ホーム > インタビュー&レポート > “最前線でファンタジーを鳴らす1枚ができた” クジラ夜の街が『ひかりあそび』で魅せた、創作の深化 12月からは全国ツアーがスタート
クジラ夜の街の、2025年個人的ニュース
――今年6月にバンド結成8周年を迎えられましたね。8年を振り返るといかがでしたか?
宮崎「8年メンバーが変わらずにやってるバンドって意外と珍しいんじゃないかなと思っていて。そこはクジラ夜の街の1番好きなところです」
――"この4人だからいける"という手応えが強まっていますか?
宮崎「曲を作る時の空気感はもう僕たちだけの間合いというか。言葉にしなくても伝わる部分が増えてきている感じがします」
秦「僕たち今24歳なんですけど、人生の3分の1をバンドに捧げたということなので。2年後には10周年を迎えますし、今後続けていけばもっとバンドが人生を占める割合が大きくなるので楽しみですね」
宮崎「確かに。バンドと一緒に歳をとっていく感じが徐々に出てきましたね」
――まもなく2026年を迎えますが、2025年の個人的ニュースは何かありますか。
山本「個人的ではないかもしれないんですけど、今年はライブや音楽的な活動が今までほど多くなくて。でもライブ以外でメンバーと話す機会が他の年よりもちょっと多かったと思っていて。バンドを続けていく意思が4人の中で高まった1年だったと思います」
――4人でお話する機会を増やしたんですか?
山本「事務所でミーティングがある時になんとなく4人で喋ったり、帰り道や移動中に喋る感じですね。わざわざ集合して話すことはなかったけど、その中で"この4人で続けていくことが目標なのかな"、という気持ちが芽生えました」
佐伯「僕は一晴に服装に関して怒られたので、8周年にしてちゃんと考えて服を着るようになりました。今年は服をたくさん買いましたね」
――佐伯さん、オシャレなイメージですけどね。
宮崎「衣装はオシャレなんですけど、普段着はいつも同じ服なので、僕が怒ったというか"お前いつも同じ服だな"と言った時があって。最近はスタジオの時もオシャレな服を着てきたり、身だしなみに気を遣っているので僕も満足です」
――秦さんの個人的ニュースはありますか?
秦「僕は人より1年長く大学に通ってたんですけど、バンド活動の合間を縫って単位を取得できて、今年無事に卒業することができました! ありがとうございます」
――おめでとうございます! 宮崎さんはどうですか。
宮崎「僕は結構穏やかな1年だったんですけど、家で宅録で作る楽曲のクオリティーを高めたのと、あとは曲を1番作った年だったかもしれないですね。特に上半期は20〜30曲くらい作ったんですけど、その20〜30曲は今回のアルバムに1曲も入ってなかったりするので」
――そうなんですか。
宮崎「全部ボツにして、その後できた10曲を入れたアルバムになったので、たくさん曲を作っては捨てて、作っては捨てて。ちょっと地味な年ではありましたけど、修行になるような年でした」
――もったいなくはないですか?
宮崎「捨てるとは言いましたけど、一応残ってはいるので。後でまたこいつらを改造して良いものにしていこうという、おもちゃが増えた感覚ですね。あと作曲者なら誰でも陥ると思うんですけど、曲が作れなくなった時のためにストックがあると思っていて。なので僕はこの20〜30曲があるおかげで、制作に関しては向こう数年は安泰ですね」
ファンタジーとリアルは表裏一体
――3rdフルアルバム『ひかりあそび』は、2024年7月リリースの青盤(2ndEP『青写真は褪せない』)、2024年11月リリースの恋盤(2ndフルアルバム『恋、それは電影』)を経ての"光盤"ということで、どういうモードで制作に入っていかれましたか。
宮崎「僕たちはずっと"ファンタジーを創るバンド"と銘打ってきて、これは秦の引用なんですが、"バンドをやっていく上で、ファンタジーが手法から目的に変わり"ました。ファンタジーをひとつのゴールと捉えて、自分たちの掲げているモットーに、より真摯に向き合おうという、原点回帰とはまたちょっと違う感覚になりまして。改めて"自分たちにとってのファンタジーとは何か"をうまく体現できた作品になったと思います」
――恋盤で"ステレオタイプなファンタジーを創るバンドを脱却した"とおっしゃっていたように、リアルが混ざってきていますよね。
