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2ndフルアルバム『ミラクル』を引っ提げて、
全国13箇所で開催された『沼。るミラクルツアー』。
パワフルかつ親密さが増すライブで、
誰もが輝く瞬間を共有した梅田クラブクアトロでの
ファイナル公演をレポート

大阪発の3ピースロックバンド、バウンダリー。2ndフルアルバム『ミラクル』を携えて、8月から全国13箇所を巡ってきた『沼。るミラクルツアー』が、11月29日梅田クラブクアトロでファイナルを迎えた。昨年はバウンダリー主催イベント<『DARY DAY SPECIAL』~viva!! QUATTRO~>を開催し、全5バンドと共にライブが行われた同ステージに、今回は大阪だけのワンマンライブとして臨んだ。かねてからメンバーが、「バウンダリーの挑戦の場所」と熱く宣言していたこのスペシャルな一夜をレポートする。

先月のぴあ関西版WEBのインタビューでメンバー自身が"挑戦の場"と宣言していたツアーファイナルにして、地元大阪だけの特別なワンマン。開演時間になると今回から新SEとなるパスカルズの『凪のお暇 メインテーマ』が流れ、メンバーがステージに登場。中道ゆき(vo&g)、アオキ(b&cho)、さくら(dr&cho)の3人が気合いを入れてライブがスタートすると、一曲目から気迫に満ちたパフォーマンスで一瞬たりとも見逃したくない!という気持ちにさせられた。中道は『足跡』を1コーラス歌うと、歌詞のフレーズを引用して、「梅田クラブクアトロ!ワンマンライブへようこそーー! 花束みたいに渡すから受け取って、バウンダリーですよろしくー!」と元気いっぱいに挨拶する。その言葉に呼応するように次々と突き上がる観客の拳。続く『あの言葉』では一段と大きな歓声が上がってフロアの熱気はぐんぐん上昇していった。序盤からアクセル全開で、中道がギターを激しくかき鳴らし、パンチの効いたアオキのベースがうねり、さくらは躍動感が迸るドラミングで圧倒する。

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<なにも変わらないままでも、せめて前を見てるだろう>と歌う『暗闇』。どんなに努力しても報われないこともあるが、そんな先が見えない状況でこんな歌が聞こえてきたらどんなに救われるだろう...。アウトロまでハードなプレイを炸裂させ、笑顔のメンバーに観客は拍手喝采!

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4曲終えると一呼吸おいて、中道が「沼。るミラクルツアー ファイナル、ご来場ありがとうーーー!(拍手)」「この大っきい梅田クラブクアトロでワンマンって、めちゃめちゃ挑戦で、不安もめちゃめちゃあったけど。ここに立って思うのは、やっぱりクアトロはみんなの顔が見えるから大好きです!」「一人残らず目を見て歌わせてもらうので、心しててください。バウンダリーです。よろしく」と、愛を込めて真っ向勝負で挑んでいく。フレンドリーな雰囲気でありながらも、ステージ上のプレイには往年のロックバンドのようなカッコ良さがあるバウンダリー。そこに老若男女問わず引き寄せられるパワーを感じてしまう。

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歌い出しからフックを効かせた『沼。』を投入すると、フロア全体が"バウンダリー沼"に浸って気持ち良さそうに揺れている。ステージとフロアの距離をさらに縮めるように、中道がステージ最前まで出てきて勇ましくギターを奏でる『でたらめ』。間奏ではさくらの巧みなドラミングに歓声が上がり、『なんだか』では中道が「お手を拝借」と促して温かいクラップが広がっていった。さらに『エナジー』での力強いプレイにも拍手喝采が湧き起こる。

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中盤に入ると、ふだんのメンバーの様子が垣間見れる和やかな歓談タイムに。ここでは、今回のツアーを振り返り、さくらは「おれ終わったことは忘れる。今と未来しか見えてなくて(場内笑)。だから、今と未来に(みんなが)いてくれたら嬉しい」。ツアーで北海道など大阪から遠い場所に行ったことについても、「待っててくれる人いるんやって実感できてめちゃくちゃ嬉しかった」とアオキ。中道はジャケットの絵柄を掲げたバックドロップを指して、「いろんな気持ちや季節を歌って、みんなの日々にお供したい大事な大事なアルバム」と渾身の新作『ミラクル』をアピールする。そんな等身大の言葉に共鳴して、聴けば聴くほど親密さが増してゆくアルバムだと思う。

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『カレンダー』からは軽快なリズムで体を揺らし、『こんな言葉じゃ』ではオレンジ色のライトの下でみんなの手が重なるピースフルな光景が広がる。中道曰く、「ざわざわとした心を抱きしめたい歌」と言っていた『三月の風』でグッと落として浸らせると、このあたりからゆったりとしたナンバーが続く。「失恋ソングなんて悲しくなるだけやんかと思ってたけど、あんなことあったな、あんな気持ちになったなって、思い出すきっかけになれたりもするんかなって。初めてできた失恋の歌です」と言って歌ったのは『こんなに』。次に『もう、思い出』と失恋ソングを2曲続けると、切なさを滲ませた歌声にフロアもじっと聴き入っていた。

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『儚い夢』では、<どこまでも行け~>と中道のロングトーンが力強く爽快に響き渡り、みんなも拳を突き上げて熱い瞬間を共有した『神様』。バウンダリーの音の中にはロックンロールの神様が宿っている。そう思わせる最高の気持ち良さでアウトロまでパワフルなギターサウンドを浴びせかけた。ラストスパートをかける前に、ここ梅田クラブクアトロに集うファンやスタッフに向けて中道から丁寧に謝辞が送られる。「今日はいつものみんなも久しぶりのひとも、はじめてのひとも、こんな、まだまだ知られてない小さな光みたいな私たちのこと見つけてくれて、出会ってくれて、どうもありがとうございます。」「ライブって同じ人間同士やから生まれるものがある。この瞬間にしかないものがあると思ってる」

