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ドミコ、夏のツアーを完走、9月24日からは次なるツアーへ。
京都・磔磔『サマータイムクルーズ』追加公演レポート

2ピースバンド・ドミコが8月25日(月)、東名阪ツアー『サマータイムクルーズ』のファイナルとなる追加公演を京都・磔磔で開催した。6月26日の名古屋公演を皮切りに夏の東名阪クアトロをクルーズし、各地で熱狂を引き起こしてきたドミコ。本公演は細川千弘(ex.Shout it Out、KOTORI)がサポートドラムをつとめた。また新しい表現を見せてくれた今夏のドミコだが、9月24日からは新曲『誰にも言わないでいるよ』を提げて次なるツアーへと出発する。本記事では、熱き追加公演の模様をレポートする。

ライブの数時間前、すさまじいゲリラ豪雨と雷に見舞われた京都市内。雨があがって磔磔に到着した頃には既に入場が始まっていて、続々と観客が吸い込まれているところだった。酒蔵を改造した築108年の会場内には、湿気と熱気が充満していた。壁に並ぶ多くの海外ミュージシャンのウェルカムボードのそばには、本ツアーのカラフルなフラッグが吊るされていた。

開演時間が近づくにつれ、パンパンに埋まった客席の期待が高まっていく。やがてSEKing Crimsonの『Easy Money』が流れ、会場後方の楽屋階段からギターを抱えたさかしたひかる(vo.gt)と細川千弘(Dr.Cho)が登場。真っ赤な照明と大歓声の中で階段を降り、観客の横を通ってステージに向かう。

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エフェクトのかかったサウンドとドラムフィルがシャワシャワと広がり、2人の放つ音が徐々に輪郭を帯びる。1曲目は『問題発生です』。さかしたは軽快なギターリフをループさせてその上に音を重ねていく。張りのある歌声を響かせて「京都ー!」と叫ぶさかしたにフロアは湧き立ち、各々気持ち良さそうに身体を揺らす。タイトな細川のビートも後半はダイナミックかつグルーヴィに。ギターネックを高く掲げ、歪みギターでうねりを生み出すさかしたの姿はヒーローそのもの。間髪入れず、細川のビートインから『ユナイテッドパンケーキ』、さらにさかしたのギターから続けざまに『こんなのおかしくない?』へと繋がれたのだが、その手腕があまりに鮮やかで、曲が披露されるたびにオーディエンスは歓喜し熱を高める。

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いつもMCはほぼなし、ストイックに演奏だけで構築されるドミコのライブ。さかしたの変幻自在で自由奔放なギターに喰らいつくレンジの広いドラミング。2人の放つ音が重なりあい混ざりあい、生き物のように姿を変えて、想像を超えた感動と熱狂と発見をくれるのが、彼らのライブの魅力だ。さかしたと共に真剣な面持ちで真っ直ぐに向き合う細川の姿と音は最高にカッコ良かった。シンプルにプレイヤーが変わると鳴る音も変わる、というのは音楽の面白いところで、当然それぞれの化学反応や良さがある。それにより「こんなドミコもいるんだ」という喜びを得ることができる。そして、「ライブを心から楽しもう」と、目の前で起こる表現に素直に反応するオーディエンスの想いと深い信頼を感じられたのも嬉しかった。

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「センキュー、ドミコです。よろしく」とさかしたが挨拶し、テクニカルなギターを自在に操るライブアレンジならではの『まどろむ』から『まどろまない?』に突入。さかしたの感情を爆発させたような声量と高音が会場の熱をぐんぐん引き上げる。細川のパーカッシブなビートや楽器から紡ぎ出される、目まぐるしいサウンドとリズムに没入して踊らされた『解毒して』、そのまま疾走感たっぷりのアンサンブルからシームレスに移行した『てん対称移動』まで、一気に駆け抜けた。

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少しクールダウンするように、弾き語りから始まった『歯触り舌触り』では、どこかノスタルジックなメロディーに乗せて、さかしたが頭のてっぺんまで突き抜けるようなハイトーンボーカルを色気たっぷりに響かせる。続く『のらりつらり』と『ロースト・ビーチ・ベイベー』は、曲中のアレンジ盛りだくさんで届けられた。夏らしい雰囲気も随所に感じられる音色、緩急をつけて静と動を行き来するダイナミックな展開、チルでムーディーでセクシーな歌声と佇まい。音で魅せて聴かせて、没入させる。ニヤッと嬉しそうに笑ったさかしたが、細川とアイコンタクトを交わしながらアンサンブルを奏でる様子を見て、「これが今のドミコか」と思わされる。