宮崎「ファンタジーとは何かを自分なりに考えた結果、ファンタジーはリアルがあるからこそ生まれるもの。これは当然といえば当然で、僕たちが"遠い"と感じるものは近いものがあるからで、"熱い"と感じるものは冷たいものがあるから。物事は対比によって成り立っている。そういった意味でもファンタジーとリアルは表裏一体だと思うんですね。なのでより壮大なファンタジーを描くためには、より細かなリアルを描かなければいけないなと思いまして。それを1曲で体現するのも大切なんですけど、せっかくアルバムという形態があるので、今回は非常にリアリティに寄った楽曲と、すごく遠く感じるファンタジー作品を散りばめることによって、それらがより深く感じられる作品作りを試みました」
――なるほど。その意識になったのは、タームが変わった青盤以降ですか。
宮崎「青盤以前は、作りたいものをその時の衝動に応じて作るという、若かりしロックバンド然とした制作スタイルだったんですけど、青盤辺りから本当にどういうものを作りたいのかを最初に考えてから制作に取り掛かるようになりました。その結果予想外のものが生まれるのも面白いし、狙ったものができるのも面白い。最初に計画を立てること(=青写真)がクジラ夜の街を表現する上で大事だなと思ったので。その結実が今回の『ひかりあそび』にも出ているかなと思います」
――前作の恋盤は長いレコーディング期間を設けて制作されたそうですが、今回は?
宮崎「今回はめちゃくちゃ詰めて作りましたね。レコーディング日数で言うと、6〜7曲を合計6日で録るみたいなことをしてたと思います。なんなら歌以外のパートを1日で2〜3曲録る勢いでした」
――そのスピード感でいけた理由はありますか。
山本「いくしかなかった(笑)。先に楽器を録る日程が決められていたので、そこに向かうから集中して詰めれたのはありますね」
宮崎「僕、19歳の時にバンドでオーディションに行った時に、プロのプロデューサーの方とお話する機会があったんですけど、その時にプロとアマチュアの違いを教えられて。"それは1つしかない。締め切りがあるかないかだ"と言われたのがすごく心に残ってて、締め切りを守ろうとその時に思いました」
――偉い。
宮崎「逆に期日があった方が燃えるなというのはちょっとあります。あとはさっき言ったように、ある程度旗印を決めた状態で作る方法に変えてから2〜3作目のアルバムなので、そこに慣れたのが近いのかな」
――宮崎さんが20〜30曲を捨てて新しい10曲を作ったというのも、ゴールがあったからできた部分もありましたか?
宮崎「そうですね。"もっと良いものを"という想いもあったし、8年バンドをやっているとはいえ、僕がどういう楽曲をどういう意図で作るかは、同じ人間じゃないから100%はわからない。でもボツ曲をある程度メンバーに共有したことで、メンバーの理解度がどんどん浸透していって、その後の楽曲制作がスムーズになったのかもしれないなと思いました」
真っ直ぐにファンタジーを創作した、純然たるひかり
――『ひかりあそび』のタイトルについてですが、これまではEPとアルバムタイトルに漢字が入っていましたが、今回は全部ひらがなです。そうされた意図はありますか。
宮崎「ファンタジーと向き合うとなった時、1番最初に思い至ったのは、"子どもたちが夢を持てるもの。そして大人たちも童心にかえる"というイメージだったんですね。それで絵本のタイトルみたいにしたんです。でも元々は"命盤"にしようとしてたんですよ。だけど説教っぽくなりそうだなと思って。これもまたファンタジーを手段にして、"ファンタジーとは謳ってますけど、実は命の歌なんです"みたいなギャップに使うのって真摯じゃないなと思って。ここは真っ直ぐにファンタジー作品を作っているんだと明確にあらわすべきだとなった時に、『ひかりあそび』は子どもたちが影絵で遊ぶ営みのことを指すんですけど、そういったものを冠した方がむしろ楽に聴ける。歌詞を掘り下げて"実は結構深いテーマがあるんだ"と感じていただくのはすごく嬉しいんですけど、制作者側が最初から含みのある言い回しをすると、急にあざとさが出るなと思ったので、そういうものを極力排除しました。『スターダスト・ジャーニー』(M-2)に<なんでもないひかり>という歌詞が出てくるんですけど、本当に"種も仕掛けもありません、純然たるひかりあそびです"という意味ですね」
――サウンド面に対してはどういうところを目指そうと思われていましたか?
