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ジャニスの○○と○○シリーズ
『koboreとa flood of circle』のツーマンライブレポート

12月23日に心斎橋JANUSにてライブイベント『koboreとa flood of circle』が開催された。『〇〇と〇〇』シリーズは最高の対バンをテーマに開催される心斎橋JANUSの人気企画。ちなみにkoboreとa flood of circle(以下、flood)は互いに東京出身のバンドでありながら、今回が初対バンであり、その初対バンが大阪で実現というのは誠に貴重である。

約10年のキャリアの差がある2組だが、先攻は先輩のflood。開演時間の3分前に佐々木亮介がひとり舞台に出てきて、セットリストにも表記されていない「全治」を弾き語りで歌う。約45秒の曲を歌いきり、佐々木は緑茶割りのアルコール缶を一口呑み、またギターを弾き始める、と渡邊一丘(Dr)・HISAYO(Ba)・アオキテツ(Gt)が現れる。

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佐々木が一節歌ってから、怒涛の演奏が鳴らされ、佐々木が早口で語りをまくしたてていく。バンドメンバー全員が揃ってからは1曲目だというのに、早くもグッシャグッシャにロックンロールしている。そのまま「ASHMAN」へと突入していくが、とにかく先輩らしくどっしりと腰が据えられている。続く「Welcome To Wonderland」でも、そのスピードは勢いを増していく。何よりも佐々木のしゃがれた声に最早貫禄すら感じる。

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荒々しいのにメロディアスだというのも凄いなと感心しながら、「理由なき反抗(The Rebel Age)」を聴いていると、いつの間にやら佐々木が観客フロアに降りている。一瞬でも目を離すと予想だにつかない現象が起きるのがロックンロールだなと噛みしめていたら、曲が終わっても観客フロアに佐々木が取り残されていた。『帰れなかったわ』と不敵な笑みを浮かべる佐々木。曲が終わるまでに舞台に戻っているであろうという予想を見事に良い意味で裏切ってくれた。そして、いっぱい練習して発表するだけがロックじゃないという当たり前の事も突きつけられる。

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5月6日には初の日本武道館を控えているが、武道館は観客フロアに降りたら罰金だと自ら明かす。資本主義という言葉を交えながら絶対言う事を聴くと話して、もしも今後自分を見かけたら、『最初の気持ちを忘れたの』って言って下さいと観客に語り掛ける。発想力の豊かさに思わずくすりと笑ってしまうものの、この人はどこまでロックンロールの十字架を背負って、自身に負荷をかけまくるのだろうと胸も熱くなってしまう。すぐさま「くたばれマイダーリン」へ。この曲自体も語りかけるように歌いかけられる曲であり、改めてfloodの曲の良さに酔いしれる。

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中盤に入ったところで、中島らもの言葉を自分の言葉に訳しながら話す。ひとりの人間に1日には、ひとりの天使がついてくれているといった意味合いの言葉なのだが、その後に『俺の今日の天使はみなさんです』と言い放ち、「Christmas Time」へ。ロマンチックな言葉の後に、時期的にもロマンチックな歌というのはたまらなく優しく響く。「アンドロメダ」では佐々木にギターヒーローの一面も魅せられて、「Rollers Anthem」では『それをロックンロールと呼ぼう』という言葉が自然と突き刺さってくる。そこから『俺たちとあんたたちの明日に捧げます!』と「シーガル」へ。歌声と楽器の音が全て叩き込まれる感じ...。

『5月6日 武道館 目を開けて夢を見ている』

 「夜空に架かる虹」の最後の歌詞が沁みる。ラストナンバーは「Honey Moon Song」。歌われる前の『JANUSから羽ばたいた人みなさんを見送りながら、今日もJANUSで演奏しています』という言葉も響いた。人と比べても仕方ないし、floodにはfloodにしか鳴らせないロックンロールがある。『俺らのまんま、JANUSのまんま行くぜ武道館!』と勢いづけられた後も、逆説的に嘘が得意と話していき、『嘘を言おう。月に行けるよ』と「Honey Moon Song」へ。佐々木は決して偽善者では無い、リアリストなだけだ。でもロマンチストとでもあるから、人間味があるので信用が出来る。そこまで曝け出して歌う歌を、観客も初っ端から一緒に歌う。ギターを背中にかけてハンドマイクを持ち、真っ直ぐな眼差しで歌いかける。

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急遽、「伝説の夜を君と」も歌われることに。優しい歌声で『俺たち無敵さ』と静かに歌われる。メンバーが舞台から去った後も、佐々木ひとり歌い続ける。最後は『じゃあ武道館に来てね! 爆笑させてあげるから!』と〆た。いちいちかますところも格好良い。クリスマスソングも踏まえた上で、この日でしかないセットリスト。ここまで先輩がかました後に、初対面の後輩がどうかまし返すのか、ついつい楽しみになってしまう。

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後攻はkobore。サウンドチェックで、くるり「東京」を何気に鳴らしている。舞台袖にはけることもなく、「テレキャスター」を歌い出す。『僕にとっての音楽はさ』という歌詞、ボーカルの佐藤赳による『音楽をやりに来ました』という言葉、全ての言動行動に気合いがほとばしっている。「爆音の鳴る場所で」から「君にとって」と序盤から畳みかけ、その後のMCで何気に関西弁で喋る。関西人が聴いても嫌な違和感が無い関西弁であるし、そうやって敢えて関西弁で喋って煽ってくる感じも青々しいと考えていたら、『まだまだ若いぜ! 「GOLD」!』 と次の曲へ。まさに青春のティーンエイジャーを感じさせる。どこまでも行けそうな気にさせてくれるし、照明も眩しい...。

