ホーム > インタビュー&レポート > 「“爆ぜる、鳴らす、壊す”までが今回のツアーの醍醐味」 可愛い”という型にはめられることに反発し、 苦手を克服して新段階へと突き進む。 2026年は1月10日からツアー『爆ぜる、鳴らす、壊して』開催。 Hazeインタビュー
当初イメージしていたギャルロックバンドから、
今のキーワードは"フェアリー・グランジ"
――はじめに、Hazeというバンドがどのようにスタートしたのか教えてください。
KATY(vo&g) 「そもそも私はバンドというものをちゃんと知らずに生きてきて、どちらかというとアイドルがずっと好きだったんです。
好きなバンドはいたんですけど、実際にライブに行ったことは1回ぐらいしかなくて。HYDEさんが主催している『HALLOWEEN PARTY』にももいろクローバーZが出るというので、知り合いに連れて行ってもらって、そこで初めてちゃんとバンドを観ました。15歳くらいの時ですね。マキシマム ザ ホルモンとかも小学生の時に好きだったけど、ライブってどうやって行くんだろう?っていう感じでした」
――そうなんですね。そんなKATYさんが、Hazeを始めるにあたって、コンセプトなどは考えましたか。
KATY「バンドをやるってなった時にメンバーはまだ決まってなかったけど、こういう感じだろうなっていう絵を描いたんです。メンバー4人いて、こういうテイストのファッションで、みたいなのを想像で描いて、それがそのまんまHazeになりました」
――ファッション的なキーワードは何かあるんですか。
KATY「なんだろうね? Y2Kでもないもんね。それこそ、Y2Kって言葉がこの世に出る前なので、先取りはしている気がするよね、うちら」
SUZUKA(key)「そうだね。でも今流行りすぎてるから、(オリジナリティを出すために)作ってもらったんじゃない?」
KATY「そう、流行りすぎてるから、それもあります。ただ、これが何のコンセプトなのか?って言われたら...、フェアリーグランジ、オラオラ系?」
SUZUKA「でも、HANAちゃんはオラオラ系じゃなくない?」
――2021年3月から今の4人で活動してるんですよね。プロフィールによると、KATYさんとSUZUKAさん、本日は欠席のJURIさんの3人はバンドを始める前から友だちだったそうですが、HANAさんはどういった経緯で?
HANA(b)「私は元々バンドをやってたんです。KATYちゃんが3人でバンドを始めるにあたって、ベースがいなかったので、それを知り合いのライブハウスの方に相談したらしくて。そのライブハウスの方が私のことを繋げてくれて、加入することになりました」
――最初にメンバーに誘われたときはどう思いましたか。
HANA「元々アイドルをやってた時のKATYちゃんを知ってたんで、びっくりしたんですけど。最初にKATYちゃんに会って、バンドの話をした時に、音楽的には昔の3ピース時代のyonigeさんみたいな曲をやりたいって言われて、その時にちょうどその3ピース時代のyonigeを聴いてたんで、面白そうって思って、それが決め手で入ることにしたんです」
KATY「コンセプトの話に戻ると、HANA以外は、4人中3人がほぼ見た目がギャルだったので、ギャルロックバンドとして始まったんです。ただ、今の時代だとちょっと爪長くしただけでギャルと言われるようになったので、そのコンセプトはやめたんですけどね」
HANA「自分は今まで人生でギャルと触れ合ったことがなかったから、最初は仲良くなれるのかなっていうのは不安だったんですけど、実際会ってみたら、すごい優しくて仲間に入れようとしてくれて、だんだん楽しくなってきちゃって(笑)」
――HANAさんは元々バンドでベースを、JURIさんは中学時代に吹奏楽部でドラムを、SUZUKAさんはクラシックのピアノをやっていたということですが、KATYさんは?