秦「『スターダスト・ジャーニー』はドラムの音にめちゃくちゃこだわりました。この曲は理屈で音作りを考えていて。この曲に足りない帯域をドラムで全部埋めようと思って、普通より大きいバスドラムを使って低音で迫力を出したり。1人でも多くの人に届けられるヒット曲を生むために、結構計算で考えました」
――宮崎さんがMCで"ヒット曲になりうる『スターダスト・ジャーニー』に出会えた"と言われていたのは、手応えがあったんですか。
宮崎「この曲は内々で出した時の反応もすごく良かったんです。演奏してても楽しいし、ライブでやり続ける中で、どんどん新しいファンを増やしていくような楽曲になるだろうなと思いました」
――素直に真摯に向き合いつつも、しっかりと広がりを見せるためのテクニックが組み込まれているんですね。
宮崎「バンドの音に関しては、メンバー間で言葉を交わさなくてもわかるようになってきているので、逆にそんなに意識しないで録ってる部分もありますね。ただ、上澄みのバンド以外の音はすごくこだわりました。例えば『有明の詩』(M-1)のストンプの音は、色んなサウンドトラックや劇伴を聴いて、いわゆるポップスの音にならないように、少しワイルドな鳴りになればいいなと思って作りましたね。最近有能なプラグインがたくさん増えていく中で、やっぱりみんな生音を求めているなとすごく思うので。バンド以外の音をやるとなると、どうしても野生味が失われていく。それはしたくなかったので意識したところです」
――バンド以外の音で言うと、ストリングスが入っている楽曲もありましたが、生で録られたんですか?
宮崎「本当は生で録りたかったんですけど、予算感やプレイヤーが周りにいなくて断念しました。でも、できることはめちゃめちゃ模索しましたね。打ち込みなのに生っぽく聴こえる鳴り方は1番意識したかもしれないです」
悲しみや怒り、どうにもならない感情さえも、生まれてこなければ得られなかったもの
――『ハッピーエンド』(M-3)で冒頭から鳴っているのは打ち込みとキーボードですか?
宮崎「トイピアノです」
――へえ! ベースラインが唸ってループしつつ始まる面白いサウンドでしたが、『ハッピーエンド』はどんなこだわりがありましたか?
宮崎「この曲は僕が家で最も作り込んだ楽曲のひとつです。ベースラインやドラム進行、箇所箇所のギターフレーズにアイデアがあって、1回自分の中で組み立てて、解像度が高い状態でメンバーに渡しました。僕が考えたフレーズではあるんですけど、メンバーが弾くことで再解釈のような感じになりまして、やっとそれで完成するようなプロセスでした」
――皆さんはどんな解釈でプレイされましたか?
山本「『ハッピーエンド』はアップテンポの曲ではあるんですけど、最初に聴いた時、熱量があるところと落ち着いてるところのちょうど中間にいるみたいな、少し特殊な雰囲気だなと思って。だからその中間の印象をどう作るかをすごく考えました。フレーズ自体はそこまでロックすぎないんだけど、音作りでエッジをきかせてみるとか、そういうところをすごく意識して。あまり自分が得意な曲調ではなかったので、結構考えましたね」
――佐伯さんはいかがですか?
佐伯「細かく動くベースラインなので、何を弾いているのかを分かってもらえるように、丁寧に弾くことを意識しました」
――イントロからベースが鳴ってますもんね。
宮崎「この曲はベースを主役に作ったので。佐伯が音作りをする前に、"コンフレットの音が潰れない感じで弾いていただけると助かります"とは伝えました」
――ドラムはいかがですか?
