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“最高の8月8日です”約15年ぶりに実現した、
8otto x THE BAWDIESのロックな対バン。
『8otto presents [ONE OR EIGHT]』ライブレポート

大阪を代表するバンド・8ottoが、結成記念日の8月8日(金)、大阪心斎橋Music Club JANUSにて『8otto presents [ONE OR EIGHT]』を開催した。結成21年目となる今年は、ゲストにTHE BAWDIESが登場。DJは、双方との関係性が非常に深いFLAKE RECORDSのDAWAがつとめた。8ottoとTHE BAWDIESは昔から交流はあるものの、対バンするのは実に15年ぶり。気心の知れたようなアットホームな雰囲気で、お互いへの愛とリスペクトがあふれる、熱くロックな夜となった。

前日に雨が降ったこともあり、比較的暑さが落ち着いた今年の8月8日。とはいえ最高気温は33℃、歩いていて急に止まると汗が吹き出すほどだ。会場のJANUSには老若男女の幅広い客層が集まった。世間的には翌日からの三連休を皮切りにお盆休みに突入する人も多かったからか、どこか解放感も漂っていた。続々とフロアを埋めていくオーディエンスの横では、FLAKE RECORDSのDAWAがAncient Youth Clubの『Stay』からゆるりとDJをスタート。ベランダやHomecomingsへとつなぎ、やがてPink Grease、The Hives、Matias Tellezとロック色を強めていった。



【THE BAWDIES】

先攻はTHE BAWDIES。昨年結成20周年、デビュー15周年を迎えた彼らは、今年4月にSEEZ RECORDSから独立して「HOT DOG RECORDS」を設立した。代表取締役社長にはROY(vo.ba)が就任し、新たなフェーズを進み始めたばかりだ。

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いつものようにウィルソン・ピケットの『Land of 1000 Dances』をSEにして、元気にステージに現れたMARCY(ds.cho)、TAXMAN(gt.vo)、JIM(gt.cho)、ROY。高まるフロアにROYが早速シャウトをかまし、「ロックンロール界のお祭り番長、THE BAWDIESでーす!」と叫ぶやいなや『COME ON, LET'S PARTY』を投下。ライブを「ロックンロールパーティー」と称する彼らによる、最高のパーティーソングが会場を彩っていく。"一緒にパーティーしようよ"と8ottoを祝う気持ちが伝わる選曲に、オーディエンスも大喜びでダンシング! 前へ前へと放たれる分厚いアンサンブルがとにかく気持ち良く、心底楽しそうに楽器を鳴らすメンバーの笑顔を見ると、こちらも自然に頬がゆるむ。

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次曲『LET'S GO BACK』の前にROYは「私は"歌え"って言うと思います。ロックンロールは歌えるんです。1番聴いたら2番、3番、勝手に歌えます。そういうシステムです。ついてきてください!」と煽る。観客はアッパーなロックチューンにあっという間に巻き込まれ、<Ba-pa-pa-ba-pa-pa-pa-la>では高速スピードで左右に手が振られる。さらに盟友・OKAMOTO'Sのオカモトショウ(vo)をフィーチャーした『GIMME GIMME』でガンガン飛ばし、テンションはMAXに! プレイにも熱が入り、JIMは観客の上へ身体を乗り出してギターを弾きまくる。THE BAWDIESのライブ空間は、いつ行ってもずっと変わらず楽しいままだ。

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ROYは満面の笑みを浮かべ「8otto大先輩、大好きです。対バンが15年ぶりぐらい。めちゃくちゃ嬉しい」と久々の機会を喜ぶ。「本当にずっとカッコ良い大先輩です。15年と言わず、これからたくさん一緒にやれたらなと思います。よろしくお願いします!」と述べて、独立後第1弾シングル『SUNNY SIDE UP』を演奏。「自分の明るい面や楽しい面を表に出したら、もっと道は開けてきますよという曲です」と言葉を添えたように、光と希望を感じる照明演出とサウンドで会場を明るく満たすと、コール&レスポンスと振付もエキサイトした『T.Y.I.A.』でフロアを熱くひとつにした。

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MCでは、ROYがMARCYの怪談師としての仕事を把握するため、ライブ前日に前乗りして神戸まで行ったというトークを展開。当のMARCYは見られたくなかったそうで「絶対来るなって言ってて。こいつ(ROY)は特に」とこぼしていたが、ROYはMARCYの仕事ぶりについては触れず、帰りの電車で自分のファンに会ったという話に着地させる。その社長らしい(?)自由ぶりをTAXMANにツッコまれる場面も。こうしたやり取りも仲が良いからこそだ。

