03. ふたつのハートがスローなダンス(2002年)
04. 春のレイン(2001年)
05. Bird(2004年)
06. ボーイズ・オン・ザ・ラン(2001年)
07. プリズナー(2001年)
08. 真珠(2004年)
09. 針と糸(2001年)
10. 怪物達の古戦場(2001年)
11. 鴨川(2002年)
12. 愛のうたを歌いたい(2004年)-
13. フクロウの唄(2001年)
14. 28 (Bonus Track)(未発表曲DEMO 1995年)

Profile

ばばとしひで…1967年3月20日生まれ。埼玉県出身のシンガーソングライター。1996年にメジャーデビュー。2001年に自主レーベル・UP ON THE ROOF RECORDSを設立。2007年に「NHK紅白歌合戦」に初出場し、「スタートライン~新しい風」を歌唱。2008年、『TOUR 2008~いつか君に追い風が』全9公演を実施し、ツアーファイナルで初のアリーナコンサートを大阪城ホールで開催。現在まで音楽活動と並行してラジオDJやテレビ番組のパーソナリティを務めるなど幅広く活躍中。

馬場俊英 オフィシャルサイト
https://fan.pia.jp/babatoshihide/


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