KATY「私はアコギを触るぐらいですね。ピアノは4年くらい習ってたので、ピアノの方が上手かったけど(笑)、もう超初心者でバンドを始めたんです。元々、新体操とかソフトボール部で、めちゃ体育会系だから」
――Hazeでボーカルをするまで、歌ったりするのは好きだったんですか。
KATY「なんか、下手くそなアコギをSUZUKAに聞かせてて、私のソロコンサートって感じで(笑)」
SUZUKA「コードとか問題じゃなく、ただ音を適当にジャーン♪ジャーンってやりながら歌を歌うんです(笑)」
――今のKATYさんのボーカルはハスキーでとても存在感がありますよね。
KATY「実は喉にポリープが二個あるんですよ、お気に入りなんですけど。お医者さんに、"こんなでかいポリープは見たことない"って言われたので、"じゃあ、デカい方だけちょっと削ってください"って、一回手術して、一個だけ半分削ったんです。逆にポリープを全部とったらもっと自信なくすかも。元々の地声が本当に嫌いなので」
HANA「(KATYの)地声はもっと高くて。ポリープがあることで低くなってる声を彼女は生かしたいから」
KATY「私はポリープを全部とったらもう歌えないです」
日常の中でムカついたことをメモして、
それを曲にしている。
――楽曲は誰が中心に作ってるんですか。
KATY「メロディ工場長はベースのHANAちゃんです」
HANA「基本的に、KATYとHANAが作詞作曲してます。私は相手に怒ったりするのが苦手だから、それをメモ帳に書いて、それを繋げて歌詞を書いているので、けっこう怒りが中心です。暗い曲が多い」
KATY「確かに怒ってるかも」
――それは何に対して怒ってるんですか?
HANA「インターネットにも怒ってるし、日常の中では、例えばエスカレーターで靴の後ろ踏まれたら、ムカつくじゃないですか。そういう小さいのを溜めておくんですよ。そこで舌打ちしても何にもならないから。そういうムカついたことを曲にしてます」
――それが歌詞になって、曲として出すと、ちょっとスッキリする?
HANA「しかも、KATYちゃんに歌ってもらえるのが、私はすごい嬉しくて。"行け!"。みたいな気持ちになるので(笑)。それで完成したなって思います」
――良いですねー!
KATY「 HANAちゃんの歌詞は物語性と日本語の技術が高いから」
HANA「KATYちゃんの歌詞は言葉遊びがすごく上手くて面白いですね。それは自分ができないことだから、すごいなって。私が作ると普通に主語と述語がある歌詞になっちゃうけど、彼女は良い意味でボキャブラリーが少ないからこそ面白い」
――なるほど。2025年3月にリリースされた『ラブ&ポップ』はキーボードを軸に心の傷や痛みを吐き出すようなロックチューンですが、最近はどんな傾向の曲が出来ているんですか。
HANA「いま、制作中のアルバムはめっちゃ恋愛の曲かな」
KATY「恋愛大爆発!けっこう恋愛の曲が多いね」
――新作を制作中ということで楽しみですが、それはいつ完成予定?
HANA「全部そろうのはたぶん、12月かな。11月中にレコーディングして、ツアーまでにはできてるはず」
――それを完成させて、年明けからワンマンツアー『爆ぜる、鳴らす、壊して』がスタートするんですね。そこで新曲もお披露目される?
