ホーム > インタビュー&レポート > 「シンガーとして自分の想いが乗ったものを届けたい」 俳優としての活動や表現も全て糧に音楽を紡ぎ出す アーティスト・瀧本美織 インタビュー
私の音楽への想いが伝わったのかもしれない!
音楽活動を後押ししたYouTubeでの大バズり
ーーぴあ関西版WEBでは映画や舞台の記事も掲載しているメディアなのですが...今日は瀧本さんを音楽の切り口からインタビューさせていただくということで、楽しみにしていました。これまで俳優としての活動をメインにされてきましたが、以前はバンド活動を並行されている時期もありました。バンド活動を経て音楽にはどのようなスタンスでいたのでしょうか。
「バンド活動を経てからも音楽活動を続けたい気持ちはありました。20代でバンドをやっていた頃から年齢を重ねて気持ちも変化していく中で、あの頃より肩の力を抜いて音楽に向き合えるんじゃないかと思って音楽活動を再開させました」
ーー音楽活動とは少し違いますが、ミュージカルにも出演されてきましたね。
「俳優業からの流れですね。やっぱり役がありきで出演させていただくので、舞台で歌うとなると、セリフ調の歌い方になるんです。そういうこととはまた別のスタンスで、自由に音楽を楽しみたいなという想いで今は音楽に取り組んでいます」
ーー舞台での経験が活かせていることもあるのではないですか?
「声の出し方はもちろん、舞台では"役を演じる"意識が強いんです。今ライブをするにしても、歌う曲によって演じるようにキャラクターを変えて歌うことができているなと思います。舞台と音楽の間で、いいエネルギーを交換できている感覚がありますね」
ーーなるほど。そもそもなぜ2024年に音楽活動をスタートさせようと思われたのか、伺えますか。
「実は去年の頭に、事務所が運営していたYouTubeチャンネルで"歌ってみない?"と声をかけてもらったんです。面白そうという気持ちで宇多田ヒカルさんやiriちゃんのカヴァーを披露させてもらったら、たくさんの方が見てくださって! 私の音楽への想いが伝わったのかな、と感じました。その出来事が自然に音楽活動の再開につながっていきましたね」
ーーカヴァーされた宇多田ヒカルさんの「Flavor Of Life」は、再生回数が400万回に迫ろうとしています。凄まじい数字ですね。
「全く予想もしていなかったことです! "バズる"という言葉もこの時に初めて使ったくらい自分ごとではなかったというか。今も数字を眺めていると、想像がつかないことになっている感じがします。曲をみなさんに手渡して、それが知らぬ間に広がっている感覚というか...とにかく不思議でしょうがないです(笑)」
ーーYouTubeでパフォーマンスがバズったことも追い風に音楽活動を本格化されたわけですが、音楽活動の再開が楽曲のリリースではなくライブだったことは少し意外でした。時代の流れとしても、みなさんシングルやEPなど配信での音楽活動をスタートされることが多いと感じていたので。
「勇気いりますよね。自分のオリジナル曲がないなかでライブから始めるなんて! でも実はカヴァーも好きで、カヴァーソングでNHKの『うたコン』に呼んでいただいたり、去年はドラマで越路吹雪さんを演じさせていただいて実際に越路さんのカヴァー曲をリリースさせていただいたり...音楽での表現の点が次々とつながっていく感じがありました。それもあってオリジナル曲からではないスタートもいいのかなと思いました」
ソロアーティスト・瀧本美織として
自分の内から出てくる言葉や音を表現したい
ーー今回、改めてソロアーティスト・瀧本美織として音楽活動を始めるにあたってイメージしたアーティスト像はあったのでしょうか。
「アーティスト像ではないかもしれませんが、とにかく最初に出す曲には自分の想いをしっかり乗せたいと考えていました。自分の内から出てくる言葉や音を表現したいと思ったんです。そんな時に作家さんに作っていただいた曲が届いて聴いてみたら...本当にすごく自分の気分にフィットするサウンドで、音に導かれるように "歌詞を書いてみたいです"と言っていました」
ーー曲に突き動かされるかのように。
「はい。本当に素敵なバラードだったので、悲しくなりすぎず前向きなメッセージを込めようと言葉を選んでいきました」
ーー1stシングルの「あなたで」は大切な人との別れをテーマにした曲ですが、そこには"大切なあなたにはどんなことがあっても幸せでいてほしい"という願いが込められた曲でもあります。瀧本さんのパブリックイメージを拡張するような、強い意志のある楽曲だと思いましたが、なぜ今バラードがご自身にフィットしたのでしょうか。
「やっぱり自分の想いを言葉で伝えたいというのが一番で、言葉を伝えるためにはゆったりと壮大なメロディーだと思いました。」
ーーひとつひとつの言葉を語りかけるように歌われていた「あなたで」に続いて約1ヶ月後には2ndシングル「Character」をリリースされました。壮大なサウンドスケープを描き出した「あなたで」に対して、「Character」は瀧本さんのアーティストとしての豹変ぶりに驚かされたとしか言いようのないアップテンポなダンスナンバーで心底驚きました!