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ライブ後半戦、『SUNNY SIDE UP』との両A面シングルで最新曲の『FORKS』に続き、TAXMANが作詞作曲とボーカルをつとめる『EASY GIRL』、クラップが発生したキュートなラブソング『SUGAR PUFF』とゴキゲンなナンバーで身体を揺らし、ハッピー感を全員で共有する。

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「結成20周年とデビュー15周年を経て、今年の4月から新たに自分たちで歩んでいってみようという道を選びまして、HOT DOG RECORDSを立ち上げました。幼い頃からずっと一緒の4人で生涯やっていこうということでございます。」フルパワーで投下されたのは、もちろん『HOT DOG』! 彼らの代表曲で、新会社の名前にもなった楽曲だ。さらに「このまま遅れないようについてきてください! 遅れるとこうなります。カモン、MARCY!」とお決まりのフリから『IT'S TOO LATE』へなだれ込む。初期の楽曲を最新のアレンジで爆発させる4人。最後に響き渡ったROYのロングトーンも見事で、会場は大歓声に包まれた。

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そしてラストチューン。「この後8ottoが出てきますから、まだまだいけるぞということを証明したいんですけどよろしいですか。俺が"飛べ"と言いましたらPOPCORNのように弾け飛べますか?」と導いて『POPCORN』をバチバチに叩き込む。破裂しそうなロックサウンドが全身を巻き込み、「飛べー!」の合図で全員がジャンプ! 高い位置での高速クラップ、ROYのベースソロ、コーラスワーク、ブレイクからのハイパワー放出と、たっぷりの見せ場で最高潮に熱を高めてフィニッシュした。

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ROYは8ottoのことをずっと「カッコ良い大先輩」だと言っていたが、結成20年&デビュー15周年を迎えてもなお変わらないスタイルと進化するサウンドでリスナーを笑顔にし、脱退も休止もなく4人でバンドを続け、独立して(ある意味で)運命共同体となったTHE BAWDIESもめちゃくちゃカッコ良い。きっと彼らはおじいちゃんになってもバンドを続けてくれるだろうな、と疑いなく信じられてしまうのは、"THE BAWDIESだから"としか言えない。10月10日(金)には、奈良・NEVERLANDにて「友達になりたいバンドを呼ぶ」をテーマにTHE BAWDIESが主催する『LET'S BE FRIENDS!』でDENIMSと初ツーマンライブが行われる。こちらも楽しみだ。

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THE BAWDIESの残した熱気の中で始まったDAWAのDJは、OasisやNine Inch Nails、The Pains of Being Pure at Heart、The Strokesと、より一層パーティー感が漂う選曲に。オーディエンスはドリンク片手にゆらゆらと身体を揺らす。DAWAはいつもプレイ中の曲のジャケットを立てかけて、何の曲を流しているかわかりやすく提示してくれているのだが、ジャケットの写真を撮ったり、DAWAに話しかけている観客の姿も。新しい音楽との出会いを楽しんでいる様子が素敵だった。



【8otto】

いよいよ我らが8ottoの出番。暗転した会場にカニエ・ウエストの『Power』が鳴り響き、RYO(gt.cho)、Yoshimura Seiei(gt.cho)、TORA(ba.cho)、ビールを持ったMaenosono Masaki.(vo.dr)がステージに姿を見せる。「We are 8otto! 8月8日はottoの日だぜお前ら! 準備はいいか! 楽しい夜を!」とMaenosonoが叫び、『You just not only one』からライブスタート。タイトでメリハリのあるアンサンブルに乗せてMaenosonoの低音ボーカルが響き渡ると、フロアは歓声を上げて早くも大ジャンプ! Yoshimuraはフロントに踊り出て早速渾身のギターソロを投下する。1曲の中での展開がドラマチックで本当にカッコ良い。

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続いてはイントロから最高にクールで熱い『SRKEEN』。連続のキメや短いギターリフに絡みつくビートを浴びて、身体の奥から高揚させられる。<Hey!>の掛け声が楽しい『It's All Right』は、スカのリズムがたまらなく気持ち良い。楽曲が進むにつれて上昇する熱、歪むサウンドと歌声がセクシーで思わず前のめりになってしまう。

