ホーム > インタビュー&レポート > 「自分のファンクラブ&ファンネームが 楽曲制作するうえでの発想の幅を広げてくれた」 独立後初のミニアルバムをリリース! 鷲尾伶菜インタビュー
これからも継続的な活動を続けるために
基盤づくりにじっくりと時間をかけた
――2023年の末に前事務所から独立されましたが、独立後は活動や精神面でどんな変化が起こっているでしょうか。
「独立直後は、これからも継続的な活動を続けるために揺るがない基盤作りが大切だということをすごく感じました。だからこそまず自分の身の回りを固めていく作業をしたのは大きな変化だったと思います。独立以降はどんなスタッフ陣とどう仕事をしていくか、自分で選択をしていく場面に直面したおかげで、いろんな世界を知ることができたし大きかったなと思います。
――自分の身の回りを固めていくためには、なりたいアーティスト像がしっかりあってこそできることのように思えます。
「はい。だからこそそれが明確になった独立後は、自分のやりたい方向性や楽曲の世界観を表現しやすくなったかな。ひとりになって作詞にもかなり積極的に取り組むようになったので、一層自分らしさを濃く、出しやすくなったところはありますね」
――ちなみにソロのアーティストとしてこうありたいとイメージしていることを言葉にすることはできますか?
「そうですね...悲しい気持ちもうれしい気持ちも悔しい気持ちもひっくるめて、一聴いてくれる人の背中を押せるようなアーティストになりたいということですかね。一言で言うなら、共感性というか。年齢と共にどんどん柔軟になって、考え方も広がったことで見えてきたのかな。今31歳なんですけど、年相応な歌詞を歌いたいと思うからこそ同世代や同性のみなさんからの共感という部分を意識して楽曲制作に取り組んでいると思います」
――じゃあ、実際に独立されてからの日々は...?
「自分の活動土台の構築に時間をかけていました。最初はマネージャーもいなかったから、周りの方々に助けてもらいながらやっと今の形が整って」
――確かに、独立を発表されてから独立後の初リリースまで1年と少しかかっていますもんね。
「しっかり魂を込めて作った曲をリリースしたい! という気持ちが強くなってすごく時間がかかってしまいました。どういう曲を作るのか、それをどんなタイミングで出すのかも含めていろいろ突き詰めることとその調整にすごく時間をかけたんです。あと一番の理由は、同じ期間中にファンクラブの設立に時間を使っていたというのが大きいかもしれません。そのことと楽曲制作の両立が難しかったというか...」
――ファンクラブを先にというのは、どんな思いだったんですか?
「ライブをやりたい気持ちが大きいので、そこに来てくれるファンのみなさんのためにもファンクラブという場所が必要だと思ったんです。楽曲をリリースしてからでもできることでしたけど、ファンクラブが先にあることで曲がより浸透してくれる気がしたし、ファンクラブの方々がライブに来てくれたらうれしいなという思いもありました」
ファンクラブとファンネームが
アルバムのイメージを作るヒントをくれた
――準備にしっかりと時間をかけたうえで、今年の3月に独立後1曲目となるシングル「正解」をリリースされましたね。
「これまでのイメージをガラリと変えるような楽曲を作りたい! と取り組んだのが「正解」でした。飾ることのない歌詞というか、綺麗な言葉を使わず殴り書きするようなイメージで書いていきました。それこそロックテイストな曲だったからこそ、歌詞がうまくハマったのかなと思います」
――勝手なイメージでしたが、鷲尾さんの1stシングルがここまで疾走感のあるロックチューンだったというのも少し意外な気がしたというか...驚きと新鮮さを感じると同時に、ソロのアーティストとして歩んでいくことへの覚悟や強さも感じました。
「あの曲は自分の自己紹介でもあったというか...。実は私、○○一曲目! というのがとにかく多くて」
――お? どういうことですか?