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バウンダリーとして活動してきて13年目。「思い通りにいかへんこともたくさんある。焦ったりもするけど、ライブのこの向かい合ってる時間で、なんか力が湧いて、明日からの頑張らないとあかんこと、踏ん張らないとあかんこと、乗り越えられたらいいなって思ってます。だから、またこうやって向かい合えたら幸せです」と噛み締めて、「歌えるかな...」と感極まる彼女の後ろから、「叩かれへん、歌われへん...」とさくらの声も重なる。「歌われへん場合はみんな歌ってください」と言って『気まぐれ』から再び走り出す。バウンダリーの真髄を体現する『たとえばロックンロール』でクラップが高まり、アカペラとなる二番のサビでフロアのみんなのシンガロングが合わさる温かく感動的な光景が広がった。

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そこから本編のラストに中道が「輝け~~」と鼓舞してスパークした曲は『輝く』。この日一番の眩しく目に刺さるライトと炸裂するビート。フロアと一体となって突き進み、みんなが最高に輝いて、アウトロまでエナジェティックに駆け抜けていった。

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興奮冷めやらずといったフロアから「ワンモー」「アンコール」と熱い声が飛び交い、<音楽よ、僕たちを強く強くつないでいて~>とシンガロング&クラップが広がる中、真っ先にステージにカムバックしたさくらがみんなの笑い誘い、「関西なんでボケてみました。どうでした? みなさん(笑)」そう言って、「なんか泣いちゃった!エモすぎた...、ありがとうね、みんな」と感謝する。

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その後、2月13日と3月13日、バレンタインデーとホワイトデーの前日で13日の金曜日に、「スペシャルな夜を作ろうと」大阪と東京で開催決定した新たなライブ日程がアナウンスされてフロアから拍手と歓声が。バウンダリーにとって、東京ではこれが初のワンマンライブとなる。その後は、「ゾーン入ってるから」と強調していたさくらが率先して盛り上げていた楽しい物販紹介コーナーを挟んで、メンバーから「今日のセトリを書いたポストカードをみんなひとり一枚持って帰ってください」という嬉しい言葉も。

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そして、EN1曲目では、事前に告知されていた、"みんなで合奏イベント"の時間に。「みんな各々で持ってきた楽器を見せてください!」と声をかけて、メンバーのレクチャーを経て、『音楽よ』で、ラッパやミニシンバルなど観客が手にした鳴り物が賑やかに合わさる大合奏が繰り広げられた。サビでは、しばし演奏を止めて、みんなのクラップ&シンガロングが響き渡る。「いいよいいよ、もっと聴こえたいかも」とさくらが煽り、さらに一体感がアップする。中道は「最高の『音楽よ』、ありがとう~」と幸せそうな笑顔を見せる。

そういえば、ライブの冒頭にSEとして流れていたパスカルズは総勢14名によるアコースティックな合奏スタイルなのだが、ここでメンバーが目指していたのも、ステージとフロアの垣根を超えてみんなが直に体感できる素朴で温かみがある音楽空間だったのかもしれない。今後もバウンダリーならではの名物コーナーとして定着していきそうだ。さらに、Wアンコールの『明日』は3人のタイトで痛快な演奏と共にアップテンポで突き進む。中道は凛々しい表情で力強く歌い、「ありがとう~」と声をあげてフィニッシュとなった。

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この日はニューアルバム『ミラクル』からの全曲に新旧ナンバーを織り交ぜて、まさに集大成といえる構成となった。耳にすると心も体も軽くなるようなバウンダリーのエナジーロック。本編ラストの『輝く』の前振りで、「こんなちっぽけな、まだ何者でもない自分でも、もし輝けたとしたら、誰かの希望にもなれるんじゃないかって、そう思ったりして。だから、まだ歌っていようと思います」と決意を口にしていた中道。今回の梅田クラブクアトロのワンマンでは、バウンダリーがライブバンドとしてさらに大きな成長を遂げてきたことを証明していた。次にまたどんな"ミラクル"を起こしてくれるのか楽しみにしていたい。

Text by エイミー野中
Photo by 岡田拓也




(2025年12月26日更新)


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Release

2nd Full Album『ミラクル』

発売中 3300円(税込)
LDTR-1006 

《収録曲》
01. 沼。
02. カレンダー
03. エナジー
04. 三月の風
05. いちいについて
06. ハシレ
07. たとえばロックンロール
08. こんなに
09. もう、思い出
10. 輝く

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Profile

バウンダリー…アオキ(b&cho)/さくら(dr&cho)/中道ゆき(g&vo)大阪の3人組ロックバンド。"君に効かせたいエナジーロック"。ポップさと真っ直ぐな感情が交錯する楽曲と、パワフルな音で包み込むようなライブが魅力。7月23日に2nd フルアルバム『ミラクル』をリリース。8月5日から全 13 箇所をまわる 『沼。るミラクルツアー 』開催。ファイナルは 11月29日(土)大阪・梅田 クラブクアトロでのワンマンライブとなる。

Live

「バウンダリー presents "ライブ、ラブユー"」

PICK UP!!

【大阪公演】

▼2月13日(金) 19:00
新神楽
前売-3000円
ペア割-4000円
[共演]ドミノンストップ
※ドリンク代別途必要。ペアチケットは必ず同伴者と一緒に入場をお願いします。ペアチケットを購入したがソロへ変更する場合は当日差額分をお支払いください。ソロチケットを購入した方は、当日同伴者を連れてきてペアチケットへの変更不可となります。
[問]新神楽■06-6282-7261

【東京公演】
▼3月13日(金) Flowers Loft

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