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大歓声の中、TORAが「今年も8月8日を迎えられて良かったです。来年もできるように頑張るので、みんなも元気で生きていきましょうよ」と述べて、YoshimuraとMaenosonoの2人の音頭で乾杯タイム。マイクの近くでビールを開ける「プシュッッ!」という爽快な音も、音響スタッフのナイスエコーによって完璧に広がり、Maenosonoは「vibration!!」と咆哮した。

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TORAはTHE BAWDIESとは昔から付き合いがあるが、対バンはそんなにやっていないと回顧する。久々に再会したTHE BAWDIESのメンバーを見て、「体型が変わらないのがすごい。いうてもいい歳やから腹とか出てるんちゃうんと思って」と、主催バンドとして賑やかしをしようと、MARCYが脱いだジャケットを着て『POPCORN』の時にステージに出ようとするも袖が入らず、曲が進んで出るタイミングを逃してしまい、裏でポップコーンを食べていたと告白して笑いを誘う。改めて「THE BAWDIES出てくれてありがとう。DAWAさんもいつもありがとうございます。みんなどんどん歳をとっていくけど、DAWAさんが70歳、80歳くらいまでやれるように頑張りますのでよろしくお願いします」と想いを伝えていた。

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中盤は静と動の対比がエッジーな『I wanna Light』を経て、より轟音で疾走する『HYPER,HYPER,HYPER』『Uprising』『Rolling』を連続で披露。会場をさらなる熱狂に包んでいく。

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物販紹介の後、TORAが「ライブもやりながらではあるけど、新曲も作っていきたいなと思うので。ちょこちょこですが進んではいるので」と言うと、「うおぉ!」と湧き立つオーディエンス。そんな様子を見て「どうせやらへんと思ってるやろ。やります!」と、なんとFRONTIER BACKYARDとのコラボシングル『IsarIbI』以来、約2年半ぶりとなる新曲を披露! 8ottoらしい短くメロディアスなギターリフに、ビリビリ痺れるベースライン、タイトで鋭いドラムでグルーヴィに走り抜ける。Maenosonoが叫ぶように歌う<超えてみよ><燃えてみよ>という情熱的な歌詞からは、彼らが歌い続けている一貫した前向きなメッセージ性が感じられた。

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勢いを増したフロアにアンセム『赤と黒』が投げ込まれると、オーディエンスはたまらんとばかりに狂喜乱舞で踊りまくる。Maenosonoの「お前らに声はあるのか! お前らに心はあるのか! 心と心で一緒にエネルギーを放て!」という叫びに呼応して<Yeah,ooh>と拳を上げてシンガロング。フロアにダイブしたMaenosonoはオーディエンスに運ばれながら、寝転んだ姿勢のままで歌唱。大きな熱の塊を生み出してステージに帰還したと思えば再びフロアに降り、煽って飛び跳ね、踊りながら長尺でシンギング。一緒に歌うファンの眼差しもあたたかく、8ottoと過ごすこの時を心から楽しんでいることが伝わってきた。この日一番の一体感を醸成して「愛してるぞお前ら!」と間髪入れず叩き込まれた『Generation888』の存在感たるや、それはもう圧巻だった。

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ラストはクライマックスにふさわしい『SAY』。TORAが「いつものやつで終わりたいと思います」と、全ての照明を消して真っ暗になったフロアに全員をしゃがませ、電気がついた瞬間にジャンプ! 8ottoのライブでは「一発芸みたいなもんなんで」と言うほど定番になった演出ではあるが、期待通りに放たれる爆発力と盛り上がりはすさまじく、毎回鳥肌が立つ。

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大充実の本編を終えてすぐさま起こったアンコール。始まったのは、RYOがドラムセットの前に立ち、和太鼓よろしくドラムを叩く『Ganges-Fox』だ。Yoshimuraも横からフロアタムを叩き、そこにMaenosonoがアカペラでジョイン。これもお馴染みとなりつつあるパフォーマンスだが、やはりいつ観ても大人の渋みに魅了される。打楽器とボーカルのみという編成にベースがジョイン。照明が明るくなると、いつのまにかMaenosonoとRYOが入れ替わっていて、普段の8ottoのフォーメーションで爆音を弾き出した。