「グループ卒業1曲目、解散後1曲目、avexからの1曲目やSONYからの1曲目もあって、今回はLDH Recordsからの1曲目ということで(笑)。でもこれまでの1曲目とは違うものを作りたいという想いは強かったですね。これまではみんなで作り上げたイメージを守ることもちゃんと大事にしていましたが、ちょっと固定概念みたいに"そうしなきゃ"と思っていた部分もありました。でも今回からはそういうことを意識しすぎる必要もないんだなと思ったので、雑な言葉でもいいから"自分はこういう人間です"っていう自己紹介のような曲になればいいなという気持ちが、あの歌詞につながりました。
――ある種の自己解放にも思えてきます。「正解」を作り上げて見えてきたものはありましたか?
「そうですね、「正解」によってこういう曲がライブで映えるんだということがすごく見えたので、この曲を含めたライブをやるんだとしたらこういう曲を増やしたいとか...ダンスナンバーがいるなとか、バラードがあれば完璧だなとかそういうことが見えてきました」
――先ほどファンクラブを先に設立したのもライブのためとおっしゃっていましたし、基軸がライブにあるんですね。そして7月に2曲目のシングルリリースとなったのが「DiZZY」です。これが「正解」からガラリと印象が変わって...。
「ふふふ、ボカロ曲です(笑)」
――本当に同じアーティストなの...? と思えるほどです。
「ボカロの曲は普段からよく聴きますが、ガッツリ挑戦したのは初めてです。ボカロのメロディーに合わせて歌詞を書くのは初体験だったから、すごく勉強になりました。やってみて、シンプルな歌詞ではなく複雑な言葉をひたすら並べる感じの難しい歌詞の方がメロディーにハマるとわかりました。メロディーのテンポが速い分、複雑な言葉の方が音に乗った時にすごく印象を残せるんです。その方がメロディーの強さに歌詞が負けないというか。すごくいい経験になりました」
――その2曲の後となるこの秋、「ミニアルバムを出す」と新展開を見せることになりました。しかもその中にコンセプチュアルな3曲を「三部作」として収録すると。そんなミニアルバムを出そうと思ったのはなぜですか。
「準備期間を長く取った分、そろそろまとまった作品を出したいなと思いました。ミニアルバムの制作準備に手間取った、曲作りに時間がかかったことも含めて、長い時間を費やしたのですごく高いクオリティの新曲ができたと思っています。ミニアルバムのタイトルを『freivor』(flavorの"la"に自身の名前・伶菜の"rei"を当て込んだ造語)に決めていたんですけど、風味や香りという意味を持つその言葉から香水を連想してそれをテーマに曲を作ったらどうだろうと思いつきました。そして、その風味・香りをどう表現するか。その時に浮かんだのが、香水をつけてからの時間経過による香り立ちの違いです。トップノート、ミドルノート、ラストノートと時間経過とともに香りの呼び方も変わりますよね。そこでトップノートならつけたての香水の強い香りは一番印象深い香りだと思うので、第一印象や自分の表向きの顔...内面ではなく外に出る強さを表現しようと」
――ミドルノートやラストノートはどうですか?
「ミドルノートは、恋愛に例えると倦怠期の頃かなと捉えました。長く付き合っていく中でのうまくいっていない時期を表現できたら面白いかなと。そしてラストノートは、ミドルノートで表現した恋愛はどんな結末を迎えるかを描きました。バッドエンドなのか、ハッピーエンドなのか...そういう曲のディテールを考えていたら、ワクワクするイメージがたくさん湧いてきて。じゃあもう曲のタイトルもこのまま行こう! と進みました。「TOP NOTE」「MIDDLE NOTE」「LAST NOTE」と実際に並べてみたら、これ3部作になるよね? って(笑)。そんな流れで新曲の構成を考えつつ、それぞれの曲調はガラリと変えたいなと思っていました」
――それはリリースの後のライブを意識されたからですか?