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反復性の心地良さがクセになる『幽霊みたいに』を軽快かつロックに飛ばしてギアを上げ、雷のようなビートから『びりびりしびれる』を投下。このヒリヒリ感がたまらなく、オーディエンスも歓喜の雄叫びを上げて、前のめりにハンズアップで盛り上げた。

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そして、今年の夏ソングとしてリリースされた『青の波浪』を物語のように紡いでいく。ゆったりとしたリズムを土台に、ルーパーでギターを重ねたり減らしたり、さかしたの柔らかなコーラスを乗せて、青い光の中でじわじわとサウンドスケープを描いていく。気怠げで力強いさかしたの歌声に細川の優しいコーラスが溶けていき、やがて音色は熱を帯びる。2人のセッションが高まり合ってリバーブが広がり、ただただ気持ち良い。さかしたはしゃがみ込んでエフェクターボードを触っているのか、後方からは姿を確認できない。しかしギターは一層激しく音圧を増し、細川のビートと絡み合って轟音へ変化。最高潮の盛り上がりを作り出した。

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残響の中でさかしたは「ラストー!」と叫び『深海マリアナ海溝旅行にて』を披露。パワフルにハイトーンで歌唱すると、途中から細川に向き合い、2人で対峙してしばしセッションを展開。ルーパーもエフェクターも使いつつ、一定のビートを刻みながら小節ごとに様々な音を出す。観るたびに享受するそれらに、音楽の可能性を感じさせられる。いよいよクライマックス。歪んだギターがわななき、さかしたが「来い来い」と言わんばかりに好戦的に細川を煽るとビートが加速! 呼応したさかしたのギターも低く唸り声を上げながら躍動。時にはねっとりと、時には爽やかに変幻自在の表情を見せる。力強いソロのあと、2人は熱量高くひとつになって音の塊を作り出す。アウトロは一段と激しくなり、細川は立ち上がって思い切りスティックを振り下ろす。一度アンサンブルが収束したと思えば、もうひとかき回し。さかしたは満足そうに「センキュー」と放ったのだった。

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汗だくで楽屋に戻る2人に贈られたのは、大きな拍手喝采からのアンコール。再びステージに登場した。さかしたは「アンコールありがとうございます。京都また来ます」と挨拶し、ライブアンセム『ペーパーロールスター』をプレイ。2人の応酬とセッションが最高潮の熱を引き連れてフロアを熱狂させる。さかしたの「京都ー!」という咆哮でさらにテンションアップ! 会場全体が一体感に包まれた。

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ライブ後には、中高生限定招待の学生たちがステージの上に上がって機材を見たり、写真を撮ったりと贅沢な時を過ごす。ドミコのTシャツを着て少し恥ずかしそうに写真を撮る姿も初々しく、ほっこりした気持ちになった。ドミコは中高生を限定で無料招待する取り組みを数年前から行っているが、本当に素晴らしいなと思う。いつか彼らとドミコが対バンする日がくるのが観たい。そう願わずにはいられなかった。

夏のツアーを終えたドミコは、最新シングル『誰にも言わないでいるよ』(917日リリース)を記念して、924日(水)の北海道SPiCEを皮切りに、全国7都市を回る『"誰にも言わないでいるよ"release TOUR 2025』へと旅立っていく。ぜひ、最新モードのドミコに会いに行ってほしい。

Text by 久保田瑛理
Photo by Hoshina Ogawa




(2025年9月16日更新)


Check

Set List

01. 問題発生です
02. ユナイテッドパンケーキ
03. こんなのおかしくない?
04. まどろまない?(まどろむ付き)
05. 解毒して
06. てん対称移動
07. 歯触り舌触り
08. のらりつらり’25
09. ロースト・ビーチ・ベイベー’25
10. 幽霊みたいに
11. びりびりしびれる
12. 青の波浪
13. 深海マリアナ海溝旅行にて

EN. ペーパーロールスター

Release

DIGITAL SINGLE「誰にも言わないでいるよ」

2025年9月17日(水)配信開始

Live

ドミコ ” 誰にも言わないでいるよ”release TOUR 2025

【北海道公演】
▼9月24日(水) SPiCE
【宮城公演】
▼9月26日(金) 仙台MACANA
【広島公演】
▼10月14日(火) Reed
【福岡公演】
▼10月15日(水) LIVE HOUSE CB

PICK UP!!

【大阪公演】

▼11月1日(土) 18:30
BIGCAT
オールスタンディング-4800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※4歳以上は有料。3歳以下は保護者同伴の元、鑑賞可能な場合は無料で入場可能。
※スタッフの指示に従って頂けない方は入場をお断り致します。
※会場内の写真や映像が公開される可能性がございますのでご了承ください。
[問]GREENS■06-6882-1224

【愛知公演】
▼11月9日(日) 名古屋クラブクアトロ
【東京公演】
▼11月13日(木) Spotify O-EAST

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