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まだ満足できないとばかりに、一度ステージを去ったメンバーをダブルアンコールで呼び戻す熱きファンたち。Maenosonoは「宇宙一のアンコールありがとう! 8月8日が8ottoの日で、毎年イベントをやっているんですけど、今日が何回目の8月8日かわからないくらい、最高の8月8日です」と感謝を口にして、ふいに約1年前に欠けた歯の話題へ。「歯が抜けてると、声の響き的に不甲斐ないんですよ。仕事が忙しすぎて1年半くらい行きつけの歯医者さんに行けなくて、何ていうか、今日は僕の特別な声を聴いてくれてありがとうございます」と述べる(ちなみに歯医者へは翌週に行けたそう)。そして「あまりこんなMCしたことないんですけど」と前置きして、8ottoをずっと応援してくれていたMaenosonoのお父さんが、2016年の熊本での8ottoの日のライブを見届けて、8月9日に旅立ったと言葉を紡ぐ。「8月8日にライブやるの待っててくれたんやなと思って。お父さんに会いたいなと思いました」。パーソナルな想いを吐露するのは、この場所に集った人たちへの信頼からだろう。「88回目の8ottoの日も必ず開催しますんで、元気にこのメンツで会いましょう」とこの先も同じメンバーでバンドを続けることを示唆し、お父さんへの想いがこもった『Mr.David』をプレイ。キラキラ光るミラーボールは美しく、メロディーは優しくノスタルジックに響いたのだった。

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全てを終えて「みんな元気で会おうぜ! 今を生きようぜー! 俺たちは世界で一番輝いているんだー!」と全力で叫んだMaenosono。そこには生命の尊さや希望、願いが込められているような気がした。

DAWAのクロージングDJは、往年のスターたちへのリスペクトを感じる選曲。7月に逝去したオジー・オズボーンの『Crazy Train』から始まり、Foo Fighters、Oasis、ガンズ・アンド・ローゼズへと続き、最後はThe Get Up Kidsで締め括った。

こうして今年の8ottoの日も大団円で幕を閉じた。8ottoの周年を祝うのはもちろんだが、いつもと変わらぬ幸せを共有するための大切な時間になっているようで、胸が熱くなった。THE BAWDIESと8ottoは、この先もそれぞれの道を歩いていく。長く続けるその先に、また両バンドとDAWAの3組が交わる日が来ることを楽しみにしていたい。

Text by ERI KUBOTA
Photo by キラ




(2025年9月12日更新)


Check

Set List

●THE BAWDIES

01. COME ON, LET’S PARTY
02. LET’S GO BACK
03. GIMME GIMME
04. SUNNY SIDE UP
05. T.Y.I.A.
06. FORKS
07. EASY GIRL
08. SUGAR PUFF
09. HOT DOG
10. IT’S TOO LATE
11. POPCORN

●8otto

01. You just not only one
02. SRKEEN
03. It's All Right
04. I Wanna Light
05. HYPER,HYPER,HYPER
06. Uprising
07. Rolling
08. NEW SONG
09. 赤と黒
10. Generation888
11. SAY

EN1. Ganges-Fox
EN2. Mr.David

今後の関西公演をピックアップ! その他の公演は「チケット情報はこちら」から!!

●THE BAWDIES

「LET'S BE FRIENDS!」
【奈良公演】
▼10月10日(金) 19:00
NEVERLAND
スタンディング-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]DENIMS
※未就学児童入場可。小学生以上チケット必要。小学生未満は、チケットをお持ちの保護者1名につき1名まで入場無料。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400

「THE NEW KICKS TOUR 2025」
【大阪公演】
▼11月14日(金) 19:00
BIGCAT
スタンディング-6000円
学割スタンディング-4500円
※ドリンク代別途必要。未就学児童入場可。小学生以上チケット必要。小学生未満は、チケットをお持ちの保護者1名につき1名まで入場無料。学割チケットをご購入の方は、ご来場時に「学生証」と「本人確認書類(身分証明書)」の両方をご提示いただく必要がございます。どちらか一方でもお忘れの場合は、ご入場時に通常チケットとの差額をお支払いいただきます。また、差額をお支払いいただけない場合はご入場できかねますので、あらかじめご了承ください。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400

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●8otto

『堺ファンダンゴ6周年記念 #1001』
【大阪公演】
▼10月1日(水) 19:00
FANDANGO
前売-3900円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]8otto/おとぎ話/SuiseiNoboAz
[問]FANDANGO■072-256-4326

「Dreams Tonight vol.13」
【大阪公演】
▼10月21日(火) 19:30
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-3800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]8otto/Khamai Leon
[問]LIVE HOUSE Pangea■06-4708-0061

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