「はい。「TOP NOTE」はライブの1曲目に置くことを意識して、強く印象に残るダンスナンバーを目指しました」
――「TOP NOTE」は女性が持つ強さをサウンドからもすごく感じました。
「トップノートって本当につけたての香りなので、強烈ですよね。その香りを纏っている時は強い自分を演じることができるというか。そんなメッセージ性を込めたいと思っていました。だからこそこの曲が聴く人の勝負の時のゲン担ぎになったらいいなぁって」
――この曲で元(G)I-DLEのスジンさんとのコラボレーションが実現した経緯を伺えますか?
「今回の3部作にコラボは欠かせないと思っていました。なんとなくその中でも流れを作りたいなと考えて「TOP NOTE」と「MIDDLE NOTE」はコラボ曲、「LAST NOTE」はひとりで歌い上げる曲にしようと決めました。「TOP NOTE」は強さと美しさを兼ね備えたツヤ感のあるダンスナンバーなので、韓国のソロシンガーの方とコラボをすれば、もっとツヤっぽさを演出できるんじゃないかなと思ったんです。それでスジンさんのことが思い浮かびました」
――お知り合いだったんですか?
「あ、いや! 私が一方的にファンで(笑)。彼女の声は甘いようで少し冷たくて、儚いようで強いんです。両面性を持っているなと思っていました。だからこそ無機質な強さがこの曲にハマるなと。歌詞を書く時も彼女の活動でこんなことを思っていたんじゃないかとか、スジンさんがこういうことを歌ったら彼女のファンもグッとくるんじゃないかなとか想像を巡らせて歌詞を書いたのはすごく楽しかったです」
――なるほど。ちなみに今日のインタビューの時点では、曲の詳細が明かされているのは「TOP NOTE」までです。この後10月に「MIDLLE NOTE」が11月のミニアルバムリリースと同時に「LAST NOTE」も公開になる予定ですが「MIDLLE NOTE」と「LAST NOTE」に関して、この記事を読んでいる方に何かヒントをいただけませんか?
「そうですねぇ...「TOP NOTE」とは全くイメージの違う2曲になっています。「MIDLLE NOTE」では新しいことに挑戦したいと思っていたんです。私は平成世代で、着うたを通してアーティスト同士のフィーチャリング曲をたくさん聴く学生時代を過ごしました。当時男性アーティストと女性アーティストのフィーチャリング曲とか、コラボものがいっぱいあったじゃないですか」
――あぁ! ありましたね、懐かしい。
「あの頃のエモい感じのラブソング...当時のストレートでちょっと照れくさいような歌詞を令和の今やってみよう! と。しかもそれがそういうことをやらなそうなイメージのアーティストさんと一緒にやれたらどうかな? って。コラボのお相手をまだ明かせないのが残念ですが、大きなキーワードとしては"平成ラブ"かな」
――あ、なんかすごく伝わってきている気がします。そのワード(笑)。
「ですよね(笑)! そして「LAST NOTE」はサビにしっかり芯があるけれど、すごくスローな曲です。自分はちゃんとひとりで生きていけるのだという決意表明のような失恋ソングなのですが、「TOP NOTE」から「MIDLLE NOTE」を経て「LAST NOTE」まで、長く付き合ってきた恋人へ向けての歌です。相手を否定することなく、好きだけど離れなくちゃいけないようなことが30歳超えてくるとめちゃくちゃあるなと思っていて。きっと同世代の方に聴いてもらえたら、こういう経験したなって共感してもらえるかなと想像しています。だからそれが伝わるように、スローなテンポで歌をじっくりと聴いていただけるような1曲に仕上げました」
――そんないろいろな想いを込めたミニアルバムに『freivor』という、ファンクラブと同じ名前をつけたのはどうしてですか? 鷲尾さんにとって思い入れのある言葉ですよね。
「ファンクラブに命名した時は、ふわりと頭に浮かんできた言葉でした。でもいざその名前で進み始めたら、ファンの皆さんが "私たちフレイバーは..."ってファンネームとして使う感じで、自分たちのことを"freivor"って呼び始めてくれたんです。それがうれしかったこともタイトルにしたいと思った理由です」
――ファンの皆さんの導きみたいな感じがしますね。
「そうですね。そこから発想が広がっていって曲ができていったので、それをそのままツアータイトルにも据えて流れを引き継いでいこうと思います」
――ミニアルバムのリリースに続くのは念願のライブ、Zeppツアーですね。
「前回Zeppでライブをやらせていただいた時は、ファンの皆さんによるリクエストをテーマに開催したんです。私が歌ってきた曲の中で、皆さんの思い入れが強い曲を募ってセットリストを組みました。今回はリクエストライブ2というイメージでやらせていただきます。いつもはソロ曲でセットリストを組んできましたが、今回はこれまで私が所属してきたグループの曲も含めてあの時の空気感や世界観も体験してもらえるものになればと思っています」
――ミニアルバムの曲も披露されますよね?