「驚いていただけましたか? 2曲目はとにかくパンチがあるものにしたかったことと、私は毎回違うことをするからこそ俳優の仕事が好きなので、音楽でも前作とは180度違うものを表現したいと思いました。だからですかね、とにかく踊りたい! という気持ちになったんです。その想いを"キャラクター"という役を演じることにもつながる言葉で表現しようと思いました」
ーーダンスミュージックであったことはもちろんですが、「あなたで」のクリアで伸びやかな歌声から「Character」ではツヤ感と大人っぽさを感じる歌声に変化していることも大きな驚きでした。
「曲に引き出された歌い方ができたのかなと思います。レコーディングでもこれはどうかな? あれはどうかな? と試しつつ変化をさせつつ、いろんなことを感じながら進めました」
ーーそしてこの2曲から約1年ぶりとなる新曲「Born to Blaze」を10月にリリースされましたね。この曲の出発点を聞かせてください。
「まずはとにかくパワフルでエネルギッシュに、みなさんの背中を押せるような曲を! というところから始まりました。その後に曲が届いて、聴いてみたら...音からすごく大自然の景色がイメージできたんです。例えばオーストラリアのエアーズロックやまだ見たこともない大自然の景色、風や海、空、太陽など自然の恵みのエッセンスが曲から感じられたので、その強さに負けない壮大な歌を歌いたいと思いました。みなさんの中にもう1人の私が入り込んで、内側から呼びかけているような。みなさんの中に私がいるような...」
ーー曲を聴いた人が、心の中に"ミニ美織"を宿すような。
「あ、そうそう! それによって心強さを感じてもらえるようなイメージで歌いたいと思っていました」
ーーそういうふうに人の背中を押したい! という考え方や生き方ができるようになるのは、歳を重ねてきたからこそなのかなと思うのですが...。
「考え方こそ多少変化してきているように思いますが、人の背中を押してあげられる存在でありたいという想いは幼い頃から変わっていないなと思うし、それがお仕事をするうえでの原動力になっています」
ーー表現することの根底にある想いが今回曲になったんですね。ちなみにこの曲を英語詞メインにしたというのは、何か理由があるんですか?
「実は今、海外に目が向いている時期でもあるんです。海外のお仕事もたくさんさせていただいているというのもあると思います。そういう中で出会うさまざまな国の人のエネルギーに触れていると、世界は広くて面白いということに気づくんです。その想いを反映させたいと思ったことはもちろんですが、英語を勉強している真っ最中でもあるので活かしたいというのもありました。...ただ、自分の中では英語だからとか日本語だからという線引きもないんです。とにかくそこに想いが乗っているかどうかが大事だと思っています」
ーーただこの曲は英語が多い分、逆に日本語が際立って聴こえてくる気がしました。もっと自分を愛していいというストレートなメッセージがブッ刺さるように入ってくるのは、日本語が使われている部分の少なさゆえかなと思いました。
「わぁ、よかった! その感想、とってもうれしいです」
ーーそれと、かなりサウンドがコロコロ変わっていく曲でそれぞれに合うように歌い方もかなり部分部分で変えられていることにも驚きました。かなりバリエーション豊かなシングルが3曲揃ったのもあって、ついついアルバムリリースを期待してしまいます。もし作るならこういう作品を! など現時点でのイメージはありますか。
「先ほどおっしゃっていただいたように、歌声を変化させたり曲の中でキャラクターを演じるように歌うのが自分の強みだと思っているので、そういう意味でドラマチックなアルバムが作れたらいいなぁと思いますね。1曲ずつストーリー性のあるものにできたら、アルバムという大きな作品で見た時にまるでドラマや映画のように仕立てられるのかなと思います」
ーーアルバムももちろんですが、ライブも楽しみです。この記事が出る頃には開催は終わっているのですが、ビルボードライブ大阪での公演もあります。瀧本さんとビルボードライブという場所もお馴染みになりましたね。
「少し前にビルボードライブ横浜での公演を終えたところですが、ライブを終えてみてすごくエネルギーを感じることができした。ライブでは毎回ひとりの女の子像を作り上げて歌うんです。ライブタイトルに2024年は「Amanda」、今年は「Bijou」とつけていたのですが、これはアマンダちゃん・ビジューちゃんという女の子像を掲げて、彼女ならどういうライブを展開するかを想像しつつ、セットリストを構築していきました。彼女たちを通して音楽を表現するという楽しみがありました。会場ではその日だけオーダーができるオリジナルカクテルも準備したりして、みなさまに楽しんでいただけるように考えました」
ーーお酒をゆっくり飲みながらライブを堪能できるのはビルボードならではですよね。特にビルボードライブ大阪はステージと客席もすごく近いので、瀧本さんがどのように歌われるのか、表現されるのかを間近で見られる楽しみもあります。
「ちょっとおしゃれしたり食事やお酒を楽しんだり、音楽を見て聴いてあらゆる楽しみが詰まっているビルボードは私にとってすごく特別な場所なので、ずっとここでのライブは続けていけたらうれしいですね」
取材・文/桃井麻依子
(2025年11月 7日更新)
たきもとみおり…1991年鳥取県鳥取市生まれ。2010年に映画『彼岸島』で俳優デビューを果たす。さらに同年NHK連続テレビ小説『てっぱん』のヒロインに抜擢され注目を浴びた。2025 年は「財閥復讐~兄嫁になった元嫁へ~」「トウキョウホリディ」「死ぬほど愛して」と立て続けにドラマに出演。ドラマや映画の出演はもちろん、アニメ作品で声優を務めるなど俳優業に邁進する一方で、2024年に自身初となるソロワンマンライブ『瀧本美織 LIVE 2024 at TOKYO & OSAKA』を開催し、音楽活動を再開。配信シングルをコンスタントにリリースしながら、各地のビルボードライブにて歌声を披露するなど活動の幅を広げている。スターダストプロモーション公式YouTube内で展開されている『MUSICGLOBE ~Buzz the World~#15』にて披露した宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」のカヴァーが400万回再生に迫っており(2025年10月下旬現在)、話題となっている。
瀧本美織オフィシャルサイト
https://mioritakimoto.com/
オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/mioritakimoto_official/
オフィシャルTikTok
https://www.tiktok.com/@miori_music_official