秦「この曲は一晴くんがデモで作ってくれたフレーズを忠実に再現したんですけど、"サビやAメロで出てくる16音符の連打のスネアを、絶対に同じ音の大きさで均等に叩いてほしい"というリクエストを受けて。自分の中で"これなら均等でしょ"みたいな感じでやっても、"それ全然均等じゃない"みたいなダメ出しを受けて。本番までめちゃくちゃ練習して、本番は超均等に叩けたので、そこを聴いてくれたら嬉しいですね」
――<悲しむことを、恐れちゃダメなの。あたしにとっての"ハッピーエンド"はあたしが決めるから>が好きなのですが、歌詞で描きたかったことはありますか。
宮崎「これは最初から物語調にしたくて。あと僕はメタ構造が好きなので、劇中劇みたいにしました。悲劇作家のブラック=ベイカーさんが描くハッピーエンドの少女のお話なんですけど、個人的な想いとしては、実際のリアルの人々の人生って全然喜劇じゃないと思うんですよね。正直辛くてどうにもならないことの方が大半を占めてると思う。でもここを飛び越えて、楽しみさえも受け入れることが、僕たちが人生を生きていく上でめちゃめちゃ大事なことだよなと思っていて。おそらく悲劇作家のブラック=ベイカーさんはそれを理解していたはずなんですけど、気持ちの上振れや恋愛感情が邪魔をして、どうしても希望的にしたい感情が出てきて、悲しみを受け入れられなくなりそうになるんですけど、やっぱりそうではないというか。自分たちが生きて存在して、生まれてくる感情は、喜び以外もすごくありがたいこと。悲しみや怒り、どうにもならない感情さえも、産まれて生きてこなければ得られなかった情たちなので、それらを全て受け止めれば、文字通り<喝采>を受けられるような良い人生だったと言えるのではないかという想いを込めて作りましたね」
――ブラック=ベイカーさんはすごく人間なんですね。
宮崎「作者はそうなるかなというので、意識しましたね。あと"ブラック=ベイカー"という名前が好きです。英語圏ではどっちも名字なので、吉田山田みたいな感じ(笑)。実在する名前だと思われるとノイズが生じるので、ここは絶対に架空の名前にしないといけなかった。だからハナから意味のわからない名前で、でもギリギリいそうな名前というので、ブラック=ベイカーにしました」
アレンジャー・奥野大樹から学ぶこと
――アレンジャーの奥野大樹さんとは青盤以降タッグを組まれていますが、奥野さんとの制作で得たものはありますか。
宮崎「奥野さんは知識量がすごくある方なんですけど、僕らに合わせてくださるのでめちゃめちゃ難しい話はしないし、僕らがやりたいところを絶妙に良い角度から整理してくださいます。僕は前作くらいまで、ストリングスの入れ方がなかなかわからなかったんですけど、今回は『ハッピーエンド』も僕がストリングスを考えていて。奥野さんから基礎を教えていただいた感じはありますね」
山本「僕はボーカルをレックする時のテイクの選び方について。奥野さんがアレンジで入っていない楽曲は、ボーカルテイクのセレクトを宮崎と僕で話し合ってやるんですけど、その中で奥野さんのテイクの選び方をずっと参考にしていましたね。例えばボーカルのディレクションに詳しくない人からすると、ピッチ感やタイム感を重視して選びがちなんですけど、奥野さんは楽曲に対して嘘がないテイクを選ぶ人。宮崎が自分で選んだテイクだと、やっぱり歌っている身なのでピッチを気にしてるのかなと思う部分があって。そこで、聴いてる人間の視点から"こういうテイクもいいんじゃない?"という提案ができるようになりました。それは奥野さんからすごく学んでるなと思います」
秦「奥野さんはメンバーをすごく大切にしてくれる方。自分がもしアレンジャーだったらと考えた時、メンバーではないけどメンバーが作りたいものを実現しつつ、アレンジを引っ張っていく立場でもある。メンバーの意思を尊重するけど、自分の意図も貫き通さないといけない結構難しい立場だと思うんですけど、奥野さんは言葉選びがすごく的確で。メンバーへの意見の言い方も学べる部分が多くて、僕もドラマーとしてこの姿勢は見習わないといけないなと思っています。人間性の部分でもすごく尊敬できる方です」
佐伯「僕は『REAL FANTASY』のスラップの音作りで躓いた時、自分が出したい音をしっかりと理解したアドバイスをくださって、ちゃんと意思を尊重してくれる方だなと思っています」
――奥野さんご自身もバンドをされてるからかもしれないですね。
宮崎「"バンドがしたいこと"を手伝ってくれるので、嬉しいですね。"メンバー4人で作りたい"というところをちゃんと理解してくださってるというか。あくまで僕たちの相談相手になってくれる方なので、すごく助かってます」
約半年ぶりの自主イベント。新鮮なクジラ夜の街を届けられるツアーになる
――『星は何にも喋らない』(M-9)の英題が"The sun says nothing"で、主語が星でなく太陽なのはなぜですか?
宮崎「"星"が何を指すかなんですけど、自分の中では夜空に瞬いている星々というよりは、もっと世界みたいなイメージだったんですね。宇宙、あるいは創造主、神。なので"World"や"God"もいいなと思ってたんですけど、それをどっちも兼ねられる言葉が"Sun"でした。太陽は言わずもがな天体で、神様の象徴として描かれることもある。今作のテーマが"光"で、『星は何にも喋らない』の次に"夜明けの歌(=『新聞配達少年』)"がくるのもあって、ぴったりだなと思って。世界全体や世界を作った人、この世界を上から見守っている人みたいな意味合いを込めて"Sun"にしました」
――実際の歌詞では"星=犯人"なので、お天道様は見ているという意味にもなりますね......!
宮崎「あと"太陽が喋らない状態"="夜"だと思ってるので。絵本でも"太陽が眠っている"というじゃないですか。眠っているということは喋っていない、つまり夜の歌なので、"太陽が何も喋らない"のはちょうどいいかなという」
――面白い! 改めて今作はどんな1枚になりましたか?
宮崎「簡単な言葉になるんですけど、自分たちの中でも納得度が高く、作りたいものを作れた1番のアルバムだと思っております」
――宮崎さんは"子どもの頃の自分に聴かせてあげたい"とコメントを寄せておられましたね。
宮崎「僕は『Sound Horizon』や『FINAL FANTASY』、『キングダム ハーツ』の宇多田ヒカルさんの主題歌のファンタジックな世界観や壮大なテーマに惹かれました。でも子どもの頃は意外とそういうものが多くなくて、吹奏楽曲とかになっちゃうんですよね。それを歌モノとして昇華させてるバンドも少なかったし、なんなら今も少ない。ファンタジーの第一人者だと、SEKAI NO OWARIさんが挙げられると思うんですけど、彼らも今次のステージというか、『Habit』辺りからリアル寄りになってきて、ますますファンタジーを創る人たちがいなくなっていると思うんですね。今最前線でファンタジーを鳴らしている人たちが必要だろうと思っていて、今作はそこに成りかわれるような作品になったと思います。そういった意味で、子どもの頃の僕が聴いたら、"これこれ! これを求めてたんだよ!"となると思います」
秦「ドラムって今は機械が叩いてくれるし、ドラマーがドラムを考えなくてもAIが自動演奏してくれたりするすごい時代だけど、この時代において人間がドラムを叩くことにどんな価値があるのかという問いに答えを出したアルバムになったと思います。ドラムは音階のある楽器じゃないし、叩いて鳴らすアナログな楽器。このアルバムでも色んなアプローチをしたんですけど、僕にしかできないドラムが叩けたと、今回はすごく思います」
山本「僕も納得のいくアルバムになったと思いますし、"クジラ夜の街はこういうバンドです"の在り方が変わった1枚のような気がしていて。これまでは1枚のアルバムやEPの中で様々なことができるのがクジラ夜の街だったけど、今回の"光盤"では全体的に一貫性があって、楽曲が『ひかりあそび』というひとつの塊になっている。コンセプトやテーマ、クジラ夜の街のオリジナリティが伝わりやすい1枚になったと思います」
佐伯「今までとは制作方法が違っていて、デモの時点でかなり完成されていたので、曲のイメージや自分の弾きたいベースがより作れたと思います。一晴が作ったベースを弾く時は、自分がどのように弾くのかということも考えさせられて、アルバム全体を通して納得のいくベースを作れました」
――今月からはアルバムを携えたワンマンツアー『STARDUST JOURNEY』が行われます。意気込みをお願いします!