「もちろんです! この作品も含めてしっかりと抑揚のあるライブにできるかなと思います。全公演に豪華なゲストもお招きしているので、ぜひ遊びにきてください!」
取材・文/桃井麻依子 写真/河上良
(2025年10月16日更新)
配信中
2025年11月7日(金)配信開始
2025年11月19日(水)発売
【完全生産限定盤/CD(フォトブック)】
6000円
POCS-230923
封入特典/ステッカーシート、免許証風トレカ、リリックブック
【通常盤/CD(紙ジャケ)】
2200円
POCS-23065
封入特典/トレカ
〈収録曲〉
01. TOP NOTE feat. SOOJIN
02. DiZZY
03. MIDDLE NOTE
04. 正解
05. LAST NOTE
わしおれいな…2011年に開催された「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~」を通過し、ヴォーカル&パフォーマーとしてFlowerに加入。同年「Still」にてデビュー。デビュー後にダンス&ボーカルグループ・E-girlsとしても活動を開始。 どこかせつなさを持った歌声が聴く人の心を鷲掴みにし、これまでにm-floやDJDECKSTREAM等の作品にも参加。 2017年10月~2019年3月までJ-WAVE「AVALON」の週替わりナビゲーターも務めた。 2020年10月、ソロプロジェクトを「伶」名義にて開始。 2023年12月31日にLDHを退社し、所属レーベルをLDH Recordsへ移籍した。 2024年、地元佐賀で行われた国民スポーツ大会のイメージソング「Batons~キミの夢が叶う時~」の歌唱を担当。 同年秋には「鷲尾伶菜 Billboard Live 2024」を東京・横浜・大阪で開催。 現在はアーティストとしての活動に加え、自身のアパレルブランド「Luamoda」を立ち上げるなど多岐にわたって活動中。
【北海道公演】
▼11月22日(土) Zepp Sapporo
[ゲスト]KAZ(GENERATIONS/数原龍友)
【愛知公演】
▼12月4日(木) Zepp Nagoya
[ゲスト]佐藤晴美
▼12月5日(金) 19:00
Zepp Namba(OSAKA)
1F全自由-8800円(ドリンク代別途要)
2F指定席-8800円(ドリンク代別途要)
[ゲスト]佐藤晴美
※4歳以上チケット必要/3歳以下入場不可。ご入退場時にお手伝い等をご希望の方は、事前にお問い合わせ先までご一報をお願いいたします。開場時刻・開演時刻は変更させて頂く場合がございます。チケットの譲渡、転売行為は禁止とさせていただきます。非正規ルートで入手されたチケットは、全て無効となります。公演内容の録音・録画・撮影・配信等の行為は禁止とさせていただきます。会場内外の映像や写真が公開される場合がございます。
[問] キョードーインフォメーション■0570-200-888
【東京公演】
▼12月14日(日) Zepp Haneda(TOKYO)
[ゲスト]Dream Ami/Dream Shizuka
【福岡公演】
▼12月21日(日) Zepp Fukuoka
[ゲスト]近日公開予定
鷲尾伶菜 オフィシャルサイト
https://www.freivor.com/
オフィシャルX
https://x.com/rei__official_
オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/reina.washio.official/
オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@reiSMEJ
オフィシャルTikTok