KATY「その予定でございます(笑)」
真っ白な衣装で臨む『爆ぜる、鳴らす、壊して』ツアーで、
さらに苦手を克服する。
――ちなみに、どんなツアーになりそうですか。
KATY「ツアータイトルになっている、『爆ぜる、鳴らす、壊して』というのが歌詞に入ってる曲があって。今まではツアーの衣装を含めビジュアルに関してモチベーションやコンセプトもありつつやってきたんですけど、今回は衣装が真っ白なんですよ。逆にそっち行ったかっていう思わせるイメージのビジュアルを出してて。
今、制作中のアルバムの中に、私が絶対に歌いたくないフレーズの"可愛い"っていう言葉が入ってる曲があって。それが今回のアルバムの中で1位ぐらいで好きなんです。それで、苦手なものを克服したじゃないですけど、"可愛い"っていうのが、この世で一番なりたいものなのになれないし、"可愛い"って言えない自分が醜いものだと思って生きてきたから。その"可愛い"っていう歌詞を初めてぐらいマジで歌って、自分が嫌がってたピーマンを食ってみたら美味いみたいな感じで。今年そういうことが結構あって。さらにこのツアーで苦手なものを克服するじゃないですけど、それこそ"爆ぜる、鳴らす、壊す"までが今回のツアーの醍醐味かな」
HANA「私たちって女の子でバンドをやってるから、アイドルみたいに見られがちで。何を頑張っても、お客さんに"可愛いね"って言われて終わってしまうことが最初の頃はよくあって。お客さんに"可愛い"って言われるのは嫌ではないんですけど、それで型にはめられたような気分になって、やらなきゃいけないんじゃないか、みたいなのは違うと思っていて。私は、自分の中の"可愛い"をやりつつ、でも、せっかく音楽やってるから、音楽を観てほしいし、"あなたはこれでしょ"って言われたことに対して、"いや、違うよ"っていう気持ちで作った曲なんです」
――ニューアルバムの完成が楽しみですね。では最後に、ツアーに向けて意気込みをきかせてください。
KATY「私は健康第一で」
SUZUKA「確かに健康は第一で!今回のツアーでは白い衣装を着てることだし、なんにでもなれるんじゃないですかね。そういう意味では、このツアーで始まる来年は来年で、また何か見つかればいいなと」
HANA「まだ模索中なので、いつもツアーでいろいろ新しいものを発見することがあるんです」
KATY「今回のツアーでHazeとして何かが起こればいいなと」
――このツアーを観にくるお客さんに向けても一言お願いします。
HANA「私はライブを観に行くことが結構好きなんです。サブスクとかで音楽を聴くのも救われるけど、それをライブハウスで生で聴くと、自分の中ですごい救いだなと思っているので。みんなにも生で観て、それを体感してほしいですね。ライブって楽しいよって」
KATY「今は健康第一で、お客さんも体を大事にして。ライブハウスで会いましょう!」
Text by エイミー野中
(2025年12月19日更新)
へいず…2021年3月結成。KATY(Vo, G)、HANA(Ba)、SUZUKA(Key)、JURI(Dr)の4名からなるガールズロックバンド。KATYが上京当時働いていたアパレル時代からの友だちであるSUZUKA(key)、JURI(Dr)。夏になるとSUZUKAが久石譲の「Summer」をピアノで弾くギャップにKATY(Vo.G)が震えた。そんなSUZUKAと2人で映画「Cherry Bomb」を鑑賞した際、「おばあちゃんになったらバンド組まね?」という他愛もない会話から、思っていたよりも早く実現したのが『Haze』。その後KATYとJURI(Dr.)は遊び半分でスタジオに入り、JURIは中学時代吹奏楽部でドラムを叩いていたことが発覚し、即スカウト。そこに知人の紹介で出会ったHANA(Ba)が加わり、Haze結成。2025年3月、新曲『ラブ&ポップ』リリース。不安定であるからこそ儚く美しくそして醜い世の中で、日々の生きづらさに抗う衝動に近い歌詞と、生のバンドサウンドにこだわったライブパフォーマンスで日々成長中。
【愛知公演】
▼1月10日(土) 3STAR IMAIKE
▼1月11日(日) 17:00
Shangri-La
スタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※6歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴の上入場可能。
[問]GREENS■06-6882-1224
Web Site
https://www.haze-official.jp/
X
https://x.com/Haze__Official
Instagram
https://www.instagram.com/haze__ig/
YouTube
https://www.youtube.com/@haze6701