ホーム > インタビュー&レポート > 「やってなかった宿題に手をつけるように、日常に一歩踏み出せるきっかけになればいいな」 デジタルニューEP『最高更新を更新』をリリースし 2026年3月には新たな全国ツアーも決定! グッドメロディを軸に痛快さとスケール感を増していく からあげ弁当インタビュー
ガリガリのパンクバンドから
ちょっとポップス、オルタナに寄ったイメージ
――2025年もあと1ヶ月ほどですが、今年の活動を振り返っていかがですか。
焼きそば「今年は制作を中心に頑張ったなっていうイメージですね。11月5日にニューEP『最高更新を更新』を出したので、来年からはこのEPを持ってツアーも行くんで、これからはライブの方に重きながら、制作も進めながらやっていきたいなって感じです」
Ryu-no.「自分自身は多忙だったっすね、もっと忙しい人はいっぱいいると思うんで、そう言うのは恥ずかしいんですけど...。いっぱい曲も作ったし、グッズも僕がやってるんで、すんごい大変だったけど、やっぱ完成すると、この曲たち、このグッズたちを持ってライブができるんやっていう喜びがあって。自分の今の限界をどんどん超えていきたいという感じで、挑戦的な1年でもあったかな」
――ちなみに、昨年からRyu-no.さんが加入して、バンドの中で一番変わったのはどういうところですか。
焼きそば「やっぱ曲作りかな。以前の3ピースの時は僕がスタジオに持っていった曲をみんなでアレンジするみたいな感じだったんですけど。Ryu-no.がパソコンとギターをつなげて作業できるんで、僕が作った曲をRyu-no.に投げて、それをバンドでアレンジして、またRyu-no.に戻してリアレンジしてみたいな流れになったんで。手間としては増えたけど、一曲にかける時間と労力はいい意味で増えたなって感じがする。それまでは僕が一晩で完成した曲もあるけど、Ryu-no.が入ってからはそういうやり方をしてないんで。時間はかかるけど、より良いものを作れてるなって感じはする。音作りで言うと今の4ピースになって、ガリガリのパンクバンドから、ちょっとポップス、オルタナに寄ったなっていうイメージで。僕ら的には今の一番を出してるって感じです」

――それが今回のEP『最高更新を更新』に表れてるんですね。からあげ弁当の曲って、シンプル&ストレートでメロディーも馴染みやすくて、すぐに一緒に歌えそうですよね。それは意識してるポイントですか。
焼きそば「いや...、特に意識はしてないです。でも、メロディーはちゃんとこだわってる。さっきも言ったように、やっぱ制作が進むにつれ、よりメロディーにこだわりを持つんで。そういう意味で『最高更新を更新』も一曲に対する時間もかけて、メロディーも凝ってみたいな感じですね。ただ、一緒に歌いたいというのはあるけど、それのために曲は作ってないなって感じがする」
――それはつまり、一緒に歌ってもらうために曲を作ってるわけではないけど、自然とみんなが歌ってくれる曲になると?
焼きそば「そうです。気づいたらみんなが、一回聴いただけで、"いいわ~"ってなって、<ぶっ飛べセンチメンタル~>って歌ってくれたりすることがあるんで、そうやって頭に残ってくれるのは嬉しいっすね。今まで僕もそういう曲を好きになってきたんで」
――メロディの良さはもちろんですが、歌詞のシンプルさに関してはどうですか。
焼きそば「それも特に意識はしてないですけど...、今自分が思ってることとか、過去に思ってたことを大事にしてる感じですね。たまにちょっと言葉のお遊び感覚で違うこと入れたりするけど、基本的にはストレートな僕の気持ちが入ってるからやと思う。普通に自分の思いを書いて、出来上がった曲は大体シンプルな感じになってるんで」
――でもそれが、聴き手としてはすごく爽快だったり痛快に聞こえてきたりして、歌いたくなるポイントなのかも。
焼きそば「どうなんやろう......、今はこういう曲やけど、めちゃくちゃ言葉を巧みに操ってるRADWIMPSとかもめっちゃ聴いてたんで。今後、あんな曲も書けたらな...とも思うんですけどね」
――Ryu-no.さんはどう思いますか。
Ryu-no.「そうですね...、僕、去年の4月に加入発表して、6月からライブに出るようになったんですけど。僕が入る前の3ピースの時の映像とかを見ると、今とは(焼きそばの)歌い方も違いますし、メンバーの演奏の表現力も違ってて。今はライブで聴くときに、ボーカルがすごく聴きやすいし、バンドはやっぱり歌が一番なんで。お客さんが聴き取りやすくして、そこに楽器隊のノリとかも残しつつっていうのは意外に難しいのかなって思うんですけど。やっぱ僕らそれを頑張って目指してる感じですかね」

