ホーム > インタビュー&レポート > 「次はトラッドやフォークの要素を入れて、 もっとライブのエネルギーが感じられるアルバムを作りたい」 マルチな才能を発揮する台北出身のアーティスト Everydaze インタビュー
映画や心理学の本がインスピレーション源に
――はじめに、『MINAMI WHEEL 2025』(以下、ミナホ)の感想から聞かせてください。
「今回が初めての海外でのライブだったのでちょっと緊張してましたが、とてもエキサイティングでした。私は元々、日本の文化が大好きで台湾の大学で日本語を勉強していたんです。ずっと日本でライブをしたいと思っていたので夢が叶ってとても嬉しかったです」

――私も今回初めてライブを見せていただきましたが、思っていた以上にエネルギッシュなパフォーマンスで驚きました。ちなみに、いつもライブではEverydazeさんがギターを演奏しながら歌っているのですか。
「はい、毎回そうですね。ときどきシンセも弾いています」
――バンドは3ピースの編成で息が合った力強いグルーヴ感がありました。
「ありがとうございます。ベースとは前にバンドをやっていて曲作りも一緒にしていたのですごく仲が良いんです。ドラムも6年くらい前からの知り合いです」


――今回のような3ピース以外の編成でライブをすることもあるのですか。
「実は、いつもは6人編成のバンドでやっています。昨年、(FM802DJ・土井)コマキさんには6人でのライブを見ていただきました。次に日本に来る機会があればそのメンバーを連れていきたいと思っています」
――Everydazeさんのプロフィールに、"現代の若者の不安、憂鬱、そして単純な喜びを率直に表現している"と書かれていましたが、歌詞はどんなふうに書いているのですか。
「歌詞を作る時は自分の心と会話をしています。恋人と喧嘩したり、親や友達との間に問題が起きたりして人生の中ではいろいろと困ることがありますね。私はそういう時に自分の心の中を見つめて、いろいろと考えて歌を作ります。最近は、自分が悩んでいることがテーマになっています」

――楽曲作りではどんなことからインスピレーションを得ていますか。
「映画や本からインスピレーションを得ることもあります。Everydazeの"daze"は『Dazed and Confused』(日本のタイトル表記は『バッド・チューニング』)という有名なアメリカの映画に由来しています。リチャード・リンクレイターという一番大好きな監督の映画です。あと、心理学の本を読んだりしています」
――アルバム『DAZE』は曲調やメロディーも親しみやすいギターポップの要素を感じますが、どのように曲を作っていますか。
「私はギタリストなので、最初はギターを弾きながら、歌詞とメロディーは同時に作っていきます。そうしないと自然な感じにならないので。そして、あとで整えていくようにしています」

これからもライブを大切にしていきたい
――今後はどんな曲を作っていきたいと思っていますか。
「実は次の新しい作品はトラッドやフォークの要素を入れていきたいと思っています。『DAZE』はデビューアルバムなので、いろんなジャンルを取り入れた曲にチャレンジしましたが、次のアルバムは、オルタナティヴ・ロックとか、もっと絞った形で作っていきたいですね。そしてもっとライブのエネルギーが感じられるアルバムにしたいと思っています」
――ライブをとても大事にしているんですね。
「はい、今はライブは1番大事なことだと考えています。ファンとの距離を縮めるためにもこれからもライブをもっと大切にしていきたいと思っています」
――それは今日のライブからもすごく伝わってきました。初めて観た人も引き寄せられる力を感じました。
「ありがとうございます。次はもっとテンション高い曲を作っていきたいです」
――最後に、このインタビューを読んでいる日本のリスナーにメッセージをお願いします。
「今回、大阪でライブができてとても嬉しかったです。また東京とか他の場所でもライブがやりたいので待っていてください。それまでに、新しい作品を作ってまた日本に来たいと思います」
――楽しみにしています。ありがとうございました。
Text by エイミー野中
写真提供:FM802、撮影:浜村晴奈
【LIVE REPORT】
2025.10.13 Mon. at CONPASS
3ピースのバンド編成でパフォーマンスを行ったEverydaze。Everydaze自身がギターを弾きながら歌い、一曲目の『I Can't Feel』からフロアにグイグイと迫ってくるような熱いステージング。サビのリフレーンがキャッチーな『Serious Addiction』、『Why Won't You』まで3曲続けて、「みなさんお元気ですか? 台湾の台北からきました。よろしくお願いします! 今日は初めての海外のライブです。拍手してください(笑)」と流暢な日本語で挨拶。「緊張してますけど、ワクワクしています。一緒に楽しんでください」と声をかけると、フロアから歓声が上がり大きな拍手が送られる。ニット帽を被り白シャツにネクタイという独特のオシャレな装い。アルバム『DAZE』のCD(歌詞カードが一体となったデザイン性が高い仕様)の中の写真も"白シャツ+ネクタイ"というスタイリングで写っていただけに、きっとこだわりのファッションなのだろう。甘めな声質と時々見せる笑顔が親しみやすい。緩急効かせて演奏していた中盤の3曲。インディーギターポップ/ロック好きのツボをくすぐる感じでメロディーセンスやリズムパターン、キーとなるリフがクセになる中毒性を秘めている。個人的に『Finally』のリフがとても耳に残り、クイーンの『Under Pressure』を思い出した。台湾のドラマのエンディング曲となった『Donut』は感傷的なメロディーでシンセを同期させたドリーミーな曲想に浸らせる。そして、「あっという間に最後の曲です。FM 802 MINAMI WHEELに感謝しています」とお礼を述べて、ストリーミング再生回数が100万回超という代表曲『Tangerine Dream』を投下。クラップを促し、エレキギターを激しくかき鳴らすアウトロまでダンサブルでパワフルにフロアを揺らす。音源で感じたソングライターとしての才能だけでなく、予想以上にライブも熱い。チャーミングな人柄にも魅了された好感度が高いステージだった。

Text by エイミー野中
写真提供:FM802、撮影:浜村晴奈
(2025年11月12日更新)
えぶりでいず…台北出身(台湾)。プロデューサー、アレンジャー、ソングライター。ギターとシンセサイザーをブレンドして新鮮でモダンな雰囲気を作り出し、率直な歌詞とキャッチーなメロディーを使用して、現代の若者の不安、憂鬱、そして単純な喜びを率直に表現する。2020年~EP『Room247』リリース。甘い雰囲気のトラック『Tangerine Dream』で認知され、100万回以上のストリーミングを獲得。2022年~KKBOXの「Trendsetting New Voices of the Year』に選出。2023年~Spotifyのレーダーアーティストに選出。2022年~ゴールデンメロディ賞のベストアルバムプロデューサーにノミネート。2024年~デビューアルバム『DAZE』リリース。*Blow Mediaのアルバム・オブ・ジ・イヤーのひとつに選出。フレッシュ・ミュージック・アワードからベスト・ニュー・アーティストにノミネート。
[11日(土)出演]
●DiAN from Beijing
●LOR from Yogyakarta
[12日(日)出演]
●EASY SHEN from Taipei
●고고학 GOGOHAWK from Seoul
[13日(月・祝)出演]
●Ardhito Pramono from Jakarta
●Everydaze from Taipei
●ゲシュタルト乙女 from Tainan
●Nunegashi from Busan
●Oh! Dirty Fingers from Shanghai
MINAMI WHEEL HP
https://minamiwheel.jp/