宮崎「最後に出演したライブからかなり期間が空いたので、若干感覚が抜けてるんですけど、それが逆に良いというか。もちろん歌は上手に歌えるし、ライブは上手くなってるけど、全てが新鮮に捉えられそうだなと思ってて。リハーサルで"この曲ってずっと近くで見続けてたからよくわかんなかったけど、1歩引いてみるとこういう表現の仕方があるのか"という発見があったので、自分たちも新しいクジラ夜の街を発見できるようなツアーになると思います」
山本「意気込みはもちろん"頑張る"の一言なんですけど、ライブがない間に僕は他の人のライブを観に行ったり、近しいバンドマンやプレイヤーと話したりして、"ライブでこういう音を出してみたいな"と思っていたんです。でも、いざリハスタに入ったら結局自分の音にしかならなくて。改めてクジラ夜の街の中での自分の所在地を見つけられた気がします。自分もすごくバンドが楽しいし、メンバーも楽しんでいると思うので、また新鮮なクジラ夜の街の音や雰囲気をお伝えできるかなと思っております」
秦「さっきも言ったんですけど、叩いた音がそのまま出るのがドラムの1番の魅力だと思うんですよね。僕は人間がドラムを叩くことに価値と意味があると思っていて。ドラムフレーズを作る時、全てにおいて聴く人ファーストで考えているんですけど、それはライブも同じ。僕は目の前のお客さんが1番心地良いと思えるバランスで叩くのが得意です。とにかく感謝を込めて、観てくれる人に向けて全力でやるのが、僕の使命であり目標です」
佐伯「楽曲は良いものができたので、音作りやパフォーマンスも自分で納得できるライブにしたいです。何よりもライブを楽しみたいです!」
Text by 久保田 瑛理
(2025年12月16日更新)
3000円(税込) / CRCP-40710
【収録曲】
01. 有明の詩
02. スターダスト・ジャーニー
03. ハッピーエンド
04. 嵐の夜のプリンセス
05. ひかるひかる
06. 憑依(Interlude)
07. 夕霊
08. REAL FANTASY
09. 星は何にも喋らない
10. 新聞配達少年
『ファンタジーを創るバンド』クジラ夜の街は、音楽を愛するすべての方に"未知の体験"を提供します。煌めくバンドサウンドやふしぎな詞世界、ひとさじの熱が誘なう先は宇宙の果て。絵本の中。まぼろしの街。日常を飛び越えた神秘の空間へと連れていきます。夢を求めるあなたへ。とびきりの幻想音楽を。2017年6月21日東京にて高校の同期生4人で結成。短期間のうちに多数の楽曲を制作し、都内ライブハウスで活動開始。音楽コンテスト「Tokyo Music Rise 2019 Spring」や高校軽音楽部の全国大会で優勝したあと、ロッキング・オン主催「RO JACK」オーディションで優勝し「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」に出演。直後に「出れんの!?サマソニ!?2019」オーディションから「SUMMER SONIC 2019」にも出演。2020年から全国各地のイベントへ出演を開始。2022年「夜景大捜査”夢を叶えるワンマンツアー”」を開催し、12月19日渋谷WWW Xでのツアーファイナルでメジャーデビュー決定を発表。2023年5月10日リリースのEP「春めく私小説」でメジャーデビュー。独特のセンスが聴き手を捉えるメロディと歌詞、そして観客を引き込もうとする熱量が圧倒的なライブパフォーマンス、必見・必聴のバンドです。
▼12月20日(土) 18:00
神戸VARIT.
自由-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
※出演者が許可した場合を除き、撮影・録音・録画禁止。
※会場内は大変混み合います。軽装でのご来場、またコインロッカー(有料)などのご利用、ご協力お願いいたします。
※車椅子でご来場されるお客様は事前にお問い合わせください。
[問]清水音泉■06-6357-3666
【香川公演】
▼12月21日(日) TOONICE
【長野公演】
▼1月17日(土) 長野ライブハウスJ
【埼玉公演】
▼1月18日(日) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
【石川公演】
▼1月24日(土) 金沢AZ
【愛知公演】
▼1月25日(日) エレクトリック・レディ・ランド
【福岡公演】
▼1月31日(土) DRUM SON
【広島公演】
▼2月1日(日) Reed
【北海道公演】
▼2月8日(日) SPiCE
【宮城公演】
▼2月11日(水・祝) 仙台 darwin
【新潟公演】
▼2月14日(土) GOLDEN PIGS RED STAGE
【静岡公演】
▼2月21日(土) 静岡UMBER
▼2月23日(月・祝) 18:00
梅田クラブクアトロ
自由-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
※出演者が許可した場合を除き、撮影・録音・録画禁止。
※会場内は大変混み合います。軽装でのご来場、またコインロッカー(有料)などのご利用、ご協力お願いいたします。
※車椅子でご来場されるお客様は事前にお問い合わせください。
[問]清水音泉■06-6357-3666