――今回のEPは『最高更新を更新』というタイトルがまずインパクトあるんですけど、何が一番更新できたと思いますか。
焼きそば「全部っすね。iPhone15からiPhone17になった気分です。カメラだけがよくなったとかじゃなくて、全体的に処理速度も上がってるし、全面的に。3ピースの時にやってたストレートに曲作るっていうのも悪くはないんすけど、今はそこを疑ってて、ここにキメ入れたらより良いんちゃう?とか、みんなでよく話すようにしてるので、曲に深みが出たなっていう感じはする」
――今作は全6曲で、収録時間は20分未満です。
焼きそば「あんまり気にしたことなかった。そんな短いんや。できたらそうなってしまっただけで、別に意味はないっすよ(笑)。たぶん僕が今までそんなに長い曲を聴いてこなかったからなんか、ただ別に5分の曲も僕らでもあるし、今後、一曲に対してより気合を入れて制作していったら、もしかしたら一曲の平均が長くなるかもしれないけど、今のところは思うように曲を書いたらその分数に出来上がったみたいな感じです」
――そこにエネルギーが凝縮されてるんですよね、聴いててそれがめっちゃ伝わってきました。
焼きそば「ありがとうございます」
――リード曲は『ぶっ飛べセンチメンタル』(M-2)ですよね。これは焼きそばさん的にはどういう曲に仕上がりましたか。
焼きそば「やっぱ、サビが一番印象強いですけど、AもBもCメロみたいなところも全部がいい感じに際立ったなっていう感じですね」
――なぜバンドをやってるのか、なぜ歌っているのか、焼きそばさんが伝えたい大事な要素が凝縮されてますね。
焼きそば「ありがとうございます。そうっすね。これが、今の現時点での集大成みたいな曲になっちゃうんすかね」
――なるほど。ライブにおいてもやっぱりすごくポイントなりそうですね。
焼きそば「今後はたぶん、ライブではあんま外さへん曲やと思うし、ラジオとかでも絶対に『ぶっ飛べセンチメンタル』推しでいってるんで。より広まって、いろんな人の耳に届いてくれたらいいなと」
僕らは機転が効いたライブができる自信がある
そこで違いを見せられたらいいな
――個人的には5曲目の『戦』も好きです。ストレートな疾走感とは異なるハードロック的なうねりがあって。前作『最高更新』の『OH MY GOD』のような位置にある曲だと感じましたが、こういう曲はすんなりとできましたか。
焼きそば「マジで『OH MY GOD』と一緒の立ち位置で、割とすっとできたかな。重ためな曲を1曲入れたいなと思いつつ、ただただ重たいだけでもなんかちゃうし、そこにちゃんとメロディーがある曲を作りたくて、ちょっと苦戦はしたけど。でも別にこの曲に対して、めっちゃ意味はないんすけど、僕らが好きな音楽を世に出した時に、"からあげ弁当と言ったら=青春ストレートロック"、それだけじゃないよと(笑)。EPには基本的に異色なのは1曲入れるようにはしてますね。とりあえず型にはまりたくないなっていうのはずっとあるんで、今後も作る側としてはあんまりジャンルこだわらずにいきたいですね」
Ryu-no.「焼きそばが言ってた通り、僕らはいろんなジャンルができるけど、からあげらしさはちゃんと残してやってるんで。例えば、ライブで盛り上がってるときに、急にすんごいバラード調な曲をやったりとか、逆にバラードやって、さっきの『戦』みたいな曲をパーンってやっちゃうみたいな、そういう機転の効いたライブが僕らはできるよっていう自信がある。やっぱ、僕らはライブバンドだと思ってるんで、そこで違いを見せられたらいいなとは思ってますけどね」
――『最高更新を更新』のラストは『Local lake』ですね。焼きそばさんは滋賀県出身ということで、琵琶湖を想起させる地元愛とバンドの野心を歌ってるようですが。
焼きそば「琵琶湖がずっと隣にあった生活をしてたので。僕、高校から地元を出たんですけど、それまでの日常を思い浮かべながら書いた曲です。僕らの遊んでたところにはずっと琵琶湖が居ったなっていう意味合いの『Local lake』っていう曲ですね」

――個人的に、琵琶湖を初めて見た時、けっこう感動したのが忘れられなくて。滋賀の人ってこういう景色の中で、琵琶湖のパワーを日常的に吸収してるのかと。
焼きそば「どうなんすかね(笑)。僕も離れてみて(良さが)わかったんで。やっぱ琵琶湖もいいし、滋賀県っていい町やなと。離れてみてそういう感情は出てきたし、気づいたら夏は琵琶湖遊びに行ってみたいなところがあったんで。だから今になって書ける曲っすね。僕は滋賀県彦根市が地元で。こんなに地元愛してるやつはそんな出会わんなと思うし、いつか地元でなんかできたらいいなと」
――まだその夢を実現するまでの過程にいるんですね。
焼きそば「まだまだっす。まだ全然スタートライン立ってもないぐらいですけど、HATOスタジアム(※平和堂HATOスタジアム 彦根総合スポーツ公園陸上競技場)っていうデカいスタジアムが僕の地元にできたんで、それをこの間、メンバーと一緒に眺めて、ここでいつかフェスとかできたらいいなっていう話をしたり、いつかこの琵琶湖沿いにフェスを持って帰ってこれたらええなっていう話をちょこちょこしてるんで。夢とか言っちゃうと遠く聞こえるし、それが叶っちゃった時にどうしようもないんで、それも通過点とは捉えてるっすけど、でも生きてるうちに実現させたいですね」
――なるほど。期待しております! では、今後のライブに向けた意気込みも聞かせてください。
焼きそば「このEPを連れた全国ツアーは来年3月にやります。11月29日は自主企画『小箱ほくほくワンマン』として、昔の曲をやったり、このEPからももちろんやります。時間が経っていったら昔の曲ってやらなくなるから。僕らもそれはちょっと気にしてて、なるべくこういうワンマンではやるようにしようと。このEPと昔の曲が交わったりする、結構エモいワンマンになるかな。ありがたいことに(11月29日は)ソールドしちゃってるけど、来てくれる人にはそういうエモさを感じさせたいし、そのライブを通して、みんなの日常がちょっとでもいい方向に行けばいいなと。激変するとか、人生変えてやるとか、そういうのはあんま好きじゃないんで、一歩でも人生がいい方向に行くように歌いたいですね」
――そのきっかけって大事ですよね。
焼きそば「そうっすね。僕、どっかのラジオでええこと言うたなと思った時があって。悩みがあっても、ライブハウス行ったらもうどうでもよくなるわ...みたいな、そういうライブより、どっちかって言うと、"やばい、宿題終わってない"っていう状況でライブハウスに行って、帰ってきてから、その宿題に手をつけるような、日常に一歩は踏み出せるきっかけに僕らのライブがなればいいなと思うんで、そういうライブがしたいですね。結構イイこと言ったっすね(笑)」

――そうですね(笑)。いろんな意味で意外性がありますね、からあげ弁当というバンド名にしろ、焼きそばさんのネーミングにしろ、コミカルなバンドではないっていうところで。
焼きそば「...ていうか、からあげ弁当のバンド名の由来とか、触れへんかったの初めてかもしれん(笑)。たぶん、インタビューでは初やと思います。今日はもうめっちゃナチュラルにEPの話ができたんで」
――いちおう、バンド名に関することはプロフィールとかリード文には補足して書かせてもらおうかなと。最後に、改めて読者に伝えておきたいことがあれば、お願いします。
焼きそば「Ryu-no.、お前いつもファンにもっと思い届けたいなって言ってるやん。こういうところでちゃんと伝えとかな」
Ryu-no.「ああ、昔から応援してくれるくれてるファンの方も、4人になってからファンになってくれた方も、いろんな人がいると思うんすけど、やっぱり自分たちは自分たちらしくまっすぐライブ続けていくんで、今後とも応援していただきたいなと思います」
焼きそば「ラジオの収録みたいやな(笑)。僕はもうさっき言った"宿題"のやつだけ取り上げといてください(笑)」
――わかりました(笑)、ありがとうございました。

Text by エイミー野中
Photo by 美海
(2025年11月27日更新)
EP『最高更新を更新』
発売中 1440円
規格品番:UKCD-1257
《収録曲》
01. 君のことが大好きだ
02. ぶっ飛べセンチメンタル
03. city
04. 風
05. 戦
06. Local lake
からあげ弁当…滋賀発4ピースバンド。焼きそば(vo&g)、春貴(b)、こーたろー(ds)が力を合わせて営む移動式お弁当屋――という設定で活動中。2021年末の開店より関西エリアを中心とした出店とサブスク販売に特化。2024年6月にRyu-no.(g)を正式採用し、4人新体制にパワーアップ。毎日食べても飽きのこない普遍的な味付けと豊富なトッピングに、お腹だけでなく心まで満たされてしまう中毒者が続出。学校生活に疲れたあなた、人間関係に悩むあなた、どうしても一歩を踏み出せない、そこのあなた! 老若男女問わず、選り好みせず、まずは一度ご家庭や勤務先でサブスクのご利用を。無心にかきこめば、自然と溢れる汗と涙、芽生え出す明日への希望。見事にハマってカロリーが気になり出したあなたには、移動式店舗にて日替わりのエクササイズも実施中! ご来店お待ちしてます。(※新店ゆえに来店ごとの “味のブレ” はどうしても発生してしまいます。予めご了承ください。)
2022年6月9日、自主制作で1stデジタルシングル『祝開店』リリース。2023年12月6日の1stフルアルバム『I am hungry』以降、UK.PROJECTからリリース。2024年5月1日、デジタルEP『最高更新』。6月にRyu-noを正式採用し、現在の4人体制となる。12月8日、初のワンマンライブを心斎橋JANUSで開催。2025年11月5日、ニューEP『最高更新を更新』リリース。
▼11月29日(土) 18:00
HOKAGE-火影-
オールスタンディング-1000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224
▼2026年3月29日(日) 18:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]GREENS■06-6882-1224