ホーム > インタビュー&レポート > NMB48の3代目キャプテン・塩月希依音 目指すはグループのエンタメ力アップ 「こんなに楽しいグループなんだって思ってほしい」
――キャプテン就任から約2カ月、これまでとは異なる作業も増えたのではないですか。
大きな変化のひとつは、ライブのセットリスト会議に参加するようになったことです。披露する曲だけではなく、どのパートで誰をどういう風に魅力的に見せるかなども考えるようになりました。みなさんがまだ気づいていないメンバーの魅力をいかに広げていくか。ちなみに私は「がんばらぬわい」(2024年)リリースのときに、「NMB48ってめっちゃいいグループやん」と感じる機会がたくさんあって、それからNMB48の広報担当になることが夢だったんです。だから今、キャプテンという立場として、メンバーのアピールポイントをいろいろ考えることができてとても楽しいです。
――ちなみに塩月さんが今、その魅力をもっとも広めたいメンバーはどなたですか。
もちろん全員なのですが、その中でも三鴨くるみちゃんは「すごい」と思うことが多いです。10期生の中でも飛び抜けて経験値や場数が多く、グループのまとめ役でもあります。なによりチャレンジャー精神とハングリー精神がすごい。なんでもやるタイプで、2024年には『R-1グランプリ』の予選にも出場しています。人ってどうしても失敗を恐れるじゃないですか? だからこそくるみちゃんの大胆さは、私も見習いたいです。
――キャプテンの任期は、とりあえず1年と聞いています。
でも、本音としては「1年じゃ足りないかも......」という気持ちです。「大阪城ホールを目指す」と宣言しましたが、現実的には土台作りしかできないかもしれない。でも正直、それは悔しい。「土台を作るための1年」と考えるのか、「ステージに立つことを意識して動く1年」なのか。それによって大きく変わります。私としては、「土台を作るための1年」という気持ちはまったくありません。あくまでステージを目指して動く1年にしたい。自分がキャプテンになって、この1年で大きな変化が見えないのは「どうなんだろう」となりますし。まず全力で1年やりきって、その先のことはそのとき考えたいです。

――初代キャプテンの山本彩さんはできたばかりのNMB48のパフォーマンス面の根幹を作り上げ、2代目キャプテンの小嶋花梨さんはそれを磨きあげてグループの完成度を高めました。塩月さんはキャプテンとしてグループをどんな風にしていきたいですか。
エンタメ性を上げていきたいです! 彩さんは、まわりのメンバーが「自分も彩さんに追いつきたい」と思わせるパフォーマンスでNMB48を強くしましたし、花梨さんはメンバー一人ひとりのことを深い愛情で包み込み、絶対的な味方としてみんなの活動を支えてくださいました。当たり前なのですが、おふたりと同じことは自分にはできません。ただ「NMB48ってこんなに楽しいグループなんだ」と感じてもらえることは、どんどんやっていけるんじゃないかなって。だから私は、たとえ自分が苦手なことでも、みなさんに喜んでもらえそうなことは挑戦していきたいです。
――「エンタメ力を上げる」というのは、関西のバラエティ番組で頭角をあらわしてきている塩月さんにぴったりの方向性ですね!
たとえば『ミキBASE〜いいね!で応援〜』(MBS系)でご一緒しているミキさんを間近で見ていると、学ぶべきことや自分の活動にも活かせそうなことがたくさんあるんです。亜生さんはどんな企画でも突っ走って、ノリ気でボケるんです。私が「え、そこまでやるんですか!?」ってことも、楽しそうにやられていて。それを昴生さんが「もう、やめとけよー!」ってこれまた楽しそうにツッコミをいれる。そういうおふたりの姿を見ていると、私もなんでもやってみたくなります。ウケるか、スベるかとか考えると前に出られなくなりますが、ミキさんとお仕事をするようになって「まず、自分が楽しいかどうか」が大事なのだと学びました。
――塩月さんはなぜそこまでバラエティ向きになったんでしょう?
ミュージカル『ぐれいてすと な 笑まん』(2022年)からです。看護師役として、吉本新喜劇のすっちーさん、川畑泰史さん、そして外部の舞台にも出演されているちっひーさん(川上千尋)さんと掛け合いをする場面があって、みなさんが率先してボケまくるところに巻き込まれたことで、私の頭の中にあったネジがどこかへ飛んでいってしまいました。あの日から、私はいい意味で壊れてしまったんです(笑)。

――公演でも隙あればボケる塩月さんを、まわりのメンバーはちゃんとツッコんでくれるんですか?
先輩がたくさんいたときは、私が意味の分からないボケをしても必ずツッコミをいれてくださいました。でも後輩メンバーが多くなり、ツッコまれにくくなってきて(苦笑)。でも、NMB48のキャプテンとしてはしっかりしたいのですが、塩月個人はボケのモンスターになりたいんです。だから先輩後輩を飛び越えてツッコミをいれてくれる存在を求めています。
――どなたがツッコミ役として有望ですか?
現時点では平山真衣ちゃん、三鴨くるみちゃんがその役割を担ってくれているのですが、"新星ツッコミ"として期待しているのが池田典愛ちゃん。同期(9期生)の板垣心和ちゃんにめっちゃツッコんでいるところを見て、「私にもガンガンきてほしい」って! あと龍本弥生ちゃん。またほかのみんなとは違った感覚の持ち主で、ツッコミというより、「今のボケはダメです!」とストップをかけてくれるので、別ジャンルのツッコミがおもしろいです。

――12月には、頼れる先輩だった川上千尋さんの卒業コンサート『NMB48 川上千尋 卒業コンサート~アイドルちっひーのラストイニング~』が開催されますね。
ちっひーさんは私にとってもすごく大きな存在でした。背中で語ってくれるタイプというか。コンサートのときも、本番はもちろん、リハーサルでも誰よりも動いていらして、私たち後輩はその姿を見て育ちました。あとすごくフレンドリーなんです。私にはいろんなイタズラをして、距離を縮めてくださいました。先輩というより、じゃれあうのが好きな幼馴染のお姉ちゃんって感じ。でもステージではやっぱりかっこいい先輩。なによりガッツがすごくて、そこはやっぱり、ちっひーさんが大好きな阪神タイガースの血が流れています。
――その翌日には『NMB48 クリスマスパーティー2025』(オリックス劇場)が開かれます。
今回の"クリコン"では、メンバーそれぞれのキャラを立てているので、一人ひとりのかわいさをしっかり堪能してもらえるのではないでしょうか。各メンバーの個性も知ってもらえるでしょうし、ファンのみなさんは推しメンはもちろんなのですが、今まであまり知らなかったメンバーについても「あれ? この子ってこんなにかわいかったんだ」と発見してもらえるはずです。
――もちろん今後、塩月さんキャプテンシーがさらに発揮されるのではないでしょうか?
2025年は、キャプテン就任前から決まっていた企画や物事を進めることで手がいっぱいいっぱいでした。でも2026年からは、自分の考えたことをもっと実践できるようになると思います。今まで私は何事も全力で向き合ってきて、そこで積み重なってきたものがあります。そういう姿勢は崩すことなく、その上でグループと自分が進化するための努力をやっていきたいです。でもファンのみなさんは、私がついついがんばりすぎるところを理解してくださっているので、「キャプテンという立場を楽しんでね」と声をかけてくださるんです。その温かい言葉がすごくうれしくて、それを支えに活動していきます。

Text by 田辺ユウキ
Photo by 大西二士男
(2025年12月 4日更新)
▼12月23日(火) 18:30
オリックス劇場
指定席-9900円
※未就学児童は入場不可。
【問合せ】n-rise@yoshimoto.co.jp