ホーム > インタビュー&レポート > NMB48卒業間近の川上千尋 これからは舞台俳優の道へ―― 「研究生時代の自分を思い出します」
――創立90周年を迎えた阪神タイガースがリーグ優勝を果たした2025年にグループ卒業となりますね!
もちろん偶然だったのですが、ただ「優勝するぞ!」という強い気持ちはありました。選手のみなさんみたいなことを言っていますが(笑)。でも阪神タイガースが優勝した年に卒業することになり、いいアイドル人生だなって。
――やり切った表情ですね。
私としては『大阪・関西万博』のお仕事に携われたことも大きかったです。万博誘致が始まった頃には、「2025年までグループに在籍していることはないだろう」と考えていました。でも卒業をしっかり意識するようになった2024年、「万博のお仕事をがんばってから終わりたい」と思ったんです。そしてNMB48でスペシャルサポーターを務めさせてもらい、「やり切った」と感じました。

――関西のメディア関係者はみなさん、アイドル界ナンバーワンの虎党が卒業することになって寂しい気持ちでいっぱいではないでしょうか。
これまでたくさんの阪神タイガース関連のお仕事や取材をやらせていただいたので、それが卒業を迷う理由のひとつでした。グループから卒業することで阪神タイガースのお仕事ができなくなるんじゃないかって!
――ハハハ(笑)。前代未聞のアイドルの卒業の迷い方!
「卒業して、自分の将来は大丈夫かな」という怖さもありましたが、その中のひとつに阪神タイガースの存在がありました。でも今後も必要としてくだされば、またお声がけいただけるはず。それを信じて新しい一歩踏み出すことを決めました。あとNMB48にも、平山真衣ちゃん、坂下真心ちゃんという虎党の後継者がいます。一緒に1軍の試合へ行ったり、ファームを観戦したり。一緒に「甲子園グルメ大使」のお仕事もさせていただいたので、そんなふたりに思いを託したいです。
――卒業コメントには、「これまで何回か卒業が頭をよぎった」と書いていましたね。
たとえば高校卒業の時期、進学するか、アイドルを続けるか迷いました。当時は選抜メンバーに入れるかどうかのポジションで、入ったとしても「また落とされるだろう」という気配を感じてやっていて、まさにその通りになりました。ただ当時は、どんなところがまわりのメンバーに比べて負けているのか、みんなはどこが評価されているのか、それが分からなかったんです。今はみんなのすごさもよくわかるようになりました。

――なるほど。
逆に言えばあの時期が一番、自分に自信があったかもしれません。負けん気も強いから「どうして私じゃないんだろう」って。アイドルという活動に対して、自分が学びたいことがあり、なにより全力で上へ行きたかったからこそ、続けることを選びました。でも結局、13年間で5回くらいは「卒業」が頭をよぎりました。
――卒業の決定的な理由は?
石田優美ちゃんが卒業(2024年5月)するタイミングで、こじりん(小嶋花梨(2025年11月卒業))と「どういう風に卒業を決めたんですか」といろいろ聞く中で、自分のアイドル人生を振り返ったんです。その時点で、NMB48のメンバーとしてやり残していることはあったけど、でもワクワクできる割合が少なくなっていることに気づきました。またお芝居やタイガースのお仕事など個人で仕事をするとき、「できなくて悔しい」と思うことが多くなりました。そこで「あ、アイドルとしてはもうやり切っているんだな」と感じたんです。
――川上さんが卒業することで、グループはまた新しく塗り変わっていきますね。
でも心配はまったくしていないです。なにがあっても乗り越えられるメンバーばかりですから。たとえば(山本)彩さんが卒業したとき、「NMB48はこれからどうなるんだ」と心配されましたが、グループ全員で立ち向かうことができました。みんなで支え合えるのが、NMB48の強み。だからきっと大丈夫です。たかみなさん(元AKB48・高橋みなみ)の言葉をアレンジしますが、時間がかかっても、諦めなければ努力はきっと報われる。いつか「やり切れた」と思える時期が来るはずなので、今、自分の立場に悩んでいるメンバーも目の前のことだけをまずがむしゃらに頑張って欲しいです。

――川上さんは今後、役者のお仕事に力を入れていくことになりますか?
舞台でお芝居の仕事をがんばっていきたいです。舞台は作品ごとに稽古場の雰囲気が全然違いますし、やったことがない役にどのように臨むのかなど不安はたくさんありますが、でもワクワクの方が大きいです。いつも作品のたびに稽古期間中に大泣きするんですけど(笑)、それもNMB48の研究生時代の自分を思い出します。でもだからこそ「長く続けることができるお仕事だろうな」って。
――12月23日(火)の卒業コンサート『NMB48 川上千尋 卒業コンサート~アイドルちっひーのラストイニング~』はどのような内容になりますか。
公演内容は、悔しかった時期も含めて表現したいと思ってセットリストを組んでいて、13年間がよみがえる内容になります。やりたい曲を詰め込んで、「ちっひーらしいセットリストだな」と楽しんでもらいたいです。あと私のラッキーナンバーは「9」なので、卒業コンサートや卒業イベントを合わせて9回、どかーんと大きな笑いを起こしたいです。NMB48のメンバーとしてのプライドを賭けて、笑って締めます!
――最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。
私は、自分が目指すものに向かい、常に上を目指していきます。上昇する気流から落ちることのないように精一杯やっていきたいです。憧れの高畑充希さんのように、格好良さや、俳優としてのプライドを感じさせる存在になりたいです。そんな私の今後の活動に期待してください。自分の根っこにあるものは変わりませんし、NMB48で培ったものをしっかり生かして、いろんなことに挑戦していきます。「ちっひーはいつまでも変わらないな」という気持ちで見ていてください!

Text by 田辺ユウキ
Photo by 大西二士男
(2025年12月17日更新)
▼12月23日(火) 18:30
オリックス劇場
指定席-9900円
※未就学児童は入場不可。
【問合せ】n-rise@yoshimoto.co.jp