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佐藤は忘年会について、忘れたいことなんてないし、思い出すために酒を呑むんですなんて話す。佐々木同様に佐藤もしっかりと観客に語り掛けていくが、佐々木とは違う20代だからこその青い尖りも垣間見えて、その言葉も眩しい。『ロックスターかスーパースターか知らないけど、floodはめっちゃ怖かったです。ムカつくわぁ!』という言葉も少し唐突に感じたが、その直後の「愛が足りない」にロックスターもスーパースターも歌詞として出てくる。上手いことを言ったり、噛みつくことを言ったり、それでも全く嫌味が無いのは佐藤の可愛げある人間性の成せる技なのだろう。『ライブハウスでスカしてんなよ! クソったれ!』と自ら観客にダイブする佐藤。その若さゆえの向こう見ずさも可愛らしい。「愛が足りない」というタイトルでは無いが、足りないからこそ求めているのだ。どんどん演奏もエネルギッシュでエモーショナルになる。

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曲終わり、息切れしている佐藤。『1回、無になりますね。あるまじきですよね』という言葉も可愛らしい。演者が舞台で息切れすることがあるまじきことだとしっかりと認識できているわけであり、でも、こちらもあれだけエネルギッシュにエモーショナルに爆発していたら息切れしてしまうよと受け入れられるわけで。何よりも気迫が全てに込められているというのが、息切れしてしまう理由でもある。

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『寒い冬の歌を』と歌われる「ドーナツ」は、柔らかい言葉が柔らかく歌われるが、ちゃんと胸に届く優しいラブソング。どんな歌を歌おうと、ともかく伝えるバンドだなと想っていたら、『伝えられる内に伝えないとな』と「幸せ」を歌い出す。まさしく伝えるバンドなんだなと感動すらしたし、より気迫気合いも伝わってくる。消えていく友達、無くなるライブハウスについても話していたが、自分たちに関わる全てを守ろうとしている。

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CDを買ってよという時代でも無いと話し、『ひとつだけ言うわ』と『どっかで歌っているので、また逢いに来てよ!』と訴えかける。『今聴きたいバンドじゃなくて、今逢いたいバンドになりたい』というストレートな言葉も潔かったし、そこからの「STRAIGHT SONG」が響かないわけがない。そのまま『ワンツースリーフォー!』と「この夜を抱きしめて」へとぶち込んでいく。『泥臭えライブに救われたことはあるかい?』という歌詞が頭にこびりついてしまう。これまた曲終わり、佐藤は息が切れているし、全てを伝えきれているのに、それでもまだまだ必死に伝えてこようとする。

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「この夜を抱きしめて」から「夜に焦がれて」と夜という言葉が入ったタイトルの曲が重なる。この日は歌われていないものの、夜について歌われている歌が他にもあるが、夜の長さや寂しさを実感できているからこそ、伝えようという気持ちが前のめりになるのだろう。『応援してよ』と何度か訴えかけていたが、前向きな焦燥感を確実に持てているバンドである。ラストナンバーは「ヨルノカタスミ」。ここでも夜について歌うし、昔的な言い方をするが壮大なロッカバラード。ラストナンバーにふさわしいし、若いのにロッカバラードという壮大な歌を明確に自分のものにしている。歌終わった後のやりきった姿は清々しかったし、凛々しかった。

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年齢差はあるし、初対バンでもあるのに、しっかりと伝えたいことがあるという点では共通項があるfloodとkobore。ライブでの緊張感を讃えあうかの如く、打ち上げでは笑い合いながら酒を酌み交わす。伝えきった者同士だからこそわかりあえる感情なのだろうか。来年、佐々木は日本武道館という大きな挑戦があり、40代にも入る。一方、佐藤も30代へと入り、これまで以上の躍進が期待される。新たな局面へと入る2組の対バンを、ここ大阪でまた是非とも観てみたい。

Text by 鈴木淳史
Photo by 松本いづみ




(2026年1月 7日更新)


Set List

ジャニスの◯◯と◯◯シリーズ

2025.12.23 Tue at 心斎橋JANUS

●a flood of circle

01. Party Monster Bop
02. ASHMAN
03. Welcome To Wonderland
04. 理由なき反抗 (The Rebel Age)
05. くたばれマイダーリン
06. Christmas Time
07. アンドロメダ
08. Rollers Anthem
09. シーガル
10. 夜空に架かる虹
11. Honey Moon Song

●kobore

01. テレキャスター
02. 爆音の鳴る場所で
03. 君にとって
04. GOLD
05. 愛が足りない
06. ドーナツ
07. 幸せ
08. STRAIGHT SONG
09. この夜を抱きしめて
10. 夜に焦がれて
11. ヨルノカタスミ

今後の関西公演をピックアップ!
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a flood of circle

a flood of circle 20周年記念ツアー"日本武道館への道"

【京都公演】
▼3月1日(日) 18:00
磔磔
オールスタンディング-4800円
[ゲスト]ヒトリエ
※ドリンク代別途必要。未就学児童入場不可(小学生以上チケット必要)。
[問]清水音泉■06-6357-3666
【大阪公演】
▼3月13日(金) 19:00
BIGCAT
オールスタンディング-4800円
[ゲスト]ドレスコーズ
※ドリンク代別途必要。未就学児童入場不可(小学生以上チケット必要)。
[問]清水音泉■06-6357-3666

【大阪公演】
「SAKAI MEETING 2026」
【大阪公演】
▼3月28日(土)・29日(日) 11:00
GORILLA HALL OSAKA

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kobore

kobore pre.『FULLTEN』

【名古屋公演】
▼3月19日(木) DIAMOND HALL
[ゲスト]有
【大阪公演】
▼3月22日(日) BIGCAT
[ゲスト]有
【東京公演】
▼3月27日(金) LIQUIDROOM
[